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治験例集 卒業論文集
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治験例集

14:泌尿器編

氏名(イニシャル)   T 性別   女 年令   67才 職業   主婦
身長・体重  158cm  50s  嗜好 

煙草15本/日    

趣味 特になし
主 訴 (医師による診断名) 尿路結石による下腹部痛
医師による診断・治療を受けている
その他の愁訴 腰痛
病 歴 最初は尿意を感じ排尿してもすぐに尿意がした。それが1週間ほど続いた。本患者は以前になったことがある膀胱炎と症状が似ていたので、かかりつけの開業医に受診し膀胱炎と診断され抗生物質などの処方を受けた。しかし2〜3日服用したが全然改善しなかった。同医院に相談したところエコーをとると影(15o)が写っていて、おそらく尿路結石であろうと再診された。同医院では治療できないので市民病院を紹介され精査と治療の予約をした。ただその予約日まで10日ほどあり、その間尿意を感じてくると下腹部にキリキリと針をさすような痛みを感じた。それは増強したりおさまったりした。それが一日中続き辛かったので予約日の前日に当院に来院した。
診 察 尿の色は正常だが、尿量は尿意があっても少量しか出ない。病院の検査では血尿などの異常所見は認められなかった。臍部左斜め下方に腫瘤感(硬・不整・凹凸)。反動痛・筋性防御は認められない。血圧正常。平熱。意識清明。悪心嘔吐はなし。皮膚所見に異常は認められなかった。
治療・経過

内臓マニピュレーション = 左尿管

10分程施術を行い、足方に腫瘤感が移動し触診しづらくなったので施術を終了した。その後本患者は下腹部痛がかえって増強し、その部位は下方に移動した。施術から2〜3時間の間にトイレに何度か行き排尿した。4〜5回目の時を境に今までの疼痛を全く感じなくなり、スキット晴れ晴れとした感じであった。翌日市民病院に予約通り受診したが、15oの結石は消失しており、精査の結果治癒と判断され治療は行われなかった。

治効理論・根拠 尿路結石は腎盂から膀胱につながる尿管に結石がつまってしまい、尿が通過障害を起こし腹痛・下肢痛・腰背痛・側腹痛などを発症する。進行すると腎実質に影響が出て、急性腎不全を合併することがある。一般的な治療として水分を多く取り排尿促進やジャンプするなどして結石を膀胱に落としたり、衝撃波で結石を砕いたり、最終的には手術の適応となる。このような治療が主流なので、物理的・機械的に結石を膀胱側へ押し出すマニピュレーションはむしろ適応と思われる。結果的に今回は効をそうしたかもしれない。しかし一つ間違えば尿管を傷つけたり、先述の急性腎不全を誘発しかねないので、本治療は適切な医療機関と連携をとって施術されるべきと考える。



氏名(イニシャル)   O 性別   男 年令   45才 職業   無職
身長・体重  168cm  58s  嗜好 

特になし    

趣味 特になし
主 訴 (医師による診断名) 下腹部(恥骨上部)の重たい感じ。
医師による診断・治療を受けている。
その他の愁訴 腰痛
病 歴 1ヶ月前に尿路結石による「水腎症」になり、腰腹部の激痛で総合病院に通院・治療していた。同病院による診断では「数個から十数個の結石が左腎から尿管にかけてあり、これが尿管内の尿の流れを阻害して腰腹部の激痛が発症している」と言われた。
今回の下腹部の重感は「水腎症」の発症6ヶ月前からあり、「水腎症」発症後少しきつくなった感じがする。
診 察 排尿痛はない。射精痛はない。肉眼的血尿・血性精液・下血はない。会陰部の感覚は正常。排尿障害はない。便通は正常。「水腎症」の症状は回復し、最近の検査では結石は消失していた。おそらく全部排泄されていたと思われる。
治療・経過

中国整体で「足太陽膀胱系=上りょう穴、次りょう穴」へ経絡治療。

約2分の取穴で下腹部の重感が30%までに改善した。

治効理論・根拠 排尿痛が無いので尿道炎・膀胱炎などの可能性は低い。射精痛がないので前立腺炎の可能性も低い。排尿以上・血性精液・も無く、会陰部感覚も正常なので、前立腺肥大・前立腺ガンの可能性も低い。下血・便通正常なのでS字結腸の障害も低い。
複数の結石が確認されている病歴から察すると「水腎症」の発症前から数個の結石は自然排泄されていた可能性があり、それが膀胱粘膜を刺激し膀胱の平滑筋にスパズムを起こさせ、下腹部の重感=違和感につながっていたのではないかと考えた。
「足太陽膀胱系の上りょう穴、次りょう穴」 は膀胱機能の回復、という効果があるとされているので取穴した(西洋医学的には陰部神経に関係があるとされている)。
ただし精密な検査はしていないので、同病院で検査してもらうことを勧めた。

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