この日、北星&オーエンジャイ勢は、車組と新幹線組に分かれ名古屋に乗り込んだ。「ドライブ」というものが大嫌いな私は、当然新幹線。18きっぷのある時期なら鈍行で良かったが、まあたまに贅沢もよかろう。5分車に乗るだけで酔う石毛慎也は、「金ないんすよ」と車組に。へへへ、ざまあみろ。
結局、新幹線組は、野郎はわしのみ。後は、「名古屋行きをめぐって旦那と喧嘩をし、休日出勤命令を断ってまで今回名古屋へ向かう」不良妻T。「笛吹丈太郎FC足立区支部長」梅本小学5年生。「前日会社を休み、徹夜までして楠本のトランクスに文字を縫い込んだ」モハメド・アリサ。そして初参加「なんでキミがいるの? 反逆の女スパイ」山之内ななえもん。
このオバタリアン4名との団体行動という苦行に挑むことになったわしだが、午前の静かなひとときくらい独りでいたい。同じ新幹線に乗ったのだが、あえて探さずひとりで名古屋へ。適当に小説を買い込んだが、3行でつまらなくなりそのまま捨てる。
名古屋到着後、オバタリアン軍団と合流。山本屋味噌煮込みうどんに挑む。梅本小学5年生とわしは、昨年の安城大会以来。なぜか、「前来たときはタマネギがあった」ことにこだわる小学5年生だが、みな黙々と完食。
「で、他に名古屋で面白いところは?」との質問に「‥‥」答えらないわし。だから、名古屋ってなんもないんだって。で、結局、わしの勝手な好みで東山動物園へ。中学生まで無料なのに、なぜかお金を払って入場した梅本小学5年生。もったいない。
そしてここが最重要ポイント。北星伝統の単独行動が遺伝子レベルから身に付いてしまったわし。もちろん、携帯電話はもっていない。手帳はなくしたので、オバタリアン連中の携帯の番号も知らない。「絶対はぐれる」と直感したわしは、不良妻Tに「はぐれたら勝手に置いていって」と告げる。「あいよ」と事情を飲み込む不良妻T。慣れたものだ。
楠本勝也に似ているとの説が有力なマレーグマ
そして、1時間後。案の定はぐれたわしは、2分ほど周りを探したが「まあいいや」と見切りをつけ名古屋駅へ舞い戻る。そして、浪人時代に良く通った「熊五郎ラーメン」へ。元気な親父が、今だ健在だったことに一安心。味噌ラーメンをかきこんだ。時間を潰して名古屋市公会堂へ。
会場入りすると、すでに楠本は到着済み。ひとりでバンデージを巻いているので「手伝いましょうか?」というと「自分のことは自分でする、北星魂っすよ」と一言。そこで、「昨日、モハメド会社休んで徹夜したらしいっすよ」とプレッシャーをかけると、「まじっすか! 負けられないっすねえ」と楠本。
実は、楠本はこの日着用するトランクスを、タイへ帰っていたウィラサクレック会長に頼んだのだ。しかし、できあがったトランクスにはでっかく「WSR」(ウィラサクレックジムの略称)の文字が。「こりゃまずいだろ」と見かねたモハメドが、「つけかえてきましょうか」と名乗り出て、「じゃあ」と楠本が頼んだわけだ。ところが、言ったはいいが、実はこの手の作業が得意でもなんでもないモハメド。苦戦して前日会社を休み、徹夜して、新幹線の中まで作業して、ようやく完成となったわけだ。
試合が始まった会場を見回すと、オバタリアン軍団と再遭遇。「いやいや悪いっすハグレちゃって」と全然悪いと思ってないが、一応社交辞令をしておく。しかし、一人めちゃくちゃ怒ってるのがいる。「女スパイ」だ。えらく探したらしい。だから、「置いてけ!って言ったろ」と言うが通じない。他の3名はケロッとしたもの。こんなんで怒ってたら北星ジムでは生きてはいけない(モハメドはうちのジムじゃないが)。やっぱキミはミネラル不足。豆腐パン食べなさい。
帰りは、某キックじじいとのぞみで帰京。「ああ野崎『元』選手、引退式はいつ?」と2時間嫌みを言われるが、女のヒステリーより遙かに心地よい。気がつくと東京。
お疲れさまでした。