Ex-diary サルの恩返し9

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

過去ログは左下の『Ex-diary 過去ログ一覧』から読む事ができます。

サルの恩返し [9] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/12

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。ベジたんの保護者・ナパさん登場編その3。「嫁姑」ならぬ「婿舅問題」勃発。




「そっか、おっちゃん『ナッパ』ってんだな」
いつもと同じ調子で気さくに語りかけるカカロットの態度が、ナッパはいたく気に入りません。
「きっキサマ捕虜の分際で舐めた口の利き方しやがって……!!」
ナッパの言葉を聞いて、カカロットが不思議そうな顔をします。顔を真っ赤にし逞しい腕の筋肉を膨らませてカカロットを威嚇する大男と、その横にはやや難しい顔をしたベジータが素っ裸で立っています。それはとても不思議な光景でした。そして首を傾げながら、頭に浮かんだ疑問をベジータに投げかけました。



「…なあベジータ、『ほりょ』って何の事だ?おめえ、知ってるか?」
「そっそれは、だな……!!」
カカロットに真っ直ぐ見詰められて、ベジータは再び焦りました。上手くナッパを言いくるめたと思ったら、今度はカカロットです。本当の事を言ったらカカロットは怒るでしょうか?彼ならば気にしないような気もしましたが、ひねくれ者のベジータはすんなり本当の事が言えませんでした。ナッパに焦りを悟られないように、できるだけ冷静な声で話し始めます。
「な、なんだキサマそんな言葉も知らんのか」
「ああ、知らねえ。教えてくれるか、ベジータ」
ベジータは腕組みをし、ややゆったりとした口調でカカロットに語り始めます。


「いいか、よく聞けカカロット、『捕虜』とは実はキサマの事だ」
「オラの事?」
ここで一旦言葉を切って、ベジータは、ちらりと自分の背後の姿を盗み見ると、ナッパは相変わらずカカロットを歯を剥きながら睨みつけています。少しでも刺激を与えたら、今にもカカロットに飛びかかりそうです。額を汗が一筋伝うのを感じながら、ベジータはこっそり視線をカカロットに戻し、軽く息を吐きました。それから、いかにも鷹揚な態度で胸を反らしカカロットを睥睨します。
「そうだ、お前の立場を指す言葉だ」
「オラの立場??」
良く意味が分からないと言うようにカカロットが目を瞬きます。ベジータは見下すような目線でカカロットを見ながら(実際にはカカロットよりもベジータの方がずっと小さいので、『見下す』というよりは『見上げる』状態でしたが)、再び鷹揚に語りかけます。
「俺にとってのキサマの立場だ、つまり…」
「うん、何だ?」







「『捕虜』とは『夫』という意味だ」






さり気なくナッパから顔を背けたベジータはカカロットの耳元に口を寄せて、聞こえないような小さな声でカカロットに囁きました。それを聞いた途端、カカロットが漸く納得したように破顔します。
「なるほど、そっかあ!!さっすがベジータだ、おめえってホント物知りだな!」
それからいつもの輝くような笑顔をナッパに向けて、再び気さくな様子で声をかけました。
「よろしくなナッパ、オラ悟空、ベジータの『捕虜』だ!!」
「だから捕虜が舐めた口を聞くんじゃねえよ!!」
ナッパが再び歯を剥いて唸ります。



……こいつがバカで良かった……
カカロットの無邪気な笑顔と、威嚇するようなナッパの恐ろしげな顔を交互に見ながら、ベジータはほっと胸をなでおろしました。





|1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|15|16|17|18|