試合レポート


 
第2節・7月1日 横浜マリノス対清水 国立競技場


 マリノスの2ndステージ、ホーム開幕戦である。といっても場所は前節と同じ国立競技場。週末に晴れたのは2ヶ月振りだそうで、蒸し暑くはあるけれど夜の試合でもあるし、特にどちらのサポーターでもなさそうな人も来ていて、観客は2万人を越していた。相変わらずエスパルスのゴール裏はオレンジ色に染まっている。オーロラビジョンには競技場下での練習が映し出され、前節受けた脳しんとうの後遺症が心配される能活が元気にキャッチングをしている。その際のボールが不安定だったのが気になったが、ピッチに出てきた選手の姿を見てわかった。能活の練習相手はサブに入ることもほとんど初めての鏑木、榎本は前日の練習で受けた怪我で欠場のようだ。

 もう一つ気になったのは、ゴール前での練習で能活が簡単なボールをツルリと落としたこと。まだ本調子ではないのだろうか?一昨日まではボーっとしているところがあったそうだが。雨ではなくともこの湿気、ボールはかなり滑りそうだ。選手紹介で一番声援の多かったのが俊輔、このところの彼の人気はそうとうなものだ。若い女の子だけでなく、男性からも野太い声援が飛ぶ。能活はサブの選手に声を掛け、フィールドの選手に拍手を送り、練習から引き上げて行った。先発は能活・松田・小村・波戸・上野・遠藤・ユーリッチ・三浦・俊輔・外池・エジミウソン。松田が復帰したのになぜユーリッチ?と思ったが、彼をボランチにして遠藤を右サイドに出し、対面のアレックスを封じようということらしい。怪我が治った柳はサブ、安藤はサブにも入っていない。

 7時3分、キックオフ。いきなり波戸がファウル。今日の審判は細かいファウルをとる人らしい。能活はまだボールに触れていないのにFKを受けることになる。これは大きくはずれてほっ。しばらく中盤でボールの奪い合いが続き、お互いフィニッシュまで行かない。7分のCKはDFがクリア、そのあとのシュートもDFが阻み上手く前にボールをつなぐ。エジミウソンのシュートは相手GKがキャッチ。この時点で私は気がついていなかったが、清水のキーパーは真田ではなくルーキーの黒河。それがわかってからは、初出場で緊張しているだろうからセンタリングでもシュートでも、どんどん仕掛けていけばいいのにと思った。

 ところがこの新人君があなどれない。このあとエジミウソンのシュートをことごとく跳ね返す。それが実力かビギナーズラックのようなものか、私にはわからないが、エジミウソンに「今日はダメだな」と思わせるには充分だ。マリノスの攻撃も、誰がキーパーでも関係ないほどの崩しは出来ない。いつものことだが、スペースへの走り込みが無く、15分過ぎには早くもバックラインでボール回しが始まってしまう。20分、久しぶりのシュートを能活がキャッチ、出したボールが繋がり遠藤が右サイドを駆け上がるもCKに。俊輔の蹴ったボールはファーの上野を狙ったようだが、大きすぎて相手の反撃にあってしまう。どうもこの日の俊輔のセットプレイはイマイチだったようだ。とはいえ、24分のFKはキーパーのパンチングが小さくチャンスになるが、松田のシュートはゴールの外からサイドネットを揺らしただけだった。

 27分、CKをキャッチした能活が前線の外池にいいボールを出すが、CKを取るのが精一杯。彼の素早く精度の高いゴールキックを、もう少し生かせないものか?それでも30分あたりからマリノスのパスが通りだす。前節と違いDFの攻撃参加も見られる。松田が上がりっぱなしの時は、前節リベロだったユーリッチが下がる。俊輔がキープしている間に三浦がオーバーラップというパターンも出てきた。その三浦がドリブルから切れ込んでシュートも見せる。しかし点にはならない。このあたりはずっとマリノスの攻撃だ。44分小村のミスからピンチになるが、自らのDFで事なきを得る。俊輔のCKがクリアされここで前半終了。我慢比べのような0−0である。

 後半開始から柳を投入、出血した外池と交代かと思ったら、ユーリッチと。しかも左ストッパーだ。で、左の波戸を右アウトサイドへ、そこにいた遠藤をいつものボランチに。その右サイドに出た波戸から、後半5分チャンスが生まれる。波戸から俊輔に出されたボールは大きく左サイドの三浦へ。切り込んで絶妙のグラウンダーを送るが、どフリーでいたエジミウソンのシュートは上手くヒットせずボールは簡単にキーパーの手の中に収まってしまった。ここから「打ってもうっても…」が始まる。7分エジ、9分遠藤、21分エジ、22分エジ(これを阻んだのはポスト)26分俊輔のFK。チャンスは作れどゴールネットは揺れず。こうなると「もし負けたら黒河がMOMだな」などと嫌なことを考え出す。そして「1点入れた方が勝ちだ」とも。

 一方清水の攻撃は散発。たまのシュートも能活がキャッチ。30分には得意の足元に飛び込んでのセーブも出た。だがそのあとCKをキャッチしてからのフィードも、サポートする選手がないため受けた俊輔はすぐに囲まれてしまう。個人技で持ちこたえてようやく追い抜いていった小村に出したが。33分、遠藤と原田が交代、同じ位置に入る。36分から、立て続けにマリノスのチャンス。流れるようなパスが繋がりエジミウソンのシュート、CKから上野のヘッド、俊輔のクロスを柳のヘッド。だがいずれもキーパーやクロスバーに阻まれる。そして――。

 嫌な予感は当たった。ほんの一瞬の出来事、まるでエアポケット。なぜかボールから眼を離していた私がふと顔を上げると、ファビーニョがするりと抜け出し能活と1対1になっている。マリノスのDFは棒立ち。「オフサイド?」そう思った次の瞬間、能活がかわされ、DFが出した足の横を通りボールはゴールに吸い込まれていった。のちにビデオで見ると解説者が「さすがの川口もこれを止めろと言うのは気の毒」と言っていたが、いつもの能活なら止めていたのではないかと思う。低くした重心を支えきれずに左手を付いてしまったのだ。その分左への移動が遅くなって抜かれてしまった。そういった身体のバランスを保つ感覚というのが、ほんの何日か練習を休んだだけで鈍るのではないかと。彼に対する要求の高さゆえ、そう思うのかもしれないし、それ以外のプレイには何も問題は無かったが。もちろんキーパーと1対1になった時点で、DF全体の負けである。失点後能活は、座ったままの小村を起こして励ましていた。

 このあとはもう、気持ちは焦れど身体がついていかず。ミスもあり、相手のツキもあり、ゴールは割れずタイムアップ。0−1で前節に続き負けを喫した。仲間をねぎらい、相手キーパーの健闘を称え握手をする能活。いくらシュートを打っても阻まれてしまい、シュンとしていたエジミウソンに対しては、何度も肩を抱き慰めていた。サポーター席からはブーイングあり拍手あり。私はあまり拍手をする気にはなれなかったが。ただ、まだ第2節。開幕連敗して優勝したチームはないそうだが、といって悲観するにはまだ早い。

 それにしても不思議なもので、競技場で直接見るのと、テレビで解説付きで見るのとでは大きな違いがある。競技場では、ミスの応酬で集中していないように思えたのに、テレビで見た人は「面白かった」「良いゲームだった」と言う。相手キーパーの好守があったとはいえ、今日はマリノスに点のはいる予感がしなかったのに。もっとも監督の談話が「負けたけれど満足している」だから、素人の私が四の五の言うことはないのかもしれない。いつもの高い修正能力で、次節に勝ってくれさえすれば。

          
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