Ex-diary サルの恩返し12

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [12] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/18

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。…なのだが、今やすっかり元ネタの原型とどめず。



『…おめえ、一体なんで素っ裸なんだ?』
先ほどナッパに聞かれた事と、そっくり同じ事をカカロットが聞いてきます。その背後では川面に差しのべられた枝に、山吹色と青色の洗濯物が風に煽られてへんぽんと翻っています。ベジータの額に青筋が一本走りました。
「キサマ、一体誰のせいでこうなったと思ってやが……!!」
しかし、ベジータがその言葉を最後まで言い終わる事はありませんでした。
「…ったく、しょうがねえなあ、おめえそんな格好してたら風邪ひいちまうぞ」
カカロットがやれやれといった風に、肌脱ぎになって自分のシャツをべジータの頭からすぽっと被せてやりました。
「…………!」
口を開きかけていたベジータは、今度は驚きに目を見開きます。カカロットがベジータに着せた服は、体のサイズの違いからベジータにとってはぶかぶかでした。体はシャツの中で泳いでしまい、袖も裾も長すぎます。しかしその長さが、しばらく裸のままでいたために冷え切った体にはちょうど良い温かさを生みました。何よりも、シャツには先ほどまでの持ち主だったカカロットの体温が残っています。冷えた体にその温もりはとても心地よく感じられ、ベジータは顔を赤らめて黙るしかありませんでした。
「どうだベジータ、寒くなくなったか?」
「…………」
カカロットに笑顔でそう聞かれてベジータは黙ったまま、こくんと一つ頷きました。
「そっか、良かったな」
「………フン」
いつもの明るい笑顔でそう言われて、ベジータは頬を赤らめたままプイとそっぽを向きました。


ここまでは良くあるごく普通の夫婦の会話です。普通ならばその光景の微笑ましさに、思わず見る者も笑顔になるところです。しかしこの男同士のやり取りを間近で目にしたナッパは違いました。紺色でぶかぶかのカカロットのシャツを被せられたベジータを見て、怒りにその大きな拳をワナワナと震わせました。
「キッキサマ!!!何て事しやがる!!!」
「へ?何だ」
何かまずいことでもしたのかとカカロットが目を瞬きます。
「ゆるさんぞキサマ…!!!よりによってベジータに囚人服を着せるとは!!!」
「黙れナッパ!!!」
ベジータがしまったと言うような顔をしながらナッパを制しましたが間に合いませんでした。カカロットはナッパの言葉の意味が分からず、不思議そうな顔で尋ねてきます。
「……ベジータ、『囚人服』…って一体なんの話だ?」
「気にするなキサマには関係ねえ!!」
「けどあいつ、なんか怒ってるみてえだぞ?オラ何かまずいことしたか?」
「気にすると言ってるだろうが!!」
「それにベジータ、おめえ結局何で裸だったんだ?おめえもせっかちだよな、まだ夜じゃねえぞ」
「いらん事を言うなくそったれ!!!」
「だいたいキサマが俺様の服を汚しやがるからだな…!!」
「へ?オラがおめえの服を汚したって?」
「きっ、キサマが昨日の夜、俺にあんな事しやがるからだな…!!」
「昨日の夜?……ああそうか、確かに汚れてたけど、おめえの服汚したのはほとんどおめえのだろ?オラのはみんなおめえの腹ん中…」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええええっ!!!!」


カカロットの言葉に、ナッパも再び反応し始めます。
「おいベジータ、捕虜の奴が何かしでかしたのか?!何で『夜』が関係あるんだ!?」
「気にするなキサマには関係ねえ!!」
空気の読めない男と、小うるさい大男に挟まれて、ベジータはまたしても近隣の山を吹き飛ばしたくなる衝動を歯ぎしりしながらこらえるのでした。


さて、その日の夜―――。





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