Ex-diary サルの恩返し8

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [8] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/11

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。ベジたんの保護者・ナパさん登場編その2。



「お、おいベジータ、ありゃあ何だ?見たところ地球人らしいが、どうもお前の事を知ってるようだぜ……?」
人懐こい笑顔を浮かべながら近寄ってくる男を見て、ナッパが気味悪そうに聞いてきます。いつもなら近寄る者は誰であろうと一瞬にして消してしまうはずのナッパも、カカロットがあまりにもニコニコと無防備に近づいてくるので、調子を狂わされているようでした。
「あ…あいつは…」
『自分の夫だ』とは口が裂けても言いたくないベジータは顔を引きつらせながら、何とか上手い言い訳をしようと必死で頭をめぐらせました。
「…あいつは…」
迷っている間に、カカロットの姿はどんどんこちらに近付いてきます。ベジータの額を一筋汗が伝いました。
「あ…あいつは……俺が地球で確保した『捕虜』だ…」



咄嗟にベジータが口にした言い訳を聞いて、ナッパが驚いて目を見開きました。
「捕虜だぁ?おいおいベジータ、どうかしちまったのか?いつだって、見つけた敵は誰だろと殺しちますお前が、捕虜なんて平和的なマネ、するのかよ?」
「ま、まあな。地球で休暇を楽しむために、身の回りの世話をさせる奴隷が必要だったんでな。一匹活きの良さそうな地球人を捕まえたってわけだ」
腕を組み胸を反らし、できるだけ平静を装ったベジータの言葉に、ナッパは一応合点が行った様子でした。
「なるほど、捕虜か。――じゃあ、あいつの来てるあの服は―――」
「そうだ、地球人の囚人服だ」
枝にひっかけられた山吹色の道着と、近寄ってくるカカロットの衣装をを交互に見比べるナッパに、ベジータは内心嘘がうまく通じたようだとほっと胸をなでおろしました。
「なるほど、さすがベジータだ。だからあいつに肉体労働をやらせてるってわけだな?」
カカロットが背中に柴の山を背負っている様子を見て、ナッパはすっかり納得したようでした。自分の嘘がうまくいった事に安心して、ベジータが額の汗をこっそり拭います。しかし嘘とはいえ、カカロットは『夜の肉体労働』を毎晩ベジータに対して行っているので、まんざら嘘ばかりでは無いのかもしれません。


笑顔でのこのこやってきたカカロットは、とうとうベジータとナッパの元へとたどり着き、それから見慣れない光景を前に今度は不思議そうな顔をしました。
――なぜか素っ裸のベジータと、こちらをじろじろと見つめてくる大男が一人。彼は素直に思った疑問を口にしました。
「…なあベジータ、このおっちゃん誰だ?」
「こ、こいつは…その、だな…」
「なんだキサマ、『捕虜』の分際で随分ベジータに対してなれなれしいじゃねえか、ああ?」
ベジータは咄嗟に答えづらそうにどもり、ナッパはいかつい顔に歯をむき出しにして、カカロットにすごんで見せます。普通の神経の者であればそれだけで腰を抜かしてしまいそうな、それはそれは恐ろしい顔です。しかしカカロットは、まったく怯む事無くナッパの顔を見上げました。


「オラ、『孫悟空』ってんだ。おっちゃんは?」
「ふん、捕虜なんぞにエリート戦士であるこの俺様が名乗ってたまるか」
丸太のように逞しい腕を分厚い胸の前で組んで、ナッパがカカロットを睥睨します。ナッパが歯を剥くのみで答えようとしないので、カカロットは今度はベジータに聞き返しました。
「…なあベジータ、このハゲのおっちゃん誰だ?おめえの知り合いか?」
「き、キサマ!!捕虜の分際でベジータに向かってなんて口の利き方しやがる!!ベジータは本当ならお前のようなクズの異星人には目を向ける事だって許されねえサイヤ人のおうじ……」
「へ?おっちゃん何だって?」


今度こそ本気で唸り声を上げるナッパを、カカロットは再び見上げ、その聞き洩らした言葉を聞き返そうとしたとき、それまでもぐもぐと言い淀んでいたベジータが突然会話を遮るように大声を張り上げました。
「こっ、こっ、こいつは…『腿(もも)から生まれた腿(もも)太郎』だっ!!」
突然おかしな事を言い始めたベジータに、今にもカカロットに掴みかかろうとしていたナッパもさすがに面食らいます。
「おいおいベジータ、何を言ってやがるんだ?まさか俺の名前を忘れたわけじゃないだろ?お前一体何言って… 「そっか、よろしくな!『腿(もも)から生まれた腿(もも)太郎』!!」
「誰が『腿(もも)から生まれた腿(もも)太郎』だ、俺様の名前は『ナッパ』だ、良く覚えておけキサマ!!」


「名乗ってたまるか」と言っていたはずのナッパは、笑顔全開で呼びかけられたカカロットの言葉に、うっかり自分の名を名乗ってしまいました。







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