ぼすのできごと 2004年9月下旬
   2005年 1月上 1月下 2月上 2月下 3月上

   2004年 9月上 9月下 10月上 10月下 11月上 11月下 12月


16日 ICOCAに移行か
  18日 僕らは静かに消えてゆく  19日 紀伊半島沖地震波をアニメ化
20日 月はどっちに出ている  22日 麒麟さんが好きです  25日 でも道三はもっと好きです
26日 飛ばない馬は  27日 犬馬の心  30日 最強女子伝説

 

9月30日 最強女子伝説

 

「2156年五輪の100m最速は女性? 英科学者予測」 (朝日)
http://www.asahi.com/science/update/0930/002.html 

「過去約100年間の五輪優勝記録を分析すると、女子の方が男子より大きく記録を更新していた。この傾向が続けば、2156年の五輪で女子の優勝記録は8秒079となり、男子の優勝記録8秒098を追い抜くと予測された」

 なんか、ちょっと知恵のついた小学生の勘違いみたいな「予測」です。単純に記録の上昇だけを比較するだけでなく、男女の競技者数の増加率とか過去と現在の競技者の身体能力の変化とかを加味して、大前提として人間はどこまで速く走ることができるかという限界を設定しないことにはなんともいえないと思うのですが。だいたい、掲載されているグラフを延長すれば、2400年ごろには女子は100mで0秒を切ってしまいます。あと400年で人類は瞬間移動能力を身につけるわけですね。しかも女子が先に。 

 たとえば、日経平均株価。バブル期には3万8千円もあったのに今は1万円ちょいです。じゃあ、10年後には0円になるのでしょうか。たとえゴジラが毎年上陸しても日本の全経済活動が停止してしまうまでにはいたらないでしょう。 

 たとえば、紅白歌合戦の視聴率。1980年代前半までは70%を越えていたのに、いまは40%代。では、20年後には紅白の視聴率がひと桁になって、民放の格闘技番組をみるのが国民的大晦日のすごし方になるのでしょうか?たぶん、そうなる前に紅白は打ち切られているでしょう。小林幸子の歌手生命とともに。 

 たとえば、競馬のダービー。発祥の地である英国のダービーは1933年ハイペリオンの2分34秒0から1995年のラムタラ2分32秒3まで、70年ほどでレースのレコードタイムは1.7秒しか縮まっていないですが、日本ダービーは1990年アイネスフウジンの2分25秒3から2004年キングカメハメハ2分23秒3と15年で2秒も短縮しています。ということは、もうすぐ日本調教馬がイギリス調教馬よりも強くなるのでしょうか? あ、これはありそうか。 

 ともかく、『Nature』誌に掲載されるからといって科学的に完璧な裏づけがあるわけではないということです。それは『Nature』も分かっていて、世界のメディアが面白半分に取りあげてくれそうだからいい宣伝になるということで掲載するのでしょう。どうせ2156年にならないと結果が分からないし、別に間違っていたからといって実害のあるものでもないですし。 

 余談ですが、男子・女子の比較の前にオリンピック・レコードの大半はパラリンピックの同様の種目のレコードに劣るようになるかもしれません。義手や義足の技術発達はめざましいものがあり、人間の生身の体よりも運動能力の優る身体を獲得することも可能です。身体を機械化する人はマイノリティとして差別の対象になるかもしれませんし、パラリンピックがそういった機械のカラダになった選手の受け皿となるなら、障害の克服に加えて人類の限界に挑戦する舞台にもなるでしょう。そのころには、男女の性別などスポーツ競技ではたいした差異になっていないのかもしれません。


きょうの一冊:『100m=9秒台での走り方    非日常実用講座』 著/非日常研究会

 

 

 

9月27日 犬馬の心

 

「皇居:警察犬デビューへ 馬暴れると難色の宮内庁折れる」(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040927k0000m040137000c.html

 犬と馬を代理に仕立てた宮内庁と警視庁の縄張り争いです。 

 宮内庁は「「犬の鳴き声で馬が暴れだす危険がある」「犬の毛や臭気で環境が悪化する」などと反対」 したそうで、それに対して皇宮警察は「牛や馬と一緒に番犬として飼っている農場もあるなど、犬の鳴き声で馬が暴れる可能性は低く、「犬の毛が拡散しても、馬の健康には問題ない」(農場飼育員)など“安全”を確認。「担当者が夜間も犬に付き添うため逃げ出すことはない」と理解を求めた」 そうです。 

 宮内庁は馬の鳴き声で犬が暴れだす危険や馬の毛や臭気での環境悪化は気にならないのでしょうか。そもそも、鎌倉時代の犬追物を知らないはずのない宮内庁が犬と馬を一緒にしたらいけないなどと言い出すことが疑問です。 

 皇宮警察は農場飼育員に確認しないと犬と馬を一緒に飼うことができるか自信がなく、犬が逃げないように人間が夜間も付き添うことで犬にストレスがたまることを懸念しないのでしょうか。皇宮警察といえば、日経賞馬テンジンショウグンの再就職先として競馬ファンにも知られており、主な職務は皇居のパトロールや外国大使の就任式での東京駅から皇居までの馬車行列など。騒音の激しい都心で要人に接する仕事なのだから、犬の鳴き声ごときで暴れるような馬はいないはずです。 

 「動物のため」といえばなんでも正論だと思う人ほど、人間のことしか考えていないのかもしれません。まさしく「犬馬の労」をいとわない馬や犬に大変失礼な話です。


きょうの一冊:『HORSE CARE MANUAL―馬を飼うための完全ガイド

 

 

 

9月26日 飛ばない馬は

 

 タップダンスシチーが凱旋門賞を回避した。馬の故障かとおもったら、なんと搭乗予定の飛行機が故障したのだと(参考:朝日http://www.asahi.com/sports/update/0925/149.html)。 

 管理する佐々木調教師のコメント「こんな形で出られなくなるなんて本当に残念です。悔しいです。泣きそうです」に泣きそうになる。 

 競馬番組にゲスト出演したときは陽気で飄々とした語り口で大いに楽しませてくれる、いい意味で調教師らしくない調教師だけに、この人が落ち込んでいる姿を想像するのはとても辛い。 

 日本競馬の海外遠征史をひも解けば、祟られているとしか思えない不幸が満載で、飛行機が飛ばなかったというのも2003年のドバイワールドカップに遠征しようとしていたゴールドアリュールが、イラク開戦の余波で飛行機の都合がつかなくなったために遠征を中止した例がある。しかし、こういうことは何度同じようなことがあっても、そのたびにやりきれない気持ちになる。 

 不幸中の幸いなのは、飛び立ったあとに中継地なんかでトラブルに巻き込まれ、行くに行けず帰るに帰れないなんて最悪の状況にならなかったことで、馬は海外に行くことなど知らないわけだから、人間の気持ちさえ切り替えられれば国内のレースでタップダンスシチーの活躍が見られるだろう。 

 「僕の競馬人生でこんなチャンスはないと思います。しばらく気持ちの切り替えが出来ないと思います」と落胆する佐々木調教師だが、師の若さと行動力をもってすれば必ずまたチャンスはやってくる。絶対に。 

 そのときのためにもタップダンスシチーは昨年のジャパンカップのような最高のレースをこの秋も見せて欲しい。羽は生えていないからロンシャンへと飛んでいけなかったけれど、その名のごとく華麗なステップで素晴らしく速く走る馬が日本にいることを世界中の競馬好きに知らせる活躍を。そして、日本のファンである僕は、この秋タップダンスシチーが日本で走ったおかげで見ることができた、キングカメハメハやヒシミラクルとの名勝負に喝采を贈りたい。

9月27日追記:
 とか言ってたら、やっぱり出るそうな。
http://keiba.radionikkei.jp/news/20040927K06.cfm
 10月1日に成田を発って、3日のレースに出走。格安パックツアーのような強行軍になりました。でも、そういうのもシチーの馬っぽくていい。飛行機は故障したエアーフランスではなくJALだそうで、機内食は日本食だし、客室乗務員は日本人だし、JALマイルも貯まるし、機内では快適にすごせそう。


きょうの一枚:『日本航空史(1) 黎明期の日本の翼(明治時代〜昭和初期時代)

日本航空史(1) 黎明期の日本の翼(明治時代〜昭和初期時代)

 

 

9月25日 でも道三はもっと好きです

 

あの『戦国自衛隊』がリメイクされるらしい(参考:日刊スポーツhttp://www.nikkansports.com/ns/entertainment/p-et-tp0-040922-0006.html)。

 タイトルは『戦国自衛隊 1549』。タイムスリップした自衛隊員が織田信長になり代わり歴史を変えるストーリーだそう。前の『戦国自衛隊』は川中島の戦いで謙信と信玄がいっぱい出てきていたので、タイムスリップする時代が10年くらいさかのぼっている。年代的には信長が斉藤道三の娘をめとるあたりで、戦国時代といってもまだ隣国間の小競り合いがつづく序盤の時期。それから天下統一うんぬんまでもっていくには、タイムスリップした自衛隊も補給がないと苦しそうだが、そのへんの整合性はどうなるのか興味津々。脚本は福井敏晴で、そのあたりの設定は微に入り細に入りこだわりそうな人選。

 ところで、来年はこの福井敏晴が原作の映画が公開ラッシュになる。2005年春公開予定の『ローレライ』、夏公開予定の『亡国のイージス』に加えてこの『戦国自衛隊1549』が6月公開予定。すでに公開されて大ヒットした作品があって、その二番煎じ三番煎じで同じ人の原作や脚本がつづくのはよくあるけれど、ほぼ同時にことなる製作・配給でこれだけ重なるのは珍しい。同氏の小説は『終戦のローレライ』と『ターンAガンダム』を読んだことがあるが、冒険小説としてとてもよくできていて面白かったものの、読者層は30歳以下の男性に偏っているイメージがある。しかし、映画化された作品が狙っているのは万人受けする大作のようで、女性客をどこまで呼び込めるかが明暗を分けそう。主役級の役者は『戦国自衛隊1549』が江口洋介、加賀丈史。『亡国のイージス』が真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一。『ローレライ』が妻夫木聡、役所広司。日本映画界を代表する男優がずらりそろっているけれど、妻夫木聡をのぞけばかなり渋目。来年は「ドキっ!中年男優だらけの映画大会」になりそう。ただし、ポロリはなしでお願いしたい。


きょうの一冊:『国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉』 著/司馬遼太郎

 

 

 

9月22日 麒麟さんが好きです

 

 キリンビールが「会社(職場)の人とのお酒の飲み方」に関する意識調査を実施したそうで、その結果がasahi.comで紹介されていました(http://www.asahi.com/national/update/0921/022.html)。 

 「一緒に飲みたい上司」、男性1位は明石家さんまさん、といかにもな結果になっていて、一般的には「お付き合い」な印象のある上司との酒の席に楽しげなイメージを添えそうな話題に仕上がっています。 

 しかし、記事にはなっていないところに要注目な結果がありました。キリンビールのサイトで公開されいてる調査結果では「一緒に飲みたい部下」についても掲載されていて、その第7位にえなりかずきがランクインしているではないですか。 

 えなり君もいつのまにか大人になったんだなあと時のすぎるはやさを感じつつ、念のためにプロフィールを調べてみると、えなりかずき、生年月日1984年11月9日・・・。未成年じゃないですか。お酒は二十歳になってからと言っているキリンさんはOKな結果なのでしょうか? ついでに、この調べ物でえなり君がこの春大学に合格(一浪)していたという朗報も仕入れまして、現役大学生なのに一緒に酒を飲みたい部下になっていることに。 

 成人でもサラリーマンでもないのに一緒の飲みたい部下第7位なえなり君。再来月に二十歳になったあかつきには、是非キリンの新CMキャラクターに起用していただきたいものです。


きょうの一冊:『ビールと日本人―明治・大正・昭和ビール普及史

 

 

 

9月20日 月はどっちに出ている

 

「太陽が沈む方角、3割が知らず 危うい小学生の天文知識」 (産経)
http://www.sankei.co.jp/news/040920/sha075.htm 

「小学生の約5割は月が満ち欠けする理由を理解しておらず、約3割は太陽が沈む方角を知らない−。天文現象に対する小学生の知識や理解は危機的状況にあることが縣秀彦国立天文台助教授らの20日までの調査で分かった。」

 都合のいい調査で危機感を煽る典型です。記事最初の表現を逆にすると、「小学生の約5割が月が満ち欠けする理由を理解し、約7割もが太陽が沈む方角を知っている」わけで、過去の同様の調査でもっと正答率が高かったのならいざ知らず、比較対象のない単発の調査のデータから「天文現象に対する小学生の知識や理解は危機的状況にある」といえるのか、はなはだ疑問です。「西から昇ったお日様が、東に沈む」と歌う元祖天才バカボンの主題歌を子どものころに信じていた僕の感覚では、小学校高学年ならこのくらいかなと思える割合なのですが、天文台の人にとっては驚愕の事実らしいです。自分の専門分野の常識はみんなが知っていて当然と思いがちですが、実際には案外知らないものです。とくに子どもは知らないことだらけです。「知らない大人の人に電話をかけるときはタメ口をきいてはいけない」とか、「ポップコーンの原料はとうもろこしだ」とか、「上映中は静かにする」とか。まったく、そのおかげで今日どれだけ疲れたことか。それはともかく、さらに引用。 

「縣さんは「学習指導要領では月の満ち欠けが必修ではないので正解率が低いのは当然」と指摘。満ち欠けの理由を教える授業をした茨城県のある小学校で別に調べたところ、正解率は高く、縣さんは「子どもには月の満ち欠けを理解する力はある」と話している。」

 教えてないことをしらないのは当然という縣さんの指摘はもっともです。しかし、教えられた子どもの正答率が高いからといって「子どもには月の満ち欠けを理解する力はある」というのはどうでしょうか。ただ単に先生の言ったことを覚えていただけで、理解しているかどうかは分かりません。むしろ、教えられていないにも関わらず正解した子どものほうが理解している可能性が高いかもしれません。 

「「ゆとり教育」のため学校で教えなくなったり、自然体験が減ったりしたことが原因とみられ、縣さんは理科教育の見直しを訴えている。」

 調査自体が「もっと理科に時間を割いてください」と言いたいがために実施されたようなものなので、「ゆとり教育」批判に行き着くのは定石ですが、自然体験が減ったこともセットにしているのはやや強引に感じます。天文知識に関しては、実体験よりも知識に基いて論理的に思考する力のほうが重要に思えます。もし、月の満ち欠けを体験的に理解しようとすれば、宇宙に行って太陽と月と地球を実際に眺めてみなければなりません。地球上でたくさん自然にふれあっていたからといって、理解できるたぐいのものではないでしょう。 

 しかし、強引に調査結果を解釈してまで天文知識の危機を叫ぶ側の気持ちも分かります。現在、天文学の第一線で活躍する人たちは、月面着陸の中継映像や大阪万博の「月の石」展示でアポロが月に行った衝撃をまともに受けた世代ですから、宇宙開発といえばロケットの発射が失敗して何百億円もパーにとかいうネガティブなニュースが目立つ最近の情勢を嘆きたくもなるわけです。ただ、それならば教育をどうこうするよりも、「王立科学博物館」の宇宙フィギュアやプラネタリウムクリエーター大平貴之氏の活動のような宇宙少年を育てる試みをどんどんやってみるほうが効果的でしょう。ただ、調べてみないと分からないからやってみるという研究の初歩的な姿勢を忘れ、事前の主張に沿って調査をしている人たちがそれに気づくには、コペルニクス的大転換が必要なのかもしれませんが。

9月22日追記:
 天文台のこの調査に文部科学省がクレームをつけました(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040922-00000230-kyodo-soci)。国立天文台も文部科学省の管轄なので、調査をした研究者の前途は多難そうです。


きょうの一冊:『星になったチロ―イヌの天文台長』 著/藤井旭

 

 

 

9月19日 紀伊半島沖地震波をアニメ化

 

「紀伊半島沖地震波をアニメ化」(朝日)
http://www.asahi.com/science/update/0918/001.html


 ジャパニメーションもなんと前衛化したことか。ガイナックスが製作し、主役のP波とS波は山寺宏一が一人二役するこの番組、アニメージュに地震波の衝撃的な水着グラビアが掲載され、放映前から期待感が高まる。いよいよ第一回の放送、はじまる前には「紀伊半島沖地震波をみるときは、部屋をあかるくしてはなれてみてね」と出る。テレビ朝日系で土曜の早朝に放送され、視聴率はいまいちだが口コミで人気が出て、舞台となった和歌山は一躍観光スポットに。新たな萌え「地震萌え」が流行し、防災頭巾にリュックスタイルのコスプレが登場、なまずを飼育したり、自宅に地震計を設置する強者まで出る始末。『地震ファン』『地震ジャーナル』『週刊100地震』など地震専門誌が続々と創刊され、気象庁や国土地理院への就職希望者が激増、震源地に少しでも近づこうと海に乗り出して遭難する人が続出。
おもわず、そんな想像をしてしまった。


きょうの一冊:『大地震が起きた時、あなたは大丈夫か

大地震が起きた時、あなたは大丈夫か―地震波が巨大構造物を襲う

 

 

9月18日 僕らは静かに消えてゆく

 

 プロ野球がスト決行で揺れているみたいだが、その影にかくれて競馬はもっと大変なことになっている。宇都宮、高崎、笠松と3つの地方競馬が累積赤字を理由に今年度限りでの廃止を検討され、JRAの売上も前年割れがつづいている。そんな日本競馬の構造的な歪みがもたらした仇花、高知競馬のハルウララも馬主と調教師が馬を奪い合う醜い争いに巻き込まれた。ブーム自体が末期的症状だったのだから、それすら終わればもう消えてしまうしかない。地方競馬の半分くらいは5年以内に姿を消し、馬産は大幅に規模が縮小、競馬に携わる人たちの多くが転廃業を余儀なくされる。そのあとにのこった競馬は、今とはかなり姿かたちを変えたものになっているのだろう。 

 毎週末に競馬開催があり、インターネットで馬券が買えて、成績やタイムや血統などあらゆる情報がデジタルデータで提供されている中央競馬の現状にとても満足している僕としては、この快適なシステムが永続的に維持されていけばいいなと思っているのだが、それを脅かす現在の状況に対してなんらアクションを起こそうとは思っていない。ネットでの署名くらいならするかもしれないけれど、廃止されそうな地方競馬場へ行って、廃止反対とプラカードをかかげる気はない。それは、直接的な利害関係にないし、まだ変わりがいくらでもあるという余裕があるからだと思うが、それでもなんとなく、今なにもしないことでのちのち後悔することになるかもしれないという予感もしている。たぶん、競馬にかぎらずだらだらとした下り坂を少しづつ降りているのが、この国のこの時代の気分なのだろう。諸行無常で盛者必衰とばかり、ゆっくりと静かに消えてゆくのもそれはそれで美しいけれど、それだけでは満足できない人には辛い世の中だ。


きょうの一曲:『僕らは静かに消えていく』 山崎まさよし

僕らは静かに消えていく(通常盤) [MAXI]

 

 

9月16日 ICOCAに移行か

 

 駅に行くたびに目につく仲間由紀恵の宣伝ポスターの誘惑をふりきって、かたくなにJスルーカードを使い続けていたが、Jスルーカードが買える自動券売機が片隅にしか置かれていない現状にさすがに辟易して(なにせ、もはや誰も使っていないオレンジカード可の券売機のほうが多い)、ついにICOCAを買ってみた。 

 新規だと2,000円払って1,500円分しか使えない(500円は使い捨て防止のための預かり金らしい)のは気に食わないが、木村祐一とまんまちゃんを混ぜたようなキャラクター、イコカモノハシのエサ代だと思っておくことにする。 

 帰り際に買ったので、改札デビューは明日移行になるが、今からちょっとドキドキ。はじめて馬券を買ったときにちょっと似た感じ。 

 だけれど、そんな僕のICOCAデビューに水を差すかのようなニュースが。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040916-00000071-mai-soci 

 JR職員のICOCA不正利用という本題以前に、JR職員も通勤以外では電車賃を払わなきゃならないという事実に、まずもって驚いた。かつて近鉄職員だったじいちゃんは定年後も全線フリーパスをもっていたのだが。たぶん国鉄からの民営化後の労使関係の変化のなかで厳格化してきたのだろう。 

 たぶん、おなじような不正は東京のスイカでも行なわれてるはずだろうから、先にイコカでこういう不正が明るみに出たのは、JR西日本のほうがJR東日本よりも報道管制が甘い(良く言えば公開すればマイナスイメージにつながる内部情報もオープンにしている)ためだろうが、世間には関西人のほうがケチだからだという文脈で紹介されてしまいそう。


きょうの一冊:『ぼちぼちいこか』 著/マイク・セイラー

ぼちぼちいこか