9月26日 飛ばない馬は
タップダンスシチーが凱旋門賞を回避した。馬の故障かとおもったら、なんと搭乗予定の飛行機が故障したのだと(参考:朝日http://www.asahi.com/sports/update/0925/149.html)。
管理する佐々木調教師のコメント「こんな形で出られなくなるなんて本当に残念です。悔しいです。泣きそうです」に泣きそうになる。
競馬番組にゲスト出演したときは陽気で飄々とした語り口で大いに楽しませてくれる、いい意味で調教師らしくない調教師だけに、この人が落ち込んでいる姿を想像するのはとても辛い。
日本競馬の海外遠征史をひも解けば、祟られているとしか思えない不幸が満載で、飛行機が飛ばなかったというのも2003年のドバイワールドカップに遠征しようとしていたゴールドアリュールが、イラク開戦の余波で飛行機の都合がつかなくなったために遠征を中止した例がある。しかし、こういうことは何度同じようなことがあっても、そのたびにやりきれない気持ちになる。
不幸中の幸いなのは、飛び立ったあとに中継地なんかでトラブルに巻き込まれ、行くに行けず帰るに帰れないなんて最悪の状況にならなかったことで、馬は海外に行くことなど知らないわけだから、人間の気持ちさえ切り替えられれば国内のレースでタップダンスシチーの活躍が見られるだろう。
「僕の競馬人生でこんなチャンスはないと思います。しばらく気持ちの切り替えが出来ないと思います」と落胆する佐々木調教師だが、師の若さと行動力をもってすれば必ずまたチャンスはやってくる。絶対に。
そのときのためにもタップダンスシチーは昨年のジャパンカップのような最高のレースをこの秋も見せて欲しい。羽は生えていないからロンシャンへと飛んでいけなかったけれど、その名のごとく華麗なステップで素晴らしく速く走る馬が日本にいることを世界中の競馬好きに知らせる活躍を。そして、日本のファンである僕は、この秋タップダンスシチーが日本で走ったおかげで見ることができた、キングカメハメハやヒシミラクルとの名勝負に喝采を贈りたい。
9月27日追記:
とか言ってたら、やっぱり出るそうな。
http://keiba.radionikkei.jp/news/20040927K06.cfm
10月1日に成田を発って、3日のレースに出走。格安パックツアーのような強行軍になりました。でも、そういうのもシチーの馬っぽくていい。飛行機は故障したエアーフランスではなくJALだそうで、機内食は日本食だし、客室乗務員は日本人だし、JALマイルも貯まるし、機内では快適にすごせそう。
きょうの一枚:『日本航空史(1)
黎明期の日本の翼(明治時代〜昭和初期時代)』