試合レポート

 
第1節 8月11日 横浜マリノス対福岡 横浜国際競技場


 今日から2ndステージの開幕である。ナビスコ杯を戦ったとはいえリーグ戦こそが本分。新外国人も3人合流し、ようやく戦力が出そろった。大切な門出だ。6時25分、ボールボーイの頭をポンと叩き、能活が練習に登場。オールスターで痛めた足は問題なさそうだ。ピッチは夕方の雨で濡れているが、私が競技場についた頃にはもうやんでいた。コンフェデ杯の時のようなことはなさそうだ。整列して入場するとき、俊輔は野田と、能活はロペスと話していた。試合前に、野上社長への黙祷。オーロラビジョンに映し出された遺影が涙を誘う。リーグ戦の勝ちをこそ、捧げて欲しい。

 7時3分、キックオフ。ナザが左DF・ドゥドラが左サイドに入る。開始早々中盤から出されたパスが坂田に繋がるが、うち切れずパスミスに。マリノスFW陣の悪しき伝統だ。それでなくても激しく当たってくるアビスパ、判断は早くしなければ。「チャンス!」と思って双眼鏡をかまえても、ボールは右に左に動くだけというシーンが、この後何度も続くのである。あまり背のない坂田と平間の2トップとわかったときから「それでいいのか?」と思ったのだか。

 最初のビッグチャンスは福岡だった。6分、簡単に上げられたクロスをロペスがヘディング、かろうじて能活がはじきその後押さえる。これはどうも新外国人との連携ミスらしい。それでもナザがカバーに入りクロスをクリアするシーンも、何度かあった。心配なのは小村である。ナビスコ杯ではGKが榎本だったので気負っていたのかと思ったが、この日も後ろからのディフェンスが多く、ゴール前で何度もファウルを取られるのにはハラハラした。審判への心証も悪かったらしく、前半38に早くもイエローカードをもらっている。 アビスパのFKは、フェイントをかけたり審判に文句を言ったり、いろいろ小細工をしてくるが、そこは能活、引っかからず冷静に対処していた。

 マリノスの攻撃は、右から波戸のシュート、ドゥトラのクロスに飛びこんだ平間のシュートぐらいだろうか、可能性を感じたのは。俊輔のFKは4回、まだまだという精度だ。GKがハンブルしたものもあったが、基本的には直接キャッチ出来るボールだった。前半半ば以降は、ほとんどFWにボールが入らず坂田は消えている。44分、能活が素晴らしいパンチングで俊輔にボールをつないだが、それも低い位置で相手にぶつけてしまってチャンスにはならない。ロスタイムのドゥトラのシュートもDFに当たる。前半はそのまま0−0で終了。笛と共に能活は首を傾げた。

  後半開始早々チャンスが訪れる。能活が簡単に蹴ったバックパスからのボールを、上野(?)がポーンと上げるとそれが坂田に繋がる。ループシュートを狙うが、飛び出してきたGKに阻まれた。47分にも、俊輔からのスルーパスに坂田が追いつきGKと1対1に。しかしシュートはバーの上。相変わらずの決定力の無さだ。それでもいつものごとく、後半は疲れも手伝ってスペースが空き、攻守の切り替えが早く展開がめまぐるしくなってくる。ようやく「惜しい」と言えるシュートも出てきた。

 60分、平間に替わり田原が登場、今まで足りなかった高さが加わり前線にターゲットが出来る。64分、波戸からのクロスをヘディング、枠をはずれる。70分にはオフサイドにかかり、72分にはドゥトラにパスを出すもクロスはDFにはじかれる。73分FKは田原に届かず。いずれにせよ彼がボールに絡むことが多い。75分を過ぎると膠着状態に入っていく。中盤でボールを取ったり取られたり。イエローカードが立て続けに出て、サポーターからは不満の声が。集団でそれをコールするのは、審判をムキにさせるだけだと思うが。そんな中81分、俊輔から絶好のパスが出て69分に入った木島がGKと1対1になるが、シュートのタイミングを逃しGKに止められてしまう。

 それにしても、つい3日前のナビスコ杯ではもう少し動き出しが早く中盤のプレスも効いていたように思うのだが、この日はいつものごとくパスを出すところがなく、カウンターのチャンスにも早い上がりが見られない。そして90分を過ぎロスタイムだというのに、急ぐ様子が無いのは何故なのか。マリノスにとっては勝ち点1でも減らしたくはないのに。結局このまま延長戦に入るのだが、それに対する悔しさを客席からは見て取れなかった。こういうときほとんど座ることのない能活が、休憩中座って着替えていたのも、足の調子が悪いのかと気になった。

 延長前半、チャンスはマリノスに多かった。しかし決めきれず。13分過ぎ連続してアビスパにチャンスが来るも、こちらも決められない。あわやというシュートを能活が防いで延長前半終了。ようやく決着が付いたのは、後半も終了近くになってからだった。キックオフから110分目、右サイド深くまで追っていった俊輔が、粘って足で挟みボールを奪取、クロスを上げる。田原が落としたボールはDFにクリアされるが、そこに上がってきていたドゥトラが思い切り良く シュートし、ゴールネットを揺らした。

 その瞬間マリノスのゴール裏がはじけた。サポーターの前に駆け寄る選手達、Vゴールを決めたドゥトラがもみくちゃにされる。が、ふと見ると能活はまだアウェイサイドのゴール前に跪いたままじっとしている。また怪我の不安がよぎり喜びが半減してしまった。立ち上がった後特に足を引きずっているようでも無かったし、ドゥトラと抱き合っているときには笑顔も見えたので、亡くなった社長に対する感情とか何か思うことでもあったのだろうと解釈したが、 釈然としないまま私は家路についた。現地で見るよりもビデオで見るとなおいっそう試合内容には疑問符が付く。それでも勝ち点2とはいえ、2ndステージの初戦を勝利で飾った意義は大きい。川口選手のことはひとまず置いておくとして、今はこの一勝を喜びたい。

 来週には代表戦に4選手が招集され、その次の週にはまたナビスコ杯と、18日間で6試合という事になる。その上休日のはずの日曜にはサイン会などのイベントが。それを考えると代表戦には出場しなくてもいいと思ってしまうほどだ。今までにないくらいリーグ戦が大切になってくる。サポーターがそう感じているのだから、選手のみなさんはその何倍も感じてくれているとは思うのだが。

          
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