「フルコンタクトKARATE」という雑誌に「キックじじい放談」というコーナーがある。ナゾのキックじじいが、そのマニアックな知識を披瀝し、先月のキック界を振り返るというコーナーである。あまりのマニアックさに、「いったいこれを読んで理解できる人が日本に何人いるのだろう?」と余計な心配さえしてしまうほどである。
たとえば……
「孫悟空丸山の部屋は寒い」とか
「石毛は彼女にふられた鬱憤をこの試合にぶつけた」とか
「井上玄斗は足立新田高校出身だ」とか
といった具合である。そういえば、
「野崎は彼女いない歴27年だ」
と書かれたこともあったなあ。思わず、指を折って数えちゃったよ。ちなみに、翌月号にパートナーのキック小僧氏による謝罪文が載ったが、じじいはまったく反省してなかったらしい。恐るべしキックじじい。
さて、そんな「キックじじい放談」に北星太郎こと千島克彦が載った。事前にそのことを聞かされていた千島は、「雑誌に載る」と浮かれた様子を隠せなかった。北星ジムの選手がこのコーナーに載るということがどういうことか、千島はわかっていなかったようだ。ある意味、キックじじいは見事期待に応えてくれた。千島の本性を見事にあぶりだした文章は、見事というほかはないだろう。
さて、北星ジムのN君から「北星の秘密兵器がいる」との電話を受けたというキックじじい。N君って一体だれ? 俺? 俺はそんな電話してないぞ。ナゾは深まるばかりだ。
そして、そのN君から得た情報だろうか、「千島選手はとにかく練習好きで、先輩より練習時間が長く、密度が濃いそうだ」と書いてある。さすが千島さん。
「放談」は続く。「最近では野崎、石毛、楠本とも互角のスパーリングをこなし、自分自身デビューが待ち遠しい」そうだ。凄いなぁ、デビュー前なのにNJKFのランカー達と互角なんだぁ。そして、さらに衝撃の事実が!
「練習とはいえ、楠本からダウンを奪ったそうじゃ」
をを! 凄いな、千島! そう言えば、いつもスパーは押し気味だし、楠本さん「千島さんとスパーをやると、自分が3回戦に思えてしまいますよ」って言ってたっけ。わしも千島さんとスパーをやると、3日くらい頭痛いんだよね。石毛なんて、ボコボコにされてトイレで泣いてたよ。見ててせつなかったけど、実力の世界だ。仕方ないよね。そういえば、こんな発言も掲載されていた。
「僕は松浦さん、野崎さん、楠本さん、あぁついでに石毛さんも入れて下さい。僕はこの4人を越える自信があります」
ホントはもう越えてると思っているのに、こんな発言をするとは謙虚な千島らしい。「ついで」で石毛の名前も入れておく配慮は素晴らしいの一語だ。イイ奴だなぁ、千島。
さて、この日のジム。もう実力は十分の千島さんは見えていなかったが、「ダウンを奪われた」楠本勝也選手がいたのでインタビューを試みた。
千島選手にダウンを奪われたそうですが。
「千島さん強いですからねえ。今までボクが受けてきたパンチの中で最強ですね」
千島選手のデビューはいつなんでしょう?
「千島さんはいきなりNKBトーナメントでいいんじゃないですかね。それだけの実力はあると思いますよ」
一回戦いきなり桜井洋平あたりとやると、いい試合しそうですよね?
「いや、ボクがやりたいですね。やっぱ同門とは言え強い人と試合したいんですよ。その点、千島さんなら文句無し。挑戦者としてぶつかりたいですね」
‥‥と語ってくれた。今回の全国誌の扱いを、やり手広報・延藤氏が放っておくとは思えない。スター候補生千島のデビュー、いきなりNKBトーナメント、あるかもしれない。なにせ、楠本、野崎、ついでに石毛と互角のスパーリングをする男である。いきなりの優勝もあり得るかもしれない。キックファンは、要注目である。
追伸・千島さま
私は、同誌の同コーナー4か月連続ネタにされました。覚悟されたほうがよろしいかと。
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