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終焉のない物語の中に描かれた貴石の如き国々の歴史と
あるひとつの指輪を受け継いだ中興王の魅力に囚われた挙句
イっちゃったっきり帰って来られなくなった小さな人間の夢語り
↑はココのタイトルです(笑)。
メチャクチャ長いですが、一応単語や文字をちょっとずつ拾っていってもらえると解る通り、ちゃんと意味のあるモノなんです(笑)。
ココでは、『指輪物語』をはじめとする教授の生み出した彼の世界の一連の作品についてイロイロと語っていく予定です。
(遂にこんなモノまで…でも、放っておくと日記が指輪に侵食されちゃうんですもの(笑))
ちなみに下に行くほど新しくなる模様。
映画や原作&追補編はもちろん、『シルマリル〜』や『ホビット〜』『UT』『HoME』まで幅広〜くネタバレ有りなうえ、ボクの個人的見解(っていうか妄想?)まで含まれるので、「そういうのはちょっと…」という方はこのまま引き返していただく事をオススメします。
あと、ボクの語学力は高が知れてるので、誤訳に基づく誤解・曲解があったらごめんなさい。
それでは、一緒に愉しみましょう!
≡UT&HoMEを読もう≡
『UT』『HoME』に掲載されている日本語未訳の物語をボクなりに訳してみる事にしました。
きっかけは、ボクのお気に入りの物語達を他の人にも知って欲しいという想いです。
あとは、ほんのちょっぴりの――そしてとてつもなく無謀な挑戦精神(笑)。
瀬田氏・田中氏両訳のあの美しく情緒に溢れた文体はボクの実力ではとても再現できないので、敢えてですます調にはしません。(【THE
EPILOGUE】を除く)
原作を読みながら、直訳ではなくてボクらしい文章で物語を綴っていければと思います。
(なぁんて言ってたら、『UT』は邦訳本が出る事になったので、『HoME』中心に変更です)
THE BATTLES OF THE FORDS OF ISEN ―アイゼン浅瀬の戦い― 【1】【2】
THE DISASTER OF THE GLADDEN FIELDS ―あやめ野の凶事― (どうしよう…)
THE EPILOGUE ―指輪物語・エピローグ― 【スクリプトB】 ※編注に基づき若干原文を修正して翻訳
THE FALL OF GONDOLIN ―ゴンドリンの陥落― 【序】【1】【2】【3】【4】【5】
【6】【7】【8】【終】【あとがき】
≡森の奥方の御髪≡
未だに辞書をひくという事をしていない『UT』で、ちょっぴり愉快な記述を発見しました。
奥方夫妻の章で彼女の髪の美しさについて語られているところ。
奥方が同族であるノルドオルの中で唯一その偉大さで敵わないとされている火精の兇児(仮名)が、その御業の為に彼女の髪を譲ってくれと3度もおねだりしたのに、彼女は髪の一筋たりとも与えなかったとか。
それなのに、不器用でカワイイドワーフのお願いは微笑みさえ浮かべて聞き届けたんですね。しかもたった一筋との申し出に3本も(笑)。(『旅の仲間(下)』又はFotRのSEE参照)
『シルマリル〜』での火精の兇児(仮名)の傲岸不遜ぶりを知ってるだけに、思わずにやりとドワーフ笑い(byジ○ン・リス=デイヴィス氏)を浮かべてしまいました(笑)。
20030415
≡隠れ岩山の金華公と裂け谷の金華公≡
この2人は同一人物なのか?というボクが原書に手を出すきっかけのひとつとなった疑問について、『HoME』にて見解が述べられてるのを見つけて読んでみました。
思いっきり『シルマリル〜』ネタバレなので要注意。
結論からすると、どうやら同一人物らしいです。
一応2つのテキストがあって、後に載ってる方の冒頭では同名の別人ではないか、と書かれてます。
(隠れ岩山の方はシンダアル、裂け谷の方はノルドオルという事らしい…シンダアルって銀髪っていうか白金髪のイメージがあるんだけど?でもそれを言ったら金髪はヴァンヤアル?あれ???)
何しろこの一連の物語では同名別人が頻出していて、同じ一族でデネソール1世2世っていうように名前が継がれてくのはともかく種族が違ってもあり得るので――デネソールっていうエルフ、出て来るし(笑)――、それがまた認識能力に欠けるボクには辛かったりもするのだけれど(苦笑)。閑話休題。
でも、どちらのテキストでも隠れ岩山の劫掠の後にバルログと相討ちになって命を落とした金華公が再び肉体を纏って中つ国に戻って来た事になってるんです。
不死の宿命に生まれついたエルフは、肉体に癒し難い損傷を負うか深い悲嘆にうちひしがれるかすると外見上の仮初の死を迎えるのだけれど、その魂魄(スピリチュアル)は滅びる事無く【至福の地】アマンにある死者の館に赴いて裁きを受ける。そして、本人が望んだ上でマンウェ――最高位の陪神――の赦しが得られれば、再び生有る者として蘇り、中つ国の元いた場所へと帰る事が出来る。
で、金華公の場合親族への愛情からヴァラアルへの離反には参加したものの同族殺しには加担してないし、隠れ岩山の劫掠の際には自らの命を賭してトゥオル・イドリル夫妻とその息子エアレンディルを護り抜いた事もあって、ノルドオルの叛乱についての罪を赦されその身を解き放たれるわけです。
ただ、彼がいた隠れ岩山の王国は既に滅んでしまっていた為、すぐに中つ国には戻らなかったらしくその後のいきさつについては2つのテキストの間に微妙な差異も見られるのですが。
ともあれ、アマンで暮らすうちに謀反に加わらなかった者達に勝るとも劣らぬ強く神々しく優れた存在となった彼は、マイアアルの1人であるオローリンこと灰色の魔法使いと親しく付き合うようになり、やがて彼を助けるべく――それだけではないのかもしれないけれど――再び中つ国に現れた、という事らしいです。
(現時点で相変わらず辞書無しで読み進んでるので、間違った解釈だったら彼への愛故の事と大目に見てやってください(笑))
ちなみに、別口の魔法使いに関するページに彼が5人のイスタリ【魔法使い】の中の1人だったっていう案があったという話が載っていて、ちょっと笑ってみたり。
だって、魔法使い=マイアアルはエルフより位階でいったら上位の存在な筈だもの。
(このあたりのヒエラルキー【階級】にも触れたいなぁ)
しかも中つ国では必ず老人の姿をとってるっていう設定だったような…(笑)。
こういうところ、さすが草稿集に息子さんが手を加えて編集した本だなって思えて楽しいです。
20030428
≡庭師と北方王国の星≡
実は、『UT』が届いたばかりの頃、ぱらぱらとページを捲っていて王様と庭師殿の名前が出てるのを見つけたんです。
『指輪〜』本編の登場人物にはやっぱり思い入れも一入だし、語られてる内容も興味深そうだったので早速目を通してはみたものの、その時は何となく腑に落ちませんでした。
何しろ、このテキスト自体が他のエピソードの補筆といった意味合いのものだったのだから、当然といえば当然なのだけれど。
で、まずは魔法使いや奥方夫妻の章で肩慣らしをした上で、改めて本筋である「あやめ野の凶事」のエピソードからきちんと読んでみました。
今回は、幅広〜くあちこちからネタバレ。
ヌメノールの王は、王冠の代わりに銀(一説によるとミスリル)の環に白いエルフの宝石(ダイアモンドとの記述も有)をひとつあしらった額飾り【ティアラ】を身につけていました。
これが、《エレンディルミア》、すなわち《北の星》とも《北方王国の星》とも呼ばれる《エレンディルの星》です。
第4代の王の娘シルマリエンからエレンディルに伝えられたそれは、しかし、第三紀の初め亡き父エレンディルの後を継いで中つ国の上級王として北方王国アルノールの王位に就いたイシルドゥアがあやめ野にて命を落とした際、その亡骸と共に喪われてしまいます。
その後、彼の末の息子で次の上級王となったヴァランディルの為に裂け谷のエルフが作った新たな《エレンディルの星》が、代々のドゥネダインの族長に受け継がれ、ペレンノール野に現れた王様の額を飾っていたものです。
指輪戦争の終結後、パランティアを在るべき場所に戻すべくオルサンクの修復に当たっていた王様は、隠された扉を見つけ、指輪の旅の仲間であるドワーフの助けでそれを開け放ちます。
扉の奥は収納庫になっていて、其処には金の小函に入った美しい鎖――イシルドゥアが《ひとつの指輪》を提げるのに使っていた品――と共に喪われた筈の《エレンディルミア》が眠っていました。
(どうやら、指輪に魅せられて変節した白魔法使いがイシルドゥアの亡骸を秘密裏に発見した挙句、それを辱めるかのように燃やしてしまったようです。鎖や《エレンディルミア》はその時に奪ったのでしょう。確かに、肩程の深さしかない緩やかな流れの川で亡くなったのに死体はおろか骨さえも見つからないのはおかしいんですね。しかも、彼が身につけていた鎧兜や盾や剣はあやめ野から然程離れていない場所で見つかっているんですから。閑話休題)
王様は、《エレンディルミア》を畏敬の念を持って手に取り、北方王国へと凱旋しました。
そして、夕星王妃の手で《エレンディルミア》を冠された彼の姿を目にした人々は、そのあまりの神々しさに驚愕し、言葉を失ったそうです。
しかし、その後王様は北方王国の祭祀以外の場で《エレンディルミア》を身につける事はありませんでした。
正装する際には、ふたつめの《エレンディルの星》を身につけていたと言います。
曰く、「これだって38代もの族長に受け継がれてきた尊いものなのだから」と。何て言うか、彼らしいですね(笑)。
ここまでが前振りです。長(笑)。
本題は『指輪〜』の追補編。
北方王国を訪れた王様がブランディワイン橋に行幸した際、ホビット庄の庄長になっていた庭師殿に《ドゥネダインの星》を贈ったという記述があります。
これについて、『UT』では前述のような謂れのある品を譲り渡す事は幾らなんでも無理だろう、という主旨の事が描かれているのです。
「王様」「庭師殿」「《エレンディルの星》」なんていう思わせ振りな単語に踊らされたボクは、そこだけを読んでちょっと落胆してしまったわけですね(苦笑)。
《ドゥネダインの星》という名前はここでしか出て来ないから、もしかしたら《エレンディルの星》以外にそういう品が存在するのかも、という研究家(!)もいるらしいですが、実際にはそういうわけじゃなくて、庭師殿はもっと彼に相応しい別の何かを受け取ったのだろう、というのが『UT』での結論でした。
庭師殿が《エレンディルの星》を譲り受けたのだとしたら、指輪所持者が(原作では)王様との別離にあたって《夕星》を譲り受けたのとの対比もあるのかなぁなんて深読みしてただけにちょっぴり残念な気もするけれど、考えてみれば、ありふれた物事にこそ秘められている大切なものの真価を意識せずして見極める事の出来る庭師殿には、「権威の象徴」としての《ドゥネダインの星》なら確かに相応しくないかもしれません。
(尤も、王様のことだからもし本当に彼の星を贈ったのだとしたら「友情と敬意の証」としてなのだろうけれど。)
代わりに、いっその事《白の木》の実、なんて贈ってみてはどうでしょう?(笑)
20030520
≡隠れ岩山の王国の双璧≡
初めにお断りしておきますが、今回の語りは個人的な思い入れに基づく推測や空想(妄想?(笑))の度合いが非常に高めです。
そんなモノにつきあってられるか!という方、原作に描かれていない部分を勝手に想像するという行為が許容できない方は気分を害する恐れもありますのでご覧にならない事をオススメします。
『シルマリル〜』における「涙尽きざる合戦」に於いて、敵地よりの脱出を図る隠れ岩山の賢者王の左右を護って無敵を誇った2人の大将の名が上げられています。
それが、泉の主と金華公です。
金華公は(同一人物と仮定すれば)『指輪〜』本編及び追補編に出て来るものの、泉の主に至っては同『シルマリル〜』に隠れ岩山の劫掠に際しバルログの首領と相討ちになって命を落としたという記述があるばかりなのですが、家名から取られた通り名の美しさの為か、この2人については何故だか妙に心に残っていました。
それが再燃するきっかけとなったのが、『UT』に出て来る泉の主の「全身に銀を纏った」という描写です。
そんな彼が、「黄金の〜」なんていう枕詞を冠される金華公と並び立ったら、絢爛かつ壮麗な対比を為すと思いませんか?
(ついでに、隠れ岩山の賢者王は美しい黒髪の持ち主だったらしいので、3人揃うと更に華美だったものと思われます(笑))
その後、『HoME』の「ゴンドリンの陥落」を読んで、その想いと彼等への思い入れはより強固なものになりました。
この物語では隠れ岩山の王国の他の名家(彼等もまたそれぞれに優美な名を持つのですが)の多くの人々について語られているのですが、その中でもこの2人は群を抜いているように見受けられます。
これは、贔屓目ばかりではない筈。
(余談ですが、教授の未訳の作品の中でも「ゴンドリンの陥落」は「あやめ野の凶事」と並んで古き良き英国英語と美しい日本語に通じものの哀れを解する方に是非和訳していただきたいエピソードです。閑話休題)
彼等の共通点は、己が生命を賭して闇と焔の妖魔と相対しこれを倒した事と、人々に非常に愛される存在であった事。
これは、『HoME』の金華公の紹介欄に「泉の主と共に隠れ岩山の王国で最も愛された(意訳)」なんていう描写がある事や、彼を喪った人々の悲嘆――人々は、金華公の死後、春を迎え金鳳花の咲く季節になる度に彼の死を悼む宴を開いたのだとか――からも窺えます。
でも、それ以外の点では、この2人、良い意味で対照的だったように感じられます。
泉の主の装備は、表面に打たれた幾千のクリスタルの鋲がまるで光を弾く雨滴のようだという(メチャクチャ重そうな(笑))盾に振るう度に蒼白く輝く細く長い剣、ダイアモンドで覆ったひとつの角を持つ輝く兜。それらの何れも銀色だった模様。
彼は、腕の立つ武人である一方で穏やかな風流人でもあったようです。
幼いエアレンディルにフルートを聴かせたり草笛を作ってあげたりしてたらしいですし、隠れ岩山で最も美しい声と音楽の技を持つと謳われ、「楽の音の君」なんてふたつ名も戴いています。
ただし、「灼熱の炎に包まれた戦いの後に冷たき水の中で死を得た」と語られるその最期の様子からも窺えるように、殊戦いにおいては苛烈さを極めていたものと思われます。
(ボクの訳に誤りがなければ、バルログの鞭で左腕を切り裂かれ、盾を失い、死に瀕した蒼白い顔で泉の傍に横たえられていた彼は、最早剣持つ腕の傷の痛みに武器を握る事も儘ならなかったにも拘らず渾身の力を振り絞ってバルログに飛び掛かると兜の角でその胸を縫い止め、自らの身を投げ出して敵の動きを封じて諸共に深き水底へと沈んだ、とされているのです)
所謂、「普段温厚な人間ほど怒らせると怖い」タイプ。
対する金華公は、放射状に光り輝く太陽を描いた盾と精緻な金の象嵌を施した武器(後の戦闘シーンの描写からしておそらくバスタードソードの類と思われます)を持ち、バルログの炎の鞭さえ受け流す強固な黄金の鎧の上から金糸で春の野に咲く金鳳花に菱形を組み合わせた模様の刺繍をしたマントを纏っているとか。其処にいるだけで身の内から輝きを放つ(by指輪所持者)華やかな人物です。
彼の場合、もちろん詩歌を愛する雅な心も持ち合わせているけれど、どちらかというと乗馬や剣を好むイメージがあります。
エアレンディルやエステルに剣や弓の扱い方を教授している姿が目に浮かぶというか(笑)。
情が強く、義に篤く、多くの哀しい物事を見守りながら――後には死の痛みと恐怖さえ識りながらも、「若々しく喜びに満ちて」いると描写されるように陽気さを失わずに生きる事を愉しめる、ある意味で非常にエルフらしい、光の属性の人だったようです。
彼も、戦場ではさぞ峻烈な印象の武人だったことでしょう。何しろ、その存在感だけでアングマールの魔王をたじろがせ指輪の幽鬼を退けてのけるくらいですから。
彼等の性格や、その関係について触れた箇所は、今のところ見つかっていません。
だから、これはあくまで推測でしかないのですけれど、王国の双璧と呼んでも過言ではなかったであろうこの2人は、同じ王を敬愛し同じ民を護る事を望む戦友であり、相手の中にある自分にはないものを認め合い、互いに背を預けて戦う事の出来る親友だったのではないかと思うのです。
…まぁ、すべては、ボクの希望的観測というか、個人的思い入れの産物に過ぎないのですけどね。
20030817
≡『指輪物語』でタロット≡
ついうっかり「『指輪〜』の面々をタロットカードに当てはめたらどんな感じになるかなぁ」なんて思ってしまいまして(笑)。
せっかくなので、大アルカナの22枚全部、考えてみました。
コメントはネタバレあり。どちらかというと原作寄り?
(さすがに今回は名前の置き換えはしてません。ちょっとびくびく)
魔術師【Magician】
:ガンダルフ
女教皇【Priestess】 :エオウィン
女帝【Empress】 :ガラドリエル
皇帝【Emperor】 :デネソール
法王【Hierophant】
:エルロンド
恋人達【Lovers】
:アラゴルン&アルウェン《ルシアン&ベレン》
戦車【Chariot】 :エオメルwithロヒアリム
力【Strength】
:ギムリ《アルウェン》
隠者【Harmit】
:ソロンギル(馳夫)
運命の輪【Wheel of Fortune】 :フロドwithひとつの指輪
正義【Justice】 :レゴラス《メリー》
吊るされた男【Hangedman】 :サム
死神【Death】 :ナズグル
節制【Temperence】
:ファラミア
悪魔【Devil】 :サウロン
塔【Tower】 :サルマンwithオルサンク
星【Star】
:メリー《エアレンディル》
月【Moon】
:ボロミア
太陽【Sun】 :ピピン《グロールフィンデル》
審判【Judgement】 :セオデン
世界【World】 :エレスサール《アラゴルン》
愚者【Fool】
:スメアゴル・ゴラム
《》は当初思い浮かんだキャラクター。人間贔屓でエルフLOVEなボクらしい偏りぶりを発揮してみたものの、その後せめて旅の仲間9人は入れようと思い直して若干の変更を加えました。
それでも、出世魚並みに幾つも名前を持つ最愛の彼があちこちに顔を覗かせてるのはご愛嬌というコトで(笑)。
斜体の面々は完璧イメージ先行、逆に太字の分はカードの持つ意味をかなり恣意的に拾ってます。
他にも、ちょっとこじつけというか、無理矢理なところもありますし(苦笑)。
個人的に「愚者」のカードは結構お気に入りなので彼をココに持ってくるのには少なからず抵抗があったけど、『指輪〜』本編で言えばやっぱり彼がこのカードなのかな、と。
何しろ、彼(とその友人)があの指輪を拾って持ち去らなければとっくにサルマンの手に渡って取り返しのつかない事になっていたろうし、最終的には彼がいたからこそ指輪棄却の旅も成就したわけだし。
『シルマリル〜』ヴァージョンだと火精の兇児あたりが妥当なところかな?
…こちらは登場人物が多過ぎて収拾つかなくなりそうですね。
それにしても、この『指輪〜』タロット、実際あったら買っちゃいそうです(笑)。
(トランプはあるんでしたっけ?)
20030907
≡庭師殿とその子供達≡
庭師殿はとっても子沢山です。
系図を見ると、なんと13人!
子供達の名前も、息子達は長男フロドを筆頭にメリーにピピン、ハムファスト(庭師殿の父親の名前)、ビルボと彼に縁のある錚々たる面々が並んでいます。
一方、娘達にはロスロリアンに咲いていた金色の小花《太陽星》からとった長女エラノールをはじめとしてローズ、デイジー、プリムローズとホビット庄の慣わし通り花の名前がつけられているのですが、その中で何故かわざわざ「金捲毛」と訳が添えられているゴルディロックスだけがボクには異彩を放っているように感じられました。
名前の通り金色の捲き毛だったのかもしれないけど、それならエラノールだって同じです。
ずっと何とな〜く気になっていたのですが、個人的に「なるほど!」と思える答え(?)が『HoME』の中に見つかりました。
『指輪〜』の本編は灰色港から旅立つ指輪所持者達を見送った庭師殿がシャイアの我が家に帰り着き、愛娘を膝に乗せて「さぁ、戻ってきただよ」と言う場面で終わっていますが、『HoME』には『指輪〜』のエピローグとして書かれた物語が掲載されています。
ホビット庄暦1436年(第4紀15年)3月、袋小路屋敷の書斎で庭師殿が子供達に赤表紙本を大きな声で読み聞かせているところからその物語は始まります。
大きく分けて2つのヴァージョンがあって、後に載っている方には森の奥方夫妻や裂け谷の領主と夕星王妃の別離に准えて庭師殿の大切な宝物である指輪所持者との別れについて彼の考えが語られていたりもしてなかなか興味深いのですが、この中に追補編に載っているブランディワイン橋への王の行幸――一説によるとその日付は運命の3月25日、指輪棄却の旅が成就したその日だとか――に先立つ手紙が出て来るのです。
高貴な黒い封緘の施された白い絹のその封筒には黒い大きな巻紙が入っていて、そこには銀色の文字で庭師殿と彼の家族1人1人の名前に宛てた招待状が記されていました。
この招待状、中つ国の共通語とエルフ語で併記されていて、当然庭師殿や子供達の名前もエルフ語で書かれているのです。
(ちなみに王様、庭師殿の名前についてSamwise「お人好しの」よりPlainwise又はFullwise「真に賢明な」の方が相応しい、なんて書き添えてます。彼のこういうところ、好きだなぁって思うのです)
で、問題のゴルディロックスのエルフ名が、グロールフィニエル――つまり、金華公の名前の女性綴りだったんです!
昔からエルフに憧憬を抱いていた庭師殿の事だから絶対意識してつけたに違いない!と勝手に納得するボク(笑)。
それにしても、よりによって金華公とは豪気だなぁ。
しかも、この子は後にピピンの息子ファラミア(彼もそう来たか!っていう名前の付け方ですが)と結婚するという…(笑)。
(あぁ、でも、金華公は個人的に豪奢な黄金の髪を惜しげもなく晒す噴水頭(笑)っていうイメージがあるから、捲き毛はちょっとなぁ。うーん。エルフ名の方は「黄金の髪」っていう意味だから、別に捲き毛に拘る事もないのかな。閑話休題)
本当はどういうつもりでこの名前をつけたのか、庭師殿の真意は神もとい教授のみぞ知る、ですが、あまりにも愉しい想像をしてしまったのでつらつらと書き連ねてみました(笑)。
20031012
≡暁の明星≡
3月1日は、王様が中つ国に生を受けた日であり、その生を返上した日でもあります。
そんな訳で、最初で最後の指輪FanFicもどきなぞ。
≫≫≫Tindomiel≪≪≪
基本は原作準拠、ところどころ映画ネタも取り入れつつ、物語の登場人物の言葉を借りて彼への愛を語ってみました。
人選…特に最後の1人については、完璧ボクの趣味ですが(笑)。
「暁の明星」を意味するエルフ語造語のつもりでつけたタイトルですが、実は直系ではないけれど王様の遠いご先祖様(女性)でこの名前の方がいたんですね。
『UT』で見つけてびっくり(笑)。
個人としては太陽というよりは月のイメージの強い彼ですが、幼い彼に与えられた「希望」という名前や、最後の古の王にして新たな時代の最初の人間の王という在り様を考えると、暁星に準えるのも良いかと思うのです。
語り足りない想いの丈は、またそのうちこのページで(笑)。
20040301
≡武器や装飾品の歴史と耐用年数≡
久々の更新がこんなマニアックなネタですみません(笑)。『シルマリル〜』を読み返してたら、つい気になってしまったもので。
所詮設定マニアなボクの戯言という事でお目こぼしを(笑)。
そんな訳で、今回は中つ国における武器・装飾品って長持ちだよね、というお話です。
中つ国で作られた武具も、もちろん時の流れには逆らえません。いつかは錆びて朽ち果てます。それは、『シルマリル〜』の涙の丘の場面の記述からも明らかです。
でも、『ホビット〜』や『指輪〜』に出て来る名のある武器って実はかなり古くからある物が多いですよね。
さすがに弓は素材が有機物ということもあって現存するものはないようですけど(っていうか、強弓氏の弓以外名前のあるものって思い浮かばなかったのですが)、剣・短剣は幾つも出て来てます。
例えば、王様の《折れたる剣》はノグロドのテルハール作とされてます。
この「ノグロドのテルハール」というのは、第1紀に存在したドワーフの名工です。
ノグロド自体は第1紀に滅びてるので、当然《折れたる剣》は第1紀に作られた物という事になります。
灰色魔法使いの剣と指輪所持者の剣(短剣)は隠れ岩山の王国製。特に、魔法使いの剣の方は賢者王が身に帯びていた物との事です。
つまり、こちらも第1紀の物。
第2紀が3441年、第3紀が3021年続いた事を考えると、最低でも6000年以上の時を経ている事になる訳です。
比較的新しい(?)ところではホビッツが塚山から救出された後に貰った短剣は第2紀から第3紀の西方人の手になるもので、映画の資料本によると《雪の切先》という槍が第2紀の終わりにエレイニオンから裂け谷領主に受け継がれた事になってます。
(ちなみに、同じ本によると夕星が王様の喉元に突きつけた剣は隠れ岩山の王国の姫君の為に創られた剣がエアレンディル、裂け谷領主を経て彼女に引き継がれたのだとか)
裂け谷に伝えられた品はともかく…《折れたる剣》もまぁおいておくとして、灰色魔法使いや指輪所持者の剣はトロルの洞窟に放置されていたわけで、その前はおそらく隠れ岩山の劫掠に際してオークが盗み出した宝の山に埋もれていた筈です。
そんな状態で、よく第3紀末まで持ったなぁと。
装飾品も、王様絡みだけで第1紀の作が2つ、第2紀の物が1つ出て来ます。
まずは《バラヒアの指輪》。
第1紀、洞窟王から王様の母方のご先祖様に誓約の証として渡されたこの指輪は、「フィンロド王家」じゃなくて「フィナルフィン王家」の紋章という描写がある事から、おそらく至福の地で作られたものと思われます。
それから、王様の名前の元になった《エルフの石》。
これについては諸説あるものの、ボクの1番お気に入りの説を採ると隠れ岩山の王国で姫君の為に作られた癒しの力を持つ石で、エアレンディルと共に1度は至福の地に渡ったものの後に灰色魔法使いが再び中つ国に持ち戻り、来るべき日に正当な持ち主に手渡す為に森の奥方に預け、やがて王様の手に渡ったものとされています。
(他の説でも火精の兇児作(第1紀)又は柊郷製(2パターン有、第2紀)なので、どちらにしろ古いことは古いのですが)
そして、《エレンディルミア》。
これは、第2紀、西方国の第4代王の娘の為に作られた物で、西方国の滅亡時に持ち出され、イシルドゥアの死と共に1度は喪われたかに思われ(2つ目の《エレンディルの星》が作られ)たものの、後に再び見出されて王様の額を飾る事になります。
『UT』の記述を見ると、この石はひとつの指輪の効力を無効化し、更に邪悪を祓う力を秘めていたようです。
それにしても、王様に縁の品々は何故彼の家系に受け継がれたのでしょう。
王様の家系は、第2紀西方国王家の直系ではありません。
ここでも頻出の第4代王の娘の流れを汲む傍系の一領主の系なのです。
《エレンディルミア》はともかく、他の品々は普通なら王家にこそ受け継がれるべき重代の宝だと思うのですけれど…まぁ、おかげで西方国の滅亡を逃れた訳で、結果OKと言えばそこまでなのですが(笑)。
当時、王家を筆頭に西方国の人々の心は次第にエルフやヴァラールから離れ、遂には叛乱を起こして滅びるに至る訳で、最早彼等が顧みなくなった貴重な品々を節士派の面々が密かに持ち出し、大切に保存していたのかしら?などと想像してみたりすると、興味深いです。
20050806
≡この親にしてこの子あり?≡
ココをまともに更新するの、5年ぶりですか。いやぁビックリ(笑)。
今回のネタは、ノルドオル族最初の上級王について。
ノルドオル、殊にヴァラールの下を離れ中つ国へと渡った彼等の艱難辛苦に満ちた歴史の元凶というと火精の兇児を思い浮かべがちですが、実は彼の親にも問題が有ったんじゃないの?というお話。
ノルドオル最初の上級王であるフィンウェの妻ミーリエルが火精の兇児にその生命力の大半を奪われ自らの意志で生を手放した件は『シルマリル〜』にも記載があるのでご存知の方も多いでしょう。
その後、フィンウェがヴァンヤアル族の王インウェの妹インディスを妻にした事も。
ですが、この決断、実はその後の様々な問題を引き起こす原因となったのではないかと思われる節があるのです。
『HoME』にはエルフの法と慣習に関する記述があって、そこには名づけの決まり事や結婚についての儀礼、果ては肉体を離れた魂の転生(と言うよりは生まれ直しと言うのが適当な気もしますが)等が書かれています。
それによると、エルフの伴侶は唯1人で、これは身体が滅んだ後も変わらないとの事。
外的原因による肉体の損傷又は癒し難い精神の傷によりマンドスの館に赴いた魂は、その後(大抵の場合かつて自身が属していた家系の)子供として再び生を受け、成長するに従って前世(?)の記憶を取り戻し、やがて元の人格と新たな生の知識と経験を併せ持つ存在となる――その為、転生しても同じ魂に惹かれ、再び結ばれる訳です。
(だからこそ、生まれ直す先は自身の身内になる事が多いのだとか。彼等は従兄弟までの近親者と結ばれる事を忌避しますから)
ところが、前述のフィンウェのように一方が新たな伴侶を得ているとどうなるか?
答えは、「先に世を離れた魂は転生を禁じられる」です。
フィンウェとミーリエルのケースでは、その時点でミーリエルが肉体を得る事を望まないと語った事に加え、ヴァラアルを統べる者として定められたマンウェのフィンウェに対する憐れみもあって、特別に法が制定されました。
「もしも伴侶たる一方の者が2度と肉体の生に戻る事を望まぬのなら、彼等の婚姻による結びつきは解かれ、生ある者は新たな伴侶を得る事が許される」と。
でも、この選択はアルダ全体に多くの影を落とすものでもありました。
「至福の地」アマンに於いてさえ転生の叶わない…言い換えれば癒される事のない「死」が存在し得るという事、その「死」が齎す哀しみ、残された家族と新たな家族との間の不和や疑心、そして何より他者の選択によって再生への希望が永遠に断たれるという事実。
マンウェ自身も、事の重大さを慮ってヴァラアルを召集して討論を求めています。
(ただし、宣告前とはいえ法を制定してしまってからという辺りが何とも…そもそも後の中つ国のエルフと人間の危機にはイルヴァタールの意志云々と言うばかりで静観を決め込んでいたのに、この時だけは「憐れみ」なんていう曖昧な理由で法に手を加えていたりして、一貫性がないというか実は結構手前勝手?というか何というか…閑話休題)
この討議の中ではヴァラアル達がそれぞれの立場や思い入れに基づいて様々な意見を述べていますが、その中で水の王ウルモはフィンウェとミーリエルの2人を「有罪」ではないが「過ちを犯した」と指摘しています。
ミーリエルが衰弱から生を手放したのは必要に駆られての事だったかもしれないが、永遠に帰らぬという決断は癒されざる弱さを受け入れそれによって癒しへの希望を損なった事、彼女の人生を投げ出すだけでなく伴侶であるフィンウェに悲しみという影を落とし、火精の兇児から母親を奪ったという意味で過ちである。
そもそも婚姻とは子孫を得る事が目的ではなく、それによって終わりを迎えるものでもないのだし、マンドスの館より帰還した後も心身共に癒されるまで無理に新たな子を持つ必要もない筈で、それを理由に生そのものを諦めるのは早計である。
また、フィンウェは自らの苦悩からマンウェに正義を求めたが、彼はミーリエルが肉体を離れてから僅か数年で失望している。これは忍耐心に欠ける行いであり、希望を持ち続ける意志を損ねる過ちだ。
しかも、彼の請願の大半は自らの子を望む思いと伴侶を奪われたままである事への不満に拠るもので、ミーリエルの死を悼むものではない。これは真実の愛の欠落による過ちである。
フィンウェは、真の愛からなる忍耐によってミーリエルの帰還を待ち、それが為った暁には寛大な心で彼女を迎え入れ、共に偉大な息子の両親として彼を育んでいくべきなのだ。
更に最も重大な過ちは、この法を受け入れる事によって、フィンウェの忍耐不足がミーリエルの再生の道を閉ざしてしまうという事実である。
他のヴァラアルが各々目を掛けている火精の兇児やミーリエルよりの意見を述べたり情に訴える発言をしているのに対して、水の王の指摘は冷静かつ的確です。
それでも、結局はイルヴァタールの与えた限りの総ての未来を知るマンドスの発言によってこの討論は締めくくられ、フィンウェとミーリエルの制定法は施行されるのですが。
もちろん、フィンウェとインディスの結婚が暗い翳りばかりを生じたわけではありません。
インディスはずっと以前からフィンウェに心を寄せていながらその想いを胸に伏せて独り身を通していたそうですし、『シルマリル〜』でも語られている通り彼女の子供達やその末裔の存在がノルドオルの歴史を輝かしいものにしたのも事実です。
(そもそも、ボクの最愛の王様はトゥアゴンの裔でもあるわけですし)
ただ、もしもこの時2人の選択が違っていたら…という意味では、やっぱり火精の兇児だけじゃなくて彼等にも責を帰すべきかなぁと思うのです。
20100214
≡石の都 花の民≡
ゴンドリンの都で夏至の日に行われていた夏の門の大祭、タルニン・アウスタ。
奇しくも王国の最期となったこの日にちなんで、隠れ岩山の王国メイン、限定サイトを開設しました。
誰だよ、「最初で最後の指輪FanFicもどき」なんて言ってたの(笑)。
時期的には物凄く今更な上にメインコンテンツが『THE
FALL OF GONDOLIN ―ゴンドリンの陥落―』の翻案にあたる物語という偏り具合、その上一身上の都合により更新は超絶スローペースになりそうな予感がひしひしとしておりますが、金華公を筆頭にゴンドリンの民と彼等の物語への愛だけは詰まってますので、よろしければお付き合いくださいませ。
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20060621
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