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引きこもりから脱出させるための必修知識
引きこもり脱出のために |
お子さんの引きこもりにお悩みの方へ、引きこもり生活から脱出させるために、これだけは知っておかなければならないという必要最低限の必修知識についてシリーズでお話ししていこうと思います。
(具体的な対処法についてはこちら【30分でわかる引きこもりから脱出させる方法】のほうをご参照ください)
まず引きこもりというのは、当然なにかのきっかけがあってはじまります。
幼児のころから家から出られないというのは、引きこもりというよりもあきらかな精神疾患ですから、そのようなケースではもう病院のほうに相談されていることでしょう。
ですから引きこもりというのは、人生のある時期から家にこもってしまうというのが普通です。
ただ人によって、その過程はかなり違ってきます。
対人関係が苦手で、このままじゃいつか引きこもりになるんじゃないだろうかと不安にさせる性質の子が、何かのきっかけでやはり引きこもりになってしまったということもあれば、人並み以上に明るく活発で友人もたくさんいたのに、あるときから急におとなしくなり家からでなくなってしまったというようなことも少なくありません。
後者のようなケースでは親御さんからするとまさに青天の霹靂で、その戸惑いと焦りは大変なものがあることと思います。
ただ、いずれにしても引きこもりになるには何らかの原因が必ずあるわけで、どんなお子さんでも子供のころは普通に外に出て遊んだり、学校に行ったりしていた時期はあるものです。
最近では、幼稚園や小学校のころから行きしぶりがあったり、ときどき休んだりしていて、それが徐々にひどくなって不登校になり、そのまま引きこもりになってしまうというケースも増えてきています。
これは発達障害の傾向がある子に多く、そのような場合はその子にあわせた適切な対処を年齢の低いうちから行うことが一番大事になります。
なぜならば、発達障害というのは個性であるとよく言われるように、その人の性格、性質の一部なのです。
そして、人間の性格、性質は先天的な資質が半分ですが、あとの半分は育つ環境によって形づくられるからです。
ですから、1歳、2歳であっても発達障害の兆候が見られたなら、速やかにそれに応じた対処、つまり育て方をしていくことがその子の一生を決めるほど重要なのです。
この発達障害に関しては、詳しい説明が必要になるのでまた別のページで述べていきます。
引きこもりの問題に話をもどすと、子供が学校にも行かず、働きもせず、ずっと家にいるというのは、親御さんにとっては経済的にも精神的にもおおきな負担となってしまいます。
そんな引きこもりがどうしておこるかというと、統計をとったわけではありませんが、引きこもりの9割ぐらいは不登校からの延長線上でおこっています。
つまり、不登校の時にほうっておけば何とかなるだろうと考えて、適切な対処がなされなかったということです。
ですから、本来であれば不登校の対処さえしっかりしておけば、引きこもりの9割はなくなるということなのです。
さらに言えば、不登校になる以前の子育てをただしくやっておけば不登校もほとんどなくなってしまうということです。
ただ現実は、予防というものになかなか意識がいかず、どうしてもその対処が後手後手にまわってしまうのが大半の人間です。
これは生活習慣病などでも同様ですね。病気になってからあわてて病院にかけこむというのが大多数の人です。
そのようなわけで、不登校も引きこもりもいっこうにその数が減らないのですが、引きこもりのやっかいなところは自分の病気ではないところです。
自分の病気であれば痛みやしんどさがあったりするので、反省してはやく治さなければと生活習慣を見直したりしますが、引きこもりの場合は必ずしもそうとはかぎりません。
むしろ、本人には危機感も罪悪感もなく、親の焦りもどこ吹く風で、当人はいたってのんびりと引きこもりライフを楽しんでいることはよくあります。
もちろんそんなケースばかりではなく、なんらかの悩みを抱えていてそれが原因で引きこもっている場合などは、本人もはやく引きこもりから脱出して普通の生活をしたいという希望をもっていることもあるにはありますが。
このように引きこもりというのは様々なパターンがあるので画一的な対処法では解決できず、個々のケースに応じた対応をしていく必要があります。
引きこもり解決を謳う業者の中には、とにかく寮に連れていって集団生活をさせればいいというところもあり、親御さんのほうも、とにかく家から出られればそれでいい、という考えの人も多くいます。
しかし実際は、もっと心によりそった対応や心理カウンセリングなどのメンタルケアが必要なケースもたくさんあります。
引きこもりには引っ張り出しという安易な対処が楽で手っとり早いように思えますが、お子さんの人生は50年、60年と続くのです。
そんな長いスパンで考えるなら、幸せな人生を送れるようにさせてやるには、少々時間はかかっても立派な社会人として社会復帰させてやることも必要です。
そのためには、引きこもりと一口に言っても様々なパターンがあり、それぞれに応じた最適な対処をしていく必要がある、ということを知ることが必要です。
引きこもりの対処は、ひとつ間違えるとお子さんのみならず、親御さんの人生までも台無しにしてしまう危険性をともなっています。
そんな危険性を知って、慎重にかつ早急に対処を行っていく、これがお子さんを引きこもりから脱出させる第一歩になります。
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お子さんが引きこもりになってしまったけれど、どこに相談してよいかわからず途方に暮れている、という方は多いものです。
不登校であれば、学校に行っていないことがクラスメートの口から自然に広まるので、ウワサを聞きつけたおせっかいな人がいろいろとアドバイスをしてくれることもあるでしょう。
それが本当に役立つ場合と逆効果になる場合とがありますが、いずれにしてもだれかに相談できたり頼ったりできるというのは心強いものです。
しかし引きこもりの場合は、事情がちがってきます。
当人が外にでないわけですから、近所の人も昔の同級生もそんな現状にはなかなか気づきません。
たまに引きこもりの人が事件を起こしたとき、近所の人はその人の存在すら知らなかったということがニュースで報道されていたりしますね。
家で大声でどなったり、暴れたり、奇声を発したりしているようなケースであれば別ですが、そうでなければ隣に住んでいる人でも気づきにくいものです。
そんな孤立無援の親御さんが頼るのが、一番はネットだと思います。
いろいろと引きこもりの解決策をネットで検索して、また様々な業者のサイトを見て一番納得できそうなところに相談するというのが、大多数の親御さんの行動になるでしょう。
最近では、行政も引きこもり支援の窓口を設けているので、まずは安心できる行政の福祉課などに相談に行かれる方も多いようです。
それからつぎは親の会への参加。
そしてそれでもダメなら、引きこもり解決を謳う民間業者や心理カウンセラーということになろうかと思います。
高校や大学などで不登校になって引きこもりをしている場合は、スクールカウンセラーや学校の先生に相談という手段もありますが、そんな不登校で引きこもりというケースに関しては、【不登校】のほうをご参照ください。
どのようなところに相談するにしても、それぞれ一長一短がありますので、ここではそれぞれのメリット、デメリットについてお話ししていきます。
まず行政ですが、 その唯一のメリットはお金がかからないことです。
近年では引きこもりが深刻な社会問題となっているので、大抵の市町村の役場や県の機関の福祉関係の部署で引きこもりの相談を受けつけています。
ただし、その業務内容は本当に相談にのるだけ、つまり話を聞いてくれるだけであって、なんら解決に向けたアドバイスをくれたり、対策を行ってくれたりすることはありません。
アドバイスとしては「本人が外に出る気になったら、パソコンなどの職業訓練を紹介しますよ」というのがせいぜいになります。
つまり、引きこもりが治ったあとの就職までのお手伝いはできますよ、ということですから、引きこもりの解決に役立つことはほとんどありません。
無料で利用できるわけなのでその程度のサービスになるのは致し方ありません。
お金もかからず、1日でガッカリして帰ってくるということになるので時間をムダに費やして悪化させてしまうということもないので、デメリットは小さいのですが、せっかく期待して相談にいったのになんの役にも立たなかったという精神的ショックはやはりデメリットと言えるかもしれません。
それからつぎは親の会ですが、これは不登校の親の会と同じようなメリットデメリットになります。
一番のメリットは、自分のウチだけじゃないんだと安心できるということになります。
また費用もかからなかったり、お茶代ぐらいですんだりするというところもメリットと言えるでしょう。
親の会には解決に役立つ情報が得られるというメリットがあるように思えますが、基本的に解決できていない人たちの集まりなので、残念ながら引きこもりを解決するための有益な情報が得られることはまずありません。
そして親の会のデメリットはかなり大きいものがあります。
ひとつは、お互いになぐさめあったり、はげましあったりして安心しているうちにどんどん長期化して、深刻化させてしまう危険性があるということです。
それからもうひとつは、足の引っぱりあいに巻きこまれてしまう危険性もあるところです。
ウチの子はまだまだ解決しそうもないのに人の子に先をこされるのはイヤだという思いから、『そっと見守っててあげれば大丈夫よ。そのうち立ち直ってくれるわよ』と根拠のない言葉で励ますふりをして自分とおなじ境遇にとどまらせようとする人がいます。
もちろんその人も悪意をもって言っているわけではないのですが、やはり人間自分だけが不幸であるというのは耐えられないものです。
そのような心理が意識的、無意識的に関わらずおこってくるので、自分が先に解決するまでは、おなじ境遇にある人のなんとかしようという気持ちを萎えさせようとするのはしかたないでしょう。
また、たまに自力で立ち直ったという子がスピーチをしたりすることもあるようですが、それは百人に1人ぐらいのラッキーなケースなのでそんな子の話を聞いたところで引きこもりの解決に役立つことはありません。
宝くじに当たって借金が返せましたという人の話をいくら聞いても、借金返済にまったく役に立たないのとおなじです。
つぎに引きこもり解決を謳う民間業者ですが、メリットは、本当にプロとしての技術と知識、経験をもっているところに当たれば、解決できるというところです。
ただし、業者によってピンからキリまであって、キリのほうがおおいというのは大きなデメリットです。
引きこもり解決の業者は、引きこもりが社会問題としてクローズアップされてきた近年になって急増してきたので、そのほとんどが知識、経験ともに不足しているところがほとんどです。
ですから必然的に、引っ張りだして集団生活をさせるという程度のサポートになっています。
もちろん、これはこれでひとつの解決法として有効な場合も多々あります。
引きこもりには、親の過度の甘やかしが原因となっているケースもかなりあります。
そのようなケースでは、無理にでもそのような集団生活の施設に入れるというのもいいと思います。
ただし費用の面ではかなり高額なところがほとんどです。
なので、ちゃんと立ち直って何十年と仕事を続けてくれれば、それでも安いものになりますが、失敗してなにもかわらないまま家に帰ってきて引きこもりが続けば、経済的にはかなりの打撃にはなるでしょう。
私自身が引きこもり脱出カウンセリングをおこない、そのあとで自立訓練から就労支援までをおこなうシステム【育てなおしの家】は、経済的にそれほど余裕のないご家庭でも安心して利用できるようになっております。詳しくはこちらをごらんください。
最後に心理カウンセリングですが、メリットは親御さんの不安を取り除いてくれる可能せはあるということぐらいです。
心理カウンセラーというのはかんたんに言えば、目の前の人の気持ちをラクにさせるプロなのです。
また、臨床心理士や公認心理士といったようないかにも専門家然として肩書きを見ればさらに安心させられるでしょう。
私もこれらの資格の有無をたずねられることがありますが、私がカウンセリングを始めたあとで、つい最近できた肩書きであって、とくに不登校や引きこもりのカウンセリングに関しては、むしろ私のほうがそのような人たちに情報提供をする立場なのです。
ですからそんな質問は、アメリカ人の英語講師に対して英検何級をもっていますか、と尋ねるようなものなので、返答に困ってしまうことも多々あります。
余談はさておき、心理カウンセラーというのはそんなプロなので、プロであればあるほど目の前の親御さんの気持ちを安心させようと手をつくしてしまいます。
その結果、『まあ、先生も心配するなと言ってくださっているし、そのうちなんとかなるでしょう』と、親御さんの気持ちがラクになってしまって、引きこもりの当人に対する対処が遅れてしまうという危険性は高くなります。
これは、本当の解決にとっては大きなデメリットと言えるでしょう。
それぞれのメリット、デメリットについてお話ししましたが一番に考えなければならないことは、自立して生きていってもらうために、なにがいまのお子さんにとって必要なことなのかということです。
充電期間でそっとしておくべきなのか
心理カウンセリングなどの精神的なケアが必要なのか
親元から離して自立させるべきなのか
など、お子さんの状態をしっかりと観察してください。
また自分で判断できなければ誰かに相談する。といったことが、引きこもりから脱出させる第一歩となるのです。
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先の【様々な対処法のメリット、デメリット】でも見てきたように、行政や親の会は基本的に引きこもりの解消にはたいした役には立ちません。
ですから、ご家庭だけではどうにもできない引きこもりに対処するには、必然的に民間業者か心理カウンセラーの手を借りるということになります。
しかし第三者の手を借りるといっても、「初めてでよく分からない」、「本当に脱出を成功させるにはどうすればいいの?」、「なにか注意点はあるの?」といったように不安にかられる方が多いことと思います。
とくに終わりのある不登校とちがって、ヘタな対応をすると一生を台無しにしかねない引きこもりですから、よけいに慎重にならざるを得ないでしょう。
そんなこともあって、ついつい対処先のばしにして手遅れにさせてしまっているご家庭がおおいものです。
そんな人生の破滅をまねかないためにも、第三者にサポートを頼む際に知っておくべきこと、注意点などをお話ししていきます。
まず初めにすべきことは不登校の場合と同様で、サポートを依頼する先がお子さんの精神状態をきちんと診断できるかどうかを確かめることです。
一般の方が引きこもりの解決やカウンセリングといったサポートを探すには、ほぼ100%ネット上ということになるかと思います。
ですから、まずはその内容、特に具体的な対処法についての部分をじっくりと読んで、きちんと精神状態を診断した上で個々のケースに合わせた対策を講じてくれるのかというところを確認してください。
なかには引きこもりについての解説は詳しくもっともらしいことが書かれているのに、肝心のどのようなカウンセリングやサポートをしてくれるのかといった内容についてはほとんど具体的な記述がないところもあります。
このようなところは、ネットで拾いあつめた情報をまとめて立派なHPを作っているだけで、実際の技術や経験はほとんどないという可能性が大なので要注意です。
どのような機関、業者にしてもメールや電話で問い合わせることができるはずですので、かならず事前に内容について尋ねましょう。
そして、その上でお子さんのケースにあった対処をしてもらえるところに決めていただくといいと思います。
例えば、神経症や精神疾患がありそうなというお子さんの場合は、きちんとした心理カウンセリングのできるところに依頼する必要があります。
ただただ外に出るように説得するとか、強引に引っ張りだすといったようなやり方のところでは逆効果になってよけいに悪化してしまいかねません。
また、心身ともにまったく普通で元気そうなのに理由も言わず引きこもりになっているといったケースでは、お子さんと対話しながらその原因を探ったり、外の世界に導いてあげられるようなサポートしてくれるところを選ぶのがいいでしょう。
あるいは、家で暴言を吐いたり暴れたりして家族の手に負えなくなってしまっているようなケースでは、少々強引に引っ張り出してくれるところがいいのかもしれません。
このように、お子さんの状況によって必要とするサポートが変わってくるので、どのようなコンセプトでやっているのか、どのようなケースに対応できるのかを知ることは重要です。
ですから、「どんな引きこもりでも大丈夫」とか、「必ず解決できます」などという業者は論外であることがわかるでしょう。
もうひとつ業者選びのチェックポイントとして、料金設定というのがありますが、それについては次に説明していきます。
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引きこもり解決のサポートを依頼する業者の選び方のひとつは、先にも書いたとおり精神状態の診断を元に、お子さんの状態に応じた対策をおこなってくれるということになります。
それに加えて事前に業者の善し悪しを判断するもうひとつの目安は、料金が妥当であるかどうかということです。
引きこもり解決のサポートには、さまざまなかたちがあります。
親御さんに対して対処法をアドバイスする
自宅訪問をしてお子さんのカウンセリングをおこなう
寮に入居させて自立に導く
ようするにおおきく分けると、来所させるか、訪問するか、預かるか、というかたちですね。
当然この3つでは料金がかなりちがってきます。
ですから、それぞれのタイプ別に金額の相場を知っておくことが必要です。
そして、それぞれの相場からおおきくはずれたものは、なんらかの事情があるので警戒しなければなりません。
ひとつめのいわゆる来所カウンセリングですが、これは通常の心理カウンセリングと同様に1時間あたり6千円前後が相場と考えてください。
カウンセリングセンターでは、ときに1時間1万円、2万円というところもありますが、これはひとつの自己演出であり『こんな価値のある立派な先生に診てもらってるんだ』という意識をもってもらう効果をねらったものです。
院の内外装が高級感あふれる仕様になっていたりするところもおおいものですが、このようなところは一般の人を対象としたところであって、引きこもりの専門家ではありません。
いくら親御さんがすごい先生だと思っても、お金を払うのは引きこもりの当人ではないのでなんのプラセボ効果(プラシーボ効果)も発揮しません。
そのように高級感を出しているようなところは、一般カウンセリングをメインとしたところか、不登校や引きこもりのカウンセリングがほとんど開業したてのところということになります。
基本的に引きこもりのカウンセリングは、通常のカウンセリングに比べて長丁場になることがほとんどなので、高額な料金だと途中でカウンセリングを継続できなくなってしまうご家庭もでてきます。
なので、本当に引きこもり解決の技術と知識と経験とがあるところは、相場以上に料金が高いということはまずありません。
ですから料金設定だけを見ても、そのカウンセラーの技量の程度がある程度は判断できるのです。
つぎに、自宅への訪問カウンセリングの場合です。
これは単純に先ほどの6千円前後という相場に時間を掛け算すれば出せますが、これはカウンセリング時間だけでなく、自宅まで往復する時間も含めて計算する必要はあります。
それプラス交通費というのが妥当な料金です。
最後に、入寮する場合の料金です。
これは、基本的に生活費とカウンセリングや就職支援などのサポート料金との合計になります。
まず生活費ですが、家にいても食費や光熱費で月に3万円程度はかかるでしょう。
それ以外に施設に住まわせてもらうわけですから家賃がプラスとなりますが、これは何人ぐらいが一室に詰めこまれるのかによってちがってきます。
個室とか二人部屋であれば、その地域の風呂なしアパートぐらいの料金が相場でしょうし、5人も10人もが雑魚寝するというようなところであれば、せいぜい1万円というところでしょう。
ですから、生活費としては4〜8万円ということになります。
つぎにサポート料金ですが、これは数万円程度、高くても5万円までだと私は思います。
なぜならば、家から出て集団生活をしようという時点で、もはや引きこもりではないわけで、あとは簡単な自立支援をしてやるだけでいいからです。
こう考えると、だいたいの相場は10万円〜15万円ぐらいになろうかと思います。
ただし、家庭内暴力がひどいとか常に監視をつけておかないといけないといったような精神状態の人を預かってもらうような施設の場合は、話がちがってきます。
それだけの受け入れ態勢を整えなければならないので、相場の倍以上はかかるかもしれません。
このように来所、訪問、預かり、それぞれの料金の相場を見てきましたが、ご参考までに育てなおしの料金システムも紹介しておきましょう。
まず、来所してのカウンセリングですが1時間あたり6千円となっています。
そして、訪問は往復時間も含めて半日かかる場合は1万8千円、丸1日かかる場合は3万2千円。それプラス交通費になっています。
自立施設に入居の場合も、他の施設の半額以下の費用で利用していただけるようになっていますが、詳細については直接お問い合わせください。
このように引きこもりの解決を第三者に依頼される際には、いくつかのチェックすべきポイントがあります。
引きこもりは長引けば長引くほど、機会費用の損失が大きくなります。
(機会費用というのは、働いていれば本来得られたであろうお金のこと)
1日も早くにお子さんに引きこもりから脱出してもらうためには、このような点をしっかりと踏まえた上で、本当に解決できるだけのノウハウをもったところに依頼することが大切です。
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先日のテレビニュースで引きこもりの8050問題というのが、とりあげられていました。
これは子供が引きこもりのまま50歳を過ぎ、家計を支えている親が80歳代になって、将来への不安や生活の困窮などがつよくなってくるという問題です。
将来を悲観して一家心中まで考えてしまうほど追いつめられてしまうご家族も少なくないようです。
テレビに出演していた引きこもり支援のNPO法人の代表は、こうなる前の7040という時期に対処をしなければならないと言っていました。
しかし私に言わせれば、それでも遅すぎます。
いまの時代ふつうに社会人として働いていた人間でも、会社の倒産やリストラなどで職探しをしようとしてもなかなか大変なのです。
それなのに40歳まで家に引きこもっていた人間が、社会に出てまともな仕事を探すことができるでしょうか。
できるはずがありませんね。それができるようであれば、引きこもりにはなっていないでしょう。
ですから引きこもりの対処は、1日でも早く始めなければならないのです。
ただ引きこもりの構造的な問題が研究されていないため、ことの重大さに気づかないまま放置して8050という手遅れに近い状況におちいるご家庭が大半になってす。
私は以前からくり返し引きこもりは進行性の難病のようなものであると言い続けてきていますが、その危険な実態がなかなかひろく世間に認識されることがありません。
そこで、引きこもりがどのように人生や家庭の崩壊という絶望的な状況へと進行していくのか説明していきましょう。
まず最初のうちは子供が家に引きこもっていても、そのうち動き出すだろうと甘く見て放置してしまうご家庭がほとんどです。
これが第1の過ちです。
本来ならば引きこもりがはじまった時点で、すぐにカウンセリングを受けさせなければなりません。
いやもっと望ましいのは、以前と様子が変わって元気がなくなってきた、家族とも会話しなくなったといったように精神が不安定になったとき、すなわち引きこもりの兆候が見られたときに、すみやかにカウンセラーに相談することです。
何年にもわたる引きこもりが魔法のように1回のカウンセリングで治ってしまうかのように期待されている親御さんが多いのですが、1回で解決できる可能性があるのはこの予防的カウンセリングの段階か、引きこもりがはじまったごくごく初期の段階ぐらいです。
にもかかわらず、引きこもりの危険性を知らないほとんどのご家庭では、この時点での対処がなされることはありません。
これで引きこもりは第2ステージへと進行していきます。
第2ステージは、数年間引きこもりが続く状態です。
2年程度であれば、まだおなじ年齢の人たちからそれほど遅れをとるわけではないので、本人のがんばりしだいでスムーズな社会復帰は果たせます。
もちろんその場合も、精神状態が病んでいないとことは必要最低条件にはなりますが。
もし精神状態が病んでしまっている場合は、引きこもっていたのとおなじぐらいの治療期間は必要であると考えなければなりませんし、場合によっては投薬などの西洋医学的治療が必要になってきます。
ところが、ここでも引きこもり特有の落とし穴がひそんでいます。
ひとつは家族の方がその状況に慣れてしまって2年が3年、3年が5年、5年が10年と気づいたときには中期、後期の状態になってしまうということです。
8050になってしまうご家族の多くがこのパターンであると言えます。
もうひとつは引きこもりからの脱出にはそれ相応の時間が必要だということを、ご家族の方が認識されていないことです。
そして、長期間の引きこもりが数回程度のカウンセリングで治ることを期待して、せっかくの引きこもり脱出のチャンスを逃してしまうことです。
結局、引きこもりを甘く見ている意識が根底にあるのです。
引きこもりの期間とおなじだけ社会復帰に要する期間が必要であるという認識が広まれば、対処の遅れから大変な事態になってしまったとしても、後悔しながらも前向きにじっくりと引きこもりと向きあっていこうと考えられる親御さんも増えてくるでしょう。
そして大事な我が子が引きこもりになってしまったら、甘く見て放置することなく、すみやかに対策を講じるご家庭もまた増えてくることと思います。
第3ステージは、長期の引きこもりから精神を病んでしまった状態です。
引きこもりの厄介なところは、ここまできてようやく家族の方がことの重大さに気づきはじめることです。
最近でこそ不登校や引きこもりが社会問題として表面化してきたため、引きこもりになりかけの段階でカウンセリングなどの対処をおこなうご家庭もポツポツと出てきましたが、それはまだまだ少数派で初期、中期に対処できるケースすら本当にまれです。
第3ステージになると社会復帰以前に数年かけてメンタルケアが必要になってきますので、それなりの費用が当然かかってきます。
しかし、ここでもさらなる落とし穴が待っています。
それは、心の病をちょっとした心の持ちようでかんたんに治るだろうと軽く考えてしまうところです。
そんな心の持ちようを変えるためにお金を払って何年間も治療を受けさせるなんてもったいない、という親御さんがまだまだ多いものです。
そんな思いもあって結局放置するという最悪の選択をしてしまうのです。
今はほとんどのご家庭で小学生のときから子供を塾に通わせているようです。
それぐらいの余裕があるわけですから、お子さんが引きこもりになってしまったときは、最低でも塾に通わせるぐらいの期間と費用ぐらいはかけて治してやるべきだと思います。
このように引きこもりというのは、放置すればするほど解決するまでに時間も費用もかかるようになっています。
ですから、引きこもりの対処はいつはじめればいいのかというのは、1日も早くというのが正解です。
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引きこもりの対処をはじめるとき、どのようなかたちで進めていけばいいのかよく分からない方が多いと思います。
不登校と違って終わりのないのが引きこもりですから、その対処を間違えるとお子さんの一生が台無しになってしまう恐れがあります。
そんなこともあって慎重になるあまり、結局なにもできないままに何年も放置してしまうというケースもたくさん見てきました。
引きこもり脱出までにかかる期間は、引きこもりはじめてから対処をはじめるまでの期間が、だいたいの目安となります。
また心の健康を取り戻すのに要する期間は、いじめや虐待、その他、心的外傷を負ってしまったときから心のケアを開始するまでの期間が、やはり目安となります。
引きこもりというのは、その原因や家庭環境などによってそれぞれにあった対処をする必要があります。
ただどのようなケースであっても、その対処の流れに関してはだいたい決まったかたちになってきます。
ここでは、その対処の流れについてお話していきます。
まず最初の第一歩は家庭環境を見直すことです。
当人に発達障害や精神疾患がある場合は家庭環境に問題がなくても引きこもりになってしまうこともありますが、それ以外のケースでは、基本的に家庭に問題があるものです。
働きもせず、家で1日中ダラダラとネットをしたりテレビを見たりして遊んでいるという生活を許していること自体が大きな問題なのですが、そのことに気づいていない親御さんも多いものです。
ご自身で家庭環境を見直して、おかしいと思われるところがあれば、まずはそこから改善していけばいいわけですが、もし、どこにも問題が見当たらないようであれば、専門家に相談するということも必要です。
それは単に家庭に問題があるかどうかを判断してもらうというだけでなく、お子さんの精神状態や発達障害、精神疾患の有無なども同時に診断してもらうことができるという意味もあります。
ご自宅だけで対処しようという場合は別ですが、家族だけでも対処が難しくて第三者に依頼するしかないというのであれば、家庭環境を見直すというのは最初から専門家に相談するということでも良いと思います。
家庭環境の見直しと改善ができれば、あとはそれでしばらく様子を見るということになります。
ただしく家庭環境が改善されていれば、引きこもりのお子さんの生活環境は劇的に変わっているはずですから、なんらかのリアクションが起こってくるはずです。
例えば、家族の接し方がこれまでと全然ちがっているとか、使い放題だったネットが制限されているとか、食事を家族と一緒に食べるようにされたなど。
そのような環境の変化をすんなりと受けいれるのか、無視するのか、反抗するのか、程度の大小は当然ありますが、基本的にはこの3つのリアクションになるかと思います。
そのようなお子さんの反応を見て、今度はそれに応じた対処をしていくことになります。
すんなりとではなくてもそんな家庭環境の変化を受けいれるようであれば、ご家庭だけで解決できる可能性も高くなります。
根気よく社会復帰をサポートしてやることで、引きこもりから脱出できる日がやってくるでしょう。
家庭環境の変化を一切無視して自分のカラに閉じこもってしまう場合は、メンタルケアが必要な場合がほとんどです。
ご家族だけでの対処には限界があるので、すみやかに専門家にサポートを依頼されるのがいいでしょう。
反抗したり暴れたりするようなケースでは、おおきく分けて3つの原因が考えられます。
ひとつは発達障害や精神疾患がある。
つぎに、甘やかしすぎ。
最後は、過去に親御さんがお子さんの心をひどく傷つけるようなことをした。
もちろん、このなかのいくつかが重なっていることもあります。
ふたつ目の甘やかしすぎたという場合のみご家庭で厳しく育てなおすということで解決は可能ですが、これまで甘やかしばかりで接してきた親御さんがいきなりまともな接し方ができるようになるにはかなりの努力が必要かと思います。
また、甘やかされて育ってきて親よりも自分のほうが偉いと思っているお子さんを、しかも体力的にも勝っているであろうお子さんを、いまさら親御さんがちゃんとしつけられるのかという問題もあります。
ですから、この3番目の反抗してくるケースも、やはり専門家に任せることが必要になってくることがほとんどです。
そして、ご家庭で対処するなり、専門家に任せるなり、方針が決まったら、あとはいつまでにどうするのかといった目標をたてることです。
例えば、
半年かけて家族関係を良好にしていく
そしてつぎの半年で外の世界に慣れてもらう
2年目からは、まともな仕事ができるように、まずパートやアルバイトから始めてみる
といった具合です。
これはあくまでも一例なので、すべてのケースでこのとおりの目標をたてるというわけではありません。
個々のお子さんの状況に合わせた目標をたてなければならないことは、言うまでもありません。
そして目標が定まったら、あとはそれに向かって妥協せず、全力で進んでいくだけです。
引きこもりというのは個人的な問題ではなく、家族の問題なのです。
ですから、家族の方がどこまで本気で立ち向かうかが、引きこもり脱出の成否をにぎっているのです。
引きこもりの対処法は個々のケースによって様々ですが、脱出までの流れとしてはこのようなかたちになります。
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引きこもりというのは学校にもいかず、働きもしないで三食昼寝付きで家にいて、ただただ自分の好きなことだけして暮らしている状態ですから、家族の甘やかしが原因であることは言うまでもないでしょう。
しかしご家族のほうにも、そうせざるを得ない理由がある場合もあります。
おおまかに分けて言えば、つぎの3つのケースになるでしょう。
子供が心を病んでしまっている
発達障害の影響で親の言うことは一切聞かない
家庭内暴力がひどくて、もはや親の手にはおえない
この3つのケースの対処法については、これから順次解説していきますので、そちらをご参照ください。
ここでは純粋な甘やかしだけが原因のケースについてお話します。
一般に甘やかしと言えば、親が子供の言いなりになって欲しいものをなんでも買い与えてやったり、イヤなことはさせず好きなことばかりをさせたりして、まともにしつけをしないというイメージがあるかと思います。
実際には、まさにこのようなケースもあるのですが、これ以外にもうひとつのパターンもあります。
それは、欲しがるものをなんでも買い与えるというところまではおなじなのですが、そのかわりに親の理想を押しつけて子供にとってイヤなこと、不本意なことをさせているというケースです。
この後者のほうは、子供の心をいびつなかたちに成長させてしまうので少々やっかいなことになるのですが、まずは前者の甘やかし100%の育て方のほうから対処法をお話ししましょう。
これは、対処法自体はとてもカンタンです。
『働かなければ家から追い出す』
たったこれだけです。
もう少し具体的に言えば、期限を決めて仕事を探させて、その期限までに仕事に就かなければ家から出ていって自活してもらうという方法です。
家から出る場合、多少のまとまったお金は与えてやってもかまいませんが、それ以上の援助は一切してはいけません。
普通にバイタリティーのある子であれば、たったこれだけでちゃんと親離れして、まっとうな生活を送れるようになります。
いわゆるニートと呼ばれるような子に対しては、もうこれだけで十分なのです。にもかかわらず、ここまでニートが多いのは、親が子供に自立をうながす責任を放棄しているからに他なりません。
ただ引きこもりの子となると、少し難しい場合もあるかもしれません。
引きこもりになるような心の弱さを持っているうえ、生まれてこのかたなに不自由ない環境で甘やかされて育ってきているわけですから、そんな人間がいきなり仕事に就けるかというと、かなりハードルは高いとは思います。
しかしそれでも幼稚園児や小学生ではなく立派な大人なのですから、やってできないことはありません。
お子さんのがんばりに期待して、世間の荒波の中に放りだすのも親としての責任と言えるでしょう。
ただ、こうして引きこもりからの脱出法を教えても、実行できない親御さんが非常に多いのが実際のところです。
イイ年をしたヒゲ面の息子さんに対して幼稚園児のボクちゃん扱いで、子供を家庭から離すことを極度に恐れていたりするのです。
そして自立をうながすどころか、退屈させたらかわいそうだからとパソコンや携帯で24時間ネットにつなぎ放題にしてやり、カップラーメンやスナック菓子しか食べないからとわざわざ買ってきてやりといったように、甘やかしているという意識すらなくなってしまっている親御さんもいます。
何十万人とも言われる引きこもりの何割かは、そんな甘やかしの結果なのです。
ただ、そんないつまでも子離れできない親御さんに、ひとついいことを教えましょう。
このような親御関係は、ちょうどマザコンやファザコンの逆パターンと言えるでしょう。
しかしマザコンやファザコンという言葉はありますが、自分の子供を恋愛対象に近いほど溺愛してしまうサンコンとか、ドーコン、あるいは、むすコンといった言葉はありませんね。
なぜかというと大半の親は、とくに母親は、自分の子供が大好きで、何よりも大事で、かわいくてたまらないという気持ちをもっているものだからです。
そう、基本的に親というのは『むすコン』なのです。
そしてその感情は、たとえ子供が中年になってでっぷりと太ったおじさん、おばさんになったとしても、なかなか覚めることはありません。
ですから、子供を異常に甘やかしてしまうというのもしかたない部分もあるにはあるのです。
ただし親にはそんな感情をおさえてでも、子供を自立に導いてやらなければならない義務と責任があるのです。
子供をちゃんと自立させている親というのは、子供の成長に合わせて徐々に自分から身を引いていっています。
それができずに、いつまでも息子、娘を子供あつかいして、ベッタリとひっついている親御さんが子供を社会からドロップアウトさせて苦しめているのです。
ですからそんな引きこもりには、親のほうが思いきって子供から離れることが必要です。
もし、いきなり仕事をさせたり、家から追いだしたりするのがかわいそうだというのであれば、自立支援施設にいれるというのがいいでしょう。
甘やかしからの引きこもりは、とにかく親子が距離をおくということがお互いにとって一番いい解決策になるのです。
それではつぎに、親が自分の欲を満たすために子供を利用して、その対価として甘やかしてきたというケースについてお話しましょう。
具体的に言うと、親が自分の見栄や体裁のために子供の意思にかかわらず習い事や勉強をさせるというケースです。
これは、イヤがる子供に強制的にやらせるというわかりやすいパターンもありますが、むしろ『○○ちゃんは、とっても頭がいいわね〜。きっとすごい才能を持っているはずだから、せっかくの才能を伸ばすために塾にいってみましょうね』などと言って、それとなく自分のやらせたい方向に子供を誘導するパターンのほうが多いかもしれません。
このようなケースでは、親は自分が子供をコントロールしてきたという事実に気づいていない場合もありますが、自分のために子供を利用していることをうすうすわかっていて、そんなうしろめたさから余計に甘やかしてしまうという人も多いものです。
しかし、子供のほうは親のそんな欲のために自分が利用されていることに気づかないほど、いつまでも幼いままでいるわけではありません。
人の心の裏がわかるぐらいの年齢になると、親のそんなあざといやり方にはちゃんと気づいています。
強制的にさせるにせよ、誘導してさせるにせよ、親が子供を利用しようとしたぶん、子供のほうも親を利用してやろうという気持ちになってくるのは当然で、それが『今度はお前たちが言うことを聞く番だ。自分は働かないから、お前たちが養えよ』という主張につながってくるのです。
このようなケースも基本的には先の対処法とおなじで、働くか、家を出るかの選択を迫るというものでいいのですが、その前にどうしてもやらなければならないことがあります。
それは、親がちゃんと自分の非を認めて、子供に謝ることです。
人間同士のつき合いは、いったん信頼関係が損なわれてしまうとそれを修復するには長い期間やおおきな努力が必要になります。
子供は生まれてからしばらくは、無条件で親を愛し、全面的に信頼しています。
そんな純粋な愛情に対して、自分を満足させるように勉強や習い事をすればほめてやる、かわいがってやるといった条件付きの愛情で接していると、やがて子供もそれに気づいて親に対する信頼をなくしてしまいます。
引きこもりというのは、ほとんどのケースで自分に自信をもてないことが一因となっていますが、そんな条件付きの愛情をもって育てられた子は自分に対する価値や肯定感をもちづらくなります。
ですからそれも含めて、まずは親が子供に心から謝ることが必要になります。
もしきちんと謝ることなしに『働かないなら家を出ていけ』と言おうものなら、また自分に都合のいい条件を突きつけてくるのか、と余計に信頼をなくして親御関係を決定的に悪化させてしまうだけです。
ですから、まずは本当の無条件の愛情でむすばれた親子関係を築きなおして、それから甘やかしてきた部分を修正していくという手順での対応が必要になってきます。
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子供の家庭内暴力は、過度の甘やかし、虐待、そしてもっとも多い親への復讐といった育て方に問題があった場合とパーソナリティー障害などの発達障害がある場合とがあります。
ですから、それぞれのケースによって対処法を変えていかなければなりません。
ただいずれの場合も、ちゃんと学校に行っていたり仕事に就いているのであれば、ゆっくりと時間をかけて適切な心理カウンセリングを受けさせれば大丈夫です。やがては暴力もおさまってくるでしょう。
しかし1日中家に引きこっていて、気にいらないことがあるとカッとなって暴力をふるったり暴れたりするような場合や暴力が日常的になってしまっている場合は、早急に対処する必要があります。
夫婦間のDVでも妻が暴力に慣れてしまって逃げることもせず、誰かに助けを求めることもできないままに何年、何十年と耐え続けているケースは多いものですが、子供の家庭内暴力の場合も同様の傾向がみられます。
いや暴れているのが他人である夫とちがって血のつながった我が子ですから、よけいに逃げだすことができないケースが多くなります。
また逃げだしてしまっている親御さんも、ギリギリまで耐えて、限界をこえてはじめて家をでているというケースがほとんどです。
家で一人暮らしをしていた引きこもりの人が犯罪をおこしてしまうというニュースがたまに報道されていますが、犯罪をおこすぐらいまで子供の精神状態が悪化してしまって、ようやく逃げだしているのです。
このように、ひたすら耐え続けて限界になって、もうどうしようもなくなってようやく逃げだす、それまでは甘んじて子供の暴力を受け続けるというのが、子供の家庭内暴力に悩んでいるご家庭の現実なのです。
夫婦間のDVや親の子供に対する虐待もそうですが、家庭内で誰かが日常的に暴力をふるう家庭内暴力というのは、当人だけでなく家族全員の人生を壊してしまいます。
本来ならば、そうなる前にただしい子育てをするべきですし、それができずに子供が不登校や引きこもり、家庭内暴力などの問題行動をおこしたら、その時点ですぐに適切な対応をするべきなのです。
ところが、それを怠って対応を伸ばし伸ばしにして、結局にっちもさっちも行かなくなって子供も人生も投げだすようなことになってしまう人が後をたちません。
最近では専門家を称する人たちが、不登校も引きこもりも問題視するほどのことではないと吹聴したりしていますが、不登校や引きこもりというのは暴力の第一歩なのです。
それは直接的な暴力だけではありません。
自殺をほのめかして親を脅すというのも立派な精神的暴力です。
また、自傷行為や拒食、過食といった自分の肉体を痛めつける行為や神経症やうつのように自分の精神を痛めつけるようなものも一種の暴力です。
ようするに、誰かの心や体を傷つける行為はすべて暴力なのです。
そしてこのような暴力行為と不登校や引きこもりといった行動は、根源はおなじところにあるのです。
ですから、『不登校も引きこもりも子供が選択した生き方だから、その意思を尊重してやればいいじゃないか。放っておいてもそのうち心変わりするから』といったような甘い言葉を信じて、取り返しのつかない結果にならないように気をつけてください。
それでは、引きこもりの子供の家庭内暴力にはどのように対処すればいいのでしょうか。
甘やかし、虐待および親への復讐、発達障害と、それぞれのケースに応じて解説していきましょう。
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◆甘やかしが原因の家庭内暴力には
まずは過度な甘やかしが原因の家庭内暴力の対処法です。
引きこもりだけでもその対処はかなり難しいものですが、暴力までともなってくると、もはや第三者の助けを借りるのが本来とるべき正しい対処法と言えます。
ただ、どうしても家族の問題は家庭内だけで解決したいという方もおられると思いますので、ご家庭でできる対処法についてお話していきます。
この甘やかしからの家庭内暴力のケースでは、最初に確認しなければならない大事なことがあります。
それは、体力的に親が勝っているか、子供が勝っているかということです。
甘やかしからの引きこもりや家庭内暴力には、子供がまともな人間として社会生活をおくれるように、 親がすみやかに甘やかしをやめて、しつけのしなおしする必要があります。
しかし、甘やかされて育って親に平気で暴力をふるえるようになっている子は、もはや親を自分の子分のようにしか思っていません。親を完全に舐めきっています。
そんな自分が見下している人間がいきなり上からの態度でしつけなおしをしようとしても、すんなりと納得できるはずもなく、それどころかそんな親の態度が気にいらないと暴れたり暴力をふるったりすることは明白でしょう。
ですから、きちんとしつけなおしをするためには、子供の暴力をおさえこめるだけの体力が必要になってきます。
家庭内暴力を受けている親御さんの中には、非暴力主義という言葉を自分に都合よく解釈して、抵抗もせず子供の暴力を黙って受け続けている人がいます。
暴力はいけない、暴力ではなにも解決しないというのは本当でしょう。
しかし、それで暴力を甘んじて受け続けるのは、逆に暴力を肯定していることに気づいていないのです。
なぜならば、抵抗もせず暴力を受けるということは、相手が暴力をふるうことを黙認しているということだからです。
暴力をふるうことはどんな場合でも罪ですが、暴力をとめないというのは相手に罪を犯させているのです。
本当に暴力がいけないと思っている人は、相手に暴力をふるわせないように全力でとめるはずです。
暴力を受けているのが自分でなく、例えば、幼稚園児や小学生の子供だったらどうでしょうか。
良識ある人間でしたら、当然止めにはいるでしょう。
これは弱い者を守るという意味だけでなく、暴力をふうるうという行為自体が許されないこととして、相手にそんな許されざる罪を犯させないようにするという意味もあるはずです。
自分に対する暴力もこれとおなじです。
殴られるのが自分だからガマンすればいいというのは、自分さえいい子ちゃんになれれば、相手は犯罪者になってもどうでもいいという考えにほかなりません。
暴力というのは、加害者がだれであれ、被害者がだれであれ、絶対に許してはいけないのです。
これはどのケースの家庭内暴力においても共通して認識しておかなければなりません。
自分は親だから子供の暴力なんか痛くないとか、甘んじて暴力を受けることがこんな子に育ててしまった自分への罰だ、といったようなのは単なる逃げ口上です。
手がつけられなくなったモンスターのような我が子を恐れてなにもできないことの言い訳をして、放置してはいけません。
親であればそんなモンスターに育ててしまった自分の責任として、恐怖を乗り越えて立ち向かわなければなりません。
具体的な対処法としては、まずはネットやゲームの時間を制限して規則ただしい生活をおくらせることからはじめます。
このとき一番大事なことは、絶対に暴力は許してはいけないということです。
もし暴力で反抗してきたら、腕力でおさえこめるようであればそうします。体力的に無理なようでしたら、一発でも殴られた時点ですぐに警察に通報しなければなりません。
これは、『暴力は絶対に許されない』という人間として最低限のことを教えるしつけです。
隣近所の手前そんなかっこ悪いことできないとか、子供がかわいそうという人がいますが、平気で暴力をふるえるような人間に育ててそのまま放っておくほうが何万倍も子供がかわいそうですし、暴力や精神不安定がエスカレートして大事件になってしまうほうがよっぽど世間体が悪いものです。
とにかく、なにがあっても暴力だけは絶対に許さないという毅然とした態度で子供をしつけなおすことが、家族でできる唯一の対処法になります。
暴力をやめさせることと生活の改善ができたら、パートやアルバイトでもかまわないので仕事をさせるか、ハローワークで斡旋してもらえる職業訓練に通わせるという、つぎの段階に進みます。
もちろん、家族の対応だけでそこまでできるようになるには数ヶ月から数年はかかるかもしれませんが、あきらめてはいけません。
通常であれば、子供は幼児から20年近くかけてしつけや教育を受けて自立するものです。
そんな20年分のしつけや教育を怠ってきたわけですから、それなりの期間がかかることは覚悟しておかなければなりません。
家庭内暴力をふるう引きこもりの子を自立させるのは、非常に難しいことなので家族だけで対処しきれないことも多いかと思います。
そんな場合は、専門家のサポートを受けるか、しつけなおし、育てなおしができる施設に預けるか、どちらかの手段を検討してみましょう。
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◆虐待、親への復讐の場合は
人が暴力をふるうのは、イライラしたり、カッとなったりして心に暴力的な衝動が起こった場合と誰かに恨みや怒りの感情をもっている場合です。
先の甘やかしが原因の家庭内暴力は前者になります。
甘やかされてそだってきたため、がまんするという習慣が身についていないのです。
そのため、ちょっとしたことでも自分の気に入らないことには腹をたててしまいます。
昔は、学校でも先生や生徒に対して怒りのままに暴力をふるう子も多く、校内暴力として社会問題になっていた時期もありました。
しかし最近では、他人に対してそこまでわがままにふるまえる子は減ってきたので、校内暴力はおさまっています。
そのかわり、他人には怒りの感情をぶつけられない、かと言って自分の気に入らないことをがまんすることもできない、ということで学校に行かなくなる子が増えています。
このようなタイプの子は甘えられる家の中では、はなから怒りの感情をおさえようともせず暴力的な行動にはしってしまうのです。
そして、不登校や引きこもりが長引けば長引くほど、甘えも暴力もひどくなるという典型的な家庭内暴力へと発展するのです。
動物的な本能で感情のままに行動していいのは赤ちゃんのときだけであって、動物から人間になるためには、きちんとしたしつけを受ける必要があるのです。
それがなされていないのが、甘やかしから家庭内暴力をふるうようになっている人たちなのです。
それに対して、親に恨みや怒りの感情をもっていて復讐のために暴力をふるっている人たちもいます。
なぜ親に恨みや怒りをもっているのかは人それぞれですが、大きく分けるとふたつのケースがあります。
ひとつは、親から虐待を受けていた場合です。
ただ虐待と言っても、アザができたり、血がでたり、大ケガをさせられるようなひどい虐待を日常的に受けていたようは人は、親への恐怖心が植えつけられてしまっているので、逃げだすことはあっても暴力で仕返ししようとするようなことはほとんどありません。
家庭内暴力をふるうようになるケースというのは、厳しすぎるしつけとか、感情のままにたたいたり、ストレスのはけ口にして怒鳴ったりといったような警察や第三者が介入できない程度の虐待を受けていた場合です。
このような場合、子供が大きくなって体力的に勝るようになってくると、これまでの仕返しとばかり、暴れたり、暴力を振るったりするようになることがあるのです。
このようなケースでは、立場が逆転してはじめて親御さんは、自分のしてきたことが虐待だったと気づいて後悔することになります。
これ以外に親に恨みや怒りをもつ、もうひとつのケースは裏切りです。
小学生ぐらいまでの子供はだれよりも親を無条件に愛し、信頼しています。
そして、逆に親のほうも無条件に自分を愛し、守ってくれるものだと信じています。
ですから子供の心を健全に育てて、なおかつ、家族関係を円満にするために親はそんな子供の信頼にこたえなければなりません。
例えば、長男、長女だから下の子よりも厳しく接するとか、兄弟、姉妹のほうをかわいがるというのは結構よくあるパターンです。
ただ、家庭内暴力につながりやすいのは、そのようなケースよりも、親が自分のことを優先させるケースです。
例えば、子供が学校でいじめられたり、教師に理不尽な扱いをされたりしたとき、幼稚園児や小学生ぐらいの子供であれば、親がきっと助けてくれると信じて、助けを求めてきます。
そんなときに、世間体が悪いとか、先生に対して抗議するなんておそれおおいとか、仕事が忙しいとか、自分の都合優先で子供の助けを求める声を無視する親御さんがいます。
これがおおきな裏切りになります。
もちろん、一度や二度の裏切りであれば子供のほうもまだ親に対する信頼を完全には失ってはいませんが、同様のことがたびかさなると子供は親に対する信頼感もなくして、それ以上なにも期待しなくなります。
そうなると親は、自分に衣食住を与えて養ってくれる都合のいいおじさん、おばさんでしかなくなってしまいます。
もちろんそれが子供の自立心を育てて、若いうちから人並み以上にしっかりした社会人になるケースもあります。
しかし、そのように独立心旺盛な子でなく、消極的でうちにこもるようなタイプの子の場合、いつまでも親に裏切られた思いを引きずってしまい、そんな子が不登校や引きこもりになってしまうと、そんな状態に追いやったのが親であると恨みの念をもってしまいます。
そして、『お前たちのせいでこうなったんだ』を口ぐせに、どなったり、暴れたり、暴力をふるったりというかたちで仕返しをはたそうとするのです。
甘やかしからの家庭内暴力の場合は、人間的な資質がかけてしまっているので、第三者に対しても尊大な態度をとったり、暴言を吐いたり、まれに暴力までふるったりするというケースもあります。
それに対して虐待や裏切りの仕返しの場合は、親に対する恨みや怒りの感情からおこっているので、第三者に対して暴力的になることはあまりありません。
ですからこのようなケースでは、第三者に間にはいってもらって親子関係を修復していくことが解決への近道になります。
もし、どうしてもご家族だけで解決したいというのであれば、徹底的にあやまるところはあやまって、誤解されているところは誤解をとくべく根気よく話しあうことです。
それによってお子さんの心の傷が癒えてくれば、だんだんと暴力もおさまってくるでしょう。
引きこもりから脱出させて自立させるのは、それからの作業になってきます。
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◆発達障害と育て方、両方に原因がある場合は
発達障害というのはとても幅広い症状をあらわす漠然とした言葉で、だれでもどんな人でも発達障害の要素をもっていることは、以前から述べてきたとおりです。
(発達障害について詳しくは、こちら『発達障害の子を普通に育てる方法 』をご覧ください)
ですからここで言う発達障害というのは、感情や衝動を抑える能力や人を傷つけることがいけないことであるということを理解する能力が十分に育っていないタイプの発達障害、もっとかんたんに言えば、生まれながらに暴力的な資質をもっている人のことになります。
ただこのようなタイプの発達障害で深刻な人は、実際にはそう多くはありません。
統計をとったわけではありませんが、私の経験から言うと発達障害と診断される人の9割ほどは暴力的なタイプではありません。
10人に1人ぐらいが暴れたり、暴力をふるったりすることがあるぐらいですが、それも発達障害だけの影響というよりも、育て方と相まってそのような性格になってしまっている人がほとんどです。
ですから、純粋に生まれながらに暴力的な資質をもっている人は、100人に1人もいるかどうかというぐらいになります。
ただ、実際にそのような人も存在するわけですから、発達障害からの家庭内暴力の対応を考えるときに、ふた通りのパターンを見ていく必要があります。
まずは、発達障害があって育て方もまずかったケースです。
一般的に発達障害と診断される人は、いったん自分がこうと思うと絶対に意見を変えないぐらい極端に思いこみが強い人がほとんどです。
ですから、いったん暴れたり暴力をふるったりするほど親に対して敵対心や反感をもってしまうと、親がなんと言おうと、すんなりと親の意見を受けいれたりすることは、まずありません。
また、そんな強烈な思いこみをもっている発達障害の人に対して腕力で応じてしまうと、恨みを買ってしまうだけで、決して反省して、円満な家族関係が戻ってくるということはありません。
ですから、このようなケースの家庭内暴力には第三者の力を借りるしかありません。
一番いいのは家庭内暴力や親子関係の悪化が深刻に、決定的になってしまう前に、カウンセラーなど第三者に間に入ってもらって家族関係を修復していくことです。
もしなんらかの事情でそれができないのであれば、暴れたり、暴力をふるったりするのを待って警察に来てもらうことです。
そのようなかたちであっても、第三者にはいってもらうことで当人も冷静に考えなおすきっかけになります。
もちろん、これは1回だけに限ったことではありません。暴力をふるうたびに何度でも警察を呼ばなければなりません。
そうすることで、暴力だけはなにがあっても許されないんだということを自覚してもらえますし、警察官の方からおだやかに話をしてもらうことで、反省したり、考えを改めたりするきっかけになる可能性もでてきます。
ただし警察官は心理カウンセラーではないので、あまり大きな効果を期待してもいけませんが。
とにかく、発達障害と育て方の両方が原因となっているケースでは、自分たち親に対して強烈な敵意や悪意、怒りなどをもたせないように、もうもたれてしまっている場合はそれを増幅させないように気をつけながら、解消していかなければなりません。
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◆発達障害だけが原因の場合は
つぎに育て方が関係していない、純粋な発達障害からの家庭内暴力についてです。
こちらのほうは、実は対応としては簡単なのです。
暴力というのは、明らかな犯罪行為です。
その犯罪行為がやめられない、悪いとも思えないというのであれば、これはもう警察の手にゆだねるしかないのです。
だれにも、どうすることもできません。
このような発達障害をもった人が人を殺してしまうという事件は、たまに報道されていますが、残念ながらそういう人は、親であってもどうすることもできないのです。
事件が起こった後に、『こうなる前に兆候があった時点で専門家の治療を受けさせておけば・・・』などとテレビのコメンテーターなどが言っていたりしますが、唯一できることは薬で廃人のようにさせて隔離入院させるぐらいであって、現実的には人権上そんなことはできませんし、本人がそもそもそんなことに同意するはずもありません。
また警察も事件も起こしていないうちは、なんの対策もおこなうことはできません。
ですから家族としては、自分たちの身の安全を確保しつつ、犯罪をおこさないように監視するというのが唯一できる対応になるでしょう。
しかし、良い情報と悪い情報の良いほうからお話しすると、殺人事件まで起こすようなタイプの発達障害は、何千人か何万人に1人ぐらいだということです。
ですから、一生かかっても償いきれないような迷惑を人様にかけるという最悪のケースになることは、ほとんどありません。
ただ悪い情報としては、人を殺すところまでいく人はごくわずかな一方、平気で暴力をふるうという人はそれよりも少し多くなってきますし、それ以上にやっかいなタイプの発達障害の人はとても多いということです。
平気で暴力をふるう人の場合は、最初に述べたとおり警察に任せるということで対応できます。
しかし本当にやっかいな発達障害の人というのは、どこまでやれば犯罪になるのか、なにをすれば警察に通報されてしまうかといったことをちゃんと理解していて、法律スレスレのところであばれたり、家族に嫌がらせをしたりしてくるのです。
警察は民事不介入なので、家のお金を勝手に持ち出したり、家具や家電を壊したりしても、恫喝したり、傷にならない程度に殴ったり蹴ったりしても、つかまることはありません。
そのようなことを心得たうえで、家族を威圧して家庭内暴君として君臨するのです。
このような警察にも頼れない発達障害の人のために、生き地獄のような人生をおくるはめになってしまっている家族はけっこう多いものです。
それではこのようなケースには、どう対応すればよいのでしょうか。
ひとつは、当人を家に置いて逃げだすということです。
毎月生活費を与えたり、毎日食事を届けたりして、家で一人暮らしをさせているというご家庭は実際に多いものです。
これ以外の対応としては、できるだけ頻繁に第三者を家の中に入れることです。
家族以外の人間が家の中にいると、そうそう暴れることはできません。
また、できればその第三者は、事情をよく知る心理カウンセラーであることが望ましいでしょう。
それなりに技量のあるカウンセラーであれば、徐々に家庭内暴力を収めて、前向きな人生を歩めるように説得してくれるでしょう。
ただ、一朝一夕な解決を望んではいけません。年単位の時間をかけてじっくりと対処していく必要があることは、覚悟しておかなければなりません。
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現代はパソコン、スマホ抜きには生活できないネット社会になってしまいました。
そしてその影響は、良くも悪くも引きこもりの形態をも大きくかえることになりました。
まだネットやパソコンが普及していない時代の引きこもりは、家にこもってできることと言えば、せいぜいマンガを読んだりテレビを見たりするぐらいでした。
学校にも行かず、仕事もせず、そのような娯楽で自由気ままに過ごすのも引きこもりをはじめてすぐの頃はまだ楽しいのですが、無尽蔵にコンテンツがあるネットと比べてテレビ番組やマンガなどは数に限りがあるので、すぐにあきてしまうのが普通でした。
ですから、はたから見ると好きなことだけして呑気に暮らしているように見えても、実際は毎日が退屈で退屈で、監獄にとらわれたような気分で日々を過ごしているという人が大半でした。
もちろんその一方では、いまの引きこもりの人たちと同様に外の世界を恐れる気持ちで満たされていたので、退屈だからといって簡単に家から出ることもできませんでした。
ただ心の中ではつねに退屈と外の世界の恐怖とのせめぎあいが続いていたので、退屈のつらさのほうが勝れば、自ら思いきって外の世界に飛び出していって引きこもり生活にピリオドを打つということも多々ありました。
また自ら出ていく勇気がなかなかもてない人も、誰かが手を差しのべてくれたら、それにすがって徐々に社会復帰を果たしていくというケースもたくさんありました。
とは言っても、引きこもりというのは難病ですから、そんなに簡単に解決できるケースばかりではありません。
むしろ、どれほど退屈であっても外に飛び出す勇気ももてず、誰にも手を差しのべられないままに何十年と過ぎてしまうケースのほうが何十倍にもなります。
そんなネット環境もなかった頃からの筋金入りの引きこもりが、いま深刻な社会問題にもなっている中、高年の引きこもりの人たちです。
ですから、引きこもりというのは決して楽観視できないものなのですが、家にいてもなにもすることがなく退屈でつらいという環境は、少なからず引きこもり解決に役立つのです。
それに対して、現代は家にいることが快適この上ない環境になっています。
いまは貧富の差にかかわらず、ほとんどの家庭にパソコンやスマホがあり、ご丁寧に24時間ネットに接続できるWi-Fiまで備わっています。
いまさら言うまでもないことですが、ネット環境さえあれば、なんでも欲しいものは買うことができますし、ゲーム、マンガから友だちまで、なんでも家にいながらそろえることができます。
またわざわざ飛行機に乗らなくても海外の風景を楽しむことすらできますし、音楽もスポーツ観戦も思いのままです。
昔は大金持ちだけしか経験できなかった、好きなことだけして遊んで暮らすという生活が、バーチャルな世界ではありますが、パソコンやスマホが1台あれば誰でもができるのです。
ですから引きこもりの部屋は、かつての退屈と孤独にさいなまれる監獄から世界最大の娯楽場へとかわったのです。
しかも、いまは大抵の家庭で子供部屋にまで冷暖房が完備されています。
また食事もほんの数百円もだせば、そこそこおいしいものを食べることができます。
いまや、どんな貧しい家庭でもこのような環境がそろっているのですから、引きこもりの部屋は地上の楽園になっていると言っても過言ではないでしょう。
もちろん、それは親が働いてお金を稼いでいるから実現可能なだけであって、引きこもりの人が自分の力でそんな楽園生活をおくっているわけではありません。
ですから、そんな生活をさせている親こそが、引きこもりを助長させている一番の原因であると言えるかもしれません。
長年の引きこもりから脱出させるには、まずはそんな甘えに気づかせるべく、パソコン、スマホの利用制限からはじめなければなりません。
楽園生活から現実へと引き戻すこと、これが絶対に必要です。
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先にネット社会が引きこもりを深刻化させているという話をしました。
しかし、ある種の引きこもりの人たちにとっては、ネットの存在が引きこもりからの脱出のきっかけになることもあります。
ネットがなければ絶望的な人生を送るしかなかったであろう人が、一発大逆転してしまうというケースが少ないながらもあるのです。
それはどのようなケースかと言うと、『自分なんかなにもできない。誰よりも劣っているんだ』と自信をなくして、家に引きこもっているケースです。
いわゆる、自己肯定感がもてないタイプの引きこもりです。
このような人は、何らかの心の病気や精神疾患をもっているわけではありません。
また、いじめや犯罪被害にあうといったような強度のトラウマを抱えているわけでもありません。
小学生の頃は勉強やスポーツなどが人並み以上にできていたのに、中学生、高校生になってくるとだんだん人並みか、それ以下になってしまったとか、親からさんざん優秀だとほめられ、もち上げられてきたのに学校に入ってみると実際はそれほどでもなかった、といったような小さな挫折から自信を喪失して何もやる気がなくなってしまった、という人がほとんどです。
ですから、何かのきっかけで人並み以上の結果を出したりするだけで、一気に引きこもり生活から脱出してしまうことがあるのです。
ただしネットがなかった時代は、家に引きこもっていながら人より優れた結果を出せるものというと、せいぜい絵を描くか、小説を書くぐらいでした。
そして、それが世に認められるというのは奇跡的な確率の出来事なので、このようなタイプの引きこもりの人でも、何かのきっかけで自力で立ち直るということは実質ありませんでした。
ところがネットの出現で、その確率は宝くじで数百万円があたる程度には上がってきました。
いまは家に引きこもっていてもネット環境さえあれば、株やFXなどのトレード、あるいは、ネットビジネスで一般サラリーマンの月給以上のお金を稼いだりすることも可能なのです。
実際ネット上で引きこもり関連の検索をすると、そのような手段で引きこもりから脱出した人の体験談がいくつもでてきますね。
中にはそうやって引きこもりを克服した人が、引きこもり解決のプロであるかのように名乗って商売している人もいます。
もちろん自分自身を引きこもりから脱出させたわけですから、そんな体験を人に伝えて役立ててもらおうというのはいいのですが、すべての引きこもりを自分とおなじものだと考えて、引きこもり解決のプロを称するのはちょっと調子に乗りすぎのきらいはあります。
このような人たちは、もともと人に勝ちたい、人よりえらくなりたい、人から評価されたいという思いが強いので、いったん何かで自信をつけてしまうと今度は天下をとったかのような気持ちなってしまいやすいのです。
そのような危うさはあるとしても、ネットのおかげで絶望的な引きこもりから脱出できる人が少なからずいるのも事実ですので、そんな可能性にかけてみるのもひとつの方法かもしれません。
ただ、ちょっとした挫折で引きこもって、少しうまくいけば有頂天になってといったように落ちこんだり、浮き上がったりの差が激しい人が多いので、失敗したときのことも考えておかなければなりません。
ネットひとつで簡単に大金が稼げるなら誰もがやっているでしょう。
しかし実際は、トレードもネットビジネスも失敗している人のほうが多いのです。
失敗や挫折に弱い性格の人が、引きこもり脱出の最後の望みをかけて失敗してしまったら、その落ちこみから立ちなおらせるのは並大抵のことではありません。
ですから、ネットで稼ぐというわずかな確率に一発逆転をかけさせるのなら、家族の方にもそれなりの覚悟が必要になってきます。
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子供が引きこもりになる理由のひとつとして、親の過干渉があるとよく言われます。
しかし実際は少しぐらい干渉したていどでは、子供が不登校や引きこもりになることはありません。
子供をそこまで追いつめてしまうのは、ああしろこうしろと子供の人生を親が決めてきたような場合や自分の思惑どおりに子供の気持ちを誘導して、勉強させたりスポーツをさせたりと行動をコントロールしてきたような場合です。
また、親の愛情不足というのも不登校や引きこもりの原因となりますが、これは子供に対して愛情をもっていないというよりも、愛情をきちんと伝えてこなかったために子供が十分な愛情を得られなかったというケースのほうが多いものです。
さいきん急激にふえてきた発達障害や精神疾患の場合を除けば、このような親御さんの接し方が不登校や引きこもりの原因であることがほとんどなのですが、それではなぜ親が大事な我が子を人生の窮地に追いこむようなことをしてしまうのでしょうか。
じつはそのおおもとの原因は、人間の欲にあるのです。
仏教の世界では欲望と執着がすべての悩み苦しみの根元であると説かれていますが、まさに不登校や引きこもりに関してもそのとおりなのです。
人に出来のいい子供を自慢したいという欲や子供を自分の分身か所有物のようにあつかう執着心、あるいは、子供のことより自分の満足や幸福感を優先したいという欲などなど。
親のそんな欲や執着心が、過干渉や愛情不足を引き起こしているのです。
こうしてみると、執着というのも欲から発生した心理なので、究極的には欲こそがすべての問題の根源であると言えるでしょう。
ちなみに、不登校や引きこもりの原因は親ばかりでなく子供のほうにもあり、やはりそれも欲に起因しています。
人が怖い、人とうまくつき合えない、集団生活がイヤ、勉強ができない、仕事をしたくないなど様々な理由がありますが、これらも自分の身体、プライド、楽な生活などに対する執着心や欲が原因なのです。
ですからやはり仏教で説かれているように、欲こそがすべての問題の根源であり、逆にこの欲をうまくコントロールすることができれば、あらゆる問題を解決することができるのです。
ただし、欲を完全になくせばいいのかというと、そうではありません。
欲というのはすべての人間に生まれながらに備わっている心理であって、それなしには人間は生きていくことはできません。
人間に欲があるからこそ食事もするし、仕事もするし、子孫も増やせるのです。
知的障害のない人間が完全に欲をなくした状態というのは、重度のうつ状態か、座禅を組んで三昧の境地に至っているときぐらいです。
もちろん、この両者は対極の状態にあるのですが、いずれにしてもその状態で生きていける人間はいません。
その状態が長く続けば、うつ患者は衰弱して死んでしまいますし、禅僧はそのまま即身成仏となってしまいます。
ですから、欲を完全に捨てて生きるということはできないのです。
ただし先にも述べたように、不登校や引きこもりなどの問題を解決するには根本原因である欲をすてることが必要になります。
一見矛盾しているように思われるかもしれませんが、それでは不登校、引きこもりを解決するためにはどうすればいいのでしょうか。
答えはかんたんです。
必要な欲はそのままで、害となっている不要な欲だけをすてればいいのです。
ではどうすれば欲の要不要が判断できるかというと、『あきらめる』ことです。
不登校の場合は、手遅れになるまえになんとか立ち直らせようとしていろいろと手を変え品を変えて対処をするのですが、それらがムダな努力におわって引きこもりになってしまってからは、あきらめてしまってほったらかしにしているというご家庭が多いものです。
じつは、このような親御さんは『あきらめる』という限りなく正解に近いところまでたどり着いているのですが、そこからの対処が間違っているのです。
スポーツなどで無欲の勝利という言葉を聞いたことがあるでしょう。
勝とうという気持ちをすてて試合に臨むことで、最高のパフォーマンスをして結果的に勝ったというときに使われますね。
引きこもりの対処にしても、子供をああしてやろう、こうしてやろうという欲を捨てて臨むことが必要なのです。
子供への期待をあきらめることで、無欲の対処ができるのです。
ただし、この無欲というのを誤解してはいけません。
無欲の勝利を果たしたスポーツ選手が試合自体をあきらめてボーッとつっ立っていた、などということはないでしょう。
無欲で勝利できるというのは、勝つことへの執着心をすてることで、無心に最善を尽くすことができた結果なのです。
ですから引きこもりのお子さんに対しても、せっかくああなってほしい、こうなってほしいという欲をあきらめる心境になれたのですから、あとは最善を尽くしてことに当たればいいのです。
あきらめるというのは、決して子供の立ち直りをあきらめてほったらかしにするということではないのです。
あきらめるというのは、執着心をすてて無欲で物事に対処するための一番かんたんな方法であって、引きこもり以外のすべての問題に対しても利用できます。
そこでこれから、この『あきらめる』とか、『欲をコントロールする方法』などについて解説していきたいと思います。
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欲をコントロールする唯一無二の方法
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