試合レポート


 
第13節・5月17日 横浜マリノス対川崎フロンターレ 横浜国際競技場


  今にも降り出しそうな空のもと、競技場に急ぐ。優勝の可能性が現実的なものとして見えてきて、応援するこちらも緊張してしまう。平日の試合だから仕方ないとはいえ、観客が少ないのは残念である。6時30分、能活登場。今日は練習のときから髪をバックに流している。気合が入っている証拠だ。フィールドの選手が登場するときに、マリノスキッズが出迎えるのも初めて見た。演出で盛り上げようという、チーム側の配慮か。さすがに練習中からカメラが多い。優勝戦線にからんでいることが実感できて、嬉しいものだ。先発は次のとおり。
川口・小村・松田・波戸・遠藤・上野・三浦・永山・中村・外池・エジミウソン (サブ--榎本・吉田・森・岡山・原田)

 キックオフからすぐに、松田がロングポールを放り込む。能活などは最初のボールが下がってくるのをとても嫌うようだが、これは「今日は行くぜ」という挨拶代わりのようでよいのでは。そしてすぐにCKを得る。だがここでアクシデントが。ねばったあと俊輔の上げたボールに反応した2人が激突してしまったのだ。遠くから見るサポーターには何が起こったかわからない。一人はエジミウソン、もう一人倒れているのが誰なのか。瞬間「松田だったらどうしよう!?」と血の気が引く思い。それくらい最近の松田は良いパフォーマンスを見せている。のちにビデオで確認したところ、目を開けたまま倒れていた小村は脳しんとうで、しばらくして復活してきた。

 いくつかのチャンスの後、7分、初めての相手CK。一度はDFがクリアするも、それを拾われて遠目からシュート。あっけなく決まってしまう。しかし不思議とあせりはない。時間はまだまだあるし、かえってこれで目が覚めるのでは。そしてその通り8分に得点が。この試合最後まで良い動きを見せていた三浦がマイナスのパス、エジミウソンがそれを上手く押し込んだ。その後はしばらく一進一退。時折とても細かいパスが繋がる。ゴール前のクリアにしても、ドカンと前に放り込むことがないのだ。それでいて俊輔がピンポイントの長いパスを前線に送ることも。この間何度もバックパスがあるが、能活はそれを的確にさばいている。よその競技場ではGKがバックパスを処理し損ねて、Vゴールを決められていたが。

 23分、ようやく追加点がはいる。細かいパスが見事に繋がり、最後はまたしてもエジミウソン。しばらくゴールが決まらず悩んでいたようだが、ようやく量産体制に入ってくれたようだ。これで2−1と勝ち越し。だが35分を過ぎると後ろでボールを回すことが多くなり、さらにゴール前まで攻め込まれることも。とはいえあわやというシーンもなく、そのまま前半終了。能活は、脳しんとうを起こした小村を気遣い、シュートを外した外池と話しながら引き上げて来た。

 後半は川崎ボールで開始。前半最後あたりの沈滞ムードに対して指示が出たか、早々からボールを取りに行っている。ふと気がつくと、たくさんのカメラはマリノスゴールの左側にずらり。俊輔のアシストの瞬間を狙っているのか。もともとマリノスの攻撃は左肩上がりではあるし。10分、相手がFKを素早く出しシュートを狙ってきたが、能活がきちんと対応、FKもやり直し。2回目は前節福岡に決められてしまったような、タイミングをずらしたキック。しかしこれもがっちりキャッチ、同じ過ちは繰り返さない。

 17分のCKには能活の「集中!」の声。危うくオウンゴールになりかけたクリアは、能活がはじき出す。18分にも結局はオフサイドだったシュートを、両足で挟んでブロックした。このあたりは少し川崎Fの時間帯だ。25分遠藤を原田に替えた頃からまた、マリノスにチャンスが訪れる。そして30分、ようやく3点目が。前半からシュートを外したり、オフサイドになったり、あと数センチでパスに足が届かなかったりしていた外池である。息のピッタリ合ったエジミウソンと三浦のパス交換から出されたボールを、DFの前に出て押し込んだのだ。能活は「祖先はカンガルーか?」と言われたジャンプ力で飛び上がって喜んでいる。松田も積極的に上がるようになってきた。小村のヘッド、外池のヘッド。そして36分のこと。外池が2人に挟まれて、コーナーにでも逃げるかと思った瞬間上げたボールは、俊輔がDFを引きつけて空けたスペースにポツリと一人立っていた永山へ。ボレーシュートはきれいに決まって4−1となった。

 このころからピッチには雨が落ちてきたが、プレイに影響が出るほどではなさそうだ。40分を過ぎるともう急ぐことは何もない。能活のゴールキックは山なり、42分の外池から森への交代も時間稼ぎくさい。前節福岡戦で物議をかもした後ろでのボール回しも当たり前のこと。ロスタイムに森のシュートがはずれたのはご愛敬。可笑しかったのが最後の最後、相手GKの頭越しに決めようとしたループシュートを取られたときの俊輔の悔しがりよう。挨拶の途中でも「ちぇっ」という仕草をしていた。彼にとってはチームが勝つのは当たり前、その上で自分のイメージ通りのプレイをしたいのだろう。終了後はもちろんみんな笑顔、笑顔。能活は一人遅れてベンチから挨拶に出てきた外池を、メインスタンドに促すときに、笑いながら怒鳴っている。ヒーローインタビューは2ゴールのエジミウソンだった。個人的な印象ではゴールを決めていなくても、三浦がMOMである。

 終わってみれば、圧勝といえる数字だ。最初の失点は余計だが、あれがなければ火がついていないだろうから、必要経費のようなものと諦めるしかない。イエローカードを貰わなかったのは評価できよう。次のC大阪戦が天王山、大切な試合に警告累積による出場停止者を何人も出してしまった去年の轍を踏まずにすむ。さあこれで、「あの選手がいたら」という言い訳はきかない。トーナメント戦と心得て、全力を出しきって欲しい。

          
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