Ex-diary サルの恩返し13

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [13] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/11/20

今やすっかり元ネタの原型とどめず、単なるカカベジ夫妻の話と化しております。夫vs舅・ナパさん。



囲炉裏の火が赤くぱちぱちと音を立ててはぜ、曲った梁やすすけた柱を温かく照らします。狭いながらも楽しい我が家は、いつも特別な匂いがしました。しかし今夜はなぜか、本当に特別な匂いがします。いつもならカカロットとベジータ、二人きりでいるはずの家に、今夜は予期せぬお客が泊まっていました。


「おいおい、冗談じゃねえぞ?!飯はたったこれだけか?!」
囲炉裏端にどっかりと胡坐をかいた大男・ナッパは、出された夕餉の少なさに憤った声を上げます。
「しょーがねえだろ、そんだけしかねえんだからさ。文句言うとオラがおめえの分まで喰っちまうぞ」
囲炉裏を挟んだ反対側には、カカロットがやはり胡坐をかいて座っています。彼とナッパの前に置かれた夕餉は、焼き魚が一匹と漬物が一皿、そして茶碗に一杯のご飯と味噌汁です。それは平均的な地球人にしてみれば質素ながらもそれなりの夕食ですが、大食いの彼ら…やはりナッパも大食いでした…には、到底満足のいく量ではありませんでした。
「だいたい何だ、この星の喰いもんはこんな粗末なものしかないのか?!」
「このホシだかあのハシだか分かんねーけどよ、食いもん粗末にしたらバチが当たるぞ。だいたい、おめえが来たから余計食べるもんが減っちまったんだからさ」
「何だと?!」
カカロットの言葉に、ナッパが目を剥いて怒りの表情を見せますが、事実カカロットの言う通りでした。せっかくカカロットが里の手伝いをして分けてもらった食糧ですが、二人で食べるところを三人で分けたので、ささやかな夕食は余計わびしいものになってしまったのでした。
「きっキサマ捕虜の分際でどこまで生意気なんだ…!!!おいベジータ、やっぱり俺にこいつをぶちのめさせろ!!!」
「…うるさいぞ、ナッパ」
唾を飛ばしてまくしたてるナッパをベジータは落ち着いた様子で制します。そんなベジータは、きちんと正座をしながら、ぺたぺたとお櫃のご飯を茶碗によそっていました。


「さっさと食え、カカロット。食わんと片付けられん」
「おう、いたたきまーす!!」
ベジータの言葉を聞くより早く、カカロットが茶碗のご飯をかきこみます。幸いな事に米だけは沢山の備蓄がありましたので、塩気のあるおかずをチビチビつまんで長持ちさせながら、出来るだけご飯を多くかきこみました。
「おい待てキサマ!!!捕虜がベジータよりも先に飯を食いやがったな?!」
「へ?『捕虜』が何でベジータより先に飯食っちゃいけねえんだ??」
『捕虜』とは『夫』の事だと思いこんでいるカカロットは、口の中の物を飲み込みながら思議そうな顔をします。その横では、カカロットに持たれるような近さで寄り添いながら、てんこ盛りにしたご飯をベジータがかきこんでいます。
「ベジータ!!!お前なんで捕虜の隣なんかに座ってんだ?!」
「………!!!おっ、俺は別にカカロットの隣りなんかに座りたくて座ってるわけじゃ……!!!」
ナッパの鋭い指摘にベジータは顔を赤らめ、カカロットからぷいと顔を背けますが、その足はしっかりとカカロットのそれに触れ合せたままでした。
「だから何で『捕虜』だと隣に座っちゃいけねえんだ?おかしな事言う奴だなあ」
実はナッパよりもよほどおかしな事を口にしているカカロットですが、それとは気付かず再び不思議そうに首をかしげます。そこでふと、ベジータの横顔が目に入りました。
「あ、ベジータ」「…なんだ」
カカロットに呼びかけられて、ベジータが目線だけをちらりと動かすと、すかさずカカロットの手がその顔に伸びてきます。
「ベジータおめえ、ご飯粒ついてるぞ」
カカロットはベジータの頬についたご飯粒を摘まみ取り、それをパクリと自分の口に入れました。
「………………!!!!!」
「………………………………!!!!!」
いかにも愛情にあふれたその行動に、ベジータは顔をさらに真っ赤にし、ナッパは目と口をあんぐり開けて硬直してしまいました。ちなみにカカロットに他意は無く、本当にご飯粒がもったいなくて口に入れただけです念のため。







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