氏名(イニシャル) |
S |
性別 |
女 |
年令 |
13才 |
職業 |
中学2年生 |
身長・体重 |
150cm 50s |
嗜好 |
特になし |
趣味 |
特になし |
主 訴 (医師による診断名) |
右目の外斜視
医師による診断を受けている
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その他の愁訴 |
斜視の影響で物が二重に見える |
病 歴 |
乳幼児(1才半)の頃にはじめて気づいたらしい。その後3才と5才の時に手術をしたがほとんど改善しなかった。中学2年の夏休みを利用して再度手術をする予定だが、母の勧めで本治療院に来院した。
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診 察 |
右目が外側に向いている。初診に際してはその他に目立った所見は見当たらなかった。 |
治療・経過 |
頭蓋仙骨治療 = 9回行った。
治効は全く認められなかった。
内臓マニピュレーション = 左腎に6回行った。
6回目にはほとんど改善していた。結果的に夏休みに予約していた斜視の手術をキャンセルした。
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治効理論・根拠 |
当初の母子とのインフォームド・コンセントでは当研究所で治療・研究されている「頭蓋仙骨治療」を施術する予定であった。
その理由は本治療法は頭蓋骨の矯正を通して中枢神経系のリラクゼーションと12対の脳神経の絞扼を緩和できることを期待できるので、眼球の制御を司っている中枢神経系あるいはその神経インパルスを伝道する第3,4,6脳神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)に何らかの治効が期待できるのではないかと考えたからであった。しかし本治療法を合計9回行ったが全く効果がなかった。ただその施術をしている際に偶然左腎臓部に抵抗感と軽度の圧痛が発見されたので、専門医の診察を受ける前に、患者の同意を受けて内蔵マニピュレーションをすることにした。
ところがその施術をしていると左眼球が眼振(目がブラブラと揺れていること)しているのが認められた。施術を中止するとその眼振は停止した。さらに同様のことを施術するたびに眼振があらわれ中止すると停止した。このことを患者に確認すると、「施術するたびに右目から見える画像が振動し、中止するたびにその振動が停止する」と述べた。
そこで"左腎への内臓マニピュレーションが右目に何らかの影響を与えているかもしれない"旨を説明し、患者の同意を得た上で副作用の発現に注意しながら治療を継続することにした。左腎と右目の解剖・生理的な関係は現代西洋医学では見当たらない。しかし東洋医学では陰?脈と呼ばれる経絡があり、それは一側足根骨から同側腎臓を貫いて反対側眼球(=李
時珍)に達する(同側の説もある)ものである。現段階ではこの経絡の影響であるとしか言えないが、同様の治験はその他に2例ほどあり、腎への内マニで反対側の眼球の斜視が改善している。
今後解剖・生理学的機序が解明できるようさらに研究を続けて生きたい。 |