試合レポート


 
第2節・3月18日 横浜マリノス対清水エスパルス 日本平競技場


 日本平についたのはちょうど2時。車の中では暑いくらいだったが、競技場付近は風が強く日陰に入るととても寒い。能活が出てきたのは20分ごろ、真ん中で分けたような感じだった髪がディップで固めたオールバックに近い形になっていて、ますます大人っぽい。試合ではその能活の“お父さんぶり”が何度か見られた。今日はフィールドの選手も出てきて練習をしている。先発は次のとおり。
川口・小村・松田・柳・波戸・遠藤・原田・三浦・中村・永井・マルドナード (サブ:榎本・外池・岡山・永山・吉田)

 開始2分、能活はDFと交錯しこぼれたボールにヒヤリとするが、それ以外はいつも通り安定したプレイを見せてくれた。清水のサポーターは統制がとれていて声も大きい。が、それに負けない怒鳴り声が反対サイドのマリノス側まで届いている。DF達も頑張っていた。前節誰よりも悔しさを表していた松田は、本職ではないディフェンスに苦労している柳をカバーし気迫を見せる。波戸はアレックスに食らいついて、仕事をさせない。後半は少し足が止まってしまったが、前の選手もプレスをかける。

 攻撃は当然俊輔が中心だ。前節よりパスは繋がっているが、相変わらずフィニッシュまで行かず「惜しい!」と思えるシーンはなかった。ループを狙ったようなシュートはゆるいカーブを描いて相手GKの正面。三浦のFKがバーの上をかすめたのが、惜しいと言えば惜しかったか。前半終了時の能活の顔は、納得していなさそうだったが、さほど厳しいものでもなかった。

 後半開始5分、試合が動く。俊輔のFKに小村が飛び込んでヘディングシュートを決めた。マリノスの2000年初ゴールである。飛び跳ねてガッツポーズを繰り返す能活。雑誌の統計によると、先取点を取った試合はすべて勝っているのだ。だがたった1点で安心できるわけもない。このあたりからカードが乱れ飛び試合が少し荒れてくる。前半の2枚を入れてイエローが7枚、レッドが1枚。そのレッドがマリノスの追加点に結びついた。柳がPKを決めて2−0。能活はまたしてもガッツポーズ、ベンチのほうに向かって。そして相手は10人になる。

 ところがここから清水の反撃が。能活の見せ場だ。味方もろともなぎ倒しながらの鋭いパンチング、広い範囲での確実なキャッチング。その上倒れた選手に声を掛けること2度、足がつった松田の介抱、判定をめぐって険悪なムードになった時には飛んでいって止めに入る。“お父さん”の役割りを充分果たしていた。2度ゴールキックが外に流れたのは、いつもの悪い癖。ワントップのマルドナードが上手くボールをさばいてくれず、持ちすぎるきらいがあるから、それを避けてサイドぎりぎりを狙ったせいか。

 アルディレスの嫌うファウルからのFKを上手くヘディングで入れられ1失点するが、その直後にタイムアップ、結局2−1で去年の年間1位清水エスパルスを破った。能活は挨拶のあと高校の先輩・真田と握手をし、沢登に声を掛け引き上げる。決まった瞬間は嬉しさが爆発したというよりは、ホッとした感じ。弾けるような笑顔ではなかったのは、「まだまだこれから」ということだろうか。

 帰宅して見たニュースでは「俊輔がゲームを決めた」と言っていた。確かに終了間際試みた超ロングシュートはワクに行っていて感心したし、“決めた”のは彼かもしれない。けれどそれを支えたのは中盤からの守備。特に松田の落ち着きには目を瞠る物がある。波戸が倒れたときも「彼に今壊れられては、代わる者がない」と思った。終わってみれば得点はセットプレイとPK、相変わらず流れからの点はない。そしてこの先強豪と呼ばれるチームとの対戦が続く。であるならばコンビネーションが合うまでは守備陣が耐えるしかない。欧州旅行のためそれらの試合を生で見ることは出来ない私。遠くの国でやきもきしながら、パソコンに向かうことになるだろう。

          
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