粗大運動 C 腹臥位 (うつ伏せ) での手の支持機能の発達 (04)
立位・歩行までの運動発達の中でも 《四つ這い》
の確立は重要なものです。 この運動のためには体幹部(胴体)・下肢の働きも必要ですが,上肢の支持機能の発達がより重要と考えられます。
皆さんでも評価できる観察点を簡単に説明しておきます。
【一ヶ月児】 うつ伏せにしますと,頭を側方に向けています。 上肢で体を持ち上げることは出来ませんが、数秒間なら頭を正面に向けることが出来ます。 アゴは床に接地する状態ですが,瞬間的には頭を持ち上げたように見えます。
【三ヶ月児】 うつ伏せにしますと,肘から前腕・てのひらを床に置いて胸から上部の上半身を床から浮かせて支持ができます。 頭を挙げて前方を見つめる姿勢です。この姿勢を一分間は続けられます。 肘支持の完成 写真
B
【六ヶ月児】 上肢を伸ばし,てのひらで上半身を支えることが出来るようになります。 三ヶ月児の場合には胸の半分 (下方)
はかるく接地する状態でしたが,この月齢になりますと腹部がかるく接地するまでに体を持ち上げます。 へその位置では床から浮いた状態です。 手は開いた状態になっています。 手掌支持の完成 写真 C
写真については,大阪市・鹿屋市在住の理学療法士の協力を得ました 。
支持が出来ない時代から 肘支持・手掌支持が可能になる過程で,体幹の背側・腹側の筋肉の発達も同調して 呼吸・首が座る・吸引などの口腔の発達
を促すことにつながります。
手掌支持は、把握機能・認知機能・座位・腹這いなどの発達の基礎にもなっています。
この六ヶ月児ができる 《手掌支持》 が完成した時に, 《四つ這い》 移動に必要な上肢の機能が完成したと判断できます。
生後一ヶ月半を過ぎる頃からは目覚めている時間にうつ伏せにする時間を作ってください。 始める頃は一回が二・三分にして一日に五回程度,一週間も経過して子供が慣れれば一回の時間を少し長くしてください。 二ヶ月を過ぎれば回数・時間は更に増やせます。
三ヶ月になれば,保護者が向かい側から対面する形で同じ姿勢であやすと喜んでくれるはずです。 この時期以降は回数・時間に拘らず,本人の喜ぶままに多く・長くしてください。
《首座り》
の項で書いていますが,獲得出来ていない姿勢を乳幼児に強制することは誤りです。ここでは本人の出来ない姿勢を保持することを強制はしていません。 次に獲得出来る姿勢を誘発する目的に限っています。
このアングルの写真は発達の評価に役立ちます。記録としても貴重です。 皆さんも誕生から毎月の写真を写してください。
【うつ伏せ姿勢が必要です】 と 【手の支持機能の発達】 で説明していることは “手の器用な子供” を育てることにも関連します。
標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ E-育児のアドバイス ] に解説しています。
粗大運動の説明 目次 次は D を読んでください。
@ 発達の指標 A 首座り B うつ伏せ C 手の支持 D 寝返り E ハイハイの表現はダメ F お座り
G いざり這いはダメ H 運動器の成熟 I 発達の検査機器 J 発達の診断と評価 K 発達の診療機関
管理データー Undou-SMAHO 02_SODAI_UNDOU Sodai_04_teshiji