ひろぞう戦国物語

戦国時代について好き勝手に語っているサイトです。


■歴史小説■ 〜や行〜


柳生石舟斎
著者名山岡荘八
出版社講談社
主な人物柳生宗厳(石舟斎)、上泉伊勢守、柳生宗矩
ひとこと 歴史小説としては定番中の一冊。だれもが一度は書店で目にしたことがあると思われる山岡荘八歴史文庫の一冊。今回、改めて読んだのが柳生石舟斎である。柳生といえば剣豪というイメージがあり、徳川の隠密として活躍したと時代小説やテレビなどでお馴染みだが、その多くは柳生宗矩のことである。石舟斎とは宗矩の父である宗厳のことだ。この宗厳が主人公であるはずが、前半はその師匠とでもいうべき上泉伊勢守の話が続くが、それは序章とでもいうもの。読み終えたとき、本当の主人公が誰であったのか、そんなことは関係なく愉しめる小説であるからだ。読みやすさには共感がもて、歴史小説や時代小説になじみの薄い人にでも、本好きであれば推薦したい。
お薦め度★★★
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山霧(全二巻)
著者名永井路子
出版社角川文庫
主な人物毛利元就、おかた
ひとこと 安芸の毛利元就とおかたの夫婦が主人公になっている物語です。平成九(1997)年の大河ドラマ「毛利元就」の原作ともなりました。安芸の小領主であった元就とその妻であるおかた。その夫婦の会話を中心として、山陰の尼子氏、そして大内氏との大国に挟まれた毛利氏が危機を乗り越えて行く過程を描いてます。他の戦国時代を背景とした物語とは違う様に思える作品です。
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山内一豊
著者名正延哲士
出版社PHP文庫
主な人物山内一豊,千代
ひとこと PHP文庫定番一代記。今回は読んだのは,2005年NHK大河ドラマの主人公をつとめる山内一豊の物語。羽柴秀吉に仕えた時代から,関ヶ原の合戦を経て,土佐一国を頂戴するまでのサクセスストーリー。もちろん間にはおなじみのエピソードも加わっております。タンタンと進む話には,歴史モノを読み慣れていない人でも大丈夫だと思われます。ただ戦国時代を象徴する合戦の描写は,あっさりした感じがいたしました。
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闇の松明
著者名高橋直樹
出版社文春文庫
主な人物本田家吉,内藤元盛,栗山備後,村田出羽,大目玉食右衛門
ひとこと 四つの話がおさめられた短編集。すべてに共通しているのは,すべて西日本側を舞台に描かれていることである。「尼子秘話」では本田家吉が語りべとなり,尼子氏の没落に至までの尼後家内が綴られている。「悲刀」では関ヶ原で正面から戦うことを避けながら,領土を窃取された毛利氏の話。忠臣内藤元盛が名を変え,毛利輝元にわずかな望みをかけられ,大阪城に籠もり最期の戦に望む。「闇に走る」では本能寺の変に起き,闇での出来事を黒田官兵衛の家臣2人が成し遂げてる物語。そして最期の「闇の松明」では名も無い足軽4人が,伏見城が西軍に包囲されるや落城のどさくさに紛れ,生き延びようとする姿が描かれている。どれもこれも,ひと味違った歴史小説となっており,長編に疲れた人にはとくにおすすめです。
お薦め度★★★★
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槍弾正の逆襲
著者名中村彰彦
出版社角川文庫
主な人物保科正俊
ひとこと 表題の「槍弾正の逆襲」をはじめとして、全部で5編が収められている短編集です。「槍弾正の逆襲」は、武田家に仕えていて保科正俊の晩年を描いた作品です。高遠城の留守を守っている正俊の所へ、信濃深志小笠原・越後春日山上杉連合が押し寄せてくる。兵数においては劣っていたが、奇策を用いてこれに当たる姿を描いています。他に宇喜多直家の命により、三村家親の命を狙う遠藤兄弟を語る「袖の種火」、小早川秀秋の裏切りに非を唱えた武将の話である「松野主馬は動かず」、本多正純の失脚を描いた「加納殿の復讐」、鏡山事件の「醜女の仇討」が含まれています。
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幽斎玄旨
著者名佐藤雅美
出版社文藝春秋
主な人物細川藤孝、細川忠興
ひとこと 足利義輝、足利義昭、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康と主君を変えながら、戦国の世を生き抜いた細川藤孝の半生をつづった物語です。はじめの主君であった足利一三代将軍であった義輝が、三好三人衆等に討たれる所から話は始まっていきます。幕臣でった藤孝等が、前将軍の弟であった義昭を担ぎ出し、将軍に据えるまでの苦労。そしてその後の対立から自然と織田信長に与してき、さらに厚遇を得ていった。戦国乱世でありながら武将としての器だけでなく、風流人としての藤孝の生き様を読んでみてください。
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夢のまた夢(全四巻)
著者名津本 陽
出版社文藝春秋
主な人物豊臣秀吉
ひとこと 天正一〇(1582)年の本能寺の変後から、秀吉の臨終まで間の戦国時代を、彼の視点で語った小説です。「下天は夢か」の続編にあたり、また「乾坤の夢」に続きます。本能寺の変の後に起きた織田信長の後継者争いから始まり、天下統一の総仕上げとなった小田原討伐、奥州平定。さらに朝鮮出兵と事細かに当時の様々な資料の元に語られています。また豊臣政権内部での対立や、秀吉の以外な一面を読むことが出来ます
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義弘敗走−慶長風雲録−
著者名宮城賢秀
出版社光文社
主な人物仁木慎太郎,島津義弘,徳川家康,猿斎
ひとこと 忍者小説なのか,それとも題目の通り関ヶ原の合戦を島津義弘と徳川家康で描いているのか,読みながら掴めなかった1冊である。まだ若すぎるからか,自分の感性に合致しなかったのが残念だ。物語は関ヶ原の合戦で徳川家康の勝利を描き,その裏である闇の世界では忍びの者が暗躍している模様が描かれている。島津義弘がもうちょっと前面に押し出てくる話かと思えば,それは肩すかしを食らってしまった。さらにこれは全五回に分かれた長編物になるとあとがきに書かれている。それが完成した時にもう一度読み直した時,また違った印象が得られるだろうか。
お薦め度
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夜の戦士(全二巻)
著者名池波正太郎
出版社角川文庫
主な人物丸子笹之助、孫辺衛、武田信玄
ひとこと 武田信玄暗殺という命を受け、武田家に仕官した甲賀忍者の丸子笹之助。しかし女が原因でもって、同じ目的を持って武田家に仕官していた、師匠でもある孫辺衛を裏切ってしまう。単独で暗殺の機会を探る笹之助であったが、やがて武田信玄の持つ魅力に取り付かれていく。そして永禄四年の川中島の合戦を期にし、笹之助は忍の者でありながら、信玄の側近として仕えるのでであった。裏切り者として甲賀忍者との死闘や、武田信玄と共に天下平定を目指す一人の忍の者、そして父子がテーマと成っている様な話です
お薦め度★★★ Amazonで購入


◇ら行◇


雷神の筒
著者名山本兼一
出版社集英社文庫
主な人物橋本一巴、織田信長、雑賀孫一
ひとこと 文献によると天文一二年、明の漂流船に同乗していたポルトガル人により、鉄砲が日本に伝わったとされる。当時としては最新兵器である鉄砲。これを駆使して天下平定の道を歩んだと言われる織田信長。しかし実務を担った男は別にいた。鉄砲の実用性に着目し、数を揃えながら日本屈指の鉄砲衆へと鍛え上げたのが橋本一巴であった。自身が時代を生き抜くため、そして民を守るために鉄砲を活用し、また改良に精を出していた橋本一巴。合戦に出陣をして、その鉄砲により手柄を挙げるが、主君信長からは疎まれ、何度となく暇を出される始末。それでも信長の天下布武のためにと尽力していく。鉄砲放ちとしての男橋本一巴の生き様が描かれた小説である。鉄砲放ちとしての好敵手として、雑賀孫一も登場することで話しを盛り上げている。また鉄砲の蘊蓄や、鉄砲の生命線ともいえる焔硝についても、事細かに記されており、鉄砲が第二の主人公であるといっても過言では無い一冊である。
お薦め度★★★
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落城無惨
著者名南條範夫
出版社徳間文庫
主な人物さまざまな人々が登場
ひとこと 五つの落城する城郭のお話。攻める側,そこに籠もる側の人間模様が描かれる短編小説。豊臣秀吉の天下統一の仕上げとなった「小田原城 城を陥とした女」。織田信長が攻め立てた「小谷城 横恋慕した家臣」。キリシタン信徒が籠もった「原城 瞳が描けぬ裏切り者」。戊辰戦争時の激戦地,会津を舞台とした「会津若松城 恋人還る故郷」。そして兵糧攻めにより餓鬼地獄と陥った「鳥取城 餓鬼群れる城中」。
お薦め度★★★
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乱世、夢幻の如し(全二巻)
著者名津本 陽
出版社講談社
主な人物松永久秀
ひとこと 本書は松永久秀の半生を描いている。しかし彼の出生など、三好氏で頭角を現すまでの経歴は謎のままだ。本書では無頼者として描かれている。なかなか面白く興味深い出だしで始まり、期待値が上がる。それでも読み続けていくにつれ、年月日に起きた事象が並び連ね、久秀について事細かに描いているとは言い難い。歴史という事実を書いていると言われれば、好感が持てる内容に違いない。これが歴史小説ですが、と言われれば納得だろう。ただそこに娯楽という読者の思いとは差異が生じるかもしれない。ただ織田信長に仕えるまでの三好氏に仕えていた久秀を描いた作品は、あまりないのではないだろうか。そいいった考えで読み返してみると、なかなか興味を引く題材である。また説明が省かれている部位もいくらか存在しているので、何も知らずに読み続けることはお奨めできない。ある程度の知識が必要であり、時代背景も含めて理解していれば納得ができる松永久秀の物語になるかもしれない。
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乱紋(全二巻)
著者名永井路子 乱紋
出版社文春文庫
主な人物おごう、お茶々、おはつ、おちか、ちくぜん
ひとこと 織田信長の姪である三姉妹、長女のお茶々、次女のお初、そして三女のおごう。そしておごうとおちかを影からそっと手助けを行う謎の男ちくぜん。三姉妹の一番下のおごうとその侍女であるおちかの視点で戦国末期を語った歴史小説。物語はおごうが嫁ぐ所から始まり、それを知った姉のお茶々、お初の嫉妬。姉妹ではあるが、表には出ない女の戦いが、おちかの目を通して語られます。
お薦め度★★★ Amazonで購入


黎明に起つ
著者名伊東潤
出版社NHK出版
主な人物伊勢宗瑞、三浦道寸
ひとこと 伊勢宗瑞という名よりも北条早雲と記した方が広く知られた名かもしれない。宗瑞といえば後北条家の礎を築き、関東に新風を吹き込んだ風雲児でもある。今までも宗瑞が主人公となった作品はいくつもあった。前半生において史料が皆無であり、作品を綴る作者によって描き方が大きく異なる。本書では備中伊勢家の次男という設定で描いている。また作中では、宗瑞の生き様と平行して当時の情勢の描写も多く、それにより多くの人物が登場してきている。人物が多いことで混乱することもあるが、背景を知ることで宗瑞の行動を煌めかせている。さらに宗瑞が直面している情勢もえがかれており、前半部では京で勃発していた応仁の乱を、後半では関東における争乱の模様がちりばめられている。単なる宗瑞一代記として終始しておらず、宗瑞が生きた時代背景にも手を抜かずに記されている。また相模の三浦道寸との対決における描写は、時代の変革記を実感させられる場面でもあった。出来ることならば巻頭にある登場人物一覧を頭に入れた状態で読むことをお奨めします。
お薦め度★★★★★
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我が槍を捧ぐ
著者名鈴木英治
出版社角川春樹事務所
主な人物可児才蔵、早奈美、笹山源左衛門
ひとこと 斎藤龍興、明智光秀、羽柴秀次、福島正則といった大名達に仕え、槍を持って多くの合戦場で躍動した可児才蔵。時には勝ち戦、はたまた負け戦を経験しながらも、乱世を生き延びた才蔵。才蔵が命を賭けて合戦場に望んで居たのは名誉や出世、生活の糧だけではなかった。村に言い伝わる伝説の秘宝「真歌音」を探し出すこと。村の巫女である早奈美のお告げにより、探し始める才蔵。最初に出会ったのは美濃稲葉山での笹山源左衛門。源左衛門とは以後、才蔵をして「殿」と生涯慕うこととなる人物であり、物語の中でも重責を担うこととなる。あと一歩で「真歌音」の存在に手が届くというところまでいっても、運命のいたずらであろうか、才蔵からは引き離されて行くのだった。さて「真歌音」は誰がもっているのか。そして才蔵は盗まれた「真歌音」を手にすることは出来るのか。
お薦め度★★★
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嗤う合戦屋
著者名北沢秋
出版社双葉社
主な人物石堂一徹、遠藤吉弘、若菜
ひとこと 戦国時代の信濃国。その中央部に位置する中信濃(現在の長野県松本市周辺)を舞台にした小説。天文一八年当時、中信濃の情勢は事実上の統治者は無く、多くの豪族達が割拠していた。そんな中の一人である遠藤吉弘。彼も他の豪族とは同様に三千八百石ほど領地を治める領主であった。その領地を訪れた浪人武者が孤高の軍配者である石堂一徹。天下無双の槍働きをしなながら、定まった主君に仕えることなく浪々と世間を見聞している身分である。しかし彼が遠藤家の姫である若菜との出会うことで、一徹の運命が変えられようとした。聡明な若菜姫と孤独な合戦屋の一徹。奇妙な取り合わせだが、これが後に遠藤家の命運を握ることになる。軍勢同志がぶつかりう合戦の描写は、書名から考えると少なく、若菜姫と一徹の二人のやりとりが印象深く残る作品。どこまでも自分の野望、志を遂げようと夢見る一徹。そして周りへの気配りを怠らない若菜姫。この二人を軸として遠藤家の命運が描かれている。大げさではあるが信頼という絆の大切さを改めて感じさせる物語であった。
お薦め度★★★
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