久しぶりに綺麗に晴れ上がった空の下、マリノスのゴール裏には早くからサポータ−が詰めかけている。いつも余裕で座れるメインスタンド寄りの席も、かなり混み合っていて。マリノスキッズ達の間をくぐり、選手達が練習に登場。後ろに座った男性が、能活の正確なキックを誉めているのが聞こえて、にんまりする。能活は柏のスタッフやカメラマンにも挨拶をしていた。今日は先発に田原が入る。怪我が心配された俊輔、城も先発だ。
2時5分、キックオフ。早々にFKを得るも、俊輔の蹴ったボールはゴールの遙か上。5分あたり、めずらしくパスが回る。が、最初のシュートらしいシュートは柏。去年までマリノスにいた柳のミドルだ。その後もゴール前でヒヤリとするシーンが。マリノスの惜しいシーンは、14分。駆け上がった石川が、少し大きいと思われたパスに追いつきセンタリング、永山がそれをヘッドで落とすもキーパーに取られる。16分、上野からの大きなサイドチェンジのパスを永山が折り返し、俊輔がダイレクトシュート。これはゴールの右にはずれる。19分、上野のミドルはGKの正面。このあたりはマリノスのペースだ。
しかし20分を過ぎると柏の反撃が。能活がキャッチするまでもなくDFがクリアしていたけれど、マリノスのミスから始まっているのが気になる。31分、城が痛んだときには冷や汗ものだった。1得点と好調とは言えないが、前半に居なくなられては困る。35分過ぎには、また柏のリズム。このあたりから見ている私は、時間を気にするようになる。相変わらず相手ゴール前でまだ横パスをするマリノス、得点がだめなら何とか前半は無失点で乗り切って欲しい。その願いもむなしく、44分、せっかくマイボールにしたものを無造作なパスで相手に渡してしまい、そこからのクロスを柳に決められてしまった。マリノスにいた昨年、特にセカンドステージははずしまくっていたのに。前半はそのまま0−1で終了。
後半開始前、ピッチ上で輪になってからしばらく話をしていた。選手交代は無し。ようやくエンジンがかかり始めたようで、田原にボールが集まり出す。シュートは力が無かったり、センタリングに届かなかったりはするが、少しずつ形になりそうな気配だ。9分、石川に代わり木島登場。だが今日はあまり良くなかったような気がする。左サイドの定位置で止まったままボールを待っていることが多く、すぐ相手に囲まれる。ドリブルも取られることがほとんど。彼にはボールのないところで走ってかき回して欲しいのに。
10分過ぎからたて続けにFK、CKを得るが、点には結びつかない。これに関しては前回のレポートと同じ感想しかない。今の俊輔ではなかなか直接決まらないのだから、他の選手を使うパターンを練習すればいいのに。29分、田原がレアンドロと交代。スタミナが無いと言われている彼、良く持った方だろう。レアンドロには多くは期待していなかった。案の定、良いパスをもらって1対1になりかかったのに、シュート出来ず、そのままチャンスがついえたと思ったらファウルを取ってもらえて、PKということになった。周りの人たちは喜んでいたが、私はとてもそんな気になれない。マリノスには確実に決めてくれるPK職人が居ないのだから。そして思った通り、俊輔が蹴って止められてしまった。
それにしても俊輔は痛々しい。怪我を抱えながら休むわけにもいかず、周りのサポートがないため自分で行くしかないが、すぐ囲まれて足を掛けられ倒される。怪我のせいなのか、キックもぶれる。そしてそんな状況から2つ目の失点が生まれた。フォローが無く取られたボールを、簡単に繋がれてあっという間にゴール前。DFも間に合わない。39分に追加点を取られては、今のマリノスに追いつけるはずもない。前節は45分あったから逆転できたのだ。そのまま0−2で完封負け。
結局終わってみれば、相手の得点は長い距離を走ったMF、DFのものだ。マリノスに一番足りないのがその後ろから追い越していく動き。素人が見てもそう思うのに。試合終了のホイッスルが鳴ると、能活はしばらくゴール前に立ちつくしていた。他の選手が整列し終えた頃、ようやく歩き出したが、サポーターに挨拶する気力もなさそうだ。やりきれなさそうな表情のまま歩く彼を、下川が慰める。気が付くと松田が泣いている。そういえば今日は、上がることを押さえていたようだが。試合後のコメントでは、今年一番良い内容だったとか。選手のその言葉を、信じるしかない。代表組はスペインからの連戦で、疲れも溜まっているだろう。とにかく少し休んで、リフレッシュして欲しいものだ。
帰り道地下鉄のホ−ムで、俊輔の生写真を食い入るように見ている少年が居た。電車が来てもぼんやりベンチに座ったまま。きっとゴールデンウィーク最後の日の試合で、俊輔が活躍するのを楽しみにしていたのだろう。今のマリノスの状態でこだわるなというのが無理なこととわかってはいても、勝ち負けよりは早く楽しいサッカーを思い出して欲しいと、願わずにいられない。
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