Ex-diary サルの恩返し16

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [16] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/12/07

元ネタの原型留めない、すっかり単なるカカベジ夫妻の話に。夫+嫁+舅、それぞれの夜。





「……おい、こりゃなんだ」
ナッパは、床に敷かれたものを怪訝そうに眺めながら、ベジータに尋ねました。
「そうかキサマは地球に来たばかりだから知らんだろうな」
ベジータが小柄な体を鷹揚に反らしながら、そして相変わらず地球人の捕虜の隣に座ったまま、答えます。
「それは『布団』というものだ」
「『ふとん』?何なんだこりゃ」
「地球人のやつらはそいつの上に体を横たえて寝るんだ」
「へえーっ、こいつの上にねえ…」
ベジータの説明に興味深そうな顔をしながら、ナッパは質素な木綿の敷布に綿の詰められた布団を眺めました。
「こいつには体力回復効果なんかあるのか?」
「残念だったな。地球は下等な星だ、そんなご大層なものは無い」
「ちっ、なんだ本当にこの上で寝るだけなのか。飯といい住居といい、とことんしけた星だぜ、まったくよぉ。なあベジータ、お前なんだってこんなしけた星でダラダラしてんだ?さっさとぶっつぶして、もっと快適な星に行った方がいいんじゃねえか?」
ナッパの言葉に、ベジータは眉間にしわを寄せて不機嫌そうに唸ります。
「くだらんおしゃべりはよせ。キサマが休むと言ったんだ、つべこべ言わずにさっさと寝たらどうだ」


それは、ナッパにとってはとても意外な言葉でした。
「ええっ?!ベジータ、お前が先じゃねえのか?!」
「何だ、不満なのか?」
相変わらず不機嫌そうにジロリとナッパを睨むベジータの表情に首をすくめながら、
「い、いやそう言う訳じゃねえけどよ……俺はてっきり……」
ナッパは驚きました。ベジータの性格は良く分かっていましたから、彼は当然のように自分が先に休んで、ナッパには寝ずの番を言いつけてくるものだとばかり思っていたからです。
「本当に、俺が先に休んでいいのか?」
「くだらんおしゃべりは止せと言っただろう。いいからさっさと寝ろ」
「お、おう、分かったぜ」
一層深くなるベジータの眉間の皺をみて、これ以上彼の言葉に逆らわない方が良いとナッパは判断しました。
「それじゃ、お言葉に甘えて先に休ませてもらうとするか。……ところでよう、ベジータ……」
ナッパは眠る前にもう一つだけ残っていた疑問を口にしました。
「この『布団』ってやつは何で破れてやがるんだ?」
「地球人はそうやって破ってから寝るものなんだ!!くだらねえおしゃべりは止めろと言っただろうか!!いいからさっさと寝やがれクソヤロウが!!!」
今度こそ本当に怒り出したベジータの剣幕に、ナッパはひぃっと首をすくめて、すぐさま『布団』の上に身を横たえました。人並み外れた大男のナッパに地球人サイズの『布団』はとても小さく、手足がすっかりはみ出してしまいましたが、もはやナッパにはそれを口にする勇気はありませんでした。
「……ちっ!まったく、手間をかけさせやがって!」
掛け物を鼻の上まで掛けたナッパのスキンヘッドを見ながら、ベジータが吐き捨てるように呟きます。そして今度はカカロットの顔をちらりと盗み見ました。
「ん?なんだ?」
彼と目が合うと、今度はベジータは先ほどの剣幕とは打って変わって、顔を赤らめ恥ずかしげに俯いてしまいます。なぜ布団が破れていたのか、それはベジータ自身が破ったからに他ならないのですが、それをナッパに伝えるわけにはいかなかったのでした。
ベジータの奴は、ああ言ったがしかし本当に眠るわけにはいかねえよな……。ベジータに仕える者としてナッパはそう考え、しばらく布団をかぶったまま眠らずにいようと努力したのですが、今日は様々な事が起こってとても疲れていたせいでしょう。いつの間にかすっかり眠りこんでしまいました。


「…っ…あ……ん……ぁ……」
夜中過ぎ。ナッパは何かを聞きつけて再び目を覚ましました。わずかな休息で瞬時に眠りから覚める事のできるサイヤ人の彼ですが、その時は疲れのため短い間に思いがけず深く眠りこんでいたようです。寝起きでぼやけた頭で、ここがどこで、なぜここにいるのか、何が原因で目を覚ましたのか咄嗟に彼は分かりませんでした。
「…………?」
身を起こさないまま掛け布団の下で顔をしかめていると、何やら人の声のようなものが聞こえてきます。それはどうやら、ベジータの声のようですが、ナッパが聞きなれたものに比べて随分声色が違うような気がしました。


「……ん……ふぁ……あ……カカ…ぁ……っ!!」




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