■名前と作品が独り歩きする


ある人が尋ねてきた。その人は私の作品を1点所有しているが、その人が近所の知人から
「あなたの今飾っている絵と良く似た水彩を描く人が、お客さんに居る」と言われたとか。
一瞬私のことかと思ったが、その人は花屋さんで心当たりがない。誰のことかと詳しく伺うと
大勢いる生徒さんの一人であることが解かった。
小さな一枚の絵を見て、はっと!と気付いたその花屋さんの観察力の凄さに私は驚くと同時に
私の描く水彩画を通して門下にまでも何等かの注目が集まり、評価されることの責任のような
ものを強く感じたのである。

広い世間で絵を描く人や愛好家は数多いが、私の作品を所有している人と、直接関わりの無い人を
介して別な処で結びつく事は有るようでめつたに無い。(但し私が有名な絵描きであれば別だが・・・)
仲間内となれば狭いこの世界(美術界)のことで、いろんな噂が飛び交うことは承知している。
しかし、一般となれば私が絵描きであることさえ知らない人の方がはるかに多いのである。

また別の話しだが、
「実は先生の作品を数点持っています」と言う人に出会うこともある。勿論初対面である。
どんなルートか知らないが、作品だけが手元を離れて動いていると実感することもある。
不特定多数の人々に作品を含めて(自分を)公開している私としては、針の上のむしろのような心境で、
気の抜けない毎日なのである。そんなときふと昔のように勝手気侭に好きな絵を描いていた時代が
ある意味で懐かしく思ったりもするのは、贅沢なことなのだろうか?


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by condor