Ex-diary　サルの恩返し5

2009/11/04

二人はとても仲の夫婦になりました。一つ屋根の下で暮らし、共に食卓を囲み、夜は一つの布団で抱き合って眠りました。問題らしい問題を上げるとすれば、ケンカと夜の生活が激しい事くらいでした。

「キサマ、今日という今日はもう勘弁ならん！ぶっ殺してやる！！」
「おめえが可愛いすぎるからいけねーんだろ！！

夫婦喧嘩で山がいくつか吹き飛んだり、夜の生活に二人が我を忘れて没頭した結果、近隣一体は大地震となり、がけ崩れで道が寸断されたりもしましたが、そんな事は二人にとって些細な出来事でした。ついでに辺りの地形がしょっちゅう変わるので、近隣では道に迷う人が続出しましたが、それも二人にとっては些細な出来事でした。それ以外は基本的に二人はとても仲の良い夫婦でした。

「おめえ本当に素直じゃねえなあ、オラの勝ちだって認めろよ！！」
「勘違いするなよカカロット、俺は別にキサマがかっこいいからつい見惚れてキサマの攻撃を避けられなかったわけではないからな！！」

仲の良い夫婦ですが、二人には一つ、絶対に避けて通れない問題がありました。
「おーいベジータ、見つかったかぁ？」
「み…見つからねえぞくそったれー！！」
「やっぱりそうか、こりゃあまいったなぁ」
土地勘のあるカカロットと不慣れなベジータ、二人して山に入り、あるものを探していますが一向に見つかりません。いつもなら必ず探し物が見つかるはずの道順をたどっても、それは見つかりません。カカロットが困ったように頭をかきました。
「これじゃあ今夜も食うもんが足りねえぞ」

…二人の避けられない問題、それは二人そろって大変な大喰らい、ということでした。もともとカカロットは五十人前の食事をペロリと平らげてしまうほどの大食いですが、実はベジータもカカロットに負けないほどの大食いでした。現金収入はほとんどゼロなので、エンゲル係数はさほど高くありませんが、代わりに山の獣たちが今や絶滅寸前です。


さらに、二人が夜の生活に没頭した際、感極まったベジータがたった一組しかない布団をビリビリに破いてしまったのも問題でした。

「あーっベジータ、おめえオラの布団破いただろ！！」
「キサマが激しくするからいかんのだくそったれ！！」

食糧を手に入れるため、それから二人の布団を買うため、二人はなんとかして現金収入を得る必要が出てきました。