電話でのご予約・お問い合わせはTEL.070-8945-3310
大阪市淀川区西中島5-7−17ビジネスVIP第2新大阪905号室
30分でわかる引きこもりから脱出させる方法
当不登校、ひきこもり、ニート自立支援協会のHPでは、不登校や引きこもり、ニートを主としたお子さんの問題行動を解決するための様々な情報を提供してきました。
不登校も、引きこもりも、ニートも、別個の原因から起こっているわけではなく、ある原因があって、それがその子の年齢や環境によってそれぞれの状態になって現れている状態になります。
ですから対応としては、その子の原因や環境、状況に応じて対処していくということが必要になります。
そのような理由から、これまで不登校、引きこもり、ニートというのをとくに区別せず、その原因から対処法までを総合的に紹介してきました。
しかし、不登校の子が30万人以上、引きこもりにいたっては100万人とも言われ、しかも、年々増加の一途をたどっているという状況ですから、不登校や引きこもり、それぞれに応じた対処法も紹介していく必要性をだんだんと感じていました。
とくに、義務教育年齢をすぎると必然的にその枠から外れてしまう不登校と違って、放っておくと死ぬまで終わりのこない引きこもりに関しては、早急に対処法をお伝えしなければならないという焦りはいつも感じていました。
(内閣府の調査では、40歳を過ぎると引きこもりとしてカウントしない、という不思議な数字操作で現実を隠しています)
ただ、日々の仕事に追われてなかなか実行に移せなかったのですが、ようやく引きこもり対処法をまとめていく時間がとれるようになりました。
最近では、行政機関が引きこもりに対して支援をしている例もありますが、経験もなにもないところからのアプローチなので、なかなかかんばしい結果を出せていないようです。
本来ならば、何も知らない素人が行政機関という名前だけで仕事をするより、研究者から知恵を借りるなり、盗むなりすればいいと思うのですが、そこは与えられた任務以外のことは極力行わないという公務員の生真面目さなのかもしれません。
民間の業者のほうが、あきらかに私のサイトを参考にしたようなシステムを取り入れているところが増えてきていて、順調に結果を出しているようです。
私は自分の臨床研究でひとりでも多くの人が救われれば、それでいいというスタンスでやっていますので、すべての人に私の理論、技術、対処法は開放しています。
文章をそのまま引用、盗用されるのはさすがにお断りですが、私のサイトを見て、自分なりに解釈して、実践に生かしていただくのは、まったく問題ありません。
これから発表していく引きこもり対処法も、引きこもりの子をかかえる親御さんだけでなく、引きこもりの人を扱っていこうという心理カウンセラー、行政関係者、教育関係者、支援業者など、どなたでも利用していただいてかまいません。
引きこもり問題を解決させたいとお望みのすべての方々に、ご参照いただければ幸いです。
より詳しい引きこもり解決の総合マニュアルは下記をご参照ください。
『不登校、引きこもりは心理カウンセリング、心療内科、精神科では治らない!ー施療率36%中解決率100%の不登校、引きこもり専門カウンセラーが教える【完全解決マニュアル】』
このページの目次 |
引きこもりは精神を病んでしまっている深刻なケースから、単なる甘えやわがままで親がそれを容認してしまっているケースまで、その程度はいろいろです。
ですから当然、引きこもりを脱出させるまでの目安は、お子さんそれぞれの状況によってまったく変わってきます。
にもかかわらず、私のもとに相談を寄せられる親御さんの中には、何回ぐらいで治りますかと、お子さんの面談をする前から尋ねてこられる方がいて、前途多難を感じさせられることもしばしばです。
人の心は、目に見えるものではありません。
目に見える体の傷であれば、その程度によって『全治何週間です』とか、『これは一生後遺症が残るでしょう』といったような診断は下しやすいものです。
しかし、心の傷や病気に間しては、そんな断定的なことは言えません。
もちろん、過去の経験から似たようなケースで推測してある程度の目安をつけることはできますが、それにはかならず本人との面談が必要になります。
親御さんの話と実際の当人の様子は、大抵かけ離れているからです。
とくに、『何回で治りますか』と聞いてこられる親御さんは、うちの子程度の状態だったら、ちゃんとした先生に診てもらえばすぐに治るだろう、という期待をもって尋ねてこられます。
しかしそのようなケースは実際に面談してみると、ほとんどの場合、何回どころか、何年もかかるような、かなり深刻な状態にあります。
数回で治るものと期待して面談結果を待っておられる親御さんには、余計に返答しづらく困ってしまいます。
それに対して、『ウチの子はすっかりおかしくなってしまったんです。もう手遅れかもしれませんが、なんとかしてもらえませんか』とご相談にこられる方の場合は、実際にそのとおりである場合が半分、子供のあまりの変わりようにあわてた親御さんが深刻にとらえすぎている場合が半分というところになります。
このように、どうしても親御さんの見立ては、甘くなったり、悲観しすぎで深刻にとらえすぎたりしてしまいがちなので、なかなかご自身で目安をつけることは難しくなります。
ただ、やはり何の目標もないままに引きこもりから脱出させようとするのは、不必要に解決を長引かせることになりがちです。
ですから、ここでは簡単にできる解決までの目安の判断方法を紹介しておきましょう。
解決までの目安は基本的には、お子さんの精神状態と親子関係、家庭環境を総合的に判断してみていくことになりますが、親子関係、家庭環境はご自身が一番よくおわかりのことと思います。
両親とも子供から完全に信頼を失っている。憎まれている
父親のことは嫌って話もしないが、母親とは話はする(あるいはその逆)
家族とはふつうに会話もするし、食事も一緒にとっている
家庭の数だけパターンはあると思いますが、そんな親子関係の修復期間が、引きこもり脱出にかかる時間のひとつの目安になりますので、ご自身がどのくらいで子供とのきずなを取り戻せるのかを一度考えてみてください。
それからもうひとつの判断基準はお子さんの精神状態ですが、これについての詳細はあとで述べていきます。
またより詳しい判断方法は、【完全解決マニュアル】に載せていますので、そちらもご参照ください。
ここで今すぐできる、ごく簡単な判断方法を紹介すると、つぎのようなものになります。
引きこもりが始まって現在(対処を始めたとき)までの年月をみます。これが基本的に治るまでの期間になります。
引きこもり期間が1年なら、治るまでに1年。5年なら5年かかるということです。
ただ、誤解しないでください。
これは心が治る(社会性を身につけられる)までの期間であって、引きこもりからは適切な対処をすれば、もっと早く脱出することはできます。
もちろん逆に不適切な対処をすれば、2倍も3倍もかかってしまったり、一生引きこもったままになってしまうことは言うまでもありません。
これから、以下に正しい引きこもり脱出の方法を紹介していきますので、正しく実践していただければ、あなたのお子さんはかならず早期に改善できることでしょう。
とりあえず、引きこもり期間の半分の期間で解決させることを目標にしてがんばってください。
ページのトップへ戻る
引きこもりは病気じゃないのでほうっておけばそのうち自力で立ち直る、ということを言う人もいます。
そんなひと昔前のまちがった意見にすがりたい気持ちや、子供の様子を見ても病気には見えない、あるいは、病気だと信じたくないといった理由から、時が解決してくれるだろうという期待をもっている人は、けっこうおおいものです。
しかしほとんどの場合、引きこもりは進行性の難病とおなじぐらい厄介な心の病気なのです。
引きこもりから自力で立ち直ることができるのは、精神状態が悪化していない、ごく初期の段階までです。
それを過ぎると、相当な決意と期間とをもって対処しなければ、引きこもり脱出はどんどん手遅れになっていきます。
ところが、初期段階もとっくに過ぎているのにそんな危機感も乏しく、治ったらラッキーみたいな感覚で、あちこちの相談所や病院、カウンセリングをまわっている人もいます。
いや、もちろん本気で治したいとは思っているのでしょうが、ドクターショッピングよろしく、あれこれチョロチョロと試してはやめ、ということをくり返していては治るものも治りません。
そうこうしているうちに時間がたって余計に治りにくくなることはほとんどですし、それだけならまだしも、最悪ヘタなところにかかって余計に状態を悪化させてしまったご家庭も無数に見てきました。
そのような悲劇に終わらないように、まずはお子さんの精神状態が、後に紹介する初期段階を超えているかどうかを冷静に判断してください。
初期段階を過ぎているようであれば、それなりの覚悟をもって対策に乗り出さなければなりません。
引きこもりは対処が遅れれば遅れるほど、解決までの期間も長くなります。
これはどの段階であろうと同じで、そのまま放置してしまうと精神状態がどんどん悪化していくからです。
ですから、お子さんが引きこもりになったり、そんな兆候が現れたりした時点で、かならず解決するんだと、つよく決意することが必要です。
治ったらいいなぁ、とか、そのうち自然に治るんじゃないかなぁ、といった程度の意識では、引きこもりの子を救いだすことなどできません。
自分の大切な子が難病に冒されたら、なんとしてでも助けてやろうと思うでしょう。
引きこもりもまったく同じです。
結果を左右するのは、親であるあなたの決意しだいとも言えます。
ページのトップへ戻る
引きこもりは放置しておくと、たいていの場合、精神的に病んでいってしまいます。
神経質が過剰に進んだ神経症になってしまったり、うつになってしまったり。
当然これらは病気ですから、悪化すればするほど治りにくくなります。
また、そのように精神的な病気にまで悪化してしまうと、学校に行ったり、仕事をしたりというまともな社会生活ができなくなってしまいます。
そして、そんな社会の枠から離れた生活を長年続けていると、精神的に回復してきても、今度は社会に適応することが難しくなってきます。
そうなると、せっかく社会に出ようとしてもうまくいかず、また心を病んでしまうという負の循環におちいってしまいます。
そんな悲劇でお子さんの一生を台なしにしてしまわないためにも、引きこもりは早めの対処がぜったいに必要なのです。
いまこれをお読みのあなたも引きこもりのお子さんに悩んでおられるのであれば、今日からでも対応に乗り出してください。
手順としては、これまで述べてきたように、
1)引きこもり脱出までの目安をつける(目標を定める)
2)必ず解決させるんだと決意する(生半可な気持ちで対応しない)
というところから始めてください。
そしていよいよ本格的な対応、精神状態の診断というところに進んでいきます。
なぜ精神状態の診断が必要なのかというと、これによって、ほうっておいても自力で立ち直る可能性があるのか、自力ではムリでも家族だけでのサポートで解決できるのか、それとも専門家のカウンセリングが必要なのか、あるいは、もはや手遅れで入院等の措置が必要なのか、といった今後の対応が決まってくるからです。
引きこもり解決をうたう業者の中には精神状態の診断もせず、ただただ施設にほうりこんでしまうところもありますが、それに適応できるのは精神状態がかなり健全な人だけです。
そうでない人は、ほとんどの場合よけいに悪化してしまいます。
引きこもりの子供を厄介ばらいできればいいと考えて、そういった施設に入れる親御さんもいますが、精神的におかしくなっても最後まで面倒をみてくれるところはほとんどないので、施設のほうで手に負えなくなると家に戻されてしまいます。
そして、子供は親に捨てられた、裏切られたという恨みをもって帰ってくるので、今度は家庭内暴力まで始まってしまうというケースも少なくありません。
ですから、子供を施設に入れてしまおうと考えている親御さんも、ちゃんとお子さんの精神状態を判断してから行動をおこすことをおすすめします。
それでは、そんな引きこもり対策の一丁目一番地となる精神状態の診断方法について説明していきます。
より詳細な診断方法は、不登校、引きこもり解決のための総合マニュアルである【完全解決マニュアル】をご覧ください。
ページのトップへ戻る
私は、引きこもりの子の精神状態を5つの段階にわけて考えています。
もちろん、精神状態は数値で測れるものではないので厳密な区別ではありませんが、この段階によってこれからの対処が決まってくるので、まずは次のどの段階にはいるのかの診断から始めます。
それでは、引きこもりの5段階の精神状態を紹介します。
第1段階 ほぼ健全な精神状態
第2段階 神経症の一歩手前
第3段階 神経症
第4段階 精神の病み始め
第5段階 完全な精神疾患
神経症というのは、簡単にいえば病的なまでの神経質であると考えてください。
例えば、潔癖症(不潔恐怖)、対人恐怖症、視線恐怖症、不安神経症、強迫神経症、パニック障害など症状は様々です。
行き過ぎた神経質なので、人の数だけ、症状の数だけ神経症はあると言えます。
私は一般的な精神医学の定義よりも広めて、拒食症や過食症などの摂食障害や自傷行為も神経症の一種に含めています。
また、最近話題になりつつある新型うつ(非定型うつ)も神経症になります。
この新型うつに関しては、専門家の間でも様々な意見があるようですので、別の機会に私なりの見解を述べていきますが、とりあえずここでは神経症であるということだけ覚えておいてください。
ちなみに、最近では発達障害からくる引きこもりが激増していますが、発達障害は特定の精神レベルにはいるわけではありません。
発達障害があっても、精神状態は健全な子もいれば、神経症や精神疾患を併発している子もいます。(あるいは、発達障害自体が神経症や精神疾患の症状となっている場合もあります)
ですから発達障害のあるなしにかかわらず、その精神状態の程度によって第1〜5段階のどこかに入ることになります。
どのように判断するかを次に説明していきますので、まずはお子さんの精神状態がどの段階にあるのか診断してみてください。
先の表を見てお気づきのとおり、第1段階がもっとも軽いレベルであり第5段階がもっとも深刻なレベルとなっています。
これは引きこもりの子の現在の精神状態がどうなのかを判断するためのものであると同時に、ほうっておくとこの順で徐々に悪化していくという目安でもあります。
先天的、遺伝的、あるいは脳の病気による精神疾患でないかぎり、いきなり精神状態が第4段階や第5段階になるということはなく、引きこもりが始まって年月が経つにつれて、どんどん上の段階へと進んでいくということです。
ですから、現状で第1段階や第2段階にいたとしても、そのまま適切な対処をおこたり放置していると第3、第4、第5段階へと状態は悪化していきます。
私がいつも「不登校、引きこもりは進行性の病気とおなじ」と言っているのは、そのような理由からなのです。
この5つの中で、放っておいても自然に治る可能性のあるのは、第1段階の精神状態で、はじめての引きこもりから1年未満の人ぐらいになります。
ただし、引きこもりはじめてまだ6ヶ月であったとしても、小学校、中学校、高校などで、何度も不登校の経験があるような人は、長期の引きこもりとおなじで自力で立ち直ることは難しいと判断してください。
それから、ご家族の努力やカウンセリングで解決できるのは第3段階までです。
第4段階になると相当に知識と技術と経験のあるカウンセラーが何年もかけて回復させられるかどうかという状態で、基本的には精神科の投薬治療ぐらいしか対処はなくなってきます。
第5段階になると、もはやカウンセラーの力で改善させることは難しく、投薬や入院治療しかありません。
ただ、第3段階まではご家族の努力やカウンセリングで治るといっても、もちろん、どんな対処でもいいというものではありません。
ヘタな対処をしてしまったために、よけいに解決が長びき、状態が悪化してしまったという例は無数にあります。
また逆に、第2段階であったり、数年間引きこもっていたとしても、まわりの環境などの条件が良ければ自力で立ち直ることもありますし、本来なら投薬や入院等の措置が必要な第4段階の人でも、適切なカウンセリングやサポートでまともな生活をおくれるようになるケースもあります。
ですから、この5段階評価だけで解決の可否が判断できるわけではないということは踏まえておいてください。
それでは次に、第1段階から順に解説していきます。
ページのトップへ戻る
これは、ほぼ健全な精神状態です。
1年以上の引きこもりになってしまっている人、あるいは、長期間や複数回の不登校の経験がある人が、この段階であることはごくまれです。
健全な精神状態にありながら引きこもりになるというのは、順調な人生を歩んでいたものの、対人関係や仕事のつまづきなどで悩み、一時的に自信をなくしてしまったというようなケースです。
自分に自信をなくしているだけなので、落ちこんだり、やる気をなくしてしまっていたりすることはありますが、暴力的な行動をおこしたり、うつのように話しかけても返事をしないとか、無表情になるといったことはありません。
また最近では、親に甘やかされて、なまけから引きこもりになっている人もいます。
1日中好きなことだけして3食昼寝付きの生活ができるのであれば、誰だって働こうという気にはならないでしょう。
20歳を過ぎている子、大学まで出してやった子に、このような生活を許してしまっている親御さんはたくさんいます。
半数以上の引きこもりは、このような甘やかしもひとつの大きな原因になっています。
ですから逆に言えば、親が子供に対して当たり前のことをするだけで半数以上の引きこもりは解決してしまうということです。
ただ実際そうならないのは、当たり前のこととは何なのかがわかっていない親御さんが、ほとんどであるということです。
早期に適切に対処すればすぐに立ち直るものを、何年もダラダラと甘やかし続けて、結局、第2段階、第3段階へと悪化させてしまっているケースがたくさんあります。
そうならないように、「まだ第1段階だから」と安心して対処をおこたったり、先のばしにしたりしないようにしてください。
以下に、第1段階の人の特徴を紹介しますので、お子さんの状態と照らしあわせて判断してください。
【引きこもり 第1段階の特徴】
どうでしょうか。
これはだいたいの目安ですから、ひとつふたつ当てはまらなくても問題はありません。
精神的にまだ健全なこの第1段階であれば、これから紹介する対処法で早期解決は可能です。希望をもってください。
ページのトップへ戻る
引きこもりの放置は、絶対に避けるべき最悪の対応だと言えます。
しかし唯一、この第1段階の人で、ある特定の状態である場合だけは、自力で立ち直るまでそっとしておいてあげることが必要なこともあります。
それは、
希望をもって就職(大学進学)したものの自分には合わなかった
職場でパワハラやセクハラにあった
務めたところがブラック企業で過酷な労働を強いられていた
などで仕事や大学を辞めて、落ちこんだり、自信をなくしたりしているケースです。
ただしこれも放置できるのは、せいぜい2、3か月です。
また、部屋にこもってしまっているような場合は例外です。
たまには気晴らしに散歩や買い物、映画などに出かけたり、旅に出たり、そのような生活ができる人、いわゆる充電期間をとっている人が放っておいても大丈夫な人です。
それに対して似たような状況から仕事や大学を辞めても、精神的に不安定になっていたり、もともと情緒不安定な性格だったり、対人関係が苦手だったりする場合は要注意です。
このようなケースの場合は、第1段階でなく、第2段階以上になってしまっていることが多いものです。
極端に外出の頻度が減ってきたり、会話も少なくなってくるので、家族もうすうすは異常に気づいているものですが、ウチの子ならきっと立ち直ってくれるだろうとの根拠のない希望的観測から何年も放置してしまいがちです。
このような第2段階以上の診断や対処法に関しては、後で述べていきます。
ここではまず、第1段階の対処法についてお話していきます。
先に述べたように、ほうっておいても大丈夫な人に対してはなにもしなくてもいいので、これから紹介するのは、それ以外の第1段階の人への対処法です。
この第1段階というのは、まともな社会生活をおくれるだけの精神的健全性を保っている状態です。
第1段階で上記のような自力で立ち直れる以外のケースの引きこもりは、そのほとんどが親の甘やかしとそれに甘える子供の怠け心が原因になります。
ですから、まずは甘やかしをやめて自立した生活をおくらせるようにすることです。
甘やかしが普通になっている人からすると、きびしい対応のように感じられるかもしれませんが、実際にはこれでも大甘の対応になります。
具体的な方法を説明する前に、常識的な子育てについてお話しておきます。
子育てで一番大事なことは一体なんでしょうか。
それは、親から自立して生活できるようにしてやることです。
もしあなたが資産家で、子供が一生働かなくても生きていけるだけの財産をゆずってやることができるのなら、子供に好き勝手なことをさせてやってもかまいません。
しかしそうでないのであれば、ちゃんと自立して生きていけるようにしてやらなければなりません。
そのためには、小さい頃から人間は働くのが当たり前、ということを教えてやる必要があるのです。
どんなに当たり前のことではあっても、人間は教えられないとそれがわかりません。
ご飯はハシで食べる
排便はトイレでする
服を着る
外に出るときは靴を履く
日本人なら当たり前のことですが、これらは親がちゃんと教えてきたからできるのです。
ものを食べたり、排泄したりという行為自体は、動物として自然な行為なので誰に教えられなくてもできます。
しかしハシを使う、トイレを利用する、服を着る、靴を履くというのは、自然なことではなく文化的な習慣なので、誰かに教えられなければ知らないままに育ってしまいます。
このような人間として基本的な習慣の中でも、『大人になると働かなければならない』という、とても重要なことを教えていない親御さんが大半になります。
こちらのほうは生まれて数年で必要になる習慣でなく、20年ほど後に必要となる習慣なので、ついつい忘れてしまうということもあるかもしれません。
いやそれよりも、親御さん自身はとくに誰から教えられるということもなく、まわりの環境の中から自然に身につけていたため、自分の子供にこの一番重要な習慣を教える必要があることすら知らないというケースが圧倒的に多いでしょう。
自分は『大人になれば自立して働く』という習慣を身につけていても、それが人間としてもっとも重要なことであるという自覚がないので、20歳をすぎた子供が学校にも行かず、仕事もせずに家でフラフラと遊んで暮らしていても、それを容認してしまっているのです。
ですから、まずは親御さん自身がこの異常性をしっかりと自覚して、遅まきながらでも子供に教育しなおすことが必要なのです。
それでは一体どうすればいいのか、具体的な対処法を紹介しましょう。
やり方は、とてもカンタンです。
それは、3か月なり、半年なり期限を決めて、
『それまでに仕事をみつけなさい。もし期限までに仕事に就かなければ家から出ていきなさい』
と子供に宣言するだけです。
(もちろん、冗談でなく本気であることは伝えなければなりません)
あとは何もする必要はありません。
子供が昼夜逆転の生活でネット三昧の日々を送ろうが、家にこもっていようが、期限がくるまでは好きにさせてやってかまいません。
第1段階というのは、精神的に健全な状態です。
親の言葉をきちんと理解するだけの心の余裕と判断力は、ちゃんともっています。
ですから親がここまで覚悟を決めて宣言したのであれば、自分の甘えた気持ちや社会の常識から外れている自分の非常識な生活態度にも気づいて、また、もうあとがないという切羽詰った思いもわいてきて、社会に立ち向かおうと動きはじめるものです。
もしそうならないのであれば、それは第1段階ではありません。
最初に定めた期限を過ぎての子供の行動と態度、精神状態をみて、今後の対応を考えていかなければなりません。
なお、第2、第3段階であってもこの方法を使うことはありますが、その場合はより慎重な対処が必要になります。
それについては、またあとで述べます。
ページのトップへ戻る
この段階の子に対する対処法は、期限を定めてそれまでに仕事に就かなければ、家から出ていってもらうと宣言することでした。
ただこれだけでは、今までずっと好き放題の生活を容認してくれていた甘いお父さん、お母さんがそんなことできるはずがない、と子供のほうは本気にしない可能性があります。
そして実際、今までどおりの好き勝手な生活をつづけて、期限がきても仕事をしないままになってしまうことがほとんどです。
また、親御さんのほうも結局自分を変えることができず、そのまま引きこもり生活を許してしまうという最悪の結果になってしまいがちです。
なぜ最悪なのかというと、約束したことを親自身が実践できずなし崩しにしてしまうと、しょせんウチの親は口だけだと、子供にますます舐められてしまうことになるからです。
こうなると、もう子供の天下です。10年、20年、あるいは、親の財産や年金をあてにした一生続く引きこもりへとまっしぐらです。
このような人生を台なしにしかねない失敗を防ぐためにはどうすればいいのか、お教えしましょう。
それは一にも二にも、自分が本気であることを伝えることです。
そのためにもまず最初に、子供に謝ることが必要になります。
『今お前がこんな非常識な生活をしているのは、私たちが育て方を間違ったからだ。そのせいでお前は人並みの生活ができなくなってしまったんだ。苦しめてしまって、ごめんね』
このように、自分たちの子育てのあやまちを謝るのです。
そしてそのあとに、
『まだお前の人生はいくらでも取り返しのつくところにあるのだから、手遅れにならないうちに、今から親として正しい育て方をしなおすことに決めた』
と、自分の覚悟を伝えるのです。
そのあとで、先に説明したように、期限を決めてそれまでに動きなさい、と宣言をするのです。
そうすれば、親が本気であることは伝わります。
もちろん言うまでもないことですが、大前提として親御さん自身が本気でなければなりません。
もしそれでも子供が仕事をしないまま期限がきたら、どうすればいいのでしょうか。
期限を延期するのは論外です。すでに十分な猶予は与えているのですから、家を出ていってもらわなければなりません。
しかし、着の身着のままで追い出してもいけません。
無一文でほうり出されたら、どんな人間でもまともな生活を手に入れるのは困難だからです。
そこまでやるのもいいお灸にはなりますが、親に見捨てられ、裏切られた、と逆恨みされ、関係修復が困難になることもあります。
そうさせないためには、憎くて追い出すんじゃないんだ、愛しているからこそ、立ち直ってまともな人生を送って欲しくて家から出ていってもらうんだということを態度で示す必要があります。
それにはどうするかというと、当座の生活ができるように数十万円の現金を渡して、家から出してやることです。
ただし、金銭的な援助はこれきりです。
家からは出してはいるものの、家賃や生活費などを延々と仕送りし続けている親御さんもいますが、これは引きこもりの悪化を促進しているようなもので、ここで紹介したやり方とはぜんぜん違います。
とにかく精神的にも経済的にも自立させること。
精神を病んでいない第1段階の人間であれば、必ずこれで立ち直ることはできます。
ページのトップへ戻る
第1段階の対処法は、【期限を決めて仕事をみつけるか、家から出ていくかの選択をせまる】というものでした。
精神的になんの問題もない人の場合は、これだけで確実に引きこもりから脱出することができます。
もし期限までに仕事に就けなかった場合は、当座の金を渡して家から出す、ということも補足として紹介しましたが、実際にはそんなケースはまずありません。
この方法を実践しても仕事を探そうとしないような人は、8割がたが、すでに第1段階をすぎているか、少し深刻な発達障害があるかのどちらかです。
親御さんはどうしても子供の状態を軽く考えがちですし、なんとか家庭内で解決したいという思いから、最初のところで判断ミスをしてしまっているのです。
この方法をやったけどダメだった、仕事もしないし、家からも出せなかったという場合は、やはり専門家にまかせることが望ましいでしょう。
そして残りの2割は、『どうせ、ウチの親は口だけで何もできないんだ』と子供に完全に舐められているケースです。
『ぜいたくさえしなければ、家もあるし、一生食べていくだけの蓄えはあるんだ』と家の経済状態を見透かされていたり、『親の年金にたかれば、ほそぼそと食べていくことはできるんだ』という知恵だけはしっかりもっているのです。
このように子供に舐められてしまっている親御さんというのは、実際に子供に対しては何もできないので、期限がきても子供を家から出すことはしません。
結局なし崩しにして、そのまま引きこもり生活を続けさせてしまうことになります。
また、それ以前に『子供を家から追い出すなんて、そんな虐待みたいなことできるはずがないじゃない』と、せっかくの唯一の解決方法を否定してしまう人もいます。
20歳にも、30歳にもなる子供を幼児あつかいして、オモチャだけを与えて家に閉じこめておくことこそが非常識であり、虐待でもあることに気づいていないのです。
もちろん、子供のほうもそんな育てられ方をされているので、精神疾患はなくても精神年齢が幼児レベルであり社会に適応する能力に欠けてしまっています。
これは、もう親子共々に病んでしまっているケースだと言えるでしょう。
このような親御さんにできる唯一の対処法は、がんばって働いて子供が一生遊んで暮らせるだけのお金を稼ぐことです。
ここに挙げたようなくつかの例外を除いては、第1段階の人のケースでは、この方法でかんたんに解決してしまいます。
手おくれになる前に、ぜひお試しください。
次に第2段階の対処法を説明していきますが、その前に第2、第3段階の精神状態である神経症についてお話しておきましょう。
不登校や引きこもりには、それを引き起こす3つの層の原因があります。
いちばん表面にあって直接のきっかけとなる誘発要因
その誘発要因をまねく精神的素質として表層原因
そしてさらに心の深奥にある根本原因
これらが重なったとき、不登校や引きこもり、家庭内暴力などの問題行動がおこってきます。
誘発要因というのは直接のきっかけですから、学校や職場でのいじめ、対人関係のつまずき、就職活動の失敗、仕事が合わない、セクハラ、パワハラ、失恋など、さまざまです。
これらは、だれしもが人生で何度かは経験するものであり、普通はそれだけで引きこもりになってしまうことはありません。
心の中に、そうなってしまう何らかの原因があるために、社会に出る気力をなくして引きこもりになってしまうのです。
そんな2つの原因のうち、心の深いところにどっしりと横たわる根本原因については、またべつの機会に紹介します。
ここでは、もう少し心の表面にある表層原因が神経症と関係してくるので、これについてくわしく説明していきます。
表層原因というのは、もって生まれた、あるいは、生育過程でつくられた性格、性質と考えてもらえばいいでしょう。
そんな表層原因の中でも、不登校や引きこもりになりやすい性格、性質というのは色々ありますが、その中でもほとんどの子に共通している特徴的な性質があります。
それは、自分に自信がないのにプライドは人一倍高いというところです。
引きこもりになる人は、自分はなにもできない、すべてにおいて人より劣っている、というふうに自信のひとかけらもない人が大半です。
そして、まわりのみんなからバカにされている、だから学校に行きたくない、家から出たくない、人に会いたくない、と強烈な劣等感をもって身動きがとれなくなってしまっているのです。
ただ、本当に自分が人より劣っていて、どうしようもない人間だと自覚している人は、まわりの人からどんなにバカにされても、こんな自分だから仕方ないと納得して身の程に応じた生活をおくるものです。
人生をあきらめて不登校や引きこもりになることは、まずありません。
それに対して不登校や引きこもりになる子は、もちろんそれができるだけの恵まれた家庭環境にあるということは大きな外的要因ですが、内的な要因としては、やはりプライドの高さというのがつよく影響しています。
何ができるというわけでもなく、せいぜい学校の成績が良かったとか、親から「あなたはやればできる子なのよ」と言われたとか、その程度の根拠しかないにもかかわらず、プライドだけは天にも届くほど高いのです。
自分は人からバカにされるような人間ではないとか、 自分は人並み以上にやればできる偉い人間なんだという思いや、自分はだれよりも人から愛され、大事にされるべき存在なんだという意識を一様にもっています。
そのため、ちょっと人にからかわれたとか、自分に優しくしてくれてなかったといった誰でもが経験するような些細な出来事にショックを受けて学校に行かなくなったり、引きこもってしまったりするのです。
そして、いったん引きこもってしまうと、プライドが高いだけに人生の落後者になってしまったという強烈な劣等感がわきあがり、そんな劣等感をごまかそうとしてよりいっそう根拠のないプライドにすがりつくようになってきます。
何ができるわけでもなく、人並みの生活すらできなくなってしまった自分に残ったプライドだけが唯一自分の心を支えるよりどころとなって、ますますプライドは高くなり、そしてそのプライドに強烈に依存するようになってきます。
そんな心理状態は、引きこもりが長引けば長引くほど進行していくので、数年もしないうちに、プライドを傷つけられることが命をとられるのとおなじぐらいおそろしいことになってしまいます。
これが、多くの不登校や引きこもりの表層要因となっている神経症の一種で、私はこれを『プライド神経症』と呼んでいます。
引きこもりの精神状態の度合いをあらわす5段階の真ん中、第3段階は神経症です。
一般的な神経症には、人の目が気になって仕方がない対人恐怖や視線恐怖、目に見えないバイ菌を恐れて1日に何十回も手を洗わなければ気がすまない不潔恐怖、体重を減らすことに命すらかける拒食症などがありますが、不登校や引きこもりになってしまう人は、これらの神経症とプライド神経症とが共存していることがほとんどです。
人が怖いなどの表面的な神経症の症状だけでなく、家族のちょっとした言葉に傷ついて、狂ったように暴れたり暴言を吐いたりするようになるというのは、典型的な共存パターンです。
そような子供の振る舞いの理由が理解できず、とうとう頭がおかしくなったと思って病院に連れていっても精神疾患とは認められず、釈然としないままに頭を悩ませている親御さんは多いものです。
もちろん、このプライド神経症というのは25年にわたる臨床研究から私が発見して名づけた神経症なので、病院だけでなく、どこに相談に行っても原因不明とされ、また解決してもらえることもありません。
そして結局、ただただ子供の逆鱗に触れないように、声をひそめて遠慮しながら生活しているのが、多くの引きこもりのお子さんを抱えるご家庭に見られるパターンです。
ですから引きこもりの解決には、そんなやっかいなプライド神経症を克服することが、表面的な神経症の症状を解消することよりも優先事項になってきます。
段階で言うと、完全にこのような精神状態になってしまっている人は第3段階、それに近い人が第2段階ということになります。
第3段階になってしまうと、もはや家族だけの力ではどうすることもできません。
第2段階で、このプライド神経症の症状がごくかるい場合は、家族の力だけでも解決することもできますが、引きこもり生活が長く、声を荒らげるところをとおりこして暴言を吐いたり、暴れたり、暴力を振るったりするまで重症化している場合は、専門家の力を借りることが必要です。
なお、ここに紹介したプライド神経症のない、対人恐怖症や不潔恐怖、摂食障害などの神経症だけが原因で家から出られなくなっている場合のほうが、社会復帰ははるかにすみやかにおこなえます。
ですから、神経症の種類も見きわめることがなにより大事になってきます。
ページのトップへ戻る
第2、3段階の引きこもりには、ふた通りあります。
対人恐怖症や不潔恐怖、摂食障害などが原因となって外に出ることができなくなり、引きこもりになってしまっている場合と、高すぎるプライドに執着するあまり人とまともに付き合うことができずに引きこもりになってしまっている場合です。
ですから、対処法もふた通り必要になってきます。
ここでは、前者のほうを一般神経症、後者のほうをプライド神経症として説明していきたいと思います。
まずは、一般神経症の対処法です。
一般神経症の人はたいていの場合、人と付き合いたくないとか、社会に出たくないわけではなく、むしろ、できることなら普通に社会に出てまともな暮らしをしたいという希望をもっています。
そして実際、様々な神経症に悩まされながらもちゃんと自立して生活している人もたくさんいます。
ですから、まだそれらの症状が軽い第2段階の引きこもりであれば、第1段階の場合と同様に、期限を定めて仕事をみつけるようにさせる、という方法が有効です。
ただしこの場合は、子供が勇気をもって外に出たり、仕事を探したりしやすいように、励ましてあげたり、一緒についていってあげるなど、家族がサポートすることが必要です。
そして、期限までに仕事につけないような場合も強制的に家から出すということではなく、親元から離れてひとり暮らしをしてみなさいというかたちで、自立を促すようにもっていくほうがいいでしょう。
第1段階の甘えと怠けから引きこもりやニートになってしまっている場合は、家から放り出してやるのが、親として引きこもりの子供にしてやれる最後で最高のしつけです。
それに対して、第2段階の子は、かるいと言えども一応は病気なのです。
もちろん、それも甘えからきている部分もあるのですが、やはり病人である以上、多少のケアは必要です。
ですから、社会に出てまともな生活をしなければならないという人間としてのルールはちゃんと示してやったうえで、それをサポートしてやるという対応が望ましいのです。
本人が、いつまでも親に甘えてはいられない、はやく仕事をみつけなければ、という焦りをもつことで、それが神経症を克服するきっかけになることもあります。
ただし第3段階、つまり、完全な神経症になってしまっている場合は、そちらの治療からはじめるか、社会復帰と治療を同時並行でおこなわなければなりません。
神経症でも無理をして仕事をしている人も多いものですが、そんな人は日々の生活がただただ辛いだけで、人生を楽しむ余裕はもてません。
そして、そんな生活を続けるうちにますます精神的に病んでいってしまい、そのうちのかなりの人たちがうつを始めとする何らかの精神疾患を発症してしまいます。
そんな悲劇を招かないためにも、やはり神経症は早いうちに治療しておくことが大切です。
ページのトップへ戻る
高すぎるプライドに執着し、それをほんの少しでも傷つけられることを恐れて人と付き合うことができない、社会に出ることができないというプライド神経症の場合は、非常に慎重に対処を行っていかなければなりません。
とくに暴言、暴力にまで発展しているケースでは、生半可な対処では余計に悪化してしまうことが多いため、相当なレベルの技術と知識と経験とをもった専門カウンセラーにまかせる必要があります。
このようなプライド神経症になってしまうのは、基本的に親の接し方、育て方に原因があるのですが、それ以外にもある種の発達障害が原因になっているケースもあり、最近ではその両方が原因で重症化しているケースが多くなります。
ですから、このようなプライド神経症に対処するためには、発達障害に関する知識も必要になりますので、まず最初に発達障害について述べておきましょう。
発達障害について詳しく説明していく前に、以下のことについてお断りしておきます。
ここで言う発達障害は、ADHD(注意力欠如、多動障害)や学習障害などのもともと定義されている発達障害だけでなく、自閉症スペクトラム(高機能自閉症)やアスペルガー症候群なども含めています。
また『発達障害』というときは、その傾向の強い人という意味で用いています。
その理由は、これからの説明をお読みいただけば理解していただけることと思います。
さて、発達障害と聞くと、なにか重大な精神疾患であるかのような言葉の響きがあるのではないでしょうか。
しかし実際は発達障害自体は、音痴とか、運動音痴みたいな誰もがもっている得手不得手であって、単なる個性なのでほとんど問題はありません。
勉強が苦手な学習障害、集中力に欠ける注意力欠如障害(注意力欠陥障害)、落ち着きのない多動症、空気を読むことが苦手なアスペルガー症候群、対人関係が上手くいかないコミュニケーション障害などさまざまですが、だからといってまともな社会生活ができないというわけではありません。
歌が極端にヘタでも生活にほとんど支障がないのとおなじことです。
発達障害はおもに、社会生活や人づきあいにおいての協調性や気配り、相手の気持ちを察する力、場の空気を読む判断力などのいずれかが苦手な性格、性質ということになりますが、忖度(そんたく)しすぎて逆に大問題となることもあるわけですから、絶対に必要な能力というわけではありません。
また発達障害はひとつの個性であって、その度合いも人それぞれ違います。
例えば、最後のコミュニケーション障害までいくと、とりようによってはほとんどの人がその傾向をもっていると言っても過言ではないでしょう。
ですから発達障害と言われたからといって、なんら悲観することも、警戒することもありません。
ただし、発達障害の人の中には単なる個性ですまされない、大きな性格的欠点をあわせもっていることが多いのは事実です。
その欠点は、勉強ができないとか、じっとしていられないなど一般的に問題とされている発達障害の性質よりも深刻で、健全な社会生活をおくるためには致命的になることがあります。
ですから、そのような性質をもつ子に対しては、より慎重なしつけや教育が必要になってきます。
そんな致命的な性質とはいったいどういうものなのかというと、人並はずれた強烈な思いこみです。
私は発達障害からくる不登校や引きこもり、その他の問題行動を起こす子供をたくさんみてきましたが、ほぼすべての子に共通してみられる特徴として、この人並はずれて強力な思いこみがあるのです。
いったん『自分はこうだ』とか、『まわりの人はみんなこうだ』と思いこむと、もうそれが頭から離れないのです。
また、論理的にそうではないことを説いて説得しようとしても、一切聞く耳をもたず、はなから理解しようとすらしません。
それは顕著な発達障害がなく、いじめや親の過干渉などから不登校や引きこもりになっている子たちと比べると歴然としたちがいがあります。
また、学習障害だけ、注意力欠陥障害だけ、といったほんの部分的な発達障害があるだけの子たちとも大きくちがってきます。
ですから、これは発達障害の中でもとくに深刻なので、私はこれこそ【思いこみ発達障害】とでも名づけて、治療対象とするべき症状であると考えています。
極端な被害妄想をいだく妄想性パーソナリティ障害というのがありますが、思いこみ発達障害はその前段階であると言えるでしょう。
早期に対処しなければ、より深刻な妄想性パーソナリティ障害へと発展していくことも多々あります。
いま日本では、急増している発達障害についての研究も徐々に進んできており、とくに学習の遅れや注意力の欠如を予防、改善させるようなプログラムも組まれたりしているようです。
また、発達障害の子に対応する教育施設などもできていますが、これらは学歴社会に適応できるように、お勉強ができるいい子に近づけるためのプログラムであって、発達障害の本当の欠点の改善には、ほとんど役に立ちません。
もともと学習障害や注意力欠陥障害などは、ひとつの個性なので、苦手な部分はほうっておいて自分の得意な分野で勝負すれば、発達障害のない一般人と比べても遜色ないどころか、人並み以上の社会生活をおくることができるのです。
そんなとるに足らない欠点より、発達障害の中で唯一、深刻な症状と言える強烈な思いこみこそ、早期発見、早期対処しなければならないのです。
このような性質をもった子の育て方をあやまると、一生にわたって家族全員が苦しむことになったり、また、その思いこみの強さから犯罪を犯してしまう危険すらあります。
にもかかわらず、この一番重要な思いこみ発達障害についての対処法や育て方はほとんど研究されていないのが現状です。
ちなみに精神医学では、自閉症の子にも同様に強い思いこみがあることは知られていますが、これは自閉症のひとつの特徴として挙げられているだけであって、思いこみそのものが問題視されているものではありません。
ですから、どれほど生活に支障のある強烈な思いこみがあっても、それだけで自閉症と診断されることはありませんし、なんらかの治療や対処法が講じられることもありません。
本当は発達障害であろうが、自閉症であろうが、アスペルガーであろうが、そんな診断名に関係なく、この強烈な思いこみこそ問題視して、早急に対処しなければならないのですが、不登校や引きこもりの臨床研究をしている人間がほとんどいない現状では、まだまだそんな理解が進むのは先のことと思われます。
たぶん、いまこれをお読みの親御さんは不登校や引きこもりのお子さんを抱えて悩んでおられるのではないかと思いますが、『ウチののことだ』と思われているのではないでしょうか。
実際に、不登校や引きこもりのお子さんに悩んでいる親御さんにこのような発達障害についての説明をすると、最近では、ほぼすべての親御さんから「ウチの子はまさにそれです」との答えが返ってきます。
これが研究室ではわからない、現場の状況なのです。
それほど一般化してしまった深刻な発達障害の症状が、この思いこみ発達障害なのです。
それではこれから、このような思いこみ発達障害が、どのように引きこもりへと発展するのか説明していきます。
ページのトップへ戻る
発達障害の度合いが強いと、勉強についていけないとか、人に合わせられないといったことから、学校や職場などの社会生活になじみにくいということは確かにあります。
ただ、そんな人でも客観的に自分を見て、なにが苦手でなにが得意なのかを知ることができれば、不登校や引きこもりになることは、そうそうありません。
自分の得意なものに自信をもって、うまく人ともつきあうことができるからです。
不登校や引きこもりになってしまうのは、『自分はダメだ』とか、『自分のことを理解してくれないまわりの人間はバカばっかりだ』とか、『なんで自分だけのけ者にするんだ』といったような、被害妄想にちかい思いこみを強烈にもってしまったときなのです。
このような性質の根本はもって生まれたものではありますが、それを増幅させて、そのようなネガティブな思いこみをもたせてしまうのは、家庭や学校などの育ってきた環境によるところが大きいと言えます。
発達障害特有の人並はずれた強すぎる思いこみは幼いうちから矯正しないと、頑固で融通がきかない、かたよった思考しかできない、他人を認められない、常に自分が正しくて間違っているのはすべて人、といったような超自己中心的な性格を形成してしまいます。
さらにそんな性格ともあいまって、自分自身に対してのプライドも極端に高くなってしまうことも多いものです。
人よりすこし勉強やスポーツができたり、なにかの才能が多少あったり、だれしもがもつ程度のものであっても、思いこみ発達障害のある人はそれによって自分に対する特別感が強烈に強まってしまいがちです。
ただし、心の底ではそれがとるに足らないものだとわかっているので、自分は特別だと偉そうにふるまうのは甘えられる家族の前だけであって、人前ではけっして自信をもって振舞うことはできないのも、発達障害から不登校や引きこもりになる人たちの特徴です。
また、人よりなにか優れたものがなくても、親が過剰に褒めたり、ほとんど叱ることもなく王子様、お姫様であるかのようにあつかって甘やかしたりすることでも、自分は特別な人間なんだという思いを強めて、プライドだけは異常に高い人間になってしまうことがあります。
このような極端に高い自尊心をもつ思いこみ発達障害の子は、基本的に協調性にとぼしく、自分を尊重してくれない人たちの中での集団生活が苦手です。
また、両親から過剰に褒められて特別感をもってしまった子は、学校や社会で自分の実力を知り、そのギャップに苦しむことになります。
そして、『オレは人より劣っているじゃないか。オレはだまされたんだ』と、極度の劣等感にさいなまれて、親を恨んでしまうケースはたくさんあります。
これを私は、 逆プライド神経症と呼んでいます。
この場合は、自分はダメ人間だという思いと親への恨み、ふたつの強烈な思いこみを抱えてしまうことになります。
(プライド神経症も逆プライド神経症も根本原因はおなじところにあるので、以降は必要のあるとき以外は、プライド神経症で統一します)
このような人は、子供の頃は不登校になりがちで、そのままの流れで学校年齢をすぎると引きこもりやニートになってしまうのが一般的です。
ただ、ガマンして学校に行ったり、仕事についたりしたらしたで、自分に優しく接してくれない、かまってくれない、特別あつかいしてくれない、そんなきびしい社会での生活で大きなストレスを抱えこんでしまい、親や学校、社会に対して不満をつのらせていくことも少なくありません。
そして、それがなにかのきっかけで爆発したり、ガマンの限度を超えたりすると引きこもりになったり、家庭内暴力へと発展することもあります。
また、怒りの矛先が社会に向いてしまうと、無差別に人を襲ったりするような事件を起こしてしまうことさえあります。
結局、思いこみ発達障害の子の多くは、学校に行く行かないは問題ではないのです。
子供時代にうまく性格を矯正していかないと、遅かれ早かれ社会に適応できなくなってしまう危険性が非常に高いのです。
発達障害だけでも育て方をあやまると、このようにとても扱いづらい人間になってしまうのですが、さらにプライド神経症まで併発してしまうと、もはや絶望的とすら言えます。
発達障害のない子でも、親が非常識なほど甘やかして育てた場合は極端に自尊心の高いプライド神経症になってしまうことはあります。
しかしそれ以外のケースでは、発達障害特有の思いこみが強烈に強いという性質が根本にあって、その影響を強く受けてプライド神経症になってしまっていることがほとんどです。
思いこみ発達障害もプライド神経症も似たような症状なのでややこしく思われるかもしれませんが、実際どちらも強烈な思いこみという問題ですから、両者は同種のものと考えてもらってもかまいません。
いずれにしても、いったんプライド神経症になってしまうと、自分を王子様かお姫様のように無条件でやさしく受け入れてくれるような環境以外には適応できなくなってしまいます。
さらに、自分に自信がまったくなくなってしまっている逆プライド神経症の場合は、それプラス、自信をつけさせ、心を前向きにさせてくれるような人がいる環境でないと適応できません。
もちろん、現実にはそんな世界は自宅以外には存在しませんので、必然的に自分の安住の地である家に引きこもってしまうことになります。
親が家来のようにかしずいてくれる場合は、家の中でわがまま放題の好き勝手な生活を送るようになりますし、両親のどちらかが怖い存在であるような場合は、自分の部屋に閉じこもってしまいます。
これが、思いこみ発達障害やプライド神経症から引き起こされる、引きこもりの実態です。
実際にリサーチしたわけではありませんが、私のこれまでの経験から引きこもりの半数以上は、このタイプの引きこもりであるように思います。
また思いこみ発達障害は、引きこもりにはならなくても、思いこみの強さから、世間に対して憎しみをもったり、特定の人たちに差別的な感情や嫌悪感をもったりして人を傷つけるような犯罪に走ることもあります。
現に、一般の人からすると理由も動機もわからない事件がちょくちょく起こっていますが、これらの大多数のケースの裏には思いこみ発達障害があるとみてまちがいないでしょう。
ですから思いこみ発達障害のある子に対しては、社会に適応できるように細心の注意を払った育て方をしなければなりません。
現在のところ、このような危険性やメカニズムがまったく知られていないため、自分の子に思いこみ発達障害の兆候があっても、それに対して手を打つ親御さんは皆無です。
それどころか、大半のケースで親の甘やかしとセットになって、重度のプライド神経症を併発した引きこもりになってしまっています。
プライド神経症からの引きこもりは、このような過程で起こってくるので第2段階であることは、ごくまれです。
そのごくまれな第2段階のうちであれば、親や周囲の人間の説得やサポートで社会復帰できることもありますし、それでダメな場合は、先に紹介した期限を定めて仕事をみつけさせるという方法で対応可能です。
しかし、実際は第3段階以上になってしまっているケースがほとんどで、もはや親の手に負える状態ではありません。
とくに、思いこみ発達障害をともなっている場合は、ほぼ例外なく第3段階以上であると考えてもらったほうがいいでしょう。
ですからこのようなケースでは、それに応じた特別な対処をするしかありません。
そんな第3段階の対処法については、次に紹介します。
ページのトップへ戻る
現在のところ、引きこもりの実態やその対処法はほとんど知られていません。
これは、引きこもりの人のいる家庭を継続的に訪問してのカウンセリングや調査、研究をしている人がいないためです。
そのため、第3段階以上の深刻な精神状態にある引きこもりに適切に対処できる機関も人間もないという状況にあります。
さきに紹介した、多くの引きこもりの原因となっている思いこみ発達障害やプライド神経症、極端な自己否定が特徴の逆プライド神経症についても、私独自の臨床研究から導きだし、定義した症状なので、当然、医師にもカウンセラーにも教育関係者にもまだ知られていません。
引きこもりに関しては、日本でほぼ唯一と言える出張カウンセリングを25年前から行ってきた私が日々の臨床結果を分析、研究して、その結果をこうやってネットや電子書籍などを通じて公開し、それが関係者に徐々に広まっていくというかたちになっています。
ですからいまの時点では適切な診断をくだせる人間はまだいませんし、その対策にいたってはだれも講じることはできないと思います。
ただ、ここでこの話をしたのは、対応できる人間は私だけである、と言いたいわけではありません。
それどころか実を言えば、私自身もプライド神経症や思いこみ発達障害の大半のケースは、さまざまな問題がかさなっていて回復が困難であるため、お断りしていました。
第3段階でお受けするのは、一般的な神経症やせいぜい逆プライド神経症までで、それ以上のケースでお引き受けするのは、何年かかってもいいから子供を助けてやりたい、という熱心な親御さんからのご依頼があった場合だけでした。
本来ならば第3段階以上の人であっても半数ぐらいのケースでは、適切な対処をすれば改善させることができるのですが、事態の深刻さを正しく認識しないままに、ここにかかればすぐに治してくれるだろうといったような安易な気持ちで相談にこられても十分な対処ができないのです。
基本的に、引きこもり脱出には引きこもっていた期間とおなじだけの時間がかかると言われています。
実際には、適切に対処をすればその期間は大幅に短縮することはできますが、何年も家族と会話もせず部屋に引きこもっていたり、わがまま放題に甘やかされた生活をするのが当たり前になっていたり、家の中で暴れたり、暴言を吐いたり、そこまで悪化している人が、わずか何回かのカウンセリングで治るはずもありません。
また、とくにそのような深刻なケースでは、親の甘やかしも状態を悪化させた一因となっていることがほとんどなのですが、親御さん自身がその自覚もなく、甘やかしが習慣化してしまっているため、治療にもっとも必要な生活習慣の改善ができないことも多々あります。
ですから私は、親御さんが本気で家庭環境から変えていこうとかたい決意をされている場合だけ、お引き受けしてきたというわけです。
第3段階の人への対処法は、まずは親が事態の深刻さを認識して、子供への接し方を変えていく。そして、専門家の定期的なカウンセリング治療と自立サポートを受けさせる、ということになります。
先にも述べたように、第3段階の中でもとくに深刻な状態の人たちは、これまでちゃんとしたカウンセリングを受ける機会がほとんどない状態でした。
その結果、そのような人たちに対応しているのは、入院治療を行っているごく一部の精神科ぐらいで、あとは引きこもり解決を謳うあやしい業者だけという状況でした。
とくにあやしい業者のほうは引きこもりのくわしい実態など何も知らないままに、とにかく施設に放りこんでしまえば金になる、子供なんて厳しくすれば言うことを聞くようになるだろう、という程度の考えからの対応なので、なまけや甘えからきている引きこもりの改善には効果的かもしれませんが、精神的にかなり不安定な状態にある第3段階の人には逆効果になってしまうことがほとんどです。
そして、そのような業者が最後まで責任をもって見てくれることはまずないので、高いお金を払っても数日から数ヶ月で手に負えなくなって放りだされてしまうというのが、大半のパターンになります。
そのような経験をして、親に捨てられた、裏切られたという意識をもってしまった子供は、親を恨んで暴力をふるうようになったり、精神的ショックからうつになってしまったりと、以前よりもはるかにひどい状態になってしまいがちです。
ただこれは、あやしい民間の業者だけでなく、本人の意に反して病院につれていった場合でもそうなることがあるので、注意しなければなりません。
このような現状なので、思いこみ発達障害やプライド神経症の子供をもってしまった親御さんは結局ガマンし続けるしかなく、運がよけば病院に入院させていっときの家庭の平安を得られるというのが、今のところの最大限の対処となっています。
ただし病院に入院させたところで、せいぜい安定剤を投薬されるぐらいで、これといった治療をしてもらえるわけではありませんし、数ヶ月もすれば退院をせまられるというのが普通なので、お子さんや親御さんの一生を考えると、それは過酷なものになってしまいます。
引きこもりやニートの人が事件を起こして報道されたときに、親が家から逃げ出していて一人で暮らしていたということがたまにありますが、引きこもりの人のいる家庭ではこのような事例はまったく珍しくありません。
一緒に暮らすことに耐えきれず、親のほうが家から逃げ出してしまうのです。
思いこみ発達障害の子供の育て方をあやまり、長期の引きこもりや家庭内暴力にまで発展させてしまうと家族は崩壊してしまうのです。
私は、それで手遅れになってしまているご家族や、限界ギリギリのご家族をたくさん見てきました。
そしてこれまでは、このようなケースはお断りしてきたわけですが、それは決して解決率100%にこだわっていたからではありませんし、治す自信がなかったからでもありません。
理由のひとつは、先にお話したとおり、家族の方の覚悟がともなわないのでカウンセリング自体が継続できないというところにあります。
カウンセリングはあくまでもご依頼があって行うわけですから、親御さんが希望されないかぎり、それ以上はなんともできません。
また、もうひとつの理由として、環境的に対応が不可能だったことも挙げられます。
第3段階で苦しんでいる当人やご家族を救うために必要なのは、どのような環境なのかというと、当人を預かって育てなおしができる環境です。
第3段階以上の引きこもりの人をまともな社会生活が営めるようにするためには、それまで家庭でできなかったしつけや教育のしなおし、すなわち育てなおしが絶対に欠かせません。
これこそが唯一の対処法と言えるでしょう。
症状が軽いうちは専門家のサポートのもとに家庭内で改善できる場合もあります。実際にいま私がやっているのが、このようなサポートになります。
しかし理想を言えば、引きこもりの元凶となっている家から離れたところで生活をしながら、人間としての生きかたを学びなおすほうが格段に効果があがります。
とくに深刻な思いこみ発達障害やプライド神経症、自分に完全に自信をなくしてしまっている逆プライド神経症などの場合は、毎日でも精神的なケアを受けることが望ましく、それと同時に、社会に適応できるように導いてやることが必要不可欠です。
知識と経験のあるカウンセラーが1年、2年とかけて、いや、場合によってはずっと一緒に暮らしながら、自立した生活をおくらせる。
これが、プライド神経症や思いこみ発達障害を悪化させて、家族がまったくの無力であったり、それどころか敵視されたりしているケースでの唯一の対処法になります。
ページのトップへ戻る
発達障害や神経症のあるなしに関わらず、親の子供への愛情というのは、引きこもりの問題を解決するのに欠かすことはできません。
いや親だけでなく、引きこもりの子をサポートするカウンセラーや支援者も子供に愛情をもって接することは大前提になります。
それこそが、引きこもり脱出を成功させるカギであるとも言えるぐらいです。
それではなぜ、愛情がそれほど大事なのでしょうか。
実は愛情というのは、人間が人間であるための根源的な感情であり、また生きるためのエネルギーでもあるのです。
そして、この愛情を十分に与えられないままに育った人は、不登校や引きこもり、あるいは神経症や精神疾患になりやすいのです。
その原理については、電子書籍【完全解決マニュアル】に詳しく書いてありますので、興味のあ方はそちらをご参照ください。
とりあえずここでかんたんに説明すれば、人間が自分に自信をもって充実した楽しい人生をおくるためには、誰かに愛され、誰かを愛することが必要不可欠だということです。
不登校や引きこもりになる子は、自分は親から無条件に愛されている、という確信をもっていません。
そのため、自分も親を愛することができなくなっています。
これが悲劇の始まりなのです。
それを示すいい例として、不登校や引きこもりになっている人の多くは、『自分はもう死んでもいいんだ』というセリフをよく口にします。
これは、一番身近にいる親から愛されているという自覚がないため、自分は誰からも愛される価値のない人間だと思いこんでいることと、自分自身でも自分を愛せないというところから自暴自棄になっての本音の言葉になります。
ただもうひとつには、暗に親を脅して、自分の好き勝手な生活を認めさせてやろうというという、裏の意図もあってのセリフでもあります。
子供の自殺がしょっちゅう報道される時代ですから、そうやって脅されると親としては大事なわが子にもしものことがあったら大変だ、生きていてくれるだけでいい、と弱腰になり、もはやまともな暮らしをさせようとしての手出しも口出しもできなくなります。
しかも、大半の子が単なる脅しではなくて、ほぼ本気で死んでもいいと言っているので、なおさら親としては萎縮してしまいます。
結局彼らは、自分が死んだら親がどれほど悲しむかということがわかっていないということですが、それはまさに親から愛されているという自覚がないことの証明にほかなりません。
情けは人のためならずという言葉がありますが、無条件の愛情を与えることは子供のためならず、ということも言えるでしょう。
(もちろんご存知とは思いますが、子供のためにならないという意味ではなく、後々になって自分のためになるという意味です)
とくに幼少期が、もっとも愛情を与えるのに大事な時期になります。この時期に十分な愛情を与えていないと一生に影響を与えてしまうこともあります。
なお、『命も金も地位も名誉もなにもいらない』というと、幕末の志士のような潔さを感じさせますが、もちろん、現代の若者はそのような達観した精神からこのようなセリフを吐いているのではありません。
自分の好きなことだけをして暮らしたい、しんどいことはしたくない、そんなラクな生活ができないぐらいなら死んだほうがマシという、人並み以上に欲望と執着にまみれて甘えきった精神からのセリフなのです。
親も自分も愛することができない彼らにとっては、自分の人生も思いどおりにならなければ、かんたんにリセットできるゲームとおなじぐらい軽いものでしかないのです。
ですから、彼らは本気で死んでもいいと思っていますし、人によっては、そのような生命軽視の感覚は他人の生命に対しても及んでいることもあります。
もちろんほとんどの人は、だからすぐさま自殺するとか、理由もないのに人を殺すということはありません。
自分がラクな生活ができている限りは、それを自ら壊す必要はないからです。
しかし、そんな生命軽視の考えをもった人は、まわりの人間にとっては非常に迷惑で危険な存在になります。
何十年も引きこもっていた人が家族を道連れにして無理心中をはかるという事件が、たまに報道されているとおりです。
実際、我が子の一挙一動にビクビクしながら暮らしている親御さんは、かなり多いものです。
子供に十分な愛情を与えてやれなかったと思われる方は、今からでもおそくありません。
とにかくあらゆる手段を使って、子供に愛情を伝えることが必要です。
子供が暴力的で、家で傍若無人にふるまっているようなケースでは、親の愛情不足が根本にあるということは容易に理解していただけることと思います。
それに対して、暴力をふるったり、暴れたりするわけではなく、あれが欲しい、これが欲しいとわがままをいうわけでもなく、食事もろくにとらず、親に遠慮するかのように必要最低限の引きこもり生活をしている人たちはどうなのでしょうか。
親の愛情は十分伝わっているのでしょうか。
それは、おなじ引きこもりでも『死ぬ』という言葉や態度で親を脅して引きこもり生活を認めさせているかどうかによって判断できます。
もし、死をちらつかせて引きこもり生活を認めさせている場合は、やはり親からの愛情不足が根底にあると考えられます。
自分の命を盾にとって自分の要求を通そうとするのは、子供を誘拐して身代金を要求するのとおなじ構造です。
違うのは、命の危機にさらされている子供と犯人とが同一人物であるというところだけです。
このような人の最大の弱みにつけこむ卑怯きわまりない行為を親に対して行えるのは、十分に愛情をうけてこなかったからにほかなりません。
また『死ぬ』と脅す脅さないにかかわらず、引きこもりというのは親に対する甘えもかなりはいっています。
そのような甘えた行動をとるようになるのは、親が愛情と甘やかしとを混同して育ててしまった結果になります。
子供に言われるままに欲しいものをなんでも買ってやるとか、何をやっても叱らないといったような育て方は単なる甘やかしです。
また、勉強をしたら、テストでいい点をとったら、有名進学校に入ったら、と条件をつけて物を買いあたえるのも愛情ではありません。
がんばった子にご褒美をあげてなにが悪いのかと思われるかもしれませんが、勉強は自分のためにするものですから、それに対してご褒美というのは筋がとおっていません。
例えば、ネットゲームでステージをクリアしたからお小遣いをあげる、というのと同じことです。
勉強をがんばったらご褒美をあげるというのは、子供からしたら、親の望みどおりにしたら、親を喜ばせたらご褒美がもらえる、と言われているようなものです。
このような育て方をされた引きこもりの子は、『今までさんざんお前たちの言うとおりにして喜ばせてやったんだから、今度はお前たちがオレ(私)の面倒を見ろよ』と、当然の権利を主張するようになります。
そこには家族間の愛情は存在せず、ビジネスライクな貸し借りと、親に対する甘えがあるだけです。
私は長年の不登校、引きこもりカウンセリングから、子育てにおける真の愛情の大切さを痛感してきました。
ただ最近では、人格障害(パーソナリティ障害)という発達障害で、親がどれほど愛情をかけて育てても、その愛情がほとんど伝わらない人も増えてきました。
自分の欲求や都合しか考えられず、愛情や義理人情といった人が人たるゆえんの感情が欠落しているのです。
もちろんこれも人により程度の差はありますが、その度合いが強い人ほど家でのわがままなふるまいもひどくなっていきます。
ですから、このような傾向のある人には、より専門的な対処が必要になってきます。
結局どの段階の引きこもりカウンセリングにおいても、どのくらい愛情に対する感性があるのか、どれだけ人の気持を理解することができるのかが、解決への一番のカギとなってきます。
最近では、私のマネをしているのでしょう。不登校の解決率100%をうたう業者まで現れてきましたが、はっきり言えば、不登校でも、引きこもりでも8割、9割という解決率をうたっている業者は、まずインチキ業者です。
私は100%をうたっていましたが、解決困難なケースはお断りしていたので実際の施療率が3割ほどですから、全相談の解決率は3割しかないということになります。
もしかりに制限なしにすべてのご相談を受けたとしても、せいぜい40〜60%ぐらいの解決率になると思います。
不登校や引きこもりを単なる子供の気まぐれにすぎないと軽く考えている人が多いのですが、実際は治癒率が半数しかない難病みたいなものであり、けっして容易に解決できるものではありません。
それを8割、9割も解決するなどと言うのは、自ら不登校や引きこもりのカウンセリング経験のないことを公言しているようなものですが、残念ながらそのようなインチキ業者が大量に参入してきているのが現実なのです。
現在、発達障害や神経症、それに類する精神状態の人が年々増加し、全国の親御さんから悲痛なご相談を受ける機会が増えつづけています。
これは結局、社会環境がそれだけ悪化してきているということだと私は考えていますが、そんな現状を放っておくわけにもいかないため、最近ではこの第3段階でもとりわけやっかいなプライド神経症や思いこみ発達障害の人たちのカウンセリングのご依頼も受けるようにしています。
もちろん、それに伴って解決率も下がってくることと思いますが、それよりも一人でも多くの悩める人を救えることができれば、それに勝る喜びはありません。
これまで、ウチの子はもう第3段階以上の深刻な状態だからムリだろう、とあきらめていた親御さんも多いことと思いますが、これまで以上に悩めるご家族の最後の駆けこみ寺としての役割を果たしていきたいと思います。
少々ひどい状況であっても、あきらめる前にご相談ください。
ページのトップへ戻る
第3段階までは病気、疾患というよりは心(精神)の不調という状態になりますが、第4段階になると本格的な病気であると考えてもらえばいいでしょう。
それはおもに神経症が悪化しての精神疾患か、遺伝的、先天的な精神疾患、あるいは、何らかのつよい精神的ショックを受けて心を病んでしまった状態です。
ですから、人並みのまともな生活をしたり、仕事に就いたりするのもなかなか難しくなります。
ただ、第4段階は精神疾患ではあっても、つねに症状が出ているわけではなく、まともなときも多いという状態、もしくは症状がかるい状態になります。
まともに家族とも会話できないとか、症状がひどくて常時不安定な状態にある人は、残念ながら第5段階ですが、その手前の第4段階であれば、まだ社会に適応できるようになるケースもありますので、いくつか対応可能な例を挙げていきましょう。
まず遺伝的、先天的な精神疾患の場合ですが、その症状自体を治すことは難しいと言えます。
しかし小康状態のときに自立に向けたカウンセリングやサポートを行なうことで、部分的に社会に参加できるようになることはあります。
身体の調子のいいときに働いて、調子が悪くなったら入院したり、家で休んだりする、という生活をしている精神疾患の人は案外おおいものです。
また、一般的な神経症、つまり対人恐怖症や不安神経症、摂食障害などがひどくなっての第4段階の場合は、時間はかかりますが心理療法で改善できるケースは多いものです。
ただ、これは症状を発症した自宅にいながらの治療では、効果が得られるまでかなりの時間を要すると考えてください。
アルコール依存症や薬物依存症などと同じで、どこか適切な治療が受けられる施設で矯正していくのがベストです。
またそれと並行して自立支援を受けることができれば、社会復帰も可能になります。
自分に自信がないのにプライドだけが異常にたかくなりすぎて社会に適応できない『プライド神経症』、劣等感のかたまりから心を病んで外に出られない引きこもり、そして、そんな状態に追いこんだ親を恨んで暴力的になっている重度の逆プライド神経症もまた、自宅にいながらの治療やカウンセリングだけでの改善は、非常に難しいと考えてもらってもいいでしょう。
このような人たちを社会参加できるようにさせてやる唯一の方法は、家から離して、精神状態の改善や根本的な性格の矯正を受けさせていく必要があります。
これを私は『育てなおし』と呼んでいます。
第3段階以上になってしまう人というのは、先天性の精神疾患や強度の発達障害をのぞいては、家庭での育て方が大きく影響しています。
子育ての過程で、どこかに間違いや問題があったのです。
人間には、生まれてから大人になるまでに、親から自立した生活をおくれるようになるために必要不可欠なしつけや教育というのがあります。
それができていないために、子供が不登校や引きこもりになったりするのです。
育てなおしは、そのような生育家庭で足らなかったしつけや教育をやり直していくという対処法になります。
これによって、心身共に健全で自立した人格を形成することができるのです。
第4段階でもあきらめたくないという方は、ぜひ一度ご相談ください。
ページのトップへ戻る
第5段階は、まともなときがほとんどない完全な精神疾患の状態です。
こうなると、もはや病院に入院するか、投薬治療を続けなから、家族で面倒をみるかしかありません。
ですから第5段階の人に関しては、残念ながら私でもどうこうできることはありません。
ただ、治療の効果がでて第4段階ぐらいの精神状態になれば、サポートを受けて自立することは可能です。
薬の副作用を嫌って病院を避けている方もありますが、副作用のデメリット以上にメリットがある場合もありますので、やはり病院で医師に相談されることをおすすめします。
ページのトップへ戻る
初回のご相談には、2時間おとりいたします。
【初回カウンセリング】
料金 2時間 1万2千円
以降 30分ごとに3千円
【2回目以降のカウンセリング】
1時間 6千円
以降 30分ごとに3千円
催眠療法を行う場合、上記料金+2千円
・親御さんとの面談、アドバイス、心理テスト、精神分析など、初期段階のカウンセリング。
・催眠療法など単発の心理療法をご希望の方にも。
【週1回、月4回の通院カウンセリング】
月額 3万円
・立ち直りに向けた心理療法、心理カウンセリング。
・認知行動療法や催眠療法などの心理療法で、心の状態を前向きになるよう改善していきます。
・面談は曜日、時間帯をその都度自由に変えられる毎回予約制です。
・1回の面談時間は約60〜90分です。
・当人を対象とした個別面談です
【出張カウンセリング・サポート】
関西圏(大阪・梅田から各種交通機関で1時間程度までの距離の方)
1回(約2〜4時間)1万8千円 (+出張費)
関西圏外(上記以外の地域の方)
1回(約2〜4時間)3万2千円 (+出張費)
・家から出られない、遠方に住んでいて通うことができないというご家庭への出張カウンセリングや環境心理分析、行動療法の実践、復学、就職のサポートなど全般的な自立支援を行います。
・出張費は交通費や日帰りできない地域の場合の宿泊費です。
百円単位は千円に切り上げさせていただきます。
※すべてのコースで完全予約制ですので、事前にご予約ください。
※片道3時間半以上かかる、あるいは、飛行機利用になるなど日帰りできない地域への出張は宿泊費もご負担いただきます。
大阪市淀川区西中島5-7−17
ビジネスVIP第2新大阪905号室
TEL 06-6305-9595