不登校、引きこもり、家庭内暴力を解決するために

子供のためのカウンセリングとは

自分と子供どちらが大事？

以前にもお話しましたが、子供は愛情を注ぐと同時に、叱るべきときはきちんと叱って、しつけなければなりません。
【子供の正しい叱り方】

ところが、このしつけというもの、叱るべきときと叱るべきでないときとの判断が間違っている親御さんが多く見受けられます。

その結果、子供が不登校や引きこもりになったり、親に隠れて悪さをしていたり、あるいは、心を病んでしまったりしたとき、その原因に全く心当たりがないという親御さんがほとんどです。


『ちゃんとしつけをしてきたのになぜ？』と、本当にどこがいけなかったか理解できないのです。

ただ、このような親御さんの中にも二通りあります。

ひとつは、『自信をもって子育てしてきたつもりだけど、子供がこうなってしまったんだから、私たちがどこかで間違ってしまったんだろう』と反省する人。

もうひとつは、『自分たちが間違っているはずがない。きっとまわりの環境が悪かったんだ』と、学校や同級生などのせいにしたり、あるいは、夫婦でお互いのせいにしあったりする人たちです。


後者のような親御さんは、そんな親御さん自身が原因になっていることが大半なので、まずは親御さん自身のカウンセリングが必要です。

しかし、自分が間違っていると思っていないわけですから、それは現実的ではありませんね。

ですから、私はこのようなご家庭からのご相談はご遠慮させていただいています。


前者のような親御さんのいるご家庭では、比較的問題も解決しやすいものですが、それでも危険な落とし穴はあるので注意が必要です。


その落とし穴とは、自分たちを肯定してくれるカウンセラーに対して、全面的に依存してしまうことです。

人間だれしも、自分の考えやしてきたことを否定されたくはありません。

たとえ結果がこれまでの自分の考えや、してきた努力を否定するようなものであったとしてもです。


ですから、相談に行ったスクールカウンセラーなどに『お父さん、お母さんの育て方は間違っていませんよ。お子さんの不登校は一時の気の迷いですから焦らず、長い目でみてあげましょうね』といった言葉がすっと心に入ってきて、無条件に信頼してしまうのです。


しかし、カウンセラーというのは言葉のプロ、心を操るプロなのです。

どのように言えば、相手は自分に心を開き、信頼してくれるのかという知識もあり、その技術にも長けています。

そんな基本的な技法のひとつとして、相手を一切否定せず全面的に受け入れるというものがあります。

ですからカウンセラーが、子供の不登校や引きこもり、あるいは、非行や心の病気などで相談に来た家族の人たちに対して、否定的なことを言うことはありません。

（相手が、高圧的な態度に弱そうな人、自分を否定して新しい考えを受け入れたいと思っている人などの場合はこの限りではありません）


さらに相手の心をより強くつかもうとするカウンセラーならば、あなたのことを肯定すらするでしょう。

何かで失敗して自分はダメだと落ち込んでいる人が、専門家のような人から、あなたは正しかったんだと聞かされると、そのように自分を肯定してくれる専門家の意見を喜びという強烈な感情とともに全面的に受け入れ、その人に対して心は一気に惹かれていきます。

これはカウンセラーが用いる心理テクニックの一端なのですが、そんなカウンセラーの言葉に酔いしれる前に、ちょっと冷静に考えてみてください。


あなたの目的は、一体何でしょうか。

子育ての失敗で落ち込んでいる自分の心を慰め、励ましてもらうことでしょうか。

それとも、学校に行けず、外出もできず苦しんでいる我が子を地獄のような環境から救い出してやることでしょうか。


カウンセラーというのは、目の前にいる相手の心の負担を取り除いてあげようとしたり、自分を信頼させようとしたり、様々にコントロールしようとする習性があります。

もちろん、悪意なくやっている場合が大半ですが。


ただ、一方の人に好都合なことでも、他方の人間にとっては不都合である場合は多いものです。

不登校や引きこもりなどはまさにそのケースで、親を肯定したために、子供やまわりの人たちを否定する結果となり、子供をより窮地に追いやってしまうということになってしまいます。


ですから、このカウンセラーは信頼できると思っても、自分にとって良いカウンセラーなのか、大切な我が子にとって良いカウンセラーなのかという冷静な自己判断をすることが必要なのです。

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