試合レポート


 
第4節・7月15日 横浜マリノス対広島 三ツ沢公園競技場


 6時半、競技場に到着するともう能活が練習していた。これを見るたびに「やはりGKコーチが居てほしい」と思ってしまう。ゴール裏はかなり混んでいて、雨もよいの天気にしては客が多く1万人を超えたようだ。放送席の隣には、この日マリノスの会長に就任したカルロス・ゴーン氏の姿が。前節鳥取で京都に勝ったものの、いまひとつピリッとしないマリノス、怪我人も多い。柳が復帰したと思ったら波戸と松田が欠場、その二人が出てきたら上野が捻挫。おかげで柳はFWとDFをいったりきたり。それでもとにかく勝ってもらわねば、“セカンドステージも優勝して完全制覇”は実現しない。

  遠藤選手のJリーグ100試合出場が表彰された後、キックオフ。 広島とはナビスコ杯から続けて今年4回目の対戦である。お互い手の内は知り尽くした感じで、序盤は模様眺めというか、守り合いというか。ボールキープはマリノスのほうが多いが、チャンスらしいチャンスは作れない。俊輔が下がり気味でボールをもらう。8分右前にいた永山にいいボールが出るが、余りに足元過ぎて相手が寄せてきてしまう。アルディレスは早くもピッチサイドに出て何やら叫んでいる。この後何度か審判に注意されていた。13分、能活が抜群のキックを永山に送るも生かせない。

  30分を過ぎたころから広島の攻撃が増えてきた。34分、右サイドからきたセンタリングがマリノスゴールのバーを掠めて外へ。能活が何とか触っていたようだ。左コーナーキックは片手でパンチング。その後のシュートは反応するもはじいてしまうが、ライン上でにカバーに入っていたDFがクリア、何とか命拾いをする。37分には縦一本から久保が抜け出しあわやキーパーと1対1。しかし松田が良く付きシュートコースを消す。VTRで見ると足にあたっているようにも見えたが、ゴールキックになった。43分にもシュートがDFにあたりロビングボールに、まるでバレーボールのアタックのようにして能活が掻き出す。その後久保がシュートを打ち損ねてくれたから助かったが。このあたり広島のHPには「やりたい放題だった」と書かれている。

  それにしても試合中何度「走れーっ」と心の中で叫んだか。いつもいつも、ボールが蹴られてから「ハッ」という感じで走り出すのだもの。いくらそれぞれが上手くても前に進むことは困難だ。前半のシュートはわずかに1本、それでも責められつづけた最後の時間帯を何とか無失点で乗りきったことが後に生きてくる。

  後半開始たった1分でゴールが生まれたのだ。三浦のFKを下田キャッチ・・・と思ったら、そのまま後ろにそらせてしまってゴールイン。相手のミスであろうと、とにかく先制点がマリノスに入った。ここからゲームが動き出す。人が変わったようにスペースへの動き始め、「ここが空いている」と思った左上(ちょうどゴール裏メインスタンド寄りで見ていた私の目の前)に長いパスが何度か渡る。10分、その中の1本が外池に出るとドンピシャのクロスが上がり、柳が怪我から復帰のゴールをあげた。そして立て続けに12分、今度は遠藤が左からクロス、外池がうまくキーパーの前で合わせ3点目をゲット。サポーターはお祭り騒ぎである。

  「こうなったら後は完封」と、GKファンの私は思うが、アルディレスはここでエジミウソンを入れてきた。動きはいいのにゴールから見放されている彼を、この勝ちゲームに出して点を取らせようというのだろう。俊輔などはあきらかに彼を狙ってパスを出している。19分にはいいチャンスが来るがシュートはバーの上。しばらくはそのまま“まったり”とした時間が続く。松田の上がりが少ないのは足の状態が良くないからだろう。俊輔も疲れているようだ。それでも勝ちは決まりという余裕の展開、それがいけなかった。「このまま終わるのはいやだな」と感じた25分、思わぬ形で失点する。ゴール前でごちゃっとしたかと思うとボールが能活の頭上を超え、ネットを揺らした。現場では何が起こったかさっぱりわからなかったが、小村のクリアしたボールが上村に当たり、そのままゴールしたのだ。

  これは事故のようなものだから、そこで気を取りなおしてくれればよかったのだが、次第に押されぎみになる。34分に能活のエリア外ヘッドでのクリア。35分、久保の豪快なシュート、これはバーの上。そして41分、2点目を失う。FKをヘディングされそれがポストに、跳ね返ったところを押し込まれた。これも何だかあっけないようなおかしなゴール。しかしもうこれで余裕は無くなって、アップアップの状態に。あせりがミスを呼ぶ。キープしたつもりのボールが相手のスローインに。そんな中で波戸のシュートは外れたけれどいいプレイだった。ロスタイムが何と5分。怪我で退場があったわけでもないのに長すぎるのでは。何とかここを我慢して。そう思っていたらマリノスの方に追加点が入った。今日はあまり目立たなかった俊輔のアシストによる、柳の2点目。これでようやく息がつけた。試合はそまま終了、4−2でマリノスの勝利。

  1点差でも勝ちは勝ちだが気分が違う。最後に点を入れて終われば、次につながるものがある。それでも能活に笑顔はなかった。仲間への労いもサポーターへの挨拶も、形だけのよう。よほど2失点が許せなかったのだろう。その強い気持ちは嬉しいけれど、やっぱり単純に笑顔が見たかった。次はセカンドステージに入って好調のガンバ大阪。今度こそすっきり勝って欲しいものだ。

          
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