Ex-diary サルの恩返し11

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [11] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/15

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。実は意外と働く夫。



自分の捕虜(≒ 夫)に手を出させるものか。
ベジータは、じろりとナッパの顔を一瞥した後、腰に手を当てて捕虜…カカロットの顔を見上げました。
「カカロット、キサマ食糧は手に入れて来たんだろうな」
「ああ、ばっちりだ」
そう言ってカカロットは(すっかり元の凡庸な男にもどっていました)、得意げに本日の収穫を見せました。背中に背負った山のような柴の他に、肩にはきれいに束ねられた大根が10本ほど担がれています。りっぱに太ったそれは、まだ良い匂いのする黒土が付いた、畑から掘り返されたばかりのものです。
「里で作りすぎちまったから持ってけってさ」


彼は基本はニート体質で現金収入を得るような職に就いてはいませんが、その代わり長くパオズ山に一人っきりで暮らしていたので、生活に必要な身の回りのことは何でも自分でこなす事ができました。そのため彼が里で手伝いをすると非常に皆から喜ばれました。
彼が(手刀で)薪割りをすれば、どんな大木もたちまち見事に長さを揃えた使いやすい薪の山に早変わりします。彼が(素手で)土地を耕せば、どんな小石だらけの荒れ放題の場所でも見事なうねを盛り上げた、作物が根を張りやすい立派な畑に変わります。足場を組まねばできないような高い屋根の葺きかえも(空を飛んで)軽々とこなし、恐ろしい毒バチを(気弾で焼き払って)退治する事さえまったく恐れる事がありません。一たび彼が里へ下りれば、里人が総出で何日もかかってこなす仕事が瞬きするほどの間にきれいに片付いてしまうのです。里人はそのたびに喜んで、彼に心づくしのお礼を持たせてくれるのでした。



「他にもなんか色んなもんもらったぞ」
良く見れば背中に積まれた柴の下には米や漬物がきちんと包まれており、腰に下げたびくには、獲れたばかりの川魚が何匹も入っていました。大食いの二人にとって満足のいく量とは言えませんが、それでもこれだけあればいつもより随分豪華な夕食にありつけそうです。
「早えとこ、飯の支度しねえとな。オラ腹減っちまった」
ベジータも手伝ってくれよな。明るい声で言われると、カカロットの顔をじっと見上げていたベジータは素直にこくん、と頷きました。


しかし驚いたのはナッパです。一旦は自分の主君であるベジータに命じられて引き下がった彼ですが、まさかその主君に捕虜が食事の支度を手伝わせるとは言語道断です。
「きっキサマ、俺が黙ってると思っていい気になりやがって、メシの支度だと?!ベジータもベジータだ、どうかしてるぜ!!!なんで捕虜の言う事なんて聞きやがるんだ?!」
ナッパが再びカカロットに掴みかかろうとするのを、制したのはやはりベジータでした。カカロットの顔を見上げていた時とは明らかに異なる目つきで、じろっりとナッパを睨みつけます。
「この俺がかまわんと言っているんだ、キサマごときが口出しするな」
「け、けどようベジータ、どうせ奴隷代わりに使うならこんな生意気な奴なんかじゃなくてもっとマシな……!!!」
「ナッパ!!!!!俺の言うことが聞けんのかーー!!!」
再び威厳のある態度でベジータがナッパを制します。そして、腕を組んでナッパに命令をするベジータは、やっぱり真っ裸(マッパ)なのでした。



「……ところでよう、ベジータ」
ナッパとベジータのやり取りを端でのんびりと眺めていたカカロットが口を開きます。怪訝そうな顔のカカロットは、今度はベジータを頭のてっぺんからつま先まで眺めました。
「…おめえ、一体なんで素っ裸なんだ?」
意外に仕事の早いカカロットですが、事のツッコミはとても遅いのでした。




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