■ふと耳にした会話■
何時もの喫茶店で隣りの席から聞こえてきた会話。
「絵というもんは百貨店の外商を通して値切って買うのがいい・・・」
「おっきな展覧会で賞を取った絵描きの絵が売れるらしい・・・」
「どこがええのかさっぱりわからん・・・」
などなど好き勝手な会話が大声で聞こえてくる。
どうやら、誰かの個展にでも(義理の付き合いで)鑑てきた帰りらしい。
隣りの席に居た私は、人事ながら背筋に寒気が走った。
これが一般の人の素直な感想であるから仕方がないが、それにしても
なんともお粗末な会話であるかとつくづくと思った。
この常識(?)がまかり通る社会で私も生きている。神話、迷信、錯覚、
思い込みは日常お互い様で、先の何処かの会社の偉いさんらしき人達の
浅識が間違いとは言わないが絵描きとしての言い分もある訳で・・・
大切なものが見えにくく、変なものが見えやすいご時世である。
心して振る舞いたいし、世の常識を覆すような精神の若さを失わないで
いたいと思う。そうでなければ、いつしか自分自身も呑み込まれてしまい
かねないから尚さら恐い。
経済大国のこの国にはお金以外にものの価値観を計る物差しがないのだろうか?
文化を育てる土壌がはたしてこの国にはあるのだろうか?
そんな中を当たり前の様に芸術屋達が、↑の解かった様な人達に媚びを売る・・・
描く者と鑑る者との間に、広くて暗い川が横たわっているような気がして
ならない。
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