Ex-diary 春来りなば5

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [5]

2010/04/24

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。



カカロットがせっせと掬ったアイスをオレの口に運んで(随分丁寧に動かすので驚いた。コイツと来たらいつも手つきが乱雑で、人の家の壁は壊すわオレ様の一張羅は破くは、夜ともなればひどいもので……い、イヤ何でも無え!!)、時々ちゃっかり自分の口でも味わう事を忘れず、最初のアイスはすぐに空っぽになった。



「あ~、もう無くなっちまったなぁ。大喰らいのオラ達にはこれじゃ全然足りねえよな」
「………まあな」
意地汚くフタの裏を舐めてぼやくカカロットの言葉を聞きながら(くそっ、ホントはオレが舐めたかった!)、オレは珍しく奴の意見に同意した。確かに、アイスは旨いからな!
地球は下等な星だが『アイス』を考えた地球人は間違い無く天才だ、それだけは認めてやろう。ああ、それとまだ地球人で天才がいたな……『肉まん』を考えた地球人も天才だな。フカフカのまんじゅうの中にじゅわっと肉汁あふれる肉餡、『肉まん』は天才だ。

『きゅるるうううううっ……』

……腹が減った……。カカロットの顔を見てからというもの、なぜか忘れていた食欲が甦ってきていた。トランクスに昼食を下げさせた事を後悔した。まあ、今更だがな。……こんな時は違う事を考えて気を紛らすに限るな……そういえば『お好み焼き』を考えた奴も天才だな。『ラーメン』『すし』を考えた奴も天才だ。それと『チャーシュー』『ブタの角煮』を考えた奴も天才だな。それから『ミルフィーユ』『いちごケーキ』『チーズタルト』『バナナクリームパイ』『ゴマプリン』と……


「……ベジータ、おめえヨダレ垂れてるぞ」
カカロットの声に、はっとして我に返る。口の端につうっと流れるヨダレの感触。し、しまった!!慌てて口の周りを手で拭う。オレとした事がついうっかり食い物の妄想に走って無様な真似をしちまったぜ、しかもよりによってカカロットの前で!!かあっと顔が赤くなる。
「ちっ違う!これはだな……!」
口をゴシゴシとこすりながら、カカロットにどう言い訳しようかと必死で考える。…が、しかし。
「なあベジータ、次はどっちにするんだ?」
当のカカロットは、オレの事なんかもう見ちゃいなかった。シーツの上に直接置かれていたビニール袋へ手を突っ込んでかき回している。ヤツが持参してきたアイスクリーム屋のバカでかい水色の袋には、目鼻のついたアイスのイラストが描かれていて、カカロットに向かってウインクしている。ヤツは熱心に見入りながら、袋の中身を物色していた。


……オレのヨダレの事なんかどうでも良いらしい……。そうだった、こいつはこういう奴だった。何があろうと怯まない、とことん自分のペースを崩さない。オレがクシャミをしようとヨダレを垂らそうと、何なら屁をこいたって関係無いワケだ!!自分の『興味のあるものにしか興味が無い』、そういう奴だ!焦って言い訳しようとしたオレがバカだったぜ!(『興味が無い』という言葉を思い浮かべた瞬間、自分で傷ついたような気になったのは多分気のせいだっ!!!)
「なあなあ、ベジータ、どっちにすんだ?」
カカロットがチョコとバニラのアイスをそれぞれワシ掴んで、こちらに指し示してくる。袋の中には保冷剤といっしょにまだまだ沢山のカップアイスが入っているらしい(『カップ』と言うにはちょっと語弊があるかもしれない。カカロットが手にしているのは地球の単位で言う「パイント」アイスだ、カップというより『バケツ』に近い)。


「………………フン」
奴の問いかけにオレは答えず、横を向いていると(べ、別にカカロットに無視されたから腹を立てたわけではないからな!)、奴は再び聞いてきた。
「なあベジータ、チョコと白いのとどっちがいいんだ?」
「………………」
「なあ、ベジータ、なあってば」
「………………」
「おーい、ベジータァ、おめえオラの話ちゃんと聞いてっか?」
「~~~~~っ!!!『人の話をちゃんと聞け』なんてキサマが言えた義理かっ!!!」
「何だ、ちゃんと聞こえてんじゃねえか。で、どっちのアイスにするんだ?」
……とことん自分のペースを崩さない、なんでカカロットがオレを超えて宇宙最強なのか、分かった気がするぜ……


いい加減オレは一人で騒いだり喚いたりしている事が嫌になってきた。
「なあ、ベジータ、どっちにす「……チョコにしろ」
わざと奴の言葉にかぶせながら憮然と答えると、カカロットは不満そうな顔をした。
「うーん、でもオラこっちの白い方が好きなんだよな。ベジータ、やっぱりおめえこっちのバニラってやつにしとけ」
奴の言葉を聞いてオレは思った。ついさっき『一人で喚く事が嫌になった』と思ったが、オレは前言撤回するぞ!!
「~~~~っ!!キサマ、人に意見を聞いておいてその返事か!!しかもなんでキサマの好みに合わせなければならんのだ、アイスはオレへの見舞いの品だろうが!!」
しかし喚くオレの言葉をまたしても綺麗に無視して(いい加減にしろ!)、カカロットは窓辺に歩み寄った。?何だ?何をする気だ?どうせまたロクな事を考えてねえだろう!
「おいカカロット、キサマ何を……」
―――すると奴は、先ほどオレがトランクスに閉めさせた窓を、おもむろに大きく開け放った。


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