Ex-diary サルの恩返し7

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [7] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/08

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。ベジたんの保護者登場(゜Д゜;)ハアハア



大男は生き返ったように息をつき、顔からしたたる水滴を大きな手のひらで拭います。
「いやぁ、助かった。恩に着るぜアンタ…ん?」
顔を拭ったついでに、つるりと頭のてっぺんまで拭った後、大男はベジータの顔を改めて目にしました。その途端、大男の顔が喜びに輝きます。
「…ベジータ?!お前、ベジータじゃねぇか!!良かった、無事だったんだな!!」
大男は、ベジータを良く知っている様子でした。彼と会えた事にたいそう感激し、その丸太の様に太い腕で小柄な彼を絞め殺してしまいそうな力で抱きしめました。
「良かった、本当に良かった!!随分探したぜ!」
「……くっ苦しい!!ナッパ、このくそったれ、さっさと離しやがれっ!!」
「おおっとすまねえ。つい力が入りすぎちまった」
ようやく大男…ナッパの拘束から解放されて、ベジータはぜえぜえと息をつきました。


「おいナッパ、キサマがなぜこの星にいる?!」
「おいおい、ご挨拶だなベジータ。この俺が心配して探しに来てやったんだぜ?お前が『地球を攻略に行く』と言って出ていっちまったきり、ちっとも母星に戻って来ねえからさ。そうしたら着陸に失敗してアタックボールから放り出された揚句、運悪く頭から落ちた先が川だったからな、このザマだ」
そう言って毛の無い熊のような大男のナッパは、いかにも獰猛そうな顔で笑いながらまたつるりと自分の頭を大きな手のひらで撫でました。
「フン、キサマなんかに心配されるほどこの俺は落ちぶれてはおらん」
「その割にはお前、チンケな辺境惑星の攻略に随分時間がかかってるようじゃねえか。お前の戦闘力ならこんな星、ちょちょいのちょいで全滅できるはずだろ?」
「そっ、それは――!!」
ベジータは思い切り言い淀みます。――何と、ベジータの正体は『惑星ベジータの王子・ベジータ』だったのです。そしてナッパは、ベジータが幼い頃から側仕えをしてきたエリート戦士でした。そんなベジータがこの星へやってきたのは『地球を侵略する』という名目だったためで、まさか今自分が地球に住む男の『嫁』になっている、などとは誇り高い彼には口が裂けても言えません。


「――こっ、この星が思ったより環境の良い星だったんでな、さっさと攻略して他の星の奴らに売ってしまうのは簡単だが、折角だからぶっ潰す前にこの星で休暇を楽しんでいたところだ…そ、そうだ、ちょっとしたバカンスってやつだ」
内心冷や汗をかきながら、ベジータは咄嗟に言い訳をしました。
「ふぅん、この星がねえ?」
ベジータの言葉にナッパは怪訝そうな顔で周りの景色を見回します。確かにベジータの言う通り、辺りは山水の景色が優れて美しく人の心をひくものですが、それ以外は大して特徴が無く、取り立てて他の星より環境が良い、というほどではありません。
「まあ、悪い星ってわけじゃあなさそうだがな」


「ところでよう、ベジータ」
怪訝そうな顔のナッパは、今度はベジータを頭のてっぺんからつま先まで眺めました。
「…お前、一体なんで素っ裸なんだ?」
「ううっ?!そ、それは…っ!!」
今さらながらベジータは、自分が一糸まとわぬ裸である事を思い出しました。カカロットと違ってたった一組しか服を持っていなかったベジータは、その一組を汚されてしまったために裸で洗濯をしていたのです。ただ、それは不幸中の幸いとも言えました。うっかりカカロットの服を借りて、そのぶかぶかな山吹色の道着を身にまとっているところなどを見られたら、ますます言い訳が大変になるところでした。


「ちょ、ちょっと退屈してたんでな、川でひと泳ぎしていたところだ」
咄嗟の言い訳が通じるかどうかはわかりませんが、ベジータは精一杯胸を張って言いました。
「…ふぅん、ひと泳ぎ、ねえ…」
川で泳ぐにはやや肌寒い気候の中、ナッパはいぶかしげにその大きな顎を撫でます。それからちらりと川岸に目をやりました。その目線の先にあるものを見て、ベジータは今度こそ顔から血の気が引くのを感じました。
「―――!!」
ナッパの視線の先には、川べりに立つ木が一本。その枝に洗濯を終えた分の青いベジータの上着と、山吹色の道着が、仲良く並んで風にはためいていました。


「よぉベジータ、お前の戦闘服と一緒に並んでるあれは一体何だ?…どうも衣服のように見えるが…?」
「うううっ?!そ、そ、それは…っ!!」
咄嗟にベジータが、『あれは地球の標識だ』だの『旗印だ』だのと言い訳をしようとした矢先、さらに大問題は起こりました。



「おーい、ベジータぁ!」
――刈り終えた柴をどっさり背負って、ぴかぴかに輝く笑顔の男が遠くから手を振りながら歩いてきます。ベジータの服と仲良く並んで干された道着と同じものを身にまとって。
「なっ?!」
「うわああああっ来るなカカロットぉおおおおっ!!」
その光景を目にした途端、ナッパは硬直し、ベジータは絶叫していました。





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