Ex-diary サルの恩返し3

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [3] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/10/29

単にタイトルのダジャレを言いたかっただけにしか思えない昔話パロ・カカベジ。時代考証とかムチャクチャです(゜Д゜;)ハアハア



「本当だって、ほら」
カカロットがそう言って開いて見せた押し込みの引き戸の奥には、本当にせんべい布団が一組きり、たたみもしないで放り込まれていました。大の男二人に対して布団が一組。しかし外は凍えるような寒さの中、たとえ家の中でも布団なしではとても眠れそうにはありません。カカロットが片手で布団を掴み、雑な手つきで床に広げるのを見ながらベジータは大いに焦りました。
「おいカカロット、俺にその布団をよこせ!キサマは床で寝ろ!!」
「おめえ、ホント図々しいやつだなぁ。ここはオラんちだぞ。この布団もオラのだし」
「このクソ寒いのに布団も無しで眠れるか!!」
ベジータが怒鳴ると、カカロットは事も無げに言いました。
「じゃあいっしょに寝ればいいじゃねえか」
「!!冗談じゃねえ、キサマと一緒に寝るくらいなら、俺は床で寝る!!」
「この寒いのにんな事したら風邪ひいちまうぞ。おめえは小せえから二人でもくっついて寝れば何とかなるだろ」


いいからいいからと、小柄なベジータはまるで猫の子でも掴むようにカカロットに布団の上へ頬り投げられてしまいました。
「何しやがるキサマ!!」
「いいからいいから」「いいからじゃねえ!!」
ベジータがぎゃあぎゃあと喚くのも気にせず、カカロットはさっさと布団をかぶってしまいました。
「んじゃ、おやすみぃ」「~~~~っ!!!」
今夜は冷え込みが厳しく、確かに布団無しで眠れば風邪をひいてしまいそうです。こうなったからには仕方ないと、ベジータは覚悟を決めました。
「おいカカロット、キサマ俺にも掛け布団を寄こせ!ついでにキサマはもっと向こうへ行け!」
「小せえ布団だからしょうがねえだろ}
布団をぐいぐいと引っ張られて迷惑そうな顔をしたカカロットは、大人しくさせるつもりでベジータの小柄な体を引きよせ、自分の腕の中にすっぽりと納めてしまいました。
「!!!ぎゃああああああっ!!!おいキサマ何しやがる離せえええっ!!」
「くっついてた方があったけえだろ?」
当然の事ながらベジータは大人しくなるどころが一層大声で喚きだしましたが、カカロットは気にもせず寝てしまい、たちまち鼻が壊れたかのような鼾をかき始めたのでした。


「く、くそったれ…!!何だって俺はこんな奴に……!!」
ベジータはそれからしばらくの間、悪態をつき続けたのですが、いくら騒いでも反応の無い相手に、喚き散らしているのがそのうちバカバカしくなってきました。
「――ちぃっ!!くそったれめ!!」
最後にもう一度舌打ちをして、ベジータはカカロットの腕の中に収まったまま、諦めて目を閉じたのでした。目を閉じればその腕の中は、意外に暖かく心地よく、いつの間にかベジータはうとうとと眠りに落ちてしまいました。







次の日の朝方。
「――は、はっくしょぃ!!」







ベジータは、盛大なくしゃみと共に目が覚めました。
「…ううっ、くそっ!!随分と冷え込みやがる…」
あまりの寒さに唸るような声を上げながらベジータが目を覚ますと、たちまち妙な違和感に気が付きました。確かに昨夜はカカロットの腕に拘束されながら、一枚しかない布団をかぶって眠ったはずです。それが今はどうでしょう、体がすうすうと肌寒く、まるで何も身に纏っていないかのような頼りなさです。
「………?!」
違和感の正体を確かめようと、ベジータは掛け布団を跳ね除けました。
「!!!ぎ、ぎゃああああああっ!!!」
――昨夜に続いて今朝もベジータは悲鳴を上げる事になりました。それもそのはず、布団を跳ね除けて目にした自分の体は、一糸纏わぬ全裸、生まれたままの姿だったのです。


「あ、目ぇ覚めたか?」
ベジータの隣では、いつの間に目が覚めたのか、カカロットが自分の肘を枕にしてベジータの顔を笑顔で覗き込んでいました。
「随分良く眠ってたよなぁ、おめえよっぽど疲れてたんだな」
「そんな事はどうでもいい!!おいカカロット、キサマ俺に何をしやがった?!何で俺は服を着ていないんだ?!説明しろ、今すぐに!!」
まるで何事も無かったかのように爽やかに目覚めの挨拶を口にするカカロットに、ベジータが詰め寄ると、彼はあくまで冷静にこう答えました。
「何でって……うーん、オラ、じっちゃんが死んでから誰かと一緒に寝るの久々だったんだよな」
「それがどうした!」
「久々にじっちゃんの『きんたまくら』、試してみたくなったんだよな」
「…ま…まさかキサマ……俺様の股を『まくら』にしようとしたって事か……?」
「うーん、まあ、そう言う事になるかなー」
「じゃあどうして俺は服を着ていないんだ!!!!」
「えーとそれは…」




『おめえが可愛かったから』
カカロットの返事を聞いて、とうとうベジータはキレてしまいました。
「きっキサマと言う奴は!!もう我慢ならねえ、ぶっ殺してやる、今すぐ表へ出やがれぇ!!」
逆上するベジータを前に、しかしカカロットはあくまでも冷静です。
「『表へ出ろ』っておめえ、裸じゃねぇか。この寒いのに裸で外へ出たら風邪ひいちまうぞ?」
――なぜベジータが裸だったのか。それは、カカロットが目を覚ました時に、隣ですやすやと眠るベジータの寝顔があまりにも可愛かったのでつい悪戯心を起こし、ついでに本当にいたずらしようとしていた矢先だったからなのでいた。因みに服を脱がせたら、彼が寒さのあまり目を覚ましてしまったため、まだ「未遂」です念のため。




「~~~~っ!!!」
何を喚いてものらりくらりと返すこの男を相手に、怒鳴り散らす事のバカバカしさが次第にベジータにも分かってきました。そして遂に覚悟を決めました。
「―――くそっ!!!こんな恥ずかしい目にあわされたからには仕方ない!!!」
「何だ、どうするんだ?」
「キサマと『夫婦』になってやる!!!」
「……ふうふ?夫婦って何だ?」
「これからずっと一緒に暮らすという事だ。気に入らんがな!!」
「オラとおめえが一緒に暮らすんか?ふーん、まあいいけど別に。おめえ、カワイイし」
「勘違いするなよカカロット、俺は別にキサマの『嫁』になんかなりたくてなるんじゃないぞ!!ただこのまま落とし前をつけんとだな…」
「よめ?嫁って何だ?」
イマイチ会話はかみ合いませんが、それから二人はとても仲の良い夫婦になりました。

















「あ゛~~~~~~っ!!!キサマ、俺の肉をまたとりやがったな?!」
「おめえが先に取ったんじゃねーか!!おめえが言ったんだろ、『食い物のうらみは恐ろしんだ』って!!」
「上等だ表へ出ろカカロットっ!!今日こそキサマと決着をつけてやる!!」



………たまに喧嘩をして、巻き添えに山が一つ二つ消滅したりもしましたが、基本的にはとても仲の良い夫婦になりました。





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