Ex-diary 予感10

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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予感 [10]

2009/10/16

魔人ブウ編にて、ベジータ自爆~復活の幕間を勝手に脳内妄想。当然カカベジ。



カカロットの膝の上に乗せられた赤ん坊は、哺乳瓶を口元に付けられた途端ゴクゴクとすごい勢いで中身のミルクを飲みだした。飲みながら手足をしきりに動かしているのは、ようやく欲しかったものが与えられて上機嫌、といったところか。
「ははは、ベジット、おめえすげえ飲みっぷりだなぁ。よっぽど腹が減ってたんだな」
「当たり前だろ。あんだけ泣き喚いてたんだ」
和気あいあいと話すカカロットとチビの会話を、俺は微妙な気持ちで聞いていた。


カカロットに上に乗られているところを他の奴に見られて、衝撃で動けずにいた俺を置いて奴は素早く地球人のチビに理由を説明した。
『…………っていう事なんだ』
『なぁんだ、そういう事だったのかよ、驚いたぜ』
…一体どう説明したかは分からんが、カカロットの説明で確かにチビは納得した。この時ばかりはカカロットの世渡りの上手さに心の中で感謝した。(しかし本当にあの状況でどう説明したら相手を納得させられるんだ。分からん)


地球人のチビは、やれやれと言った表情でこちらを見た。
「お前ら、どうせ赤ん坊のミルクの作り方なんか知らねえんだろ?まったく、気になって様子を見に来て良かったぜ。サイヤ人ってのは戦いについちゃ天才だけど、その他の事にはからっきしだからな」
当たり前だ、サイヤ人の王子である俺がガキの世話なんかするか。そう言う前にカカロットが照れくさそうに頭をかく。
「すまねえクリリン、オラ悟飯の時もそっちの事はチチに任せっきりだったからなぁ」
「…ったく、しょうがねえな、俺が教えてやるよ。俺はマーロンの世話でみっちり修業したからな、自信あるんだ」
そう言って胸を張る地球人のチビを見ながら、俺はこの男の妻のからくり人形…人造人間の顔を思い出した。……どう考えてもあの女が赤ん坊の世話を上手く焼けるとは思えん。おそらく尻にしかれたチビがもっぱら赤ん坊の世話をしていたんだろうという事は、容易に想像がついた。



いろいろ持ってきてやったんだぜ、などと口にしながら、チビは先ほど取り落とした荷物をほどき、中身の新生児用品を机の上に並べている。ここで俺は、どうしても気になっている疑問を口にした。
「………おい」
「ん?なんだよ」
地球人のチビはいかにも慣れた様子で荷物をより分けていた手を一旦止め、こちらを振り返った。
「………キサマ、驚かんのか」
「驚くって、一体何を……、ああそうか、お前らの『夫婦の営み』を見ちまった事でか?」
「バッばかやろう…っ、デカイ声で言うんじゃねえっ!!」
「別に驚かねえさ、だってお前ら子供まで作っちまったんだろ?お前ら二人には今まで散々驚かされてきたからなぁ、今更何が起こったって驚かないさ」
そう言って人の良さそうなこの男は、再びせっせと手を動かし始めた。その言葉を聞いて俺はそうかと一瞬納得しかけ、直後にまたおかしい事に気がついた。
ちょっと待て、『男』の上に『男』が乗ってたんだぞ?!おまけに『子供まで作っちまった』だと?!普通驚くだろう!キサマは常識人だと思っていたが、カカロットの仲間だけあってやっぱりどこかおかしいんじゃねえか?!…そう言いたかったが、言えば自分の墓穴を掘ることになりそうなので止めておいた。




カカロットの膝の上で、赤ん坊はたちまち哺乳瓶の中身を飲み干していく。たとえ赤ん坊だろうと、サイヤ人の食欲は旺盛だ。
「ベジット、母ちゃんのおっぱいじゃなくて悪ぃな」
「まあそう言うなよ悟空、母乳も始めはなかなか出ない事も多いんだってさ」
「へ~っそうなんか?」
『出ない事も多い』どころかどう転んでも男からは出るわけが無いだろうが!!そう言いたかった俺の言葉はチビに遮られた。
「うちの嫁さんもそうだったからな」
「18号が?へぇ~っロボットでもおっぱい出せるものなんか?」



「……………。」
完全に出遅れた俺を差し置いて、カカロットとチビはいかにも和気あいあいといった様子で話し続けた。
「お前なぁ、あいつはロボットじゃねえって前にも言ったろ。人間をちょっと改造しただけなの!」
「そっかぁ。18号のおっぱいってでけえから、おっぱい、いっぱい出そうなのになぁ」
「何だよそれ、つまんねえダジャレだな………ん?!ああ~~っ悟空、お前今18号の胸の想像しただろ!ダメだ、ダメだぞ!!」
「何あわててんだ?想像したって減るもんじゃ無いしいいじゃねえか」
「ダメだ、良くねえっ!!」



「……………。」
…何だ、この空気は…。




「女ならみんな胸におっぱいついてるんだしさ」
「そういう問題じゃねえよまったく!」
「ははは、クリリン、慌てるところを見ると当たってるんだな」
「おっお前!それを18号の前で絶対言うなよ?!俺があいつに殺されちまう!」
「分かった分かった、絶対言わねえよ」
「本当だな?悟空、絶対だぞ!」



「……………。」
…何だ、何なんだ一体。さっきから俺だけすっかりカヤの外になってねえか?!




瓶の中身を飲み干した赤ん坊が、またぐずぐずとぐずりだす。
「ふぇ……ふっ…、ヒック…ふえぇェッ…」
「なんだベジット、もう飲んじまったのか?」
「さすが、赤ん坊だろうとサイヤ人だな、地球人用の哺乳瓶じゃ全然足りねえや」
「まいったな、おめえまだ腹減ってるんか?」
「ははっ、こいつには哺乳瓶じゃなくてヤカンが必要だな。いいぜ、もう一回作ってきてやるよ」
「悪ぃなクリリン。ベジット、良かったなぁ、クリリンのおっちゃんが来てくれて」
「…おいおい、『おっちゃん』は止めてくれよ~」
いかにも親しげな奴らの会話を聞いているうちに、俺は次第にムカムカ腹が立ってきた。
ちょっと待て、さっきからこの異常事態に誰よりも振り回されてるのはこの俺だぞ?!何で俺が空気扱いされなければならんのだ!!
とうとう俺は我慢できなくなって、奴らに指を突き付けた。
「おい、キサマら!!」
「ん?」「な、何だよイキナリ!」
面喰った表情で、奴らが同時に声を上げる。
「さっきから見ていればキサマらこの俺様を無視しやがって!!そのガキは俺とカカロットの子供なんだろうが!!他の奴が手を出すんじゃねえ!!だいたいカカロット、キサマの相手はこの俺だ、他の奴とべらべら喋ってんじゃねえ!!」




「「「……………。」」」
俺に指をつきつけられて、奴らは暫く動きを止めていた。きょとんと眼をしばたくカカロットと、驚愕の表情で固まっているチビ。カカロットの膝の上で、赤ん坊だけが手足をぱたぱた動かしている。



カカロットが目をしばたき、チビは赤面しながらコホンと一つ咳払いをする。
「なんだぁ、ベジータ。おめえひょっとして、クリリンにヤキモチ焼いてんのか?」
「……あ~~、これは、その、つまり……『ノロけられちまった』って事かな?」
奴らの言葉を聞いて俺は咄嗟に口にした自分の失言に気がついた。
………っ!?!?し、しまったあああっ俺はこいつらの前でなんてことを言ってしまったんだあああああっ!?!?
再び自分の顔からさあっと血の気が引く音が聞こえた気がする。自分の口に蓋をして失言を取り消したかったが、今更後悔しても遅すぎた。






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