朝、スポーツ紙のサイトで能活の欠場を知った。今までならそれで「わざわざ横浜まで行くのもなあ」となるのだが、今回ばかりは別。新監督の下、初めての公式戦。外国人も加わってマリノスがどう変わったのか、あるいは変わらないのか確かめてみたい。大いなる不安と少しの期待を持って競技場へ。三ツ沢は7249人と、そこそこ客が入っている。みな同じ思いなのだろう。先発に新人の坂田が名を連ねていて驚いた。サブに入った古賀を見るのも楽しみだ。キックオフの前に残りの選手全員がピッチサイドに立ち、先頃亡くなった球団社長のために黙祷を捧げる。ラフな服装の多い中、能活のスーツが目を引いた。哀悼の意をそれで表現したかったのではないだろうか。
19時ちょうど、キックオフ。開始早々、新外国人ブリットがシュートを打つ。それだけで喜んでしまうマリノスサポが悲しい。それくらい1stステージはシュートが少なかったということ。しかしこの日は違う。全員動き出しが早く、前線から良くボールを追っていて、中盤でのカットもありパスが繋がっている。シュートの意識も高い。15分には早くも上野の先制点が飛び出した。これはまあ、彼個人の力で取ったといっても良く、その後しばらく停滞するが、坂田の巧さ・波戸の速さ・永山の粘り・松田のオフサイド(!)と見所もあった。そしてもうすぐハーフタイムという43分、待望の追加点。今日が誕生日だという遠藤が、短いパス交換からドリブルで持ち込みシュート、きれいに決めてくれた。2−0で前半終了。
ハーフタイムに、出場していない選手達が客席に居るのに気が付く。能活の姿が見えないのは多分ロッカールームに行っているのだろう。しばらくしてマリノスサポから死角になる席についていた。後半、選手交代は無し。0分右サイドに入った平間がシュート、枠をはずれるも、彼の動きはなかなか面白い。
肝を冷やしたのは8分に俊輔が倒れたときだ。笛は鳴らない、俊輔は立ち上がらない、サポーターからは「ボールを出せ!」の叫びが。ようやく本人が外に出たところを双眼鏡で覗くと、胸元を押さえている。どうやら肘が入ったらしい。本気で骨折の心配をしたが、何とかピッチに戻ってくれた。この日の俊輔は、長いパスの距離が合わないところもあった。ボールを持ちすぎではないかという場面も。それでも浮き球や珍しいヘディングでのパス、圧巻だったのはセンターサークル付近からの超ロングシュート(惜しくもはずれた)と、相変わらずのファンタジスタぶりを見せてくれた。
後半18分、早くもブリットが外池と交代、担架に乗っての退場である。その前にもう交代は決まっていたようで怪我は大事に至ってないようだが、1試合でリハビリ生活突入だけは勘弁して欲しい。22分には3点目が入る。またしても遠藤だ。最初の起点は自身のパスカットだったと思う。1stステージは怪我の影響もあるのか、今ひとつ調子が良くなさそうで心配だったが、この日は両ボランチが大活躍。上野も得点のシーンだけでなく、守備でも気迫を見せていた。1stレグで3−0なら上出来、34分俊輔の交代は週末のリーグ戦に向けての温存と思いたい。その後の古賀の登場には、会場が湧いた。長い間リハビリを余儀なくされていた彼の活躍を、みんなが待っている。与えられた時間はロスタイムを含めて5分と短かったが、ドリブルもシュートもあり良い足馴らしになっただろう。
最後にDF。GK榎本がまだまだ不安定で、そのカバーを意識したせいか小村が少々空回り気味。とはいえフロンターレの攻撃が散発的でミスも多く、さすがという松田のプレイや中盤でのつぶしもあって、無失点で終わることが出来た。たとえ危ないシーンがあっても結果的に入れられなければ、そしてそれが続けば自信になる。記録として残るのは0という数字なのだから。180分の試合の半分が終わっただけではあるが、勝ちは勝ち。亡くなった野上社長にそれを捧げることが出来たのが何よりだ。オフィシャルのコメントを見ると選手も手応えを感じているよう。どうか大切なリーグ戦に、この勢いを持ち込んで欲しい。
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