試合レポート


 
第9節・4月29日 横浜マリノス対ガンバ大阪 横浜国際競技場


  躑躅も花水木も満開だ。競技場の屋根が銀色に輝いている。陽射しを浴びていると暑いくらい、けれど日陰は少しひんやりして、まるでヨーロッパの気候のようだ。ゴールデンウィーク初日とあって、家族連れが多いようである。入場客は18531人。ジュニアユースの試合のあと、少し遅めの29分、能活登場。続いてフィールドの選手が。先発は次のとおり。
川口・小村・松田・波戸・遠藤・上野・三浦・永山・中村・柳・エジミウソン(サブ―榎本・岡山・永井・原田・外池)
練習から引き上げる能活は、ボールボーイの少年達と声を交わし握手をしていた。

 選手入場の時、能活はガンバの小島と笑顔でお話。松田は赤ちゃんをだっこして。マリノスボールでキックオフ。前半11分、早くも先制点が入った。ショートコーナーから俊輔のセンタリング、小村が折り返して柳のシュートだ。しかし、能活は無反応。おかげでオフサイドでもあったのかと思ってしまった。早い時間の得点に安心してしまったような前節のことがあるから、喜ぶのを自重していたのか、まるで怒ってでもいるようで。14分のFKの時も、ベンチ前まで行って何やら話を聞き、細かくDFに指示を送る。その三浦のキックが直接決まっても、まだ能活は喜ばない。もう一度ベンチ前へ。

 2点で安心してはいけないと、何か予感でもあったのだろうか。22分、波戸がペナルティーエリアぎりぎりのところで相手を倒してしまい、レッドカードで退場、10人になる。だが壁の間をすり抜けてきたFKは、能活がしっかりセーブ。これでいやな流れに傾きそうなところを押しとどめた。見ている私も、「一人少なくなったから大変!」という気がしない。マリノスは三浦をDFに下げ、相手のミスにも助けられて無失点のままだ。そして33分、さらに追加点がはいる。エジミウソンのシュートを相手GKがはじいたところに、またしても柳。ここで初めて能活は飛び上がって喜んだ。そして代表戦でもフル出場して疲れているであろう松田に水の配達。ただし、この一連のプレイで柳が負傷退場、一時9人になってしまう。代わりに入ったのは永井。前半は何とかそのまま3−0で終了した。リードしているせいか、引き上げてくる能活の表情には余裕がある。ずっと小村と話していたのは、もちろんDFについてだろう。

 後半10分あたりまではマリノスが優勢だった。一人少ない分スペースがあり、またカバーしようとフリーランニングが生まれ、パスが回る。しかし次第にガンバの攻撃が。シュートがはずれるたびに黄色い声が上がる。五輪代表選手がお目当ての、若い女性ファンだろう。そんな中、20分松田にレッドカードが出る。現場ではよくわからなかったが、シュートを手で防いだらしい。またしても退場者。だがそのPKを能活がセーブして、再び流れを押しとどめる。その後も足元に飛び込んだり、1対1を制したり。そして26分、「後ろが頑張っていると、やらなきゃと思う」という言葉通り、素晴らしいトラップから俊輔の美しいシュートが決まった。今日はワンタッチプレーとフリーランニングが印象に残った俊輔、韓国戦で出番の少なかったうっぷんを、少しは晴らせただろうか。

 このまま完封してほしかったが、38分ペナルティーエリアの中、能活のオーバーステップ?で間接FKを取られ、1点返されてしまう。それでもその後も2人少ないとは思えない戦い振りで、守っているばかりではなくカウンターも仕掛ける。終了間際に1点返されたかに見えたがオフサイド。結局崩されての失点はないままタイムアップ、4−1でマリノスが勝利を収めた。さすがに喜びよりは、ホッとした様子の選手達。能活は挨拶の途中でヒーローインタビューへ。「間接FKだけが余分だった」。暫定首位に浮かれることなく、「次の広島戦に備える」と。今日の彼は鬼神のようだった。全員の集中力を具現したみたいで。問題はその集中力を持続できるかどうかだが。

 それにしても、後ろからのファウルで一発レッド退場というパターン、どうにからないものか。1対1に強い能活がいるのだし、勝っているという状況を考えてもう少し落ち着いて対応してくれれば。怪我は仕方ないにしても、イエローやレッドで主力選手が試合に出られなくなり、優勝を逃した去年の苦い思いがあるのに。このあたりが“チームとしての経験”を積んでいる、磐田や清水との違いだろうか。アジアの国に出向いて、アウェイで戦うことのできた両チームがうらやましい。だがその権利を手に入れるにはJリーグで優勝しなければならないという、このパラドックス。

 ともあれ能活の言うように、暫定の順位に一喜一憂して勝ち点の計算をしてもせんないこと。この先も目の前の試合に集中して、ベストを尽くして欲しい。

          
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