Ex-diary サルの恩返し15

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [15] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/28

今やすっかり元ネタの原型とどめず、単なるカカベジ夫妻の話と化しております。夫+ツンデレ嫁+舅




ぱちぱちとはぜる囲炉裏の火に頬を照らされながら、ベジータがぼうっとした表情でカカロットの横顔を見つめ上げています。炎に暖められてその頬は少し赤らんでいるようです。カカロットがお茶をすすっている隙に、ベジータはこっそりとその肩にもたれかかろうと体をカカロットに擦り寄せます。温もった湯のみを両手に包みながら、あと少しで頬が肩に触れるというところで…
「ん?」
カカロットがベジータの方に向き直ると、ベジータは慌てて目線をぷいと反らし、何事もなかったかのようにお茶を飲み始めました。
「………?」
カカロットがベジータをじっと見つめても、ベジータは不貞腐れた表情で顔を背けたままです。気のせいだったかとカカロットは首を傾げながら、再び顔を戻してお茶を啜り始めました。するとまたベジータは再びこっそりとその肩にもたれかかろうとします。今度はカカロットに見られることなく上手くもたれる事ができました。しかしそれはとても遠慮がちで、頬と肩が微かに触れ合っているだけ。それでもベジータの頬はますます真っ赤になり、しかめ面の眉間のしわは一層深くなっています。
「…………」
カカロットはそんなベジータの様子に気が付き、ちらりと顔を盗み見します。それから笑い混じりに肩をゆすり、また何食わぬ顔でお茶を飲み始めました。ベジータの体がじれったいほど少しずつ擦り寄せられ、ようやくその身を預け切った時には、彼はすっかり頬どころか耳まで真っ赤になっていました。それは普通であれば誰もが微笑んでしまうような、初々しい夫婦の光景でした。



「ぐぐぐ………き、キサマ………!!」
しかし男同士のふれあいを見せられたナッパにとってどうやらそれは当てはまらないようで、彼は先ほどから顔を赤くしたり青くしたり、さらには白くしたりと目まぐるしく顔色を変えます。
「キサマ!何やってるベジータから離れろ!」
「へ?」
くっついているのはベジータの方なのですが、どうやらナッパの目にはそうは映らないようでした。訳が分からないと言いたげな表情でカカロットが目を瞬くと、囲炉裏を挟んで向い側から肩をいからせたナッパがその顔に指をつきつけます。
「捕虜の分際でベジータに手を出すつもりか!!そんなマネしやがったらこの俺がキサマを塵に変えてやるぞこのゴミクズ野郎!!」
歯をむき出しカカロットを威嚇しながら拳を震わせるナッパは、それでもまだ言い足りない表情をしています。
「おいベジータ、気をつけろ!いくらクズ惑星の住人だからってあまり近づきすぎない方が良いぜ!!」
ナッパの大きな声に、魂の抜けたような表情をしていたベジ-タがはっと顔を上げます。どうやらベジータはこの場所にナッパがいる事をすっかり忘れていたようでした。慌ててこの場を切り抜けようと、頭を巡らして言い訳を考えます。
「…ちぃっ、しまった、この俺様としたことがついうっかりうたた寝をしちまったようだな…」
わざとナッパに聞こえるように大声で独り言を言いながら、先ほどまでカカロットの肩と触れ合っていた頬を大袈裟な身振りで拭って見せます。その際に不思議そうに目をしばたくカカロットの真っ直ぐな視線に目を合わせられず思わず顔を反らしましてしまい、彼の目が緑色にきらりと輝いた事にベジータは気が付きませんでした。それにしてもとベジータは考えます。先ほどからどうにもナッパが邪魔でなりません。ベジータは考えます。何かと自分達二人に口出しをしてくるこの小うるさい大男を、どうにかして母星へ追い返せないものかと。


しかしそんなベジータの考えなど知るはずもないナッパは、おお、と大きく手を打ちます。
「そうか、そういやもう休息の時間だな。俺も今日はいろいろあってくたびれたしな。なあベジータ、今夜は俺と交互に休むってのはどうだ?」
ナッパの言葉にベジータがちっと舌打ちをします。まさかこの男、寝る時まで俺にまとわりつくつもりじゃねえだろうな。しかしどうやらベジータの想像は的中したようです。ベジータが自分の主君であり同胞だと信じて疑わないナッパは彼の舌打ちにも気がつかず、カカロットに鷹揚に向き直ります。
「おい捕虜、この星はあと数時間は太陽が昇らないんだったな」
「太陽?……ああ、朝だったらまだだけど」
「仕方ねえ、キサマ俺達の分の寝場所でも用意しろ」
「寝場所?別にいいけどさあ、ちょっと問題があるんだよなあ」
さあどうしましょう。この家に布団は一組しかありません。



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