ノベルもどき、作品案メモログ、忘備録等
唐突に家の中に響き渡った、パパの声。
それから間もなくして聞こえた、乱暴にドアを閉じる音。
三人で外を見たら、大泣きで駈け消えていくパパの姿が。
っとに…大人げないんだから。呆れちゃう。
「どうしよう〜」と、パパのガキっぷりモードに免疫のない、お姉ちゃんが狼狽えている。
しばらくすれば、淋しくなって戻ってくるに決まってるんだけど、こういうとこ、ママはトロいというか、わりと無頓着だし、昨日の借りもあるし…ここは一肌脱いでやるか。
とりあえず携帯と金魚ちゃん財布を装着、っと。
「追いかけてくる!」
私は玄関へと飛び出した。
すぐに追いつけるつもりだったけど、悲しきかな、幼児の足と大人の男の足ではどうにもコンパスが違い過ぎたんだと思う。
>背が低い頃から足だけは長かったっていうしね
何処にも見あたらない。
ひょっとしたら、パパは結構怒ってて、思ったよりも、うんと遠くにいっちゃったのかもしれない。
それでも何時もなら、とっくにパパを見かけたご近所のどなたかが情報をくれる辺りなんだけど、今日に限って、誰にも会わないし、もう。
やっぱりママを連れてくればよかったのかなあ?
猫に猫缶並に、パパにママって連れるからね。
………あ。
河原土手のむこうに、見える、あの銀色のつんつんは……まさか。
いや、こんな場所も様子もベタすぎるって辺りがまさしく………らしいか。
私は必死に笑いを堪えて、その
「早く見つけてね。でも話しかけないでね」
オーラを漂わせた背中に近づいていった。
「……わざわざ捜しにこなくてもよかったのによ」
パパは、そっぽを向きながら歩いてる。でも、歩く速さはかなりゆっくり。
私と、手をつないでるから。
「パパ、本当はママに来て欲しかったんでしょ。
振り返った顔が、はっきりそう語ってたもんね」
ニヤニヤそうツッコむと、「るせ」と不機嫌そうな声が聞こえた。
素直じゃないなあ。
でも、本当はパパのこういうトコ、ちょっと…可愛いかも、なんて思っちゃってる自分がいる。
やっぱり私はママの娘だって事かな。
もしくは、これがボセイホンノーってヤツ?
「パパ、ママに連絡入れておいてもいい?きっとママ心配してるよ」
「勝手にしろ」
本当はママは、構わずサクサクお姉ちゃんと朝食に向かっていると思うんだけど、念の為。
それに、こういっておけば、パパの機嫌も少し収まるでしょ。
プップップップップ………
あれ?おっかしいなぁ…と思ったら、ふいに電話がつながった。
「ゼフェル?」
アレ?
ママ、なんか慌ててる?
「私。………どうしたの?ママ」
「ああ、アンジェ!パパは?いた?」
「うん、いたよ。今隣にいる」
「二人とも、今すぐに帰ってきて!…ううん、病院の方に行って頂戴!
お姉ちゃんが、アンジェリークが、産気づいちゃったのよぅ!」