6/4コンプリート 4│アンジェリークAM11:32


:赤ちゃんはコウノトリが運んでくる:


この大嘘を、サンタクロースの正体の前に知ってしまう子供が、どれ程の数なのかはわからないけれど。

私は知っている。

両親のフラチの末に自分が生まれてきた事。
フラチは別に何時でも出来ること。
フラチにも格があって、気持ちのないフラチはサイテーだって事。
フラチ格においては、パパは評価に値するらしかった、という事。

だからママがお店ハシゴして厳選し、揃えた、スウィートカントリーな居間に、唯一不似合いな、どデカイ黒皮張ソファベットの陣取を主張するパパの目的(ミエミエ)にも目を瞑ってやったんだ。

「寝所まで我慢すれば?たがが数メートル・」
されど数メートル、って性格を甘受してやったっていうかね。

でも、さー…
カーテンくらい引いた方がいいと思うよ?

いくら庭木で見えないっても、裏のおじーちゃんが回覧板回しにくる事もあるし。
まっ昼間から…熱心だなあ…

じーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そういえば………パパ達の様子を斜向かいの伯母さんに言ったら
「はーアンジェリークさんは幸福ねえ。うちの主人と取り替えたいわ」
って羨ましがってたなあ。
「うちだって、結婚前はそれなりだったんだけどね、今は適当過ぎもイイトコよ。
気持ちが入ってないってのがまた…………ブツブツ」

でも、ママは「パパはしつこすぎる」って言ってたよ。
それに今は、気持ちが入ってるのかどーかも……ムカ。

そうだった。
気持ちのないフラチはサイテーなのだ。

ガッツン!!

「どわっ!な、なんだ?!」
「きゃー!!!何?…きゃ!アンジェ!」

幼稚園児には珍しい「ステンレス製お弁当箱」を打ち付けられたドアは、そりゃー、よく響いた。

「アンジェ、もう帰ってきたの?」
「うん(ホントは行かなかったんだけど)」
「そ、そっか、エレーな、ちゃんと一人で帰ってき………」

ギッ!

『オマエは話し掛けんな』オーラをパパに発しながら、ワタワタと上着を着込むママに続ける。

「ママ、私これからセイランとこ行く。多分、泊まるから」
「え、いきなり行ったら失礼よ。今何か描いてるらしいし…」
「今日はいいって、電話で、きーた」

嘘です

でも大丈夫。
私はセイランに「邪魔にならない(単なるお気にいり)」認定を受けている、希少価値な存在なのだ。
更に加えると、女で認定される事は天然記念物並みで、今の所、ママと私だけ。
ちなみに、セイランの奥さんは「お気にいり」ではなく「特別」で、一寸意味が違うそうだ。

「それならいいけど…あ……じゃあ、バラを持っていってね」
「うん。じゃあ水揚げの用意してるね」

娘の前で、パンツをはくのには抵抗があるらしいママに助け船を出しつつ、今度はパパに冷ややかな視線を送ってやる。


じっ……………



「な…………なんだよ」

収まりのつかなそうな。
が、必死で収めたがってる、情けない姿に、更に冷ややかに、もう一瞥。


「だから!なんだってんだよ!」


逆ギレすんなよ…幼稚園児の娘に。


「………たまにはつければ?ツメが甘いくせに」


「!!!!!!!!!!!!!!!! 」
>ゼフェル「ムンクの叫び」中(笑)



  知ってる事も知らないふり

  家族には沢山のタブーがあります
  家族でありたいなら、決してタブーを侵してはいけません




でも、もう、コイツ家族じゃないからいいんだ。


フン!