家を建てるにあたり設計事務所に頼む事が、まだまだ少ない状況です。
設計事務所が設計をすれば高くなるとか設計料分のお金があれば
もっと良いキッチンや家具が買えるとお考えの方が多い様です
そんな方々にもっと設計事務所の仕事を理解して頂きたいと思います
固定観念を持たずに検討してみてください。
1.設計事務所の設計料
1.工事業者の設計料
設計料・監理料の認知度ですが、まだまだ低いのが現状です
設計料の金額分、家が小さくなってしまうのではないかとか、内装のグレードが下がってしまうのではないかとか、キッチンや浴室などのグレードが下がってしまうのではないかとか、設計料分でダイニングセットや応接セットが買えるとか、そういう感覚を持っていられる方が多いです。
そして、ハウスメーカーや工務店の「設計料は掛かりません!」という言葉に騙されてしまいます。
家を建てるには設計図が絶対必要です。設計する為には人件費が必ず掛かります。
無料で設計が出来る訳がないので、皆さん、「無料」という言葉に騙されているのです。
2.設計事務所の設計・監理料
設計事務所の設計・監理料はその殆どが人件費です。
設計料の算出方法は建主の要望やこだわり、家に対する思い入れなどを考慮して算出します。
建主との打合せ時間や建主に合わせた図面を書くのに必要な時間、材料や色の検討時間、材料メーカーとの打合せ時間などを経験値から算出しています。そのトータル時間に人件費を掛けて出てくるのが設計料です。
監理料は現場に何回行き、業者との打合せ時間がどれだけ掛かり、建主との打合せ時間がどれだけ掛かるかなどを考慮して算出します。そのトータル時間に人件費を掛け出てくるのが監理料です。
上記を足した金額が「設計・監理料」となります。
設計時の打合せはA4ファイルが2倍に膨らむほどの内容となります。それに設計図がA2サイズで20枚程度となります。
監理の時はA4のキングファイルが一杯になるほどの打合せ内容となります。そして、現場とはほぼ毎日、電話やFAXでやり取りすることになります。
現場にも出向きます。ポイント監理となりますので、重要な部分や隠れてしまう部分を見逃さないように現場に足を運びます。そして、勘違いや手抜き工事がないように現場を監理して行きます。
上記の設計・監理料は大体、建設費の10〜15%になります。雑誌などにも出ていますが一般的な金額です。設計事務所はそれだけの仕事量をこなしています。
私達は「設計・監理料」を建主の予算に合わせて調整させて頂いています。
建主が家造りに掛けられる「総予算」を把握し、建設費や各登録料や上下水道の加入金、引越し代、カーテンや家具の購入費用などとの割り振りを考えながら算出し、ご相談させていただいています。
資料をお持ちして、「どの程度の内容を業務範囲とするのか」、「どこまで設計をして、どこまで監理をするのか」、「その手間がどの位になるか」などをお話しさせて頂きます。
内容をご確認いただいて、相談させて頂きながら、「設計・監理料」を決めさせていただいています。
2.設計事務所の仕事
1.設計事務所の仕事の進め方
「設計事務所の仕事は、どうしてそんなにお金が掛かるの」と思っている方が多いです。そこで、設計事務所の「仕事の流れ」を記載いたします。
全ての設計事務所が下記のように仕事を進めている訳ではありませんが、一般的な内容です。手抜きを考えずに仕事をする設計事務所であれば必ず実行している内容です。
2.動線計画
設計の依頼を受けると、まず、建主の要望を聞き動線プランを作成します。
動線プランは部屋と部屋のつながりを示したものです。
動線プランが完成したら、建主に考え方が良いか確認をします。この時点で、おおよその部屋の配置が決まります。(変更は可能であり不確定)
3.検討用の平面図
動線プランの確認が取れた段階で検討用の平面図(部屋の配置を書いたもの)を作成します。この時点で、設計事務所としては、おおよその外観デザインをイメージします。それは、外観と平面図は連動しているからです。
部屋の配置が動くと外観もそれに伴って変わります。常に、平面図と外観図の「整合性」が保てるように進めます。
それこそ、3歩進んで2歩下がる状態です。(非常に時間が掛かる)
検討用の平面図を元に建主と使い勝手や将来の家族構成による変化と対応を確認し、その他の要望事項の打ち合わせをします。又、外観図に戻り、作成します。(まだ未完成で整合性もない)
建主の要望通りの平面図にならなかったり、建主の要望が改まったりするので、その後、検討用の平面図は2〜5回ぐらい提出させて頂きます。外観図も一緒に検討します(建主の希望に添うまで提出するので、時間が掛かる)
4.検討用の外観図
途中で、検討用の外観図も一緒に打ち合わせをさせて頂きます。(外観によって平面図に無理が起こるので、またまた整合性を取る為に時間が掛かる)
建主が外観を気にいらなければ又やり直しです。とても手間がかかります。
5.平面図・外観図の決定
そして、検討用の平面図と外観図の了承がとれたら、平面図と外観図の照合を行いながら、書類審査用(確認申請用)の平面図と立面図を作成いたします。
ここまでで、設計の約40%が終わりです。それは、勘違いして頂きたく無い部分なのですが、平面図が決定したという事は各部屋の大きさだけでなく、外観のデザインや内部空間のデザイン、キッチンの大きさ、洗面台の大きさ、ドアーの大きさ・形、自動車の配置や塀の位置など全てが決まっているという事になります。
建物では全てが絡み合っています。ですので、平面が決まるということは家の殆どが決まったという状態になります。(家というのは3次元ですので、2次元平面図だけではなく、立体の構成が必要になり、立体的にも決まるということです。)
ここまでで、早くても2,3ヶ月掛かります。そして、設計の大部分が完了したと言っても言い過ぎではありません。
6.概算見積もり
概算見積もりを設計事務所が行います。
算出した概算見積りが、建主の予算と折り合うか確認して、合わなければ部分的に建具のグレードや床のグレード、外壁などの金額の下がりそうな部分の変更をして、建主の希望金額に合わせます。
そして、業者の値引率なども考慮しながら最終の仕様(床や壁、キッチン、浴室など)を決定します。
7.実施設計
この後、作成される図面(実施設計)は作業という事になります。
ここで作成される図面は、あくまでも設計士の意思を工事業者や職人さんに伝える為の手段に過ぎません。
しかし図面を1枚書くのに1〜4日必要となります。
1日程度で作成出来る図面は4,5枚程度、2,3日で作成出来る図面は10〜15枚程度、4日位掛かる図面が5〜8枚程度あります。全部で20〜25枚程度は必ず必要です。
これも、変更がなかったり、難しい作り方の部分が少なかったりする場合です。
8.図面の必要性
設計は3次元の世界ですから、2次元とは矛盾が生じます。その調整にも時間が必要になります。
建物を図面化するというのは大変な作業です。
その作業をする事で、建主の意思や設計事務所の考え方を工事業者や職人さんに伝える事が始めてできます。
「意思」を伝える為には、図面は必要不可欠です。
それが、必要でないハウスメーカーなどは作り方に標準仕様の図面があるから出来るのです。
ですので、ちょっと違う事をしようとするとすぐに「コストアップになります」という言葉が返ってきます。建主はこの言葉にとても弱いです。
そのコストアップとは、標準でない事をすると、その事をを職人さんに伝えなければならなくなるので発生します。つまり、特別な図面を書かなくてはならなくなります。
私もこの事を悪いとは言いませんが、そのような作り方をしている以上、どの家も同じになってしまいます。同じで良ければ良いですが・・・
住宅を建てる事において図面は家の一部ではありません。
図面は「建主から設計士」、「設計士から工事業者」、「工事業者から職人さん」へと建主の意思を伝達する手段です。ですから、家が出来上がったら、ほとんど必要無いものになります。(故障があった時と改修工事以外は必要ない)
上記以外で図面が必要な時は、確認申請を提出する時です。
確認申請は、「こんな建物を建てて良いですか」ということをお役所に尋ねる時に必要です。
お役所から「建てても良いですよ」と許可がもらえると建物を建てる事が法律的に出来る事になります。
9.工事業者の見積もり(複数)
確認申請が良しとなる頃、その他の図面が出来あがります。建主の確認を取って、複数の工事業者から見積もりを取ります。
工事業者からの見積もりが出揃ったら、見積もりのチェックを行います。
金額の低い業者の見積もり内容での見積もりを忘れている物は無いか、金額が妥当かなどです。
金額が建主の希望に合ったかを確認し、建主に報告します。
10.工事業者との金額調整
予算が建主と合わない場合は、最低業者と打ち合わせして、設計変更をしたり、業者の値引きを多くしてもらうなどの金額調整を行います。
予定価格に達した段階で工事業者と契約を結んで頂きます。
ここまでが工事業者決定までの流れです。(全て、この文章で表現出来ている訳ではありません。部分的に抜けている所もあります。ご注意ください)
11.設計士の最終目的
設計士にとっても最終目的は図面を書くことでもデザインを考える事でもありません。
良い住宅を建てるという事が最終目的です。
その為に頑張っています。
12.工事監理
この後は、「工事現場の監理」になります。工事業者が手抜きをしないように見張ったり、図面で表現しきれない部分の打ち合わせをしたりします。(設計事務所が、数回現場に出向く)
途中で建主に外壁や内装の色などの提案をさせて頂き、良ければ工事を進めます。
13.検査
工事が完了間際に設計事務所の検査を行います。そして、建主の検査をして頂きます。手直し工事を行った後、引渡しとなります。
14.引渡し
検査をした部分の手直し工事が完了すると工事の引渡しが行われます。
引渡しは鍵を受け取る事を意味しています。工事の引渡しが終わると共に設計事務所の仕事も完了です。
15.まとめ
大体の流れはこんな所です。ここに記載した事項は全ての設計事務所が行っているという事ではありません。
私の事務所の内容です。もっと多くの事をしてくれる事務所もあれば、全然してくれない事務所もあると思います。どこに頼むかで家も変わりますし、内容も変わってしまいます。
3.設計事務所の現場監理
1.現場の監理は大工さん
ハウスメーカーや工務店の場合、建主が打ち合わせをするのは営業マンや工務店の社長の場合が多いようです。
この営業マンや社長は現場にはあまり顔を出さず、現場担当者や大工の棟梁が工事の全てを取り仕切っている場合が多くあります。
ですので、現場担当者や棟梁が良い人でなかったら、手抜き工事をされたり、出来の悪い建物が出来上がってしまいます。
良く聞く手抜き工事は、ハウスメーカーや工務店が行っているというより、この現場担当者や棟梁によって行われます。(多分、手抜き工事をしたくてやっている訳でなく、忙しかったり、間違いがあったりして、起きてしまっているのではないかと思います。)
営業マンや工務店の社長は現場の隅々まで、目の行き届く状態になっているとは限らないのが現状でしょう。
現場での家造りを取りし切っているのは大工さんの場合が多いです。
2.設計事務所の監理
私は安心して任せられる、監理者(設計士)が必要ではないかと思います。
設計士は建主から費用を貰うので中立な立場にあります。ですから、設計士に監理をしてもらうと建主は安心して家の完成を待つ事ができます。
そうでないと、建主本人が心配で何度も現場確認をしなければならない事態が発生します。
又、建主が確認したとしても良いのか悪いのか解らない場合が多いのではないでしょうか。
「良い住宅」が出来るかは疑問の残る所です。
設計士は構造や設備配管が設計図の通りに出来ているかを、工事の進捗状況に応じて確認を行います。
当然設計図の通りに工事がされていなかったり、手抜き工事があった場合はすぐに手直しの工事をさせます。
従わなければ、その旨を建主に伝え、契約違反ということで工事業者と話し合いを持ちます。
建主は、安心していられると思います。
(最近、監理だけ請け負う設計士の資格も無い人が出没しているようです。お気お付けください。)
3.工事業者と設計事務所は水と油
工事業者と設計事務所は水と油ほど仲が良くありません。
工事業者にとって設計事務所は知識があるので煙たい存在なのです。手抜き工事をするとすぐ指摘をされ手直しの工事をしなくてはなりません。
建主が素人であれば手抜き工事が解らず手直しをする必要がなくなる訳です。
建主が一番注意しなければならないのは素人という事で、工事業者に「手抜きをしてもわからないだろう」と思われる事です。
ハウスメーカーや工務店に頼むのであれば、施工業者と契約の段階で設計士に中間検査をしてもらう事を伝えて実行する事が必要ではないでしょうか。
それが、手抜き工事をさせない秘訣であると思います。それと同時に、建主の安心感につながると思います。
工事業者は通常、「設計事務所」というだけで気を使うので、今まであまり大きな手抜き工事を見た事はありません。
設計事務所の「専門知識」を工事業者は怖がります。
4.工程監理
設計事務所では、その他に「工事の進み方」の監理も行います。
建主が家の建設中、借家住まいをしていた場合、工事が遅れてしまうと余計な借家料を払わなければなりません。
そういう意味でも工事の完了日を契約書に書き入れ、遅れた場合の借家料などは工事業者が負担するという約束をする必要があると思います。
これだけではありませんが、以上が設計事務所が監理をした場合のメリットです。
5.色彩計画
工事が進み、大体の家の大きさが分かってきた頃に、外観と内観の色彩計画を具体的に提案させて頂きます。
色のバランスは家全体で考えなければなりません(別の機会にお話をしたいと思います)。
良いと思うものの寄せ集めは決してバランスのとれた家になりません。設計士のセンスの問われる要素の一つです。
私の事務所の場合は建主の色を見極め、建主色の提案をしていきます。
当然、気に入って頂けなければ、修正を行います。
設計事務所の中には、一方的な考え方を押しつける所もあるようなので、お気付けください。
6.設計事務所のチェック
その他では、設計図では表し切れない部分の作り方や工事用の図面のチェック(工事業者作成)などの細かな打ち合わせを随時して行きます。(それなりに手間が掛かる。週に3〜5回は電話やFAX、現場打ち合わせを行う。)
工事が完成した時点で設計事務所の事務所検査を行います。
設計図に書かれているもの、見積もりに入っているものが工事をされているか、各設備機器の試運転は済んでいるか。又、本当に使用出来るか。建具などの「動き物」はスムーズか。床や壁の歪みは無いか。穴などの補修を忘れた部分はないかなどを検査します。
あまり、大きな声で言えませんが、この時の工事業者はビクビクです。完璧と思っていても結構忘れている事が多くあります。(中には言われても工事をしてない部分があったりする)
7.建主のチェック
家が完成し設計事務所の検査が終わると、建主にも施主検査をして頂きます。
この時、いっしょに湯沸機や洗浄機、換気扇、エアコン、電気の盤の位置などの設備機器の取り扱い説明をさせて頂きます。
間違った使い方をしていると寿命が短くなったり、壊してしまう事があります。それと、設計時の工夫を生かした生活をして頂く為にも欠かせない事項です。
8.設計事務所の監理体制
上記にもありますが、現場担当者と、ほぼ毎日のように電話やFAXで打ち合わせを行い、必要に応じて現場での打ち合わせをして行きます。
よく、建主に「あまり現場に来ないね」と言われてしまう事があります。
でも、設計事務所の監理は現場に行かなければ、何もしていないという事ではありません。
建主の見えない所で一生懸命働いています。わかって頂きたい部分です。又、あまり多く現場に行くという事は、交通費や人件費が掛かる事になり、コストアップにもなってしまいます。
ポイントを外さず、現場の進捗状況を見ながら現場確認を行っていけば問題はありません。
9.設計事務所の態度
工事業者に「ダメなものはダメ」と言える設計士であるかは、問題になります。
工事が間違って進んでいる場合に、きっちりと「手直しをして下さい」と言えるかが問題になるという事です。
工事業者の中には、作ってしまえば「直せ!」とは言われないだろうと思っている所があります。
設計士も人の子ですから、今まで苦労して作ってきた物を、「壊せ」とはなかなか言えないものです。それを逆手に取ってくる工事業者もいることは事実です。
設計士の良心において、建主に対して自分自身が許せる範囲であれば良いのですが、問題が大きい場合があります。
その時、例え、建て直しになるとしても、やらなくてはならない状態であればきっぱりと「直せ」と言える設計士に頼む事が重要だと思います。
設計士探しも非常に難しい所があると思います。
上記の復唱になりますが・・・
自分らしい家造りの設計監理料 |
設計・監理料は建主の予算に合わせて調整させて頂いています。
建主が家造りに掛けられる「総予算」を把握し、建設費や各登録料や上下水道の加入金、引越し代、カーテンや家具の購入費用などとの割り振りを考えながら算出し、ご相談させていただいています。
「どの程度の内容を業務範囲とするのか」、「どこまで設計をして、どこまで監理をするのか」、「その手間がどの位になるか」などをお話しさせて頂きます。
内容をご確認いただいて、相談させて頂きながら、「設計・監理料」を決めさせていただいています。 |
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↑家造り担当西村の自宅をご紹介!
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