1月3日 笑って許して
「「よく笑っている」62% おやじギャグには76%寛容」(朝日)
朝日新聞社が実施した「日本人と笑い」の世論調査の結果です。
「「日ごろ、不快に感じる笑い」(複数回答)については、「人の失敗や欠点を笑う」(52%)、「お年寄りや弱者を笑う」(40%)など差別的な笑いが上位に挙がった」
どうやら朝日は正月番組に出たおしている波田陽区のような他人の悪口で売っている芸人を斬りたいようです。流行語大賞ノミネートで一気に知名度が上ったところに、着物スタイルだからお正月イメージにぴったりの縁起物ということでもてはやされるのか、テレビをつけるとだいたいどこかにいてる波田陽区。出てきたときは長井秀和の二番煎じと見ていたら、あっという間に長井秀和を抜き去ってしまいました。
ちょうどこれを書いている今も「芸能人格付けチェック」に出ています。それも格付けされるほうではなく、本物の波田陽区のネタはどちらかという格付け基準として。波田陽区を理解できるかどうかが、高いワインや真の芸術と同列なのはちょっと理解しがたいですが、それも勢いなのでしょうか。細木数子でさえ、大晦日特番でようやく和田アキ子斬りを達成できたのに、正月気分も息切れの1月3日に小林幸子を斬れる波田陽区、乗りにのっています。
ところで、関西人の僕は波田陽区や長井秀和のネタで声を出して笑ったことが一度もないのですが、関東人はああいう芸風で笑えるのでしょうか?面白いとは思うのですが、どうも笑いにつがなる面白さではないように感じます。朝日のアンケートで「「大阪の笑いが好き」が64%で東京の26%を圧倒」しているように、東京の笑いだから大阪の僕にはレベルが低いのでしょうか? でも、爆笑問題やおぎやはぎやアンタッチャブルは好きですし、笑えます。一人芸だからでしょうか? 昨今のピン芸人ブームで頭角をあらわした陣内智則やケンドーコバヤシは良いです。毒舌が売りだからでしょうか? たしかにそれはあります。綾小路きみまろや毒蝮三太夫は面白いと思いませんし、ちょっとした嫌悪感すら抱きます。それでは、朝日のアンケートで日本人が嫌う笑いのパターンとおなじじゃないかと思い至りました。結局、僕は笑いに対しては標準的な日本人ということなのでしょうか。
そんな僕でも、「紅組が勝とうが白組が勝とうが興味ありませんから!残念!その時、格闘技の結果に夢中。斬り!」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050101-00000025-nks-entと紅白歌合戦でやった勇気と芸人魂は買いたいです。ふところに飛び込んでもひるまずに強いものに噛み付く姿勢は好感が持てます。まあ、いまのNHKはだいぶ弱ってはいますが。
再び朝日のアンケート、
「だじゃれに代表される「おやじギャグ」については、76%が「別に構わない」と寛容的だった」
これは寛容というよりは冷淡なのでは。あとの24%は「許せない」や「ありえない」や「堪えられない」だとすれば、かなりの扱いです。うがった見方をすれば、「人の欠点を笑う」ことを日本人は嫌っているようですから、おやじのギャグセンスのなさを露呈するおやじギャグには笑えないのかもしれませんが。
きょうの一冊:『笑い』 著/アンリ・ベルクソン 岩波文庫
青 645-3
きょうの一曲:「笑って許して」 『ベスト・ヒット』 和田アキ子