練習船日記

ジェノバ→ポートサイド

7月26日 44-09N, 09-22E

 0940 S/B、1000出港。ポートサイドへ向かう。
さすがに旅客船クルーズのメッカ地中海、客船が頻繁に出入りする。フィルムに余裕があればシャッター・ボタンに手がかかってしまうところだ。

7月27日 39-47N, 15-17E

 1750狭水道通航航海保安部署、イタリアの長靴の爪先とシチリア島の間のメッシナ海峡へ入る。最狭部の可航水域幅は1.6マイル。ヨーロッパでは、ここより狭い水道を狭い水道というとかで、航海法規の解釈等では基準となる重要な所の一つである。
 1815メッシナ海峡通過。

7月28日 35-59N, 20-46E

 2303クレタ島西側の沖の変針点に達する。

7月29日 33-46N, 28-05E

 0800クレタ島南東端をレーダーで観測してから次第に陸から離れ、久し振りの大洋航海状態となる。
 夕方のスターサイト、星が見えない。4つの星を観測するのに4つとも見えないのだ!なぜだろう。単に視力が落ちたにしても、眼鏡の必要な者もサイトのときは裸眼でするのに…

7月30日 Port Said 6-R

 遠回りと減速による時間調整をして仮泊なしでポートサイドへ入港する。6-Rはポートサイドのなかでは最高の場所らしい。すぐ前にはキャナル・オーソリティー(スエズ運河を管理している役所)のアラブ風の建物がある。ここでは今までのように岸壁には着かない。ブイに繋留して、スネークポンツーンという浮き桟橋の小型版がジョイントで長く連結されたもので本船と陸との交通を可能ならしめている。
 イタリアの昼休みにもまいったが、ここは更に凄い。時間を始め金銭感覚、外人に対する態度、どれをとってもいい加減なものである。(特に日本人に対してその性格が遺憾なく発揮されているらしい)「モンキービジネス」、あるエジプト人はこう言ってるが、定価と言うものが存在しておらず、相手を見て数倍もの値段をふっかけてくるのだ

─ある実習生と土産物屋の会話─
実習生 How much? (ある程度買う気のある素振りで)
商人 25US$. (きっぱりと、無論ふっかけてくる)
実習生 No! Bye-bye. (こっちもきっぱりと断る)
商人 Oh! Stop Mr.. How much your price? (すがるように)
実習生 1US$. (こっちも調子に乗っている)
商人 Oh crazy! (とんでもない!と言う感じ)
-他の物をもってきて-
2 for 20US$.
実習生 No! (以下どっちかが妥協するまで延々と続く)

 しまいには煙草や石鹸、100円電子ライター等との物々交換まで始める始末。いったいこの国の通貨体制はどうなっているのか、頭が痛くなってくる。

7月31日 Port Said 6-R

 午前中のみ上陸。この情けない国の土(砂?)を踏んでくる。
 昼からは船内で商人と実習生が昨日以上に死闘を繰り広げる中、今夜の運河通行に備えて休養をとる者も。
 あの土産物屋の連中、時計、石鹸、Tシャツ、その他船内にあるガラクタをどれぐらい持って行ったんだろう?