Ex-diary 予感4

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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予感 [4]

2009/09/29

魔人ブウ編にて、ベジータ自爆~復活の幕間を勝手に脳内妄想。当然カカベジ


対して広くない室内に、カカロットの他には、見えない足の向こうに人物が数人。以前見た事がある、地球の医者が来ていた手術着らしきものを身につけている。けれどそれ以上は良く見えない。
俺の質問に対して、カカロットはさも怪訝そうに、何度かまばたきした。
「…何って、おめえ、そいつに決まってるじゃねえか」
そう言って奴は、俺の胸の上の方を指差す。先ほどから盛大に泣き声を上げ続けている、ぐにゃぐにゃしたソイツを。
「ビェェェェッビェェェェンッ! ビェェェェッビェェェェンッ!」
…激しく声を上げて泣く、まだ濡れた肌が白っぽい、手も足も爪に至るまで超ミニサイズの、しかしれっきとした人間。そいつはまぎれも無く、生まれたばかりに赤ん坊だった。
「おめえがたった今産んだんじゃねえか」
俺は痛烈に思い出した。
カカロットの奴は基本は甘ったれだが、時々容赦が無い奴だという事を。




「あれ?ベジータ?ベジータ??寝ちまったのか??」
「ベジータさん、ベジータさん?大丈夫ですか??」
…カカロットと、他の奴の声を聞きながら、俺はその時叫ぼうとしていた。
…けれど、それはできなかった。
…その時俺はあまりにも疲れ果てていて、声を上げる力も残っちゃいなかった。
…いや、それだけじゃねえ。
…先ほどようやく霧の晴れたばかりの世界が、ぐらりと揺れた。
…今度は世界が真っ暗になって、俺はそこに横たわったまま、卒倒していた…
















…まぶしい、どこだ、ここは…
目を開けた時、俺は自分がどこかに横たわっていた事に気がついた。そこはこれまでの真っ暗闇な世界じゃない。光を久々に見て目がくらんだ。ちくしょう、まぶしい、目がチカチカしやがる。眩しさに俺が目を擦っていると、俺の良く知った奴の声がした。
「お、ベジータ。目ェ覚めたか?」

…――!!この声は…カカロット…!!




「良かったなベジータ、気がついて。おめえ、随分長い事寝てたからもう目が覚めねえんじゃないかと思って心配したぞ」
カカロットは後ろを向いた椅子にまたがって背もたれに手や顎を乗せながら、こちらを覗き込んできた。そこは対して広くも無いが、こざっぱりとした部屋だった。薄黄色の壁に囲まれた室内には、俺が横たわるベッドの他には、テレビと長椅子、それから別室へ続くと思しき扉。
「…カカロット…」
喉を使ったのが久々だったせいなのか、俺の声はひどく擦れていた。
「…どこだ、ここは…、ひょっとして病院か…?」
「ああ、そうだ」
カカロットが頷くを見ながら、俺は心底安堵していた。先ほどのあれが、単なる夢だった事に。


あまりの安堵に、俺はベッドに横たわったまま、再び失神しそうになった。まったく、ひでえ夢を見たもんだぜ。自分が死ぬ夢を見たと思ったら、次はこの俺様があろうことかガキを産む夢を見るとはな!!サイヤ人の誇り高き王子であるこの俺が!!
極度の緊張から解放された時の躁状態で、俺は笑いだそうとした。…しかし、その直後。



「…ヒィェッ……ヒッ……」
…なんだ?今、ものすごく不吉な声を聞いた気がする…
「ヒッ……ヒック、ヒッ…」
…忘れもしない、先ほどの夢で、強烈な印象を残したこの声は…
「ビェェェェッビェェェェンッ 」
盛大な泣き声を上げるソイツの方を俺は見た瞬間、そのまま固まった。俺の横たわるベッドの隣に、もう一つ小さなベッドが据え置かれている。その中に転がされたまま激しい声を上げて泣き続けているのは、超ミニサイズの、しかしれっきとした人間。先ほどと違うのは、まだふやけていた肌が綺麗に洗われていて、白い肌着を着せられている事だ。
「…!?!やっぱり夢じゃねええええええっ!!!」



先ほどと違って俺の体力が回復したのか、今度はちゃんと絶叫できた俺に対して、カカロットの野郎がしっかりと追い打ちをかけた。
「やっぱりすげえよな、まさかベジータがホントに子供産んじまうなんてな」
「…ちょっと待てカカロット!さっきから聞いてりゃキサマ、俺が産んだのなんだの、男の俺に子供が産めるか!常識で考えろ!!」
俺がいくら怒鳴り散らしてもも、相手はのんきそのものだ。
「けどよお、本当の事だからしょーがねぇじゃねえか」


「俺が産んだというならこのガキの父親は誰だ?!」
「こいつの父ちゃん?オラだけど」


…何だと?
余りに動揺が過ぎると、逆に冷静になるものなのかもしれない。俺は、カカロットの顔と、ベッドの中でふえふえと手足をばたつかせている超ミニサイズの人間とを見比べてみた。



赤ん坊は、確かにサイヤ人の特徴として、新生児ながらしっかりとした頭髪があった。二すじ額に垂れ下った豊かな前髪は、確かに目の前でのんきな表情のまま椅子の背もたれに顎を乗せている男を彷彿とさせる。そして、赤ん坊の頭頂から後頭部に掛けて生えた、ツンツンに逆立った髪は誰に似ているのかというと…。
俺はもう一度カカロットの顔を見た。奴は相変わらずのんきに笑っている。俺の顔を見ながら。


俺はその時思った。もしかして俺は、「自分が死ぬ夢」よりももっとひどい悪夢を見ているんじゃないかと。
「…ぅ…うおおおおおおっ!!夢なら早く覚めろ!頼む。覚めてくれええええっ!!!」





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