憩いの広場 − 疲れた時にリラックスする場所 ー 美術史上の名画

住宅の居間・個室、会社のホール・会議室、病院の待合室などに絵があると、ほっとした気分になります。絵画に限らず、芸術は人の心に潤いや安らぎを与えてくれます。ここでは、各時代の代表的な芸術家の作品を、少しづつ掲載していく予定です。名画を楽しみながら、西洋美術史のアウトラインをつかむ工夫もしました。なお、現在、作品を載せているのは、名前に下線を引いた芸術家で、下線を引いていない芸術家は、準備中です。

芸術の新しい運動や主義は、それまでの芸術の欠点を批判し解決しようとして、登場・発展してきました。その歴史を知ることは、一つ一つの作品を鑑賞・理解する上で、参考になります。また、芸術家個人の生涯や特徴を知ることも、役立ちます。ここに記した解説は、原則として、芸術の主義・運動・流派は「広辞苑」から、芸術家個人は、「世界大百科事典」(平凡社)からの引用です。

                                  西洋美術   

1.原始・古代・中世
原始時代にアルタミラ(スペイン)やラスコー(フランス)などの洞窟内に描かれた彩色動物画は、狩りの成功を祈る呪術のためだった。古代では、メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマの美術が興味深い。中世の美術は、もっぱらキリスト教会のために製作された。

原始美術    メソポタミア美術   エジプト美術   ギリシャ美術    ローマ美術    中世美術

2.ルネッサンス
(再生の意)  
13世紀末葉から15世紀末葉にかけてイタリアに起こり、次いで全ヨーロッパに波及した芸術上および思想上の革新運動。現世の肯定、個性の重視、感性の解放を主眼とするとともに、ギリシャ・ローマの古典の復興を契機として、単に文学・美術に限らず、広く文化の諸領域に清新な気運をひきおこし(人文主義)、神中心の中世文化から人間中心の近代文化への転機の端緒をなした。文芸復興。学芸復興。

ボッティチェリ (1445‐1510)  レオナルド・ダ・ビンチ (1452−1519)  ミケランジェロ (1475−1564)  ラファエロ (1483‐1520)
デユーラー  (1471−1528)

3.バロック   
17世紀初頭から18世紀中葉、全ヨーロッパを風靡した芸術(建築・彫刻・音楽など)上、および、文学上の様式。ルネッサンスの古典主義に対して有機的な流動感が強く、マニエリスムに対しては現実感が強く、ロココに対しては雄大荘重。

     ルネッサンス芸術 : 古典様式の完成         バロック芸術 :   barocco「ゆがんだ真珠」、baroque「不恰好な、異様な」
            [特色]   明快ですっきりした形態        [特色]     複雑多岐な形態
                   均衡で安定感ある構図                 激しくダイナミックな構図
                   上品で落ち着いた色彩                  鮮烈な色彩、強い明暗対比
                                                   厳しい写実(市井リアリズム)
                   コンセプトは「調和と秩序」                コンセプトは「対立と闘争」
                                                  
ルーベンス ( 1577-1640)     レンブラント (1606−1669)  フェルメール (1632−1675)

4.ロココ   
フランスのルイ15世時代の装飾様式。バロック時代のあとをうけ1723年から60年頃まで流行。曲線過多の濃厚・複雑な渦巻・花飾・唐草などの曲線模様に淡彩と金色を併用。画家ではワトー・ブーシェ・フラゴナールらがその代表。

フラゴナール (1732-1806)   ゴヤ (1746−1828)

5.古典主義(新古典主義)   
18世紀中頃から19世紀前半にかけて、バロックとロココ美術に対する反動として、西欧全体に起こった芸術運動で、古代のギリシャ・ローマの芸術を規範とする立場。理知・普遍性・形式・調和・完成を重んじた。文学ではイギリスのドライデン、フランスのモリエール・ラシーヌ・ボワロー、ドイツの壮年期のゲーテ・シラー、絵画ではフランスのダビッド・アングル、音楽ではハイドン・モーツァルトらがその代表。

ダビッド (1748-1825)  アングル

6.ロマン主義   
フランス大革命後から19世紀初めにヨーロッパに展開された文学上・芸術上の思潮・運動の一つ。古典主義・啓蒙主義・合理主義に反抗し、感情・空想・主観・個性・形式の自由を重んじた。文学ではスタール夫人・シャトーブリアン・バイロン・シェリー・ノバーリス・シュレーゲル兄弟、絵画ではドラクロア、音楽ではシューマン・ショパン・ベルリオーズらがその代表。

 コンスタブル (1776−1837)  ターナー   ドラクロア (1798−1863)   

7.写実主義   
現実を美化せず、あるいは、理想化せず、あるがままに描写しようとする文学上・芸術上の技法、また立場。19世紀中葉、ロマン主義に対立して興った。フローベールの小説「ボバリー夫人」、クールベの絵画などがその代表。リアリズム。

ミレー (1814−1875)  クールベ (1819−1877) 

8.印象主義  
1860年代に始まり、世紀末に至るフランスで起こった絵画を中心とする芸術運動。1872年作(74出展)のモネの絵の題名「印象、日の出」に由来する。固有色を避け、原色の斑点を画面に並置し、視覚による混合作用を利用して、自然の明るさと変化の相を捉える。モネ、ピサロ、シスレー、ルノワールらが代表者。彫刻、音楽などにも影響。

モネ (1840−1926)      ルノアール (1841−1919)      カサット (1844−1926)      

9.後期印象主義  
印象主義に出発しながら、その構成の不足や視覚への過度の依存などに対する反動と修正として形成されたセザンヌ、ゴッホ、ゴーガンなどの、それぞれ個性的な芸術傾向の総称。

セザンヌ (1839−1906)    ゴーギャン (1848−1903)       ゴッホ (1853−1890)

10.現代美術

ピカソ (1881−1973)   マティス (1869−1954)

                                  日本美術

1.江戸時代−浮世絵
江戸時代に発達した民衆的な風俗画の一様式。肉筆画も行われたが、特に版画において独自の美をひらいた。桃山時代から江戸時代に流行した肉筆の風俗画・美人画を母胎とし、17世紀後半の菱川師宣によって版本挿絵として様式の基礎がつくられ、さらに1765年には鈴木春信により多色刷版画(錦絵)が創始されて、黄金期を迎えた。その主題は遊里や芝居の情景、美女・役者・力士などの似顔絵を中心とし、歴史画や風景・花鳥に及ぶ。作家としては、ほかに鳥居清信・西川祐信・鳥居清長・喜多川歌麿・東洲斎写楽・葛飾北斎・歌川広重などが名高く、19世紀後半からヨーロッパの美術へも影響を及ぼした。

葛飾北斎 (1760−1849)   歌川広重 (1797−1858)   

2.現代

日本画・洋画

3.現代−水彩画
同じ対象でも、油絵と水彩画で描いた場合では、その絵から受ける印象は非常に異なる。油絵よりも、水彩画の方が、私たちが実際の風景や静物から受ける印象に近い場合がある。そこに水彩画の存在意義の一つがある。また、欧米人と比べると、全体に淡白な傾向がある日本人にとっては、脂っぽい洋食のような油絵に対して、水彩画はあっさりした和食のように、体になじみやすい面があるかもしれない。

ならざき清春      藤木徳男  


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