Ex-diary 春来りなば4

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [4]

2010/04/18

ブウ編後のカカベジ。ベジたんが乙女です。原作ベース/甘め…なのか?ハアハア。



「早く食えよベジータ、ホントにアイスが溶けちまうだろ?」
『ほれ、あーんしろよ』と促しながら、カカロットがカップアイスを掬ったさじをこちらにぐいぐい押しつけてくる。
「だっ、誰がキサマなんかに食わせてもらうかくそったれ!!」
多少なれ合ってはいるが、所詮キサマはオレが倒すべき敵だ!!そんな奴に食わせてもらうなんて真似、たとえアイスが食えなくて飢えて死んだって、絶対オレはせんぞ!!たとえカカロットが差し出すアイスが、ジンジャータウンで今評判のアイスクリーム店『ホースラディッシュ』の一番人気・『バニラミルク』と『ガナッシュチョコ』だと知っていても、絶対オレは食わんぞ!!芳醇なバニラビーンズの香り、濃厚なミルクのコクと甘み、パリパリの削りチョコレート・とろーりチョコソースがオレを誘惑したって、絶対オレは食うもんか!!!……けど、ほんのちょっと……舐めるくらいなら良いか……!?!!…何て事、オレは絶対思ったりしねえからな!!!



たっぷり空気を含ませたアイスが、少しずつ溶けていくのを眺めながらオレは顔を赤くしたり唸ったり、ぐるぐると煩悶した。溶けたアイスの白いひとしずく、舌の上に乗せた時の至福の甘みと、それを感じた時のドキドキと胸が高鳴るような幸福感を思い出しながら、スプーンと、カカロットの顔を交互に見比べていると―――。
「あ、そう。要らねえんか。じゃあ勿体無えからやっぱりオラが食うとすっか」
カカロットは、あっさりそう言ってアイスを掬ったスプーンを自分の口に突っ込んだ。
!!!!!!!!!!!
「うっひょぉ、旨えなこれ!チチが『この店なら絶対旨え』って言ってたけどホントに旨えや!ベジータ、おめえこんな旨えもん食えないなんて残念だったなあ」
………。食った……。カカロットが……オレのアイスを……『バニラミルク』を……オレのアイスを……食いやがった!!!!



こぶしを握り締めながら肩をぶるぶる震わせるオレの目の前で、カカロットは次々アイスを掬っては、自分の口に放り込んでいく
「かーっ!うめえ、うめえなこれ!何かオラばっかり食っちまって悪ぃなベジータ」
そう言いながら、ちっとも悪いと思っていない顔で次々アイスを口に運ぶカカロットの能天気な笑顔を見ながら、オレの中でブツリと何かが切れた。
「…………きっ………」
「ん?」
……うっかり忘れちまうところだったぜ……憤怒とめくらむような闘争心、オレは戦闘民族サイヤ人の誇り高き王子・ベジータ様だ!!オレの獲物を横取りするとは許さんぞ!!きょとんと目を見開くカカロットの顔を睨み上げながら、オレはやつの胸倉を思いっきり掴んで激しく揺すぶった。
「キサマアアアアッ!!!よくもこのベジータ様のアイスを食いやっがったな?!許さん、許さんぞおおおおおおっ!!!返せ出せ戻せ、今すぐ戻しやがれええええッ………!!!」
「………なんだベジータ、おめえやっぱりアイス食いたいんじゃねえか」
バニラアイスを思うこのオレの純心、カカロット、キサマには分かるまい!!怒りに燃えて胸倉をつかむオレを見下ろしながら、しかしカカロットは相変わらず冷静だった。
「しょうがねえなあ、おめえ、欲しいなら『欲しい』って素直に言えよ」
そう言いながら、またカカロットは、ブルマが聞き分けの無いトランクスに言って聞かせる時のような顔をする。
「何だと?!キサマ、何を……?!」
さじを持つカカロットの大きな手に顎を掴まれ、強引に上を向かされる。そのまま強く引き寄せられる。気が付けば奴の顔がすぐ目の前にある。甘いアイスの匂いがする。近すぎる奴の顔に思わず目を閉じて、そして……



CHU ♥



!!!!!!!!!!!
ちゅっ、という軽やかな音と共に、奴の冷たい唇がオレの唇に触れ、それからペロリと奴の舌で唇を舐められた。たちまちオレの舌先に感じる甘いアイスの味。
「悪ぃな、もう食っちまったアイスは戻せねえからなあ。それで我慢してくれよ、な?」
あっけらかんとそういうカカロットの顔を見、舌先の甘い味を感じながら、オレは肩をぶるぶる震わせてしばし呆然とする。
……奪われた……カカロットの奴に……オレ様の……くっ、唇をっ、うばわれ……・!!!
「~~~~っ!!!カカロット、キサマ、何て事しやがる!!!ゆっ、許さんぞ!!今度という今度は絶対にゆるさ……!!」
再びカカロットの胸倉を掴んで、動揺のあまり舌を噛みそうになりながらオレが絶叫しようとした時。



怒りの形相で大きく口を開けたオレを見ながら、カカロットは笑顔を見せた。
「ああ、分かってるって。それだけじゃ足りねえもんな、ほれ。」
大きく開いたオレの口に、カカロットは今度はアイスを掬ったスプーンを押しこんだ。たちまち舌先に広がる至福の甘みとバニラの匂い。ドキドキと胸が高鳴るような幸福感。そして……相変わらず能天気な、誰もがほっとできるようなカカロットの笑顔。
「な、旨えだろ?」
アイスと同じくらい甘ったるい笑顔で、カカロットがオレの顔を覗きこんでくる。頬がかあっと熱くなる。相変わらず感じる、バニラの匂いとドキドキと胸が高鳴るような幸福感。
「…………。」
奴の胸倉をつかんだまま、そしてスプーンを咥えたまま、オレは思わず、こくん、と一つうなずいていた。

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