ぼすのできごと 2004年11月下旬
   2005年 1月上 1月下 2月上 2月下 3月上

   2004年 9月上 9月下 10月上 10月下 11月上 11月下 12月


16日 名義貸し
  17日 香港国際賽事的『2046』  18日 モーニング娘。(自営業?)  20日 逃亡者
21日 誰にでも秘密はある  22日 『ドラえもん のび太の声がわり』
23日 ハッスルは強制でないことが望ましい  26日 ロビンマスク対悪魔将軍  28日 プロ野球三国志
30日 カンニング

 

11月30日 カンニング

 

「韓国のカンニング事件、新たに82人摘発…全国に蔓延」(読売) 
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20041130i313.htm 

 小太りのメガネがキレて貧相な小男がなだめる芸で人気沸騰中の漫才コンビが韓国で事件。ではなく、韓国の入試で携帯メールをつかった組織的なカンニングがあったという話題。 
 頭のいい奴が答えをメールで送る方法は、携帯を持っている受験生なら世界中で誰もが考えつくことでしょう。僕が受験生だったころはまだポケベル全盛期で、受信はできても送信ができないから実現不可能でしたが、普及しつくした現在なら日本でもバレてなくとも実行した人間はいるはずです。ただ、折りたたみ式の携帯が主流の日本では携帯を開ける手間がある分、難易度が高そうですが。 

「韓国メディアによると、ソウル警察庁サイバー犯罪捜査隊は、試験の大部分が五者択一のマークシート方式である点に着目。まず試験日の11月17日に全国で発信された2億件以上の通信記録の中から、試験時間帯に発信された1から5までの数字だけで構成された文字メッセージ約25万件の記録を、移動通信会社2社から押収した」 

 たかだかカンニングでこれだけ膨大な記録を官憲が押収するのは、個人のプライバシーや通信の自由の侵害じゃないかと思うのですが、おとなりの国なりの事情もあるのでしょう。日本以上に学歴社会の韓国では、能力選抜の最重要手段たる大学修学能力試験で不正があるということが社会の存立基盤をゆるがせるほどの事態であると判断されているのかもしれません。 

 今回は「1から5までの数字だけで構成された文字メッセージ」だけが捜査の対象になったようで、数字以外に文字を入れていたカンニンググループは助かったわけです。ポケットに手を突っ込んでブラインドタッチならぬブラインドプッシュでメールを打っているのだとしたら、文字も入力できる技術の高い集団のほうが発覚を免れたこととなり、その点ではカンニング能力の高低が成否の判定基準になっていて、ある意味では能力選抜になっています。 

 こういうのはいたちごっこで、来年からはカンニングしやすいように改良された携帯を使用したり、暗号化したり、不特定多数に送信して集団の特定を回避したりといった巧妙な手段が出てきそうです。さらに世界的なユビキタス社会化の先陣を切っている韓国の事ですから、携帯以外にもカンニングに使えそうなツールは次々出てくるはずで、装身具や人体に埋め込むタイプの通信装置が普及すればカンニングももっと容易になりそうです。 

 仮にそうしたカンニング集団が現れてさらにカンニングが大規模化・組織化したとしても、集団の数が多くなるとそれだけバレる危険も大きくなるわけですし、新しい技術を活用しつつネットワークを維持する能力がある人物なんていうのは情報化社会にとってもっとも望まれるリーダー像ですから、不正が発覚せずとも試験の能力選抜機能は維持されるでしょう。ただ解答を受信するだけの受験生も合格するのは問題のような気もしますが、そうした有能なリーダーに統率された組織に属せるかどうかも社会を生き抜くには重要な要素です。 

 カンニングで試験を突破した人間は順法精神に欠けるかもしれませんが、不正もバレなければ罪にならないのがあたりまえの事実なのはこの事件の記事の前後のニュース、ウクライナの不正選挙やら、中国の領海侵犯やら、日本の政治献金やらをみてもあきらかです。社会のルールはうまくできているものだと感心してしまいます。


きょうの一枚:『カンニングの思い出づくり』 

カンニングの思い出づくり

 

 

 

11月28日 プロ野球三国志

 

「中日から関川、紀藤ら4選手が楽天へ」 (日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-041128-0025.html 

 関川選手といえば個人的には阪神時代の打てるキャッチャーのイメージがつよいのですが、もう35歳になった彼が中日から新球団の楽天へ無償トレードされるそうです。すでに戦力外通告されていたそうで、中日にとっては価値のない選手とみなされてしまったようです。
 
 ところで、新球団・楽天のここまでの状況をみていると、光栄のゲーム『三国志』を新君主でプレイするのに似ている気がします。僻地に領土を構え、流れ者の浪人や年若い新参者を家臣にして大国と渡り合わなければならない新君主は、厳しい戦いを強いられるもののプレイするほうにとっては面白みがあります。楽天も他球団のお下がり+ドラフトで獲得した若手で構成された選手をマスコミへの露出度が高く親近感を抱かせる監督・スタッフが少数精鋭に育てていくというストーリーが売りになれば東北のみならず全国にファンを獲得できそうです。三国志の時代設定でいうと「天下三分の計」以後のようなセリーグでなくて、どのチームも一長一短のある群雄割拠なパリーグに入るのもいい感じです。シーズンがはじまれば、フジテレビあたりが監督密着取材などをして球団の成長ストーリーをファンが同時進行で体験できるでしょうから、「我われの球団」楽天のイメージを広められればプロ野球にとっても楽天にとっても万々歳になるのでしょう。


きょうの一枚:『三国志V』 PlayStation

三國志III

 

 

11月26日 ロビンマスク対悪魔将軍

 

「キン肉マン人形:120体盗む 48歳会社員を逮捕 横浜」(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041125k0000e040080000c.html 

 ごみ処理工場の従業員が廃棄物としてもちこまれた人形を盗んだそうです。 

 僕の仕事先のビルではゴミ捨て場に捨てたポスターを同じビル内のテナントで入っているおもちゃ屋が拾って、自分の店で売っていて、それをゴミ捨て場のおばちゃんも黙認(というかむしろ奨励)しているのですが、そういうのもちゃんとしたところでは立派な犯罪なんですね。 
 この「盗まれた」キン肉マン人形、120体で48万円相当、一体あたり4000円らしいですが、それはちょっと高すぎないかと思ったら、どうやら、浪曼堂から発売されている「THE ULTEMATE MUSCLEシリーズ」というかなり精巧なフィギュアのようです。僕が子どものころチョコボール付のおまけとして一個100円で売っていた「キン消し」とは格がちがうモノでした。「87.キン肉マンDX(赤)中野さん付4,500円」なんていうのもあって、中野さんのアデランス部分もリアルに再現されているのか興味津々です。 

 今回盗まれたのはこのシリーズのうちの「ロビンマスク」と「悪魔将軍」で、ならば見出しは正確には「ロビンマスク人形と悪魔将軍人形:120体盗む」とか「キン肉マンの脇役人形:120体盗む」でないとおかしいのですが、まあそれは置いておいて、二種類で120体なら転売しようとしても断られるか買い叩かれるかだと思うのですが、そのあたりはどうだったのでしょうか。そもそもこれだけの数が廃棄されるということは、商品としてもあまり需要がなかったのかもしれませんし。 

 悪魔将軍人形はゴテゴテしていて、ロビンマスク人形よりも重そうですが、これだけ精巧だとゆでたまご理論に則って、二つを同時に落としたら悪魔将軍人形のほうが先に地面に落ちるのかもしれません。それならば二体セットで48万円でも国内外の物理学関係の研究期間から購買申込が殺到するでしょう。


きょうの一冊:『キン肉マン(1)』 著/ゆでたまご

キン肉マン (1)

 

 

11月23日 ハッスルは強制でないことが望ましい

 

「猪木が小川批判「ハッスルは下品だ!」」 (Yahooスポーツ-日刊スポーツ)
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20041123&a=20041123-00000027-nks-spo 

 とくにプロレスファンというわけではないのですが、今週末のジャパンカップ開催日に東京競馬場で小川直也がこの「ハッスル!ハッスル!」パフォーマンスを行うそうなので注目してみました。 

 小川直也は柔道家時代にJRA所属でオリンピックに出場していました。柔道に専念できる環境でしたが、たまには競馬場で警備の仕事もしていたようで、当時のJRAは競馬場でゴネた人に対して召還獣「小川直也」を使えたわけです。そんな縁で、小川直也はサンスポにG1予想コラムの連載ももっている(とはいってもゴーストライターの筆であること丸分かりですが)など、ファン層がプロレスと近接領域にある競馬との関わりをもっています。そんなわけで、JRAが創立50周年のメインイベントとして盛りあげに必死なジャパンカップデーのスペシャルゲストに選出されました。 

 今年は外国馬に大物がおらず、JCダートはアドマイヤドンの一強、JCは天皇賞馬ゼンノロブロイ対コスモバルクら3歳と日本馬の内部抗争で、普通のG1としてもいささか面白みに欠けるので、派手なイベントでもして盛り上げないと格好がつかないということなのか、小川直也と和田アキ子の力強いコンビが呼ばれました。JCダートの直前に小川直也のハッスルパフォーマンス、JCの直前に和田アキ子が国家独唱が企画されているそうです。JCと並ぶ国際レースにするとして創設されたJCダートですが、国歌斉唱のかわりに「ハッスル」では格式もなにもあったものではないです。ただ、見方によっては「ハッスル」と国歌斉唱が並列して行なわれることになり、それはそれで面白そうな出来事です。 

 個人的にはいかにも子どもが真似しそうなパフォーマンスでギャグとしては完成度が高いと思っている「ハッスル」ですが、最初に紹介した記事にあるように「正統派」のアントニオ猪木率いる新日本プロレスは「ハッスル」に批判的なようで、プロレス界ではおのおのの団体のスタイルやアイデンティティにかかわる問題として「ハッスル」への賛否がとりざたされているようです。 

 「ハッスル」にまつわるそんな論争をみていると、どことなく日の丸・君が代の議論に似ているようにも思えます。もちろん思想的にも歴史的にもレベルが違いすぎるのは承知の上ですが、同じ日本人のなかの言い争いなので、まったく異質であっても「喧嘩の仕方」のような部分では共通点がありそうです。 

 学校現場での日の丸掲揚と君が代斉唱が論争の的になっていますが、サッカーのナショナルチームの試合など国際的なスポーツイベントでは見慣れた光景になっています。競馬でもジャパンCやダービーでの国歌斉唱は恒例になっており、過去には北島三郎ら有名歌手を迎えたりしています。主義主張を持った論者の集中する現場では論争が巻き起こっていても、大衆化したイベントでは比較的受容されています。 

 新日本プロレスの大阪ドーム大会では勝った小川直也が「ハッスル」ポーズをしようとするのを実力阻止する攻防がくり広げられましたが、競馬場ではそんなプロレス界の出来事とは別の次元で、数万人の競馬ファンが興味本位でパフォーマンスに参加するのではないでしょうか。 

 高尚な議論をあえて矮小化・戯画化してエンターテイメントに仕立てるのもプロレスの面白さのひとつですし、競馬もプロレスも大衆的な興行という点では同じ枠内にあります。 

 G1の日の競馬場は老若男女取り混ぜて、割合多様な層の人々が訪れる場となるので、そんなところで「ハッスル」と国歌斉唱が行なわれ、どんな反応があるのか(もしくは反応がないのか)を見るのはレースよりも興味をそそります。あとは、数万人が「ハッスル」する異様な光景を見た外国の競馬関係者やマスコミがどんな感想を持つのかも是非追ってみたいです。数年前のジャパンCではデットーリ騎手がテイエムオペラオーを「クレイジー・ストロング」と評しましたが、今回は出走馬ではなく小川直也がそう呼ばれるかもしれません。

追記:
 ペリエ騎手なら勝利騎手インタビューで「ハッスル」とやってくれそうなので、ジャパンCはゼンノロブロイから。


きょうの一枚:『ハッスル注入DVD』 

「ハッスル」注入DVD

 

 

11月22日 『ドラえもん のび太の声がわり』

 

「「ドラえもん」の声優交代へ 大山のぶ代さんら5人」(朝日) 
http://www.asahi.com/culture/update/1122/001.html 

 声優を交代してさらに続くことのほうが意外でした。以前に映画版は来春の公開が見送られて再来年にリニューアルすると発表されていたので、テレビ版は潮時なのかと踏んでいたのですが。そもそも21世紀になった時点で22世紀から20世紀に来たドラえもんという設定が破綻していたのですが。そこは大目に見るとしても、2112年9月3日に誕生したドラえもんを現代に送り出したのび太の子孫セワシ君はのび太の孫の孫にあたりますから、のび太が2020年くらいに子どもを儲けないとその設定に行き着かないわけで、どのみち今の設定が有効なのはあと10年くらいです。ならば今のままでひっぱれないのかとも思いますが、現状の声優陣の年齢をみるとあと10年も長いようです。 

 ドラえもん:大山のぶ代(69) 
 のび太:小原乃梨子(69) 
 しずか:野村道子(66) 
 ジャイアン:たてかべ和也(70) 
 スネ夫:肝付兼太(69) 
  
 五人足すと343歳!想像以上の高齢化です。競馬の調教師をしていても、しずかちゃん以外は来年で引退しないといけません。それでも、NHKで今年はじまった「アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル」の里見浩太朗(77)、八千草薫(73)、草笛光子(70)トリオには負けますが・・・。 

 焦点の二代目ドラえもんですが、声質、力量、知名度で林原めぐみが有力っぽいなと勝手に考えています。ドラえもんズという劇場用中編でドラえもんの亜種的なドラ王役を担当している実績もあります。孫悟空の野沢雅子やキン肉マンの神谷明では一世代も若返りませんし、クレヨンしんちゃんの矢島晶子は声のイメージが近いものの子ども向けキャラとしてかぶりすぎます。誰にしても最初は違和感がつきまといそうですが、大山のぶ代もはじめは漫画版の読者からはイメージに合っていないと言われたそうですから、慣れの問題でしょう。個人的に注目しているのはジャイアンの「ぼえ〜」を誰が担当するのかです。たてかべ和也版では下手に歌う演技をするのではなく、音響効果的に演出処理していましたが、あれを本当に下手に歌って騒音のように聞かす実力派として山寺宏一あたりに期待したいところです。 

 ドラえもんはリニューアルで生き延びる道を選択しましたが、アニメーション全般には声優の高齢化はキャラクタービジネスの大きな課題になりそうです。リメイクやリマスター、ゲーム化などでは当時と同じ声優が担当することが同一性の大きな担保になっていますから、永遠にアムロは古谷徹、シャアは池田秀一でなければなりません。役者の加齢や健康状態に左右される実写に比べて再生産が容易といっても、声だけは人力でないとならないので、どれだけ魅力的なキャラクターでも永久に同じ状態で存在できるわけではないのです。 

 ルパン三世は山田康雄死去の後、ものまねの栗田貫一が引き継ぐという幸運に恵まれましたが、主役以外の声優は初代のままです。先ごろ新発売のゲーム版の宣伝で聞いた増山江威子(68)の峰不二子の声には正直、色気は感じられませんでした。 

 どのタイミングで声を入れ替えるか、もしくはキャラクター自体の根本的なリニューアルを図るかというのは、もはや国策となりつつある日本のキャラクタービジネスの展開に今後つきまとうことでしょう。そういったことを放置しておくと、『サザエさん』のようになってしまいます。現状のサザエさんは設定どおりだと、もはや存在自体が希少な場所「デパートの大食堂」で、そんな慣習がなくなりつつある「お見合い」という行為をしたサザエさん、戦前生まれのはずが永遠の54歳のためにもはや団塊の世代に突入した波平さん、提供の東芝がゲーム機を製造していないため、もってないのにゲームソフトを友達に借りるカツオくん、メールはともかくせめてFAX入稿くらいできるはずなのにいまだに作家宅まで玉稿をいただきにはせ参じるノリスケさんなどSF要素が満載になっています。それはそれで、別の楽しみができたと思えないこともないですが、今の子どもには理解できないシーンがかなりあるのでしょう。まあ、国際化したお陰でインドネシアに行ったらインドネシア語で『おそ松くん』が放送されており、チビ太が執着するおでんという日本の大衆料理の味を知らないインドネシア人がそれを受け入れているわけですから、おなじ国のすこし昔の風習くらいは理解できるのかもしれませんが。


きょうの一枚:『映画のび太の結婚前夜』 (DVD)

映画のび太の結婚前夜/ザ・ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ?/ドラミちゃん アララ・少年山賊団

 

 

11月21日 誰にでも秘密はある

 

「氣志團ギタリスト転落でツアー延期」(スポニチ) 
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/kiji/2004/11/21/02.html 

「人気ロックバンド「氣志團」のギタリスト・星グランマニエ(年齢未公表)が、19日未明に建物から転落して頭を打ち、外傷性くも膜下出血と診断されていた」
 
 外傷性くも膜下出血といえば、競馬の落馬事故でも重症のケースで聞く診断なのですが、スポニチの記事によると幸いにも星グランマニエさんは意識ははっきりしており、1、2週間程度の入院後、1カ月間の療養との診断だそうです。 

 氣志團のメンバーの名前はボーカルの綾小路翔しか知らないので、星グランマニエがどの学ランの人なのか区別がつかないですが、他のメンバーが綾小路翔、早乙女光、西園寺瞳、白鳥松竹梅、白鳥雪之丞と漢字オンリーななか一人カタカナ混じりなので名前は覚えやすいです。
 
 唯一知っていた綾小路翔ですが、「團長の綾小路翔(年齢非公表)はファンに向け「大阪のみんな、名古屋のみんな。…本当にごめんなさい」とコメントしている」そうです。本人はもとよりメンバーもファンも関係者も大変だなと思いつつも、この記事で僕が一番気になったのは不謹慎にも怪我やコンサート中止とは全然関係のないことで、スポニチが怪我をした星グランマニエを「年齢未公表」、綾小路翔を「年齢非公表」としているところです。 

 もし校正ミスでなくてわざと区別しているとしたら、未公表と非公表にはどういうちがいがあるのでしょうか? 未公表は「公表していない」、非公表は「(意識的に)公表しない」というふうに解釈できますが、どうなんでしょうか。氣志團の公式サイトが改装中で公式プロフィールははっきりしないのですが、ファンの私設サイトなどによれば綾小路翔は「永遠の16歳」と言っているそうですから、正式には綾小路翔(自称・永遠の16歳)と表記すべきですが、スポニチとしてはスポーツ紙といえどさすがにそれはまずいから「非公表」にしたのでしょうか。 

 「非公表」と聞くとなんとなく「隠している」印象を受けてしまいますが、そうして自演するのも芸能人の魅力を引き出すテクニックです。名前の似ている毒舌家の綾小路きみまろも頭部を「非公表」にしていますし。


きょうの一冊:『氣志團 綾小路 翔 夢見る頃を過ぎても』 著/綾小路翔

氣志團 綾小路 翔 夢見る頃を過ぎても

 

 

11月20日 逃亡者

 

「宮崎 馬4頭市街地を走り回る」(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/2004/11/20/d20041120000110.html 

7時のニュースで紹介されてました。「3歳から4歳の元競走馬のメスの4頭」だそうで、荒尾で走っていたのでしょうか? ニュースではサラブレッドと言ってなかったのでアラブならその可能性はさらに高そうです。 

 逃げ出してニュースになった馬といえば、1996年に馬運車から逃げ出して首都高を走った大井競馬のスーパーオトメが有名です。スポーツ紙やワイドショーが面白おかしく取りあげ、高速を走りながら事故も起こさず、怪我ひとつなかったこともあって、目立った成績でもないのに放馬後のレースでは交通安全のお守りがわりにと馬券が売ました。 

 今回宮崎で逃げ出した馬も、無事でけが人や事故もでなかったわけですし、話題性を狙って荒尾で再デビューしたらおもしろいのではないでしょうか。ニュース映像からは4頭とも受胎しているような体型には見えなかったので、現役復帰は十分可能です。 

 宝塚記念馬ダンツフレームが去って、キサスキサスキサスの連続連対記録も途切れた今、荒尾競馬も次の呼び物を探しているはずですから、牧場へ再デビューをアプローチする可能性は結構ありそうです。ハルウララの後がまとして高知競馬も狙っているかもしれませんから、早いうちに公式サイト若葉ちゃんのインタビューを掲載しないと。


きょうの一冊:『萌えいづる若葉に対峙して』 著/辻征夫

 

 

 

11月18日 モーニング娘。(自営業?)

 

「演劇の子役出演、夜9時までOK 厚労省審議会が答申」(朝日)
http://www.asahi.com/culture/update/1116/011.html 

「子役:舞台出演、午後9時まで可能に 1時間延長」(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/wadai/news/20041117k0000e040014000c.html 

 すこし前に横浜市と日本演劇興行協会が構造改革特区として申請し、通称「モーニング娘。特区」として話題になりましたが、特区でなくても全国的にOKとなりました。ただし、今回は演劇に限ってということで映画の撮影やテレビ番組の収録は除外されるそうです。
 
 とはいえ、15歳未満でもアイドル等の芸能人がテレビの生放送に出演する場合は午後9時までという自主規制が一般化しています。法的には「子役や歌手などでも、厚労省が「歌唱、演技などが他人によって代替できず、人気がある」などを基準に判断し、「自営業者」とみなした場合は労基法の規制は受けない。「モーニング娘。」などがこれにあたる」(朝日)という解釈らしいです。 

 ちょっとここで疑問が。現状のモーニング娘。がはたして「歌唱、演技などが他人によって代替できず、人気がある」存在なのどうかは意見の分かれるところではないでしょうか? しょっちゅうメンバーをとっかえひっかえしているようでは他人によって代替できないとはいえず、しかもかつてほどの人気がなくなってきたモーニング娘。は厚労省の基準では「自営業者」じゃないのかもしれません。それなら、労基法の規制にひっかかって活動が大幅に制限されてしまいます。モーニング娘。とつんく♂、大ピンチです。 

 しかし、どうやらそれは杞憂でした。なぜなら、現メンバー最年少の田中れいなさんがつい先ごろ11月11日をもってめでたく15歳となられ、モーニング娘。に15歳未満のメンバーが一人もいなくなったのです!これで「歌唱、演技などが他人によって代替でき、人気もない」かもしれないモーニング娘。も晴れて『ミュージックステーション』に出演できます。今後、15歳未満の新メンバーが入らない限りは。


きょうの一冊:『田中れいな写真集「田中れいな」』 

田中れいな写真集「田中れいな」

 

 

11月17日 香港国際賽事的『2046』

 

 伝説のレースが開催されるらしい。そんな噂が流れ出したのはずいぶん前だったように記憶している。かつて千年紀から二千年紀に移行する前後に開かれたという世界中の強馬を集めたレースの再現。競馬史が各国個別の歴史としてしか語られなくなって久しいが、いまや発祥の地ヨーロッパを抜き、閉塞したアメリカを越えて世界最高峰となったアジアのスターホースが一堂に会して、最高の品位と名声を誇る香港を舞台に覇を競う。出走予定とされた馬は各国の最強馬ばかりで、そんな夢想にしか思えないレースが本当に実現するのか? そして、2046は何を意味するのか? 最後にそのレースが行なわれたのが西暦2046年だったからとか、レースの距離が2046mだとか、2046万$の賞金が用意されているからとか、2046頭の候補から出走馬が決まるとか、出所不明の「真実」がいくつも流れた。断片的な情報に人々は一喜一憂し、実現を待ち望んだ。そのうちに、出走馬の選定が難航しているらしい、レースの計画があまりに壮大すぎて実現にいたらなかった、レースを非公開で行なうことに関係者が難色を示した、そんなネガティブな話題が伝わりったが、やがてそれも人々の話題から消えた。 

 誰もそんなレースのことは忘れてしまったころ、主催する王家から突如として出走馬が発表された。人々が驚いたのはその豪華なメンバーではなく、レースはすでに極秘裏に行なわれており、その一部始終を記録した映像が公開されるという事実であった。その映像は国際格付けを行うフランスの会議で初めて披露され、その後順次各国で上映される。そして、それまでは出走した馬のこのレースに関する戦績は空白とされる。 

 これには賛否が渦巻いたが、多くは二度も忘れられた伝説のレースを見たい、はやく実際に映像を目にしたいと熱望した。初公開のフランスでの会議で満足な格付けが得られなかったと聞き及んでもその熱情は衰えず、それぞれの国では過去のレース映像であるにもかかわらず、多くの観客が詰め掛けた。なぜなら、レース映像はフランス版からさらに「編集」されており、ちがった結果になっていることが分かったからだった。結果が見るものによって異なる? そんなレースはこれまで一度もなかったではないか! 

 今回私が見たのは日本で公開されたレース映像であり、これに限定してのコメントであることを諒解いただきたい。 

 まずはこのレースの出走馬。さすがにこれは他の国で公開されたものと共通であるようだ。レーシングプログラムに沿って表記は日本風の呼び方の後に()で現地名を添えた。 

 まず、その格からレースの主役を務めるとみられるトニーレオン(梁朝偉)。20世紀末のイタリア馬トニービンの系統で、黒鹿毛の華奢な馬体が特徴。台湾の非情城市特別を勝利したことで名声を確立し、香港王家主催のプラネットS制覇で香港最優秀牡馬にも選出された。こののち王家の所有馬となり、アルゼンチンに遠征してのブエノスアイレスC、シンガポールでの年華賞と活躍。HEROチャレンジやインファナルSのパフォーマンスでは国際的な評価も高い。 

 ついで日本から唯一出走したキムタク(木村拓哉)。若駒のころから特定のグループを組んで調教やレースに臨むスタイルで日本競馬界を席巻する名門厩舎に所属し、そのなかでももっとも成功した五頭のグループで筆頭格に位置する。フジテレビ賞スプリングSで重賞初勝利、その後、ダンスをしているような美しいフォームの走りで人々を魅了し、なんと二年間で全G1競走を制する偉業を成し遂げた。牡馬のため通常は出走できない牝馬G1では大外枠を他馬の邪魔にならずに走る離れ業で記録を達成した。二年目の有馬記念後は「だって契約が切れたから」という名言を残してターフを去った。現役時代はその派手なパフォーマンスを嫌う向きもあったが、その後のトップホース、ナインティナイナーやサンマッハとの比較ではキムタク(木村拓哉)を押す声が多い。今回の2046競走は種牡馬入りし、第一世代が誕生してから再度ドレーニングを積んでの現役復帰戦となる。日本では前馬未踏の成績だが、日本のコースにあった走法ともいわれ、アジアの強豪に混じって独特の王家競馬にどう対応するかが鍵となる。 

 コンリー(鞏俐)。近年台頭著しい中国本土競馬を黎明期から牽引してきた女傑。紅花賞で3歳牝馬のトップに立ち、上海大賞典、始皇帝賞といったビッグレースを制覇してきた。 

 フェイウォン(王菲)。牝馬ながらプラネットSでトニーレオン(梁朝偉)相手に引けをとらない立ち回りをみせて、一躍脚光を浴びた。その後は繁殖に入ったこともあり使われたレース数は少ない。今回はトニーレオン(梁朝偉)に立ち向かえるのはこの馬しかいないとライバル陣営が用意した刺客的役割。 

 チャンツィイー(章子怡)。初恋賞の鮮烈なデビューは中国競馬を超えた衝撃を世界に与えた。デビュー二戦目でいきなりの北米遠征を強行し、グリーンディステニーHで見事に中国馬による北米G1制覇を達成した。その後もHEROチャンレンジ、LOVERSハンデと着実に実績を積んでいる。 

 出走馬の紹介を終えてここからレースの解説といきたいところだが、映像がまだ公開中とあって結果を書いてしまうのはマナー違反であるから、展開と各馬のレース振りを断片的に記述するにとどめる。 

 まずスタートして主導権を握ったのはキムタク(木村拓哉)。その走りは日本でのものと変わりなく、単騎の逃げに持ち込む。しかし、その後はカメラが後続馬群を追い続けるためしばらくキムタク(木村拓哉)の雄姿は画面から消える。取ってかわって映像の主役を務めるのはトニーレオン(梁朝偉)。フェイウォン(王菲)との位置取り争いで先手をとると、次いで並びかけていたチャンツィイー(章子怡)との白熱した併せ馬が道中かなり長いあいだ続いた。馬体を併せて前後、内外にかわるがわるコースを変えながらの併走は迫力があった。これまで正攻法の競馬で台頭してきたチャンツィイー(章子怡)がその馬体から想像された激しい気性をむき出しにして走る様子はこの馬の新境地を切り開いたといっていい。3コーナーに差し掛かってはさすがに主役トニーレオン(梁朝偉)が一歩抜け出し、前にいるコンリー(鞏俐)を捉えにかかる。コンリー(鞏俐)も出走馬中最高齢のはずだが、黒鹿毛に黒いシャドーロールの幻想的な馬体で果敢にトニーレオン(梁朝偉)との勝負を挑む。左前脚の古傷がなければもっとやれていたかもしれない。そして4コーナー。いよいよ逃げたキムタク(木村拓哉)にトニーレオン(梁朝偉)が迫る。さらに道中は「死んでいた」に等しいフェイウォン(王菲)が巻き返してきて、戦前には予想も出来ない難解な展開となる。1960年代をモチーフにしたコースの直線、広い馬場いっぱいを使ってキムタク(木村拓哉)とトニーレオン(梁朝偉)はたがいに間隔をとりつつ先頭を争う。それを追うフェイウォン(王菲)も自然な馬の走りとはあきらかに異なるフォームだが、これは能力の限界を出しきっている証。三頭が入り乱れての攻防はまさに夢のなかの競馬。


きょうの一枚:『2046』 (DVD)

2046

 

 

11月16日 名義貸し

 

「CBCが有価証券報告書の訂正を提出」(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041116ic21.htm 

「中日新聞社、株保有の放送局7社で「保有制限」超過」(朝日)
http://www.asahi.com/business/update/1116/098.html 

「中日新聞も地方放送局7社で持ち株制限超す」(日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20041116AT1D1606Q16112004.html 

 日本テレビ・読売新聞社で発覚した問題が、中京地区にも飛び火しました。事の発端である日本テレビ株の件とは、ナベツネさんの名義で持っていた日本テレビ株が実質は読売新聞社の保有だったことが西武鉄道問題がらみで参議院の財政金融委員会で取り上げられ、それは名義貸しじゃないかと問題になったというものです。この問題についての読売の言い分は、「いやいや名義はナベツネでも読売が持っているんだぞということはそれとなく匂わせてて、当局にもご指導ご鞭撻のうえご理解いただいていましたよ」という感じでした。 

 ナベツネと読売新聞とジャイアンツが三位一体だというのは、西暦325年のニケーア公会議で承認されているかもしれないくらい世間の常識だから、日本テレビ株がそういう関係なのは株式市場の参加者のなかでは暗黙の諒解的なもののようですし、日本テレビの番組を見ていれば日本テレビと読売新聞社が実際の持ち株比率以上に近しい関係なのは明白です。
 
 さらには、マスメディアが少数の資本に集中すると言論や表現が偏っちゃうからダメだよという、総務省令のマスメディア集中排除原則うんぬんというのも所詮は建前であって、日本のメディアは新聞社を中心に強く結びついた寡占産業だというのも言わずもがなのことです。 

 それがいまさら問題にされて、しかも槍玉に挙げられたのが日本のメディア王ナベツネだということで、各マスコミは戦々恐々としているのかもしれません。日本テレビのライバル・フジテレビの会長でもある民放連の日枝会長が「名義株が悪とは(単純に)言えないのではないか」(毎日http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041113spn00m200008000c.html)とコメントしているところからみて、ライバルの失態が大好きなマスコミも今回は業界全体のマイナスイメージを心配して火消しにかかるのかと思っていたのですが、そんなところに第二段として出てきたのが今回の中日新聞社。 

 東京・大阪に本社を構える全国紙ではなく地方紙からのネタです。地方紙と言っても中日新聞は愛知・岐阜とその近隣では圧倒的シェアを誇り、中日ドラゴンズの親会社でもある地方の雄(余談ですが、中京競馬場で行なわれる中京新聞杯とCBC賞はローカルメディアの冠レースにして重賞となっています)で、影響力は大きいです。全国紙は「中日新聞、空気読め!」と言いたいところかもしれませんが、中日新聞に機先を制されたことで自分のところもはっきりさせないとというプレッシャーは強まったはずです。 

 NHKの不祥事につづいて民放・新聞社にも内部のゴタゴタが出てきてマスコミ業界は大変です。悪い膿は出しておくに越したことはないですが、台風だ地震だイラクだと災害・事件の多いなかでちょっと時期が悪い気もします。弱っているときを狙って体制からのマスコミ規制が加速でもすれば、日本は暗闇へとつづく坂道を下っていくことになるやもしれません。

追記:
 芋づる式に各社、名義貸しが発覚。結局全国紙は全社やってました。業界の慣例だから当然といえば当然ですが。

 さてその報道の仕方ですが、産経、毎日、朝日とも身内に甘く他社に厳しいようです。

産経:
「株保有、フジテレビなど5社も 省令違反はなし」
http://www.sankei.co.jp/news/041118/kei097.htm
 フジテレビを見出しにもってきつつ、毎日、日経、テレ朝、産経の順に紹介、自社については省令違反なしと言ってから、こっそり名義貸しについて言及しています。

「朝日新聞も株保有で違反 株式売却で違反状態解消」
http://www.sankei.co.jp/news/041118/kei037.htm
 省令に違反してた朝日は別記事でさらし首にしています。

毎日:
「名義貸し:産経新聞、フジテレビなど3社が株保有表明」
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kinyu/news/20041119k0000m040151000c.html
 産経、フジを見出しにした記事の尻尾に「一方、毎日新聞では、株式の名義と実質保有者が異なっていたケースが10件あったが、総務省令には違反していなかった」とこっそり自社のものを付けたしています。
 そして、朝日をさらしものにするのは産経同様です。
「朝日新聞:テレビ局3社の株、保有制限超す」
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kinyu/news/20041118ddm041040140000c.html

朝日:
「朝日新聞社、テレビ局3社の第三者名義株解消へ」
http://www.asahi.com/business/update/1118/027.html
 「保有している」と書くとマイナスイメージが大きいと踏んでか、「解消へ」ともってきました。「名義の書き換えや売却などの是正措置を急いでいることを明らかにした」と、事故のニュースの第一報で復旧工事の情報をメインにしているような表現です。
 自社が当事者だとそんな巧みなテクニックを駆使してごまかしていますが、他社については
「毎日新聞社も第三者名義株保有」
http://www.asahi.com/business/update/1118/144.html
「産経新聞社も第三者名義株保有」
http://www.asahi.com/business/update/1118/147.html
としっかり報道。


きょうの一枚:『善意の第三者』 真心ブラザーズ