Ex-diary サルの恩返し18

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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サルの恩返し [18] (元ネタ ツルの恩返し)

2009/12/15

元ネタの原型留めない、すっかり単なるカカベジ夫妻の話に。しかしちょっとだけ元ネタのセリフも出してみる。





眠る前に焚かれていた火の気が消え、部屋の中はすっかり冷え切っています。
「おいベジータ、何かあったのか、大丈夫か?!」
ナッパが声を掛けると、
『おーい、おっちゃん、何か用か?』
『おいカカロット、キサマその恰好で出るんじゃねえええっ!!!』
扉の向こうで、カカロットの声が聞こえ、続いてベジータらしき声が聞こえます。なぜかその声は妙に切羽詰まり、それでいてなぜか……曰く言い難い艶のようなものをはらんでいるようにも聞こえました。


『へ、なんでダメなんだ?』
『バカめ、そんな事も説明せんとわからんのか!俺が出るからキサマは引っ込んでやがれ!!』
『けどおめえ、フラフラじゃねえか。大丈夫なんか?』
『うるせえ!誰のせいでこうなったと思ってやがる!!』
一頻り言い争うような声の後、扉の向こうで誰かの足音がこちらに近づいてくるのが聞こえました。それは音の大きさから、あまり体重の重くないベジータのものであると想像されましたが、なぜかその音はひどく不規則で、まるでよろめいているかのようです。続いて、扉の向こうのごく近い位置から何かごそごそと衣擦れのような音が聞こえました。
「おいベジータ、いるんだろそこに?」
『……………………』
確かに扉の向こうで人の気配はするのに、呼びかけても何の返事もありません。
「なんで返事をしねえんだ?」
『……………………』
再び呼びかけますが、やはり気配は押し黙ったままです。
「おい、ベジ……」
遂に我慢できなくなったナッパが引き戸に手をかけようとする前に、扉は独りでに開きました。細く開いた戸の隙間から、ちらりと目だけが覗いて見えました。
「……………………」
それはやはり予想通り、ベジータです。じろりとこちらを睨んでくる目は間違いなく彼のものですが、しかし妙な違和感も感じます。なぜかその目は赤く潤んでいて、まるで熱でもあるかのように見えます。
「…………ナッパか…」
しばらく押し黙っていた後、扉の隙間から目だけ覗かせたベジータがひどく不機嫌そうな、かすれた声でようやく返事をしました。
「何だベジータ、ちゃんといるんじゃねえか。一体どうしちまったんだ?」
「……………………」
再び彼が押し黙り、返事の代わりにハア、と熱っぽい息を吐きます。体調でも悪いのでしょうか、そういえば息遣いも常に比べて苦しげです。
「なんだ、お前ともあろう者が具合でも悪いのか?」
ナッパは再び扉に手をかけて開けようとすると、
「…………開けるんじゃねえ…」
再びベジータの不機嫌そうな声が聞こえます。
「なんだベジータ、なんで開けちゃいけねえんだ?」
「…………いいから開けるんじゃねえ…」
再び答えたベジータが身じろいだ隙に、彼の首から下がちらりと戸の隙間から見えました。
「いいかナッパ、良く聞きやがれ。キサマ、俺が良いというまで、絶っっっっ対に扉を開けるなよ?開けやがったらぶっ殺してやるからな…………」
―――低くかすれた声でそう告げたベジータは、なぜか地球人の捕虜が身にまとっていたはずの、山吹色の道着を身につけていました。
「わかったかナッパ、分かったらさっさと寝やがれ。これは俺の命令だ……」


「寝ろっつってもよ、おいベジータ!そもそもお前なんで地球人の囚人服なんか着て―――」
釈然としないナッパが疑問を口にし終わる前に、再び扉はぴしゃりと閉じてしまいました。





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