試合レポート

 
第2節 8月18日 横浜マリノス対柏 柏の葉公園競技場

 朝方激しい雨が降ったのでカッパを持って柏に向かう。呆れるほど長い時間をかけて、シャトルバスは競技場に着いた。練習がすでに始まっている。いつものように、サポーターのコールに応える能活。今週は移籍騒ぎでざわざわしていたが、変わらぬ落ち着きぶりだ。俊輔の落ちるシュートに「すげー」と声が上がる。どうやら雨の心配はなさそうだ。時折強い風が吹き長袖でも寒いくらい、最後にはカッパを着込んだほど。ボールがおかしな変化をしなければいいが。開始前に柏のゴール裏で発煙筒がたかれ、少し待たされた。その間も惜しんで俊輔が坂田になにやら指示をしている。選手入場の時、能活は笑顔で南と握手をしていた。

 7時4分、キックオフ。能活がまだボールに触っていない4分、いきなりCK。北島のヘッドをドゥトラがナイスクリア。左のアウトサイドだが、ストッパーのナザとともによくゴール前の守備で働いてくれる。ナザはそれほど長身ではないがヘッドでの対応が良い。最初の20分ほどは柏のペース、だがゴールを脅かされることはない。ほとんどをDF・ボランチがクリアしているからだ。前の選手も良くボールを追っているし。ナザが右に入ったことで小村が本来の左へ帰り、調子を取り戻してきた。 3バックが安定したおかげで、波戸は得意な右サイドを任されていて、時折ゴール前にも顔を出す。その波戸の上がりがファウルを呼びFKになった以外は、ほとんどマリノスの攻撃はない。

 ようやく攻撃らしい物が出始めたのは19分、深いところからドゥトラがクロスを上げるが、シュートは打てず。波戸のクロスは大きすぎ。22分FKからのこぼれ玉を城がヘッド、これは惜しくもポストに当たる。城は横浜残留も決まり、久しぶりの先発。今までずっと歯がゆさばかり感じられたが、この日は得点こそなかったものの、前でポストになりシュートも打ち、いい働きをしていた。25分には松田からすばらしいパスが坂田の足元に届く。シュートは惜しくもDFに阻まれてしまったが、代表の豪州戦で森島に出したパスを思い出させるものだった。パスの出し手である俊輔がマークされている場合はそれもありだろう。29分ドゥトラのシュートはバーの上、32分ドゥトラのクロスに波戸がヘディング…はキーパー正面。34分俊輔のFKは壁。CKから上野のヘディングは右にはずれる。このあたりはマリノスの時間帯だ。

 37分からまたマリノスが攻められる。せっかくマイボールにしたものを、はっきりクリアせずピンチを招いたのだ。あっさり蹴り出さないのはブラジル人のプライドだろうか?柳に強烈なシュートを打たれたが、 大きく上にはずれてくれた。ロスタイムにはまたゴール前でバタバタする。囲まれて取られたり、クリアボールが味方に当たったり。しかしシュートは能活がしっかりキャッチ。この間に城の反転してのシュートなどもあったが、結局0−0で前半終了。能活は上野と波戸を捕まえて何やら話をしていた。

  後半入場してきた能活は、ナザの肩を抱きながら話。どんな外国人が来ても、たいてい話し相手は彼のようだ。メンバーに変更はない。いきなり3分にビッグチャンスが訪れる。上野の出したボールを坂田が上手くヒールパス、城が横に出して俊輔の意表をつく右足でのシュート。が、惜しくもバーをたたく。跳ね返りを坂田がヘディングするも、キーパーにキャッチされる。その後接触プレイでドゥトラが痛んだときにはヒヤリとした。横浜名物“外国人来日すぐに怪我”攻撃かと思って。幸いすぐに戻ってきたが。

 全体に後半はマリノスが攻勢。時折の攻撃の芽をいくどもドゥトラが摘む。しかし中盤でのミスも目立ち始め、お互いつぶしあいで決定的なシーンを作れない。それでも小村が上がりを見せたり、ドゥトラがクロスを入れたり、能活がキックを城に繋げたり。そして、ようやく先制の時がやってきた。後半23分、中に切れ込んだ波戸から俊輔にパス、トラップはミスするもののそのまま浮き球を前線に出すと、そこには動きだし良く坂田が走り込んでいた。DFが一人追いかけてくる。構えたGKはなぜかDFのいる方へ倒れ込む。それを交わしたとき「いくら何でもこれははずさないだろう」と確信した。今まで「それをはずすか?」というシーンを見てきたからだが、リーグ戦2試合目にしてこの新人は結果を出したのだった。

 得点の瞬間反対サイドでは能活が飛び上がって喜び、ドゥトラと抱き合っている。だがその次には冷や汗が出た。FKからのボールに能活が飛び出すも、前でDFがヘッド、軌道が変わってさわれず。目の前に居る相手選手を越え足元でバウンドし、外に出たのだ。遠目に見てもヒヤリとしたが、ビデオで見て改めて「危なかったあ」と実感。能活は苦笑いだ。「さすが」と思わせるのはこの後。31分、長いクロスに「取れないのでは?」と思える地点までするすると出ていってキャッチ、相手とぶつかって1回転してもボールは離さず。35分にはホンミョンボのシュートを左手1本ではじき出す。40分のシュートも落ち着いて抱え込む。

 その間も守っているだけではない。遠藤の素晴らしい上がりからのシュート、城の頭をかするように越えていったクロス、GKがこぼしかけた俊輔のシュート。それでもだんだんDFの意識が高くなってくる。クリアボールは大きく蹴り、ボランチの上がりが無くなり。マリノスゴール前でのプレイが増えてくると、そろそろ誰かを交代してくれないかなと思い始める。すると42分、坂田を田中と交代。中盤で良く走り回る隼麿はこんなときありがたい。続けざま、久しぶりの先発で体力が心配な城を田原と交代。時間稼ぎの意味もあるだろう。ドゥトラが痛んで外に出たのも、それっぽい。ロスタイムは4分、マリノスのサポーターにとっては、長い長い時間だ。能活がクロスにさわれず血の気が引く。必死で守るイレブン。「早く笛を」そしてようやく49分目にホイッスルが鳴った。

 前節のVゴールも選手は大喜びだったが、能活の表情が晴れず、私には釈然としない物が残った。だが今日はほんとに全員の喜びが爆発している。 サブの選手も途中交代した選手も共に。能活も誰彼となく抱き合って。こんなに嬉しいのは久しぶりな気がする。ナビスコ杯で勝っていても やはりリーグ戦が一番大切。そのリーグ戦で2連続完封勝利なのだもの。バス待ちは長蛇の列、最寄り駅まで早足の私でもたっぷり25分、そんなアクセスの悪さも気にならないほどに。そういえば得点が決まったとき、まるでそれを祝うように柏ゴールの向こうに花火が上がったっけ。この喜びが一瞬で消えないように、確実に1試合ずつ勝ち点を稼いでいって欲しい。チームワークを大切にする新監督の方針も、新外国人の補強も、良い方向へ働いている。結果が出れば失っていた自信も取り戻せるだろう。選手達には試合中の笑顔が増えて、悲惨さが無くなってきた。これからの試合が楽しみである。
          
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