■郷土新聞連載中 「窓」 より
1. 明日を開く「出会い」
2.「すばる」との出会い
3.「造園」との出会い
4. 妻との出会い
5.「神様との出会い」
6. 蕎麦との出会い(1)
7. 蕎麦との出会い(2)
8. 不登校との出会い(1)
9. 不登校との出会い(2)
10. 不登校との出会い(3)
11. スローライフとの出会い
12. 掛川との出会い
12.掛川との出会い 小松正明

 「小松君、今『出向』ができますか?」と人事担当者から電話が来たのは二年半前の2月だった。
 「行先はどこですか?」
 「うーん…、関東近傍の小都市なんだけど、名前は言っちゃいけないことになってる」
 「もしかして掛川ですか?」と心に浮かんだ都市の名前を挙げてみると担当者は驚いて「どうして分かったの?でも知らなかったことにして気持ちを教えてほしい」とのこと。それまでも、いつか国の役人ではなく地方自治体に行ってみたいと思っていたのと、家庭の事情を秤にかけて、三十秒考えた末「行けるものなら行きたいです」と答えたのがつい昨日のことのようだ。
 それまで二人助役だったのを、今年から一人助役にしたいそうだ、という情報も、「それなら全ての事柄を担当できてラッキーだなあ」とも思った。

 掛川との出会いはイコール榛村市長との出会いでもあるわけだが、市長の毎日夜遅くまで執務室で過ごす姿とその気力には感心するばかりだ。負けじとこちらも夜遅くまで仕事をしていると、ときどき助役室を訪ねてきて下さることがある。そこではまちづくりのコツや市政上の課題などについて、時には1時間以上も問答をすることがあって、私はそれを「夜中の榛村ゼミ」と呼んでいるのだが、このまちづくりへの情熱に触れ続けたことで私自身の心にも火がついたような気がする。
 まさに「凡庸な教師は良く喋るだけだが、偉大な教師は心に火をつける」なのである。
 市長の後にくっついていれば、霞ヶ関をはじめ多くの方に会える立場を最大限に使わせてもらっている。現在国土交通省からは全国に二十八人の助役が出ているが、掛川も人口こそ多くはないけれど、最も勉強になって、かつ最も楽しんで仕事のできる場所だ。まさに感謝するばかりである。

 さて、「出会い」をテーマにしてお届けしたこの一年。振り返ってみると、出会うには出会うなりの因縁があったし、その出会いは常に明日に活かせることばかりだ。
 お読みいただいたことへ感謝申し上げます。ありがとうございました。



 
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