試合レポート

 
第3節 8月25日 横浜マリノス対札幌 横浜国際競技場

 前節の柏戦は、あまりの涼しさに雨でもないのにカッパを取り出して着た。それが嘘のように今日は蒸し暑い。気温はそれほどでもないけれど、湿気がまとわりつく。浴衣祭だそうだが、それほど多くは見かけなかった。気分的に夏はもう終わっている。試合前の練習で、珍しく能活がボールをポロポロこぼしていたのが気になった。フィールドの選手は、監督が替わってから試合前に必ずシュート練習をする。この日はパス交換から反転しての物。こころなしか以前より枠に行く率が高くなったような。

 先発メンバーは前節とほぼ同じ、怪我の癒えたブリットが坂田に替わり入っている。これで新外国人が3人揃い踏みだ。7時1分、キックオフ。札幌は守ってカウンターのチーム、ボールのキープ率は圧倒的にマリノスの方が高いが、なかなかこれといった攻め手がない。5分を過ぎると早くも能活が後ろから渇を入れる。時折のカウンターをナザが良く防ぎ、8分至近距離からのシュートは能活が好守。しかし攻撃は相変わらず。ブリットのシュート、城のヘッド、小村のクロスもキーパーの手に。俊輔のFKもまだ精度を取り戻してはいない。意表をついて1度上野が蹴るも、決まらず。前戦からのチェックも柏戦ほどは激しくない。

 そうこうしているうちに、失点する事になってしまう。小村がPKかと思う位置でファウルを取られ、FKだとわかりほっとしたのもつかの間、直接ウィルに決められたのだ。飛び上がった壁の上を越えゴール右上に決まった、敵ながらあっぱれなシュート。セカンドステージ初の失点は悔しいが、このシチュエーションになってはじめて本当の力がわかる。今までは失点するともう意気消沈して勢いが無くなってしまっていたが。「生まれ変わった」と俊輔が言うチームの、今の力を見せて欲しい。

 それが見られたのは9分後。俊輔のCK、失点の原因を作ってしまった小村が渾身のヘッド、それをブリットが押し込んだのだった。一気にわき上がるマリノスのサポーター、その前では能活にナザとドゥトラが飛びつき喜び合っている。いきなりボールが良く回るようになってきた。松田が上がれば上野がカバーに入り、連携もスムースに。よし、このまま勢いに乗って追加点・・・と思った矢先、小村が倒れてしまう。このあたりからなにやらきな臭いムードが漂い始める。選手同士がにらみ合うシーンもしばしば。小村は復活したが、勢いはそがれてしまい、そのまま前半終了。能活はナザに声をかけた後、小走りで小村の元へ行き肩を抱いて話をしていた。

 後半、交代は無し。まず最初の印象は「波戸が暇そう」。ブラジル人トリオが左に固まっているため、攻撃がそちらに偏るのは仕方ないが、あまりにもボールに触る機会が少ない。前節は中に切れ込んだり、右からシュートを打ったりという場面が見られたのに。パスを出さない中盤が悪いのか、もらいに行かない本人がいけないのか、私にはわからないが、偏っている左からポーンと右にサイドチェンジをすれば効果的だろうに。追加点はその左からの、サイドチェンジではないが大きなクロスにより入った。城の上げたそのクロスを、ブリットが上手く胸でトラップして1拍おく。この時点で「ああ、遅い」と感じたのだが、シュートは見事ネットに突き刺さった。

 もう一つの印象は「誰か動けーー」。1stからまだ改善されていないのが、スペースに走る人間の少ないこと。キックとフィード、2回能活から前線に素晴らしいボールが渡ったのに、その後がちっとも続かない。彼の持つ精度からすれば、とっくにアシストが付いていてもいいはずなのに。そしてチェックの甘さ。89分、フリーでいる大森にパスが出たとき嫌な予感がした。ずんずんと上がる大森、チェックできないままクロスを上げさせてしまう。「あ」と思った瞬間、折り返したボールにつっこんできたのは、交代で入った伊藤だった。マリノスの方は、この日2得点のブリットを代えてしまっている。替わって入った平間のプレイは、今ひとつ消極的。90分、城がタイミングを逃し打ったシュートは、むなしく外へ。手のひらからするりと勝ち点1が抜けていった。
 
 それでもここからが、1stのマリノスと違うところ。追いつかれての嫌な延長戦も、ペースはマリノス。後半が始まってすぐ、CKからの流れで右サイドにいた松田がクロス。キーパーと競りながら城が放ったヘディングはDFにクリアされてしまうが、こぼれ玉が俊輔の前へ。とそこに猛然と走り込んできたのが、ナザ。ボールをかっさらうと角度のないところから豪快にシュート。それがVゴールに。今までならそんなところから入るわけがなかったから、一瞬「サイドネット?」なんて思ったほど。しかし、選手達もサポーターも大喜びしている。能活も飛び上がっている。本当に勝ったんだ!ここでようやく喜びが湧いてきた。開幕3連勝、なんていい響き。もちろん逃した後1つの勝ち点は惜しいけれど、追いつかれながら突き放せたという事実はかなり大切。同じ状況になったときの、心の支えになる。

 それにしても、札幌ってこんなにラフなチームだっただろうか。マリノスのファウルの多さも気になる。すでにDF2人にリーチがかかっているし。怪我や累積警告で選手を欠くのは、もうこりごり。ベストメンバーが揃いさえすれば、今期のマリノスはいい試合が見られそうなのだから。
          
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