6/4コンプリート 8


ムカムカムカムカ!

ドカバーン!!

「わっ?」
「アンジェ、どうしたの?お泊まりの筈じゃ」

つかつかつか!

梅入りコ○ブ」なんかしゃぶってんじゃねーよ!
この親父は!!

没収!

「ああ!こらキムチ味がなくなって、あとそんだけなん………」

取り上げる私も大人げないが(幼児だけど)いい歳してそんな事に慌てるな!
スーパーでもコンビニでもネット通販でも買いにいきゃあいいでしょう!
浮気する暇があるんだから!
ええい!こんなもん!

「食物は大切に、残さず食べましょう」
神鳥組/皆の約束その3

ばくばくばく!!!

「ああ〜〜ひでえ」

この人波外れた胃袋は母親譲り。


この昆布は美味い。増量お得パック?でも足りない。
ないなら買いにいけばいい、欲しければ足しにいけばいい。
いや、本当にこれは自分が欲しかった昆布なんだろうか?
彼女は与えてくれているのだろうか?
他の女が持っているのでは…

きいっ!思考が何もかも混乱する!
貴様のせいだ!ゼフェル!!

「パパ!!私わかんないよ!
どうして今有る物で満足しないの?
ママは今、目の前にいて、パパと私を幸せにしてくれているじゃない!
例えおこぼれに預かっているだけだとしても、ママは此処にいるんだよ!
確かめる必要が何処にあるの?!」

ハーハーゼーゼー

………ん?
なんか、違和感。
私以外の、視線がみっつ・・・へ?
み、みっつ?

朱いの一つ、パパ。碧が一つ、ママ。
…………もう一つ、朱い…

ああ!あの女じゃん!

見まごう筈がない。あの……浮気相手がいた。

この状況って…
ちょっちょっと待て!
もしや、もう「修羅場中」?

「いつになったら奥さんと別れて私と一緒になってくれるの」
「何ですって!この泥棒猫」

…………これはないな、ママの場合

-リセット-

「いつになったら奥さんと別れて私と一緒になってくれるの」
「あれ〜そうなの〜ゼフェル駄目じゃない〜じゃあ、私出ていくね。ハイ、離婚届」

ちなみにママのサインは蛍光オレンジペン。
判子はお手製芋版。この段階で無効だという事には気づいていない。

「そんなアンジェ!
オレを捨てないでくれ!」
「なあんんですって?
じゃあ、私の事は只の遊びだったわけ?」

…この辺かな?
なんて、私が思考をまとめていると。

「うわあ、貴方小さいのに随分言葉がしっかりしているのね。いいな〜なんか頭良さそう〜」
トロくそうに、浮気相手が驚嘆した。

うわ〜この女、頭悪そう……アレ?この感じ、何処かで?とても近い何処かで?

「そうなの。アンジェはとてもカシコイのよ。私の血筋かしら!うふっ☆」

これだこれ、この頭の悪……?
ママに似ている。
ううん、形と内部構造は「私よりそっくり」だ。
色味は「私とパパ」寄り。
…………誰よりも「私に似ている」

それって、つまり………。
あ、すごく嫌な展開の予感。


「オメーは、初めてだったよな」
何故かパパが、エラソウにふんぞりかえってる。女を前に押し出すと、当の本人は私に向かって自己紹介した。


「初めまして、アンジェリーク。
私もアンジェリークっていうの〜。
あなたのお姉ちゃん、でーす!」


………あ、頭悪……