昨日のつづき。
花よしでしこたま呑んだ後の帰り。水道橋の駅で太一とスパーリングしてた記憶はある。そして、たしか飲んでたお茶で毒霧水ストレートをしたら、太一が怒ってどっかへ行っちゃった記憶がある。ゴメンね太一ボン。
本来だったら、水道橋からだとそのまま総武線で小岩まで行き、そこからタクシーで1000円くらいで帰る。だが、次のわしの記憶は、なぜか秋葉原近辺を歩いていたことである。「歩いて柴又まで帰ってやろう」と思って歩いていたはずだ。いったい何時間かかると思っとたんだろう?
そしてあちこちの看板殴ったり蹴っとばしたりしながら歩いていたら、なぜか上野へ。そこでラーメン食って、タクシーに乗った。タクシーに乗って眠って起きたら、そこは柴又。お金払ってタクシーを降りて20秒後。
「あれ財布がな、な、ない!」
正確に言えば、財布代わりである。財布をなくして、かわりにタイで買った布袋を代用品として使っていたのだ。しかも、ただの財布代わりではない。いろいろと再発行手続きに使うので、印鑑、通帳、キャッシュカード、クレジットカード、保険証、パスポート‥‥‥‥そんなわしを破滅させられる品総揃いの袋を落としたのである。そりゃ、もう大事である。
だが、酔っぱらいとは恐ろしいもの。「ま、いいっかぁ。明日の朝考えよう」と、速攻でご就寝。「ま、いいっかぁ‥‥」じゃねえだろ、まったく!
ぱっと目が覚めたのは早朝七時。ようやく事の重大さに気づいたわしは、銀行関連に電話して、口座をストップ。そして、3週間前も行った柴又の派出所へ。
「すんません、財布落としちゃったんですけど‥‥」
「中に何が入ってたの?」
「保険証にパスポートに印鑑に‥‥‥‥」
「あらあら大変だねえ」
「お巡りさんボク憶えてます? 3週間前にも財布落とした‥」
「ん、ああ、憶えてる。鍵はなんとかなったのか?」
‥‥などと世間話‥‥じゃなかった、手続きをして家に帰ってくると、電話がなった。タクシー会社からだ。タクシーの中に忘れ物があったという。ホッ。
「じゃあ今から取りに伺います」
とは言ったものの、金は財布の中だよオイ! 家の中をいろいろ捜索してみると、都合の良いことに500円玉発見! その500円玉を握りしめ、タクシー会社のある錦糸町まで。忘れ物を受け取って帰る途中、改めて思った。
「俺が女なら野崎勇治とは結婚しねえな」
(完)
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