歴史小説

最近読んだ作品

書  名:真田の具足師
著者名 :武川 佑
出版社名:PHP研究所
登場人物:岩井与左衛門

update by 2024/02/24


「真田」というブランドに目が行き、手に取ったのが始まりであり、内容については読むまで気にも留めなかった。

表紙に描かれた六文銭の幟がまた魅力的に感じ入り、本能的に惹かれたのは間違いない。

さて本書ではあるが、戦場を駆け巡る武将の荒々しさでも、権謀術策を駆使して群雄割拠を狡猾に振る舞っているのでもない。

具足というちがった視点から描いた、珍しい小説だと思われる。
もちろん具足に疎い人であっても理解することができるよう、桶川胴の構造を巻頭で図説しているが、本書を読んでみる限りでは、もっと多くの情報を読者にほしいと思ってしまった。
これを機にちょっとしらべて見ようかと重い腰を上げる様に促されているのかもしれないですが。

肝心の物語についてですが、徳川家の間諜として、真田家が装備している具足の秘密を探るべく、潜入捜査をすることになった主人公。

なかなかうまくことが運ばないのは世の常である。

それでも物語の特性上、淡々と進行していく展開はゲームに例えるならば「太閤立志伝」を彷彿とさせる雰囲気がある。
なおここで言っている「太閤立志伝」とはかつて、光栄と名乗っていたゲーム会社が製作していたゲームのことと、あえて注釈させてもらいます。

ちょっと辛口になってしまって申し訳ないが、真田ブランドに惹かれ大きな期待を持って読み始めたのだが、最終頁に行くころには「そうなるよね・・・」で終わっていた。

具足師としてか、その具足の秘密を暴く目的なのか、はたまた真田の強さを新しい視点で描いているのか。

具足の謎もそうだが、真田家の秘密にも迫っていたり、なかなか突っ込んでいる話ではあるが、なにか物足りなさを感じてしまうのは、なぜだろうか。



★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
Amazon で購入: 真田の具足師