塞王の楯(全二巻)


書 名:塞王の楯(全二巻)
著者名 :今村 翔吾
出版社名:PHP文芸文庫
登場人物:飛田匡介、国友彦九郎
立花宗茂、京極高次
update by 2025/04/06
石積みの穴太衆を物語の主人公に据え、さらに直木賞を受賞したと耳にしたとき、大きな期待を込めて読ませてもらった作品。
戦国時代といえば、土の香り漂う「山城」が主であり、土塁や堀切といった装備をまとった城を思い描く。
それでも一部の地域では石垣を駆使し、最強の防備を目指して築城された考えられる城跡が各地に点在している。
想像するに、こうした石積みが今日まで崩れずに残っているのは、おそらく穴太衆の様な職人たちが積み上げたものだろう。
本書に登場してく穴太衆。それは近江を根城とする石積み集団。
何かの書物で織田信長の安土城を築城するする際、穴太衆がその石垣を任されたといった記載があった記憶があるが、勘違いだろうか。
その石積みの技術は相当高く評価され、それこそ城攻めにあっても崩れない石垣として評価されていたのだろう。
その一方で、それに対抗する武器も登場するのが世の常であろう。
本書にも穴太衆の好敵手として、鉄砲職人の国友衆が登場されている。
守る石垣に対して、攻める鉄砲という構図が出来上がり、互いに切磋琢磨して技術を向上させていくのは今にも通じることだ。
まさに「盾」と「矛」の関係。
この2つが相対した時、最強の石垣をまとった城は、最強の武器に仕上がった鉄砲の勝者はいづれか。
未曾有の籠城戦が今回の見せ場となる。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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