粗大運動   B うつぶせの姿勢が必要    (03)

  生後一ヶ月半、50日を過ぎれば赤ちゃんが目覚めている時にうつぶせの姿勢にして下さい。

  最初の数日は一回に2,3分を日に4,5回から始めます。 一週間もすれば毎回を五分以上で日に五回以上に増やして下さい。

  この姿勢にする時は大人が近くで見守るようにして下さい。 寝ているとき (睡眠中),大人が監視出来ない所ではやらないで下さい。 

  二ヶ月も過ぎると赤ちゃんはこの姿勢を喜ぶようになります。 二ヶ月の半ばになりますと、両手で支えて頭と上半身 (胸の上半分ぐらい) を床から持ち上げられるようになります。 

  この姿勢がとれることは背中と腹側の筋肉を強くすることが出来ます。間接的には手の器用さを高める効果もあります。(これについては後ろで説明します) 

  このような姿勢をさせるように奨めますと時々赤ちゃんが嫌がるので止めましたという報告があります。必要なことですから数日は泣いてもすぐにこの姿勢を続ける努力を続けると数日で納得してくれます。

  西欧の育児ではうつぶせの育児が多いようです。 睡眠時間もうつぶせにする事もあります (注意−1)。 これは長年イスとテ−ブルの生活スタイルにかなった育児です。 

  日本家屋ではたたみに座るのが長年の生活スタイルでした。 イスとテ−ブルは昼間の生活スタイルでした。 しかし現在は殆どの家庭がイスとテ−ブルの生活に変わっています。

こ の一生続く生活スタイルに合わせた育児が必要になります。 しかし生後間もない頃からうつぶせの姿勢にすることに積極に取り組まない育児がいまだに多く残っています。 生活スタイルが西欧式に変わったのですから、育児も変えて下さい。

  近年、学童の背骨の側湾と青年期にはじまる腰痛患者の多さは生活スタイルに合わない育児が影響していると考えています。 

  ここで手の器用さとの関係を簡単に説明します。 赤ちゃんは生まれた時から物を握る機能は持っています。 しかし離すことを知りません。

  発達の検査で「ガラガラを持てますか」,「オモチャを持ち替えられますか」 と聞かれますが、持ち替えるためには離すことが重要になります。 握っている物を離す機能とは手を開く機能です。

  目が覚めている時も仰向けばかりにしていますと、手を開く機能の獲得が遅くなります。 うつぶせにすると手を握ったままでは支えられないので自然と手を開くことが必要になります。 こうしてオモチャの持ち替えが巧くできるようになり、 次には両手の協調運動につながります。

 注意-1 赤ちゃんの突然死の原因の一つに睡眠時間のうつぶせ寝が指摘されています。 睡眠時間中は大人の監視も手薄になります。 変化が手早く見つけられません。 このようなことから、小児科学会では 『睡眠時間中のうつぶせ寝は止めるよう』 に勧告しています。

 
運動発達を標準のコースで進ませる為にうつ伏せ姿勢を解説しています。 この目的では覚醒時のうつ伏せ姿勢が必要です。 睡眠時間での姿勢は関係しません。


 

  『皆さんにうつ伏せにするように奨めていますが,乳児がなかなか喜んでくれないとの話も聞かされます。 このような時には,写真のように保護者のお腹に乗せてあやすと喜んでうつ伏せ体位に馴染ませることが出来ます。』  保健婦から届いたアドバイスです。

                           
写真については,鹿屋市在住の理学療法士の協力を得ました。

 

 標準の発達ルートを進ませる為の育児での留意点を [ 育児のアドバイス ] に解説しています。

粗大運動の説明  目次      次は C を読んでください。 

@ 発達の指標  A 首座り  B うつ伏せ  C 手の支持  D 寝返り  E ハイハイの表現はダメ  F お座り

G いざり這いはダメ  H 運動器の成熟  I 発達の検査機器  J 発達の診断と評価  K 発達の診療機関

 

    管理データー  Undou-SMAHO    02_SODAI_UNDOU    Sodai_03_Utsubuse